9月21日 第10回テシオ杯ジュニアグランプリ(2歳・地方競馬全国交流 盛岡芝1600m)
1着 エイブルインレース
マーチボーイが逃げ、2番手にアンダージョイナー。エイブルインレースはその外3番手の絶好ポジションをキープ。1コーナーでちょっと行きたがったが、うまく宮崎騎手がなだめて折り合いをつけ、終始3番手外を追走。
道中いつでも前の馬を交わせる態勢だったが、宮崎騎手は追い出しをギリギリまで我慢。直線を向いてから満を持して追い出しをかけたが、一瞬もたもたするシーンも。これは「物見をしたから」だそうで、ラスト100mでマーチボーイを交わすとあとは独壇場。あっと言う間に後続を3馬身突き放し、余裕たっぷりでゴールに入った。
「地元3戦とも逃げたが、スピードが違うため押し出される格好となったから。早め先頭に立つとソラを使うので、追い出しをできるだけ遅らせようと心がけた。前回・クローバー賞では初芝だったにもかかわらず、いい競馬をしてくれたが、4コーナーで前がふさがれる不利。それで脚を余して負けたので、今回は絶対に勝たなければと思って乗ったが、理想的な競馬ができた。まだ気性的に幼い面があるが、これからもっと良くなってくれるはず」と宮崎騎手。
前回・クローバー賞3着、そして今回ジュニアグランプリを完勝し芝の適性十分。父フジキセキ、母父デピュティミニスターの配合はカネヒキリと同じ。牝馬で480キロ前後と馬格も申し分なく、大物の雰囲気を漂わせ、気性面などを考えると今後さらに飛躍しそうな予感。
JRA芝路線をメインにローテーションを組んでいくという話だから、これからの動向にも目が離せなくなった。
2着 イシノイングランド
道中は中団インにつけ、向正面から内をついてスパート。4コーナーで馬群がごちゃっと固まったが、うまく間を割って抜け出しゴール寸前でマーチボーイを交わす。
デビュー3戦とも7着に沈み、しかも離されての入線を繰り返す。スタートで出遅れるクセと気性難でなかなか頭角を現せなかったが、徐々にレース勘を身につけ7戦目に待望の初勝利をマーク。しかし前回、直線鋭く追い込んできたが5着に止まったため、10番人気の低評価に甘んじていた。
当日の馬体重がプラス4キロの422キロ。連闘で使ってきてこの体重増も好走につながっただろうし、南郷騎手の早め積極策も功を奏した。
今回もゲートが開く直前に立ち上がったように、精神的な成長が待たれるとことだが、なかなかいい脚を持っている。
3着 マーチボーイ
初の盛岡、初芝、初の1600m、初輸送など初モノ尽くめだったが、パドックでは入れ込まず堂々としたもの。絶好の1枠を引き当てた上、競りかける馬も不在でマイペースの逃げに持ち込む。マーチボーイの特長はスピードと折り合いの良さだが、それを全面に生かして4コーナーまで手綱はガッチリ。
さすがに初距離が響いてラスト100mで一杯となったが、諸条件を克服できたのは何よりも収穫だったに違いない。
4着 カミノフジ
デビュー芝1000m、ダート1200m戦を連勝してJRA新潟・マリーゴールド賞へ挑戦。しかし中央の壁は厚く、レコード決着のしんがり負け。その後は立て直しを図り、りんどう賞(水沢1400m)へ駒を進めようとしたが、挫石のアクシデントが発生して自重。それで復帰まで2ヶ月ほどかかってしまったが、当日のパドックではその影響は見られなかった。
道中はエイブルインレースをマークする格好で進め、勝負どころで反応ひと息。それでエイブルインレースからちょっと離されてしまったが、直線で盛り返して僅差の2着争いに加わる。
5着 ワタリシンセイキ
1周目スタンド前では最後方を追走。スローの流れを意識して早めに向正面からスパートをかけ、4コーナーでは一旦エイブルインレースに並ぶシーンもあったが、見せ場はそこまで。直線では脚色が鈍って5着に沈む。
デビュー2戦は芝で4、10着。その後、地元水沢のダート戦に替わって別馬のような反応を披露し特別2勝含めてダート3連勝をマーク。
「デビュー2戦は芝1000mの忙しい競馬が合わなかった。今の充実度なら芝でも好走できるのでは…」(三野宮調教師)と踏んでこのレースに臨む。
確かに芝そのものには戸惑わなかったようだが、ワタリシンセイキの良さはいい脚を長く使える点。半面、ピリッとした脚がないため瞬発力を要求される芝は、本質的には向かない印象だった。