8月10日 第1回クリスタル賞(3歳オープン 水沢1900m)
(クリスタル賞ゴール 写真・佐藤到)
1着 リュウノツバサ
外枠9番枠だったが、スタートでゴールデンクリーク、モエレハナオーが1ハロンほど競り合ってペース速くなったため、うまく4番手インに入ることができる。これは「調教師の指示どおり。外につけると折り合いを欠いてしまうので、砂を被らせて前半は控える競馬に徹した」(沢田騎手)。
この戦法がズバリはまり、2コーナー過ぎまで内でじっくり我慢させ、向正面から外に出すと鞍上の指示に素直に反応。馬なりでゴールデンクリーク、モエレハナオーに徐々に接近。4コーナーでは2頭に並びかけるや、あとは突き放す一方。余裕たっぷりで2着に4馬身差をつけて圧勝した。
「一生懸命、まじめに走るタイプなので壁を作って前半、楽をさせることができた。前の2頭が行ってくれて、うまく内に入れることができたのも幸いした。向正面でハミを取ってくれたら、すごい反応。これで勝利を確信した」と沢田騎手。
4走前、ダイヤモンドカップでは3番手外につけ、いつでも抜け出せる態勢だったが、いざ直線で追い出したら反応なし。今回はその反省を生かしたと思うが、折り合いさえつけば距離も克服できたことが最大の収穫。この競馬ができれば鬼に金棒で、次走・不来方賞(盛岡ダート2000m)も楽しみになった。
2着 モエレハナオー
大井遠征(ジャパンダートダービー)の疲れが若干残っていたのか、パドックで気合いが不足気味の印象。終始、ゴールデンクリークの直後2番手外につけ、4コーナーを回ってもその隊列で進んだが、リュウノツバサの伸びにまったくついていけない。
それでも大きくバテないで2着確保がこの馬の持ち味。おそらく順調に行けばさらに状態回復するであろうから、こちらも不来方賞での好走が期待できそう。
3着 ゴールデンクリーク
1枠、そして58キロのトップハンデ(リュウノツバサは57キロ、モエレハナオーは55キロ)も考慮したのだろう、モエレハナオーに絡まれたが、ハナを譲らず先手を取る。3ハロン目から13秒台に落として、マイペースの逃げに持ち込んだかに見えたが、ダイヤモンドC時のような冴えが見られず、3コーナーから手が動く。
しかしリュウノツバサの一瞬の脚に抗えず、モエレハナオーにも離されての入線。「理由は分からないが、いつものような走る気が感じなかった」と板垣騎手。あくまで結果論だが、いいと判断したゆったりローテーションが裏目に出たとすれば、この一戦を叩かれて気合いアップは間違いなし。次走は上位2頭と同様に不来方賞の予定だ。
4着 コンバットキック
いつもより前目の7番手を追走。勝負どころからスパートをかけたが、3着ゴールデンクリークからも4馬身差4着。スローペースだっただけに、追い込み一辺倒のコンバットキックに展開が向かなかったのが痛かった。現状の力は出し切った。
5着 テンショウベスト
パドックで若干イレ込みを見せて汗をかいていた。レースは3番手外につける予定どおりのポジションだったが、勝負どころで離される一方で5着確保が精一杯だった。
8月3日 第9回フェアリーカップ(3歳以上オープン牝馬 水沢1800m)
1着 クルセイズ
ウエスタンフォルスが逃げ、直後外にカネショウプルート。少し離れた3番手にシュクジャンヌ、大外サイレントエクセル。クルセイズはサイレントエクセルをマークする形で中団に控える戦法を取った。
3コーナーでウエスタンフォルスが失速し、替わってカネショウプルートが先頭。連れてシュクジャンヌ、サイレントエクセルもスパートをかけ、4コーナーでは3頭が横一線。一旦、シュクジャンヌが抜け出し、その外からサイレントエクセルが交わしたのもつかの間、大外からクルセイズが鋭く伸びて快勝。大金星をマークした。
「いつも前の競馬で終いが甘くなっていたので、思い切って控えてみようと思っていた。それがズバリはまりましたね。ここ数戦は若干太め残りだったが、今回、体が絞れてきたのも好走要因だったのでは。芝ダートとも盛岡の方が合う印象を持っていたが、水沢でもいいレースが出来るようになったのが収穫」と阿部騎手。
このあとは一息入れてビューチフル・ドリーマーカップ(8月31日 水沢1900m)へ直行したいと佐々木由則調教師。
2着 サイレントエクセル
出遅れもなく不利のない4番手外を追走。1周目スタンド前で掛かる仕草を見せたが、板垣騎手がうまくなだめる。勝負どころの3コーナーで馬順が入れ替わり、満を持してサイレントエクセルもスパートをかけたが、反応がひと息。板垣騎手の手も激しく動き、直線半ばでシュクジャンヌをひとまず捉えたが、昨年のすばらしい切れが影を潜め、外強襲クルセイズの勢いに屈してしまった。
「気がまったくない。このメンバーでこんな競馬をしているようじゃダメ」と板垣騎手。当然だが、愛馬の内容に納得がいかない表情で語った。サイレントエクセルもB・ドリーマーカップへ直行すると思うが、そこで真価が問われることになる。
3着 カネショウプルート
逃げたウエスタンフォルスの直後外につけ、3コーナーで早くも先頭。直線入り口ではシュクジャンヌ、サイレントエクセルに交わされ失速するかに見えたが、内から再度盛り返して3着に粘る。
3歳馬のアドバンテージでオープンに対し、4キロ減の52キロの軽ハンデも味方したが、いきなり古牝馬オープンに対して互角の勝負を演じた点は評価高い。今後さらにキャリアを積めば世代交代も可能かもしれない。
4着 シュクジャンヌ
終始3番手を追走し、4角では一旦先頭に立つシーンも。最後は一杯となったが、見せ場は十分。「もうひと叩きしてから臨みたかった」と関本淳騎手。
<次走へのメモ>
第26回ビギナーズカップ(2歳オープン 水沢1400m)
1着 ワタリシンセイキ
全馬が初の1400m戦でペースが落ち着くと思っていたが、フジフーフー、ダンストングラン、サイレントピアレスが競りかけてハイペースを形成。2歳戦の水沢で前半36秒5は非常に速く、ワタリシンセイキは若干追走に手こずって5番手インからの競馬となった。
2コーナー過ぎからペースが落ち着き、3コーナー手前からスパートをかけたが、関本淳騎手「気合いをつけたら思った以上に反応が良すぎた」ため、ダンストングランに挟まれる格好。それで一瞬控えざるを得なくなり、仕掛けどころの不利が影響しそうかに見えたが、気力を持続。4コーナーを回って外に出すとグイグイ伸び、逃げたフジフーフーをあさり交わす。その時の脚色は父ビワシンセイキをほうふつさせ、ゴールは抑えたままで3馬身差をつけて完勝した。
「前半ペースが速くてついていけなかった。だから芝が合わなかったと思うが、行き脚ついてからの伸びがすばらしい。3コーナーの反応の良さがすばらしく、これなら直線勝負に賭けても大丈夫だと思った」と関本淳騎手。
ワタリシンセイキはデビュー前から評判の高かった馬だが、芝2戦4、10着と凡走したため今回は6番人気まで落ちていた。しかし父と同様、ダートに替わって動きが一変。2歳馬のこの時期に水沢1400mで1分30秒を切るのは珍しく、陣営にとっても収穫の大きい一戦となった。
今回が初勝利だったため、まだJRA認定競走出走の権利もあり、今後は様子を見ながら次走以降を決めたいと三野宮調教師。
2着 フジフーフー
1枠に入ったこともあって果敢に先行。スンナリマイペースに持ち込めるかと思ったが、先に記したように前半は速い流れ。それをしのいで直線でも粘っていたが、勝ったワタリシンセイキとは勢いの差が明らかだった。
「ペースが速かったから2着も仕方ない。この馬の力は出し切った」と草地騎手。
3着 ダンストングラン
終始2番手を追走し、直線でも渋太く喰らいついていたが、前半で脚を使った分、最後が甘くなった。「調教の動きがひと息であまり期待していなかったが、実戦で変わった。素直に一生懸命走っている」(小林騎手)
5着 ダンストンジール
ペースが速く、外枠にも入ったため4番手外につける。向正面ではいつでも交わせるような感じもあったが、3コーナーで脚色が怪しくなり、直線失速。圧倒的な1番人気に支持されたが、デビュー戦・芝1000mで見せた軽快さが見られなかった。
「調教がきつすぎたかも知れないが、それにしても走らなかった。もしかしたらダートが合わないか、初ダートにとまどったか。もう1回ダートを使ってみないと正直、分からない」と村上忍騎手。
7月21日 第12回マーキュリーカップ(Jpn? 盛岡ダート2000m)
1着 サカラート
4コーナー奥ポケットからのスタートでケイエスゴーウェイ、フィフティーワナー、エイシンロンバードの3頭が競り合う形で前半3ハロン、36秒と2000m戦では速いペースとなる。2コーナーでひとまずエイシンロンバードがハナを取って流れが落ち着く。サカラートは4、5番手インの経済コースを進み、3コーナー手前でエイシンロンバードが失速。替わってフィフティーワナーが先頭に立ち、サカラートも徐々に前との差を詰める。
直線はフィフティーワナー、シンメイレグルスが2頭で叩き合う形になったが、その外からサカラートがグイグイ伸びてラスト200mで先頭。あとはフィフティーワナーを突き放して1馬身半差の完勝。05年9月、日本テレビ盃以来、久々の白星を飾った。
「ゲートに課題がある馬だったが、今回はいいスタートを切ることができて思い描いていた一番いいレース運びとなった。向正面でうまく折り合いがついたし、思いのほか手応えが良すぎて早めに(フィフティーワナーを)交わしたので後ろが気になったが、直線も力強く伸びてくれて完勝でした。この馬とは相性がいいですね(今回含めて3戦2勝)。ボクもサカラートもまだまだ元気一杯です」と中舘英二騎手。
「負けたら小倉を使おうかと思っていたが、賞金が加算されたのでもう一度じっくり考えたい。これで選択肢が増えましたしね。できれば秋は兄弟(弟・ヴァーミリアン)そろってビッグレースに挑戦できればいいですね」と石坂正調教師。
2着 フィフティーワナー
思った以上に先行激化してケイエスゴーウェイ、エイシンロンバードの間で2番手をキープ。3コーナー手前で押し出される格好となったが、シンメイレグルスがぴったりマークして息が抜けない展開。これが直線で伸び切れなかった最大の理由でシンメイレグルスの追撃は封じたが、外サカラートの脚色がすばらしくラスト200mで一杯となる。それでも最後まで喰らいつき、一瞬差し返すシーンもあったのだからさすがだ。
「パドックでのイレ込みはいつものこと。ハナに立つことも考えていたが、エイシンロンバードに行かれたので一旦譲った。直線でも決してバテていた訳ではないが、ピリッとした脚がないのが歯がゆい」と岩田騎手。
3着 ヤマトマリオン
3コーナー手前まではサカラートより前で競馬を進めたが、ペースが速くなった3〜4コーナー中間でちょっともたついたのが痛かった。直線ではマズマズの伸び脚を披露したが、前の2頭とは離されての入線となる。
「おそらく帝王賞はナイターが合わなかったかも。前との差はあったが、展開次第でもっといい競馬ができたのでは」と小林徹哉騎手。
4着 シンメイレグルス
フィフティーワナーを完全にマークする戦法を取り、道中ずっと直後外を追走。そのまま直線に入ってフィフティーワナーとのマッチレースかに見えたが、ラスト250mで脚色が鈍って一杯となる。
「4コーナーを回って勝てたかなとも思ったが、直線で手応えがなくなってしまった」と的場騎手。
7着 スウィフトカレント
前半は後方でジックリ待機して3コーナーでは徐々に進出。その時の伸び脚は悪くなかったが、直線で苦しくなってしまった。「ダート自体は悪くなさそうだが、調子がもう一つだったのでは。直線ではバタバタになっていた」と福永祐一騎手。
7月13日 第9回オパールカップ(地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)
(オパールカップ ゴール 1着・カクテルラウンジ 写真・佐藤到)
1着 カクテルラウンジ
道中は中団インでじっと待機。3コーナーで各馬がスパートをかけてもマイポジションをずっとキープ。4コーナーを回って直線から外に持ち出し、満を持して追い出すとアッという間に他の馬をごぼう抜き。逃げ込みを図ったウィンエヴリーをきっちり捕らえて快勝。瞬発力の差をマザマザと見せつけた。
「調教師の指示どおり前半は貯めていこうとインで我慢した。小回りでコーナーがきついと思ったので直線に入ってからスパートをかけたら一完歩ごとに伸びてくれた」と吉田稔騎手。
カクテルラウンジは昨年大晦日に行われた「東京2歳優駿牝馬」で3着に入り、今年JRA芝へ2度挑戦。春菜賞は4コーナーで不利を受けながら0・6秒差6着、きんせんか賞は折り合いを欠いて14着に沈み、今回が3度目の芝レース。吉田稔騎手のコメントどおり、直線を向くまでずっと抑えたまま。ラスト300mで吉田稔騎手がゴーサインを出すとすばらしい反応を見せてくれた。
父がタニノギムレットで祖母がダイナアクトレスという超良血馬。前日に盛岡に入り、馬体重が前走比マイナス13キロ。412キロでレースに臨んだが、馬体を見る限り細くは映らず、陣営もさほど気にはしていなかった。
きんせんか賞以降、3戦連続で二ケタ着順に沈んでいたが、大井・若竹賞後はこのレース1本に絞って調整。メンバーが甘かったことも確かだろうが、今回披露した切れはさすが良血馬と思わせるもの。秋以降の成長が楽しみになった。
2着 ウィンエヴリー
「折り合いが難しいので前に馬がいる形でレースを進め、できれば逃げたくなかった」(菅原勲騎手)そうだが、ゲートが開いた瞬間、すでに1馬身のリード。抜群のスタートを切り、他も行く気配がなかったため逃げの手に出る。
道中は手綱をガッチリ抑え、後続を引きつけて直線で追い出してセーフティリードを取ったかに見えたが、外を強襲したカクテルラウンジとは脚色の差がはっきり。
「スタートも良かったので行かされる形になったが、仕方がない。切れで相手が一枚上だったということでしょう」と菅原勲騎手。
3着 テンショウベスト
前々走の芝・はまなす賞は中団からの競馬だったが、今回は2番手の積極策に出る。道中もずっと2番手をキープして直線でも自身の持つ脚は使ったが、いわゆる決め手のないタイプ。3着に粘ったことで十分健闘したと言えるだろう。
「調教も自分がつけているが、決して調子はいいとは思わなかった。それでも3着ですから良く頑張った」と村松騎手。
4着 デキシーメイ
前半はカクテルラウンジより後ろで競馬を進め、3コーナーから徐々に進出したが、直線の追い比べで伸びがもう一つ。スピードに乗り切れなかった印象だった。
7着 リュウノツバサ
1周目スタンド前で掛かり気味に4番手外を追走。向正面でも行きたがる仕草を見せて折り合いにちょっと苦労した感じ。芝1600m・はまなす賞、ダート1800m・ミルキーウェイカップと目下2連勝中で単勝1・6倍の1番人気に支持されたが、直線で失速。ダイヤモンドカップから4連闘で臨んだ見えない疲れがあったか。
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