<次走へのメモ>
10月8日 第32回ビューチフル・ドリーマーカップ(3歳以上牝馬 全国交流)
(写真・佐藤到)
1着 サイレントエクセル
北海道ヨイチテーストが予想どおり逃げ、スローに落とす。その直後、絶好の2番手をキープし3コーナー過ぎには抑えきれずに先頭。あとは後続をグングン突き放す一方で2着に10馬身差をつける圧勝劇を演じ、従来の盛岡ダート1800mのレコード(98年10月10日 スパニッシュホーク1分52秒8)をコンマ3秒短縮し、1分52秒5のタイムをマークした。
「ペースが落ち着いてくれたので楽に追走できた。道中、手ごたえもずっと良かったので、早く動いても後ろから来ないだろうと思って行かせた。直線でちょっと物見をしたが、改めてこの馬の強さを実感した」(板垣騎手)
この日は折からの激しい雨の影響でダート芝とも不良。ダート1400mでも1分27秒台が出るなど速いタイムで決着していたが、それでも3歳牝馬でレコード更新には驚いた。板垣騎手はラスト50メートルで勝利を確信し、追うのを止めて馬なりでゴール。最後まで本気で追っていたら1分52秒も突破していたかもしれない。
さすが前走、G?・ダービーグランプリで並み居る強豪相手に3着入線はダテではなかった。レース展望でも記したが、サイレントエクセルのセールスポイントはどんな流れにも対応できることと父ウイングアロー譲り、最後の爆発力。
もはや地元に適なし。今後は牝馬グレード戦線を視界に入れてローテーションを組むそうで、まずは船橋G?・クイーン賞(12月8日)を目標に調整を進めていく。
2着 タカエイチフジ
スタンド前は6番手、向正面から4番手外につけてサイレントエクセルが先頭に立ったのを見てスパートをかける。サイレントエクセルのスピードについていけず、最後は一杯となったが、ドリームチャッターの追撃をしのいで何とか2着を死守する。
「最近は調子が上向いていたし牝馬同士ならと思ったが、相手が強すぎた。でも2着確保で格好はつきました」(阿部英俊騎手)
3着 ドリームチャッター
じっくり後方待機策を採り、先陣が固まった馬群の後ろにつけ3コーナーからジワジワ進出。直線入り口ではタカエイチフジを射程圏に入れ、いい感じで伸びてきたが、タカエイチフジをクビ差捉えきれず3着となった。
昨年、同レースの覇者で、それ以降はずっと白星から遠ざかっていたが「調子は少しずつながら良くなっていた。この馬の競馬はできたが、相手が強かった」(岩橋騎手)のコメントどおり、相性のいい盛岡での3着好走で復活のメドが立ったようだ。
10月9日 第19回マイルチャンピオンシップ南部杯(3歳以上 G?)
(写真・佐藤到)
1着 ブルーコンコルド
枠差を利して地元ベルモントシーザーが逃げ、前半3ハロン34秒9のハイラップを刻み、ブルーコンコルドは5、6番手のインをキープ。これは「シーキングザダイヤをマークした」(幸騎手)戦法で3、4コーナーからジンクライシス、タイムパラドックスが動いたのを見てからじっくりスパート。直線で一瞬、前が壁になるシーンもあったが、それをうまくさばいて先に抜け出したヒシアトラスをゴール寸前でクビ差交わして快勝。昨年11月、JBCスプリント(名古屋1400m)に続くG?2勝目をマークした。
「外から2頭にスパートをかけられて楽な位置ではなかったが、馬を信じて我慢した。直線でちょっと壁になったが、ハミを掛けなおしたらまた伸びてくれた。これでマイルも克服できたと思います」(幸騎手)
「仕上がりは8分ぐらいだったが、5ヶ月の休養期間はマイルの競馬に対応できるような教育をした。前回シーズン、ガーッと行くのを覚えてチグハグな競馬をしてしまったので、テンで気を抜けるように調教をしたつもり。そうすればマイルにも対応できるようになるはずと踏んでいたが、思った以上の成果を出してくれた。次走にはJBCマイルを考えている。その後は園田ゴールドトロフィーまで予定をしている」(服部利調教師)
今回のカギはかしわ記念(2着)以来のレースと実績が薄い左回り、そしてこれまで未勝利のマイルだったが、服部利調教師のコメントにもあるようにそれらをすべて克服。非常に収穫の多い一戦となった。
2着 ヒシアトラス
終始2、3番手につけ、早め積極策から3コーナー過ぎに先頭。直線は馬場の中ほど進み、脚色も決して衰えていた訳ではなかったが、最後の最後で内をすくわれて2着惜敗した。
前走、エルムステークスから間隔があまりなく、当日の馬体重がマイナス8キロの536キロ。「前回を使って調子が落ちていたけど、これだけ走ってくれたのだから良く頑張ってくれた。でもあと一歩、伸び切れてくれたらと思うと悔しい」と横山典弘騎手。こちらはブルーコンコルドとは逆に距離が短い点が不安だったが、それについては「まったく問題なかった」(横山典弘騎手)
3着 ジンクライシス
向正面では後方にいたが、3コーナー手前から徐々にスパート。タイムパラドックスが先に仕掛けてから動いて一旦、ヒシアトラスに並びかけたが、もうひと伸びが足りなかった。エルムSからマイナス10キロ、アバラが浮いてちょっと細めに映ったが、それが最後に影響したかもしれない。
「ペースが速かったし、出たなりで考えていたので位置取りはベスト。折り合い、手ごたえも最高で勝てると思ったが、最後、あの脚を使われてしまったら力の差だろう」(五十嵐騎手)
4着 シーキングザダイヤ
コース取りは終始インの好位につける。4コーナー手前で外に出られそうなシーンもあったが、ベルモントシーザーがもたれたため直線でも最内を突いたが、外の馬のほうの勢いが上回っていた。
「いい感じで抜け出せると思ったが、思ったほど伸びなかった。二走ボケかも」(武豊騎手)
5着 タイムパラドックス
こちらは終始外めを回って3コーナーからスルスルと進出。直線半ばではヒシアトラスを交わしそうになったが、最後は瞬発力の差が出てしまった。8歳馬でピークを過ぎた感もあったが、今回のレースができれば今後、もう一花咲かせる可能性もありそう。
「上がり方がとてもスムーズ。最後は伸び切れなかったが、距離への適応力もあるし、まだ良くなるんじゃないかな」