10月22日に行われた地方競馬全国交流重賞『OROターフスプリント』。芝1000mからダート1000mに変更されたレースには4頭の遠征馬が出走し、その中の一頭・川崎のマッドシェリー号が逃げ切りで重賞初制覇を達成しました。
1番人気はプリモジョーカー、2番人気はマッドシェリー、3番人気はエイシントゥランと上位人気は遠征馬が占める形で開いたゲート。果敢にハナを奪ったマッドシェリーを巡っての展開になりましたが、結果は同馬が後続を振り切って逃げ切りV。同馬だけでなく鞍上の神尾香澄騎手、管理する山田質調教師のいずれもが重賞初制覇となりました。また勝ちタイム58秒1は盛岡ダート1000mの新レコードにも。色々記録に残る劇的な勝利でした。
10月24日のメインレースは12Rの『スプリント特別』ダート1200mです。
今週の盛岡は日中こそ日差しが暖かいものの日が落ちると息が白くなる寒さ。早朝もすっかり寒くなってそろそろ雪の心配をしなくてはならない雰囲気になってきました。昨年はJBCがあったので今くらいの時期もまだまだ慌ただしい感じがありましたが、今年は静かに冬を迎えることになりそう。何事もなくシーズン末までたどり着きたいものです。
さてスプリント特別。本命は(10)セイオーキッドです。
春に転入後はまだ未勝利、安定感は欠くと言う他ない戦績ですがしばしば存在感ある走りを見せています。そういうレースはいずれも短距離。7月の岩鷲賞では今回くらいのメンバーと互角の戦いをしているのですから能力自体は通用するものを持っていると見たい馬です。
前走は一息後のマイル戦、8着とはいえ9頭立てで9着は大差しんがりの結果という点には注意が必要ですが、勝ち馬から0.8秒差で戦えた点は一定の評価も必要でしょう。ひと叩きされて短距離戦、力を出し切れれば勝機も十分にあるはず。
対抗は、当初ハナレイにしていましたが同馬が出走取消となったのでひとつ格上げの形で(2)セイシークエンスを。A級ではやや苦戦の印象が出てきましたが、ちょっと気難しいところもある馬。こちらにとっても気持ちよく戦えれば・・・の狙いが可能。
三番手は(4)アップテンペストとしました。短距離路線に焦点を移した今季は勝ち星こそひとつですが存在感十分の戦い。夏以降、ちょっと前半戦の勢いがない感じですが、立ち直ってくればこの相手ならばの力があるのは間違いない馬。当日の気配が良ければ厚めに狙う手もありでしょう。
(6)マイグレーションはJRA時代の良績がダート短距離だったので距離短縮での変化に注目が必要。ただ前走などはまだ身体の余裕が目に付いた印象で、ある程度絞れてくればの条件付。もう一頭は(8)リスレツィオでどうでしょうか。クラシックを意識して長めの距離に出走してきましたが得意なレンジはもう少し短い印象。1200mは逆にちょっと短いかもですが2000mよりはずっと力を出せる条件では。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(10)=(2)、(10)=(4)、(10)=(6)、(2)=(4)、(10)→(8)
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23日メインはA級二組「紅葉特別」(盛岡ダート1600m)。実力伯仲のメンバーがそろい、有力各馬が一長一短。波乱の要素もたっぷりと含み、馬券的にもおもしろい一戦となった。
主軸はリュウノゾロにした。門別2勝後、園田(競走除外)を経て中央入り。東京ダート1300m、阪神ダート1400mでそれぞれ1勝をマークして3勝クラスへ在籍。その後、南関東、高知1勝と転籍。今年3月に岩手入りし、初戦を快勝。2戦目はタイム差なし2着。重賞での活躍が期待されたが、脚部不安が発生。戦列離脱を余儀なくされた。
4ヵ月の休養から復帰したが、いきなり1秒5差で逃げ切り圧勝。続いて青藍賞へ駒を進めて2着。優勝がゴールデンヒーラーならむしろ健闘。重賞でも勝ち負けできることを証明した。今回は終盤のビッグレースへ向けた重要なステップ戦。A級二組とは言え、くせ者が多く手ごろなメンバー構成。首位を奪回し、以降に弾みをつけたい。
マイネルアンファンは中央ダート1800m2勝、ダート2100m1勝。その後、南関東2勝・B1級から今年3月に転入。4勝2着2回3着1回。相手なりに駆ける堅実さを身上とする。
評価が分かれるのが青藍賞の5頭立て5着。いつもの伸びがみられなかったが、夏負けの影響が大きかったか。だとすればしんがり負けも仕方なし。現在はむしろ冬到来かと思わせるほど気温が下がっており、マイネルアンファンには好材料。本来の調子を取り戻せれば格の底力でアッサリまで。
サザンジンジャーも同じクチ。前走は2ヵ月ぶりの実戦で5着。夏負けがひどかったそうで、2ヶ月ほど休養に専念。前走はまだ尾を引いていたが、ひと叩きされて上昇必至。加えて単調なレース運びでモロさを出していたが、休み前は控える競馬もできるようになったのが収穫。揉まれない外枠からまとめて負かす可能性も十分。
リリーモントルーも評価に迷う1頭。どんな相手にも堅実さを発揮してきたが、今年は3着2回が最高。年齢的な衰えが見え隠れするが、6月から3ヵ月半の休養。今回は休み明け3戦目を迎えて走り頃。内の経済コースでレースを進めることができ、好走要因がそろった。これで苦戦を強いられるなら前途多難。陣営にとっても正念場を迎えた。
ハクシンパーソナルは強烈なまくり脚が武器。展開に左右される面があるが、ツボにはまると一気突き抜ける。前走・南部杯は11着だったが、1分38秒3は同日のA級2レースの1着馬より上回るタイムだった。流れが速くなれば出番。
マイジュネスは転入後、着外は芝・桂樹杯、OROカップの2度のみ。一條記念みちのく大賞典でも5着入線し、有力馬がもたつけば台頭できる。
◎⑨リュウノゾロ
〇④マイネルアンファン
▲⑩サザンジンジャー
△①リリーモントルー
△⑤ハクシンパーソナル
△⑦マイジュネス
<お奨めの1頭>
6R ストラダーレ
3ヵ月ぶりの実戦を問題にせず前走2着。この一戦を叩かれて良化確実。待望の白星を手にするチャンス
22日(日)メインは地方競馬全国交流「第13回OROターフスプリント」(盛岡ダート1000m)。過去12回は名称どおり芝1000mで行われていたが、走路悪化のために今年はダート1000mへ変更。過去に芝からダート変更は何度もあったが、OROターフスプリントでは初のケース。当初、登録あった遠征馬3頭が見送ったのこともダート変更が大きかったに違いない。
本命はプリモジョーカー。2歳時は門別牝馬重賞・リリーカップを制し、JpnIII・エーデルワイス賞5着。南関東へ移籍後も4勝をあげ、昨年OROターフスプリントへ参戦。芝適性ありと陣営は踏んだが、マイナス13キロ。レース間隔が詰まっていた上、輸送もこたえて5着に終わった。
その後、約半年の休養に入り、今年4月に復帰。当初は本来の動きを取り戻せなかったが、6月以降は2着1回3着2回4着1回。川崎900mを舞台に好走。今回はリベンジマッチだが、芝からダート変更は基本歓迎。前走3着後は、この一戦に照準を合わせて万全の態勢で臨む。
マッドシェリーは川崎生え抜きで川崎900m7勝2着9回。A2級まで出世して重賞挑戦も3度。6月から3ヶ月の休養から復帰戦で4着だったが、プリモジョーカーとはタイム差なし。前走は8着止まりだったが、今回が走り頃の休み明け3戦目を迎えた。
主戦ジョッキーは7勝のうち5勝マークの神尾香澄騎手。今回もコンビを組んで臨むが、重賞レースのため負担重量は定量55キロ。前々走はプリモジョーカーとは2キロのアドバンテージがあったが、今回は定量戦。これが微妙に影響しそうだが、実績はほぼ同等と見て間違いない。
エイシントゥランは門別1000m2勝から園田820m1勝。3歳短距離交流・ハヤテスプリントで岩手入りして4着。以降は南関東、岩手を行き来して早池峰スーパースプリント6着から川崎へ転籍。3戦目から川崎900mで2連勝中。充実一途をたどっている。今回は先行タイプが多く、強烈な決め手を生かして一気突き抜ける。
カルーナブルガリスは中央未勝利ながらダート短距離で2着1回3着2回。園田3戦を使って岩手入り。4勝2着3回3着2回。依然、底を見せていない上、芝1000mのコースレコードを更新した。今回はメンバーが大幅に強化されたが、充実の4歳秋。この挑戦は非常に楽しみ。
ダイセンメイトは水沢850m7勝、盛岡ダート1000m2勝。典型的なスーパースプリンターで初芝のトライアル・ハーベストカップでも2着に粘った。逃げたときに最も強じんな粘りを発揮するが、よりによって12頭立て12番枠。これが残念だったが、折り合いをつけれれば残り目一考。
ネクサスエッジは2021年に岩手在籍して1勝。その後、南関東3勝から8ヵ月の休養をはさんで金沢へ移籍。初戦は久々もこたえて8着だったが、叩かれて上昇必至。
◎⑩プリモジョーカー
〇③マッドシェリー
▲①エイシントゥラン
△②カルーナブルガリス
△⑫ダイセンメイト
△⑦ネクサスエッジ
<お奨めの1頭>
2R カマリイワヒネ
門別3戦0勝から転入戦をハイタイムで逃げ切って圧勝。メンバーは手ごわくなったが、前走パフォーマンスを信じる手
10月15日に行われた2歳重賞『若駒賞』は1番人気のミヤギヴァリアントが大差で勝利。期待の2歳馬がここにも登場しました。
スタートはちょっと出負け気味だったミヤギヴァリアントでしたがすぐに巻き返すと馬なりで上昇。楽に先頭に立ってからもそのまま後続を突き放すという強い競馬。タイム差1.8秒、着差は「大差」。先日のネクストスター盛岡を制したフジユージーンに続いて期待の2歳馬が登場しました。
10月17日のメインレースは9Rになります。3歳芝2400mの重賞『サファイア賞』。
今季の盛岡開催は、早くも残すところ1ヶ月ほどになりましたが、芝レースは今開催で終了。残すところはサファイア賞を含めて3レースとなっています。
それだけに芝巧者たちにとっては残り少ないチャンス・・・なのですが、そもそもシーズン末のうえに16日の芝戦が馬場状態悪化のためダート変更になっていてコースの状態はちょっとタフなものになっていそう。芝適性とか芝実績だけでは計れない部分がありそうなのに加えてここは2400m、出走全馬にとって初めての距離という点も予想を難しくしています。
このレースの本命は(3)ダットを採りました。
JRA未勝利から転入してその当初はダート1400mで連勝。岩手では初めて挑んだ芝の前走、はまぎく賞はマイルの距離で2着以下を10馬身ちぎる強さをみせました。
JRA時代は芝の1800m・2000mで戦い未勝利脱出寸前までもいっていた馬ですし、芝で大きく前進した点に不思議はありません。世代内での力量比較・芝適性比較という点でもアドバンテージをえた勝利だったと言えるでしょう。
ドゥラメンテの産駒ですがちょっと小柄で将来的なベストはマイルあたりかなという印象を受けますが、折り合いには難がないようで3歳同士のここは距離に対応してくれそう。カギは雨の影響が残る馬場がどうか?でしょう。
対抗は(11)ジェイエルドラフトを。こちらは胴長のゆったりした身のこなしで長めの距離でこそという印象を受ける馬。一方それだけに綺麗な馬場の方が良いのでしょうけれど、潜在的な距離適性、ダート1400mにも対応できた地力に期待してのこの評価。
(7)スノーパトロールが三番手。前走は折り合いを欠いてしまったのかこの馬らしくない大敗に終わりましたが、この中間を見る限りマイナスの影響は残って無さそう。3歳三冠路線を戦ってきた経験に加え芝も対応ずみ。距離に関しても2000mをこなしていますから、ここでも侮れない一頭になると見ました。
以下、まずは(1)レジーナ。今季前半は苦戦が続きましたがここのところ復調ムードあり。血統的に長い距離向きでは無いでしょうがその上昇感に期待して。もう一頭は(9)リュウノマサムネ。前走は、距離よりは力のいる芝が合わなかったような印象でした。それだけに馬場状態の影響がカギでしょうが、その前走の敗戦で見限るのは惜しいということで一点押さえに。(横川典視)
●9Rの買い目
馬単(3)=(11)、(3)=(7)、(7)=(11)、(3)→(1)、(3)→(9)
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16日メインは9R(発走:16時20分)。盛岡芝1600mを舞台に行われる「レジェンド的場文男デビュー50周年記念」。命名はもちろん"レジェンド"に敬意を評したもの。この日10月16日で的場文男騎手が、初騎乗から50周年を迎えるから。67歳になった今でも現役騎手を続け、通算勝利数が43397戦7419勝(2023年10月10日終了時点)は日本競馬史上最多記録。
思い出すのは1988年、第3回ダービーグランプリ。当時の南関東三冠目だった東京王冠賞を制し、南関東クラシック馬が初参戦。的場文男騎手とのコンビでダービーグランプリを圧勝。能力の違いを見せつけた。
もう一つの思い出は東京駅でのこと。東北新幹線の改札駅近くにある本屋さんで大きな声で「この競馬最強の法則がほしかったんだ!(奥さんに向かって)おい、これは絶対に買わなきゃ!!」と。誰なんだと思って、声の出場所を捜したら、的場文男さんだった。岩手で騎乗した時も元気いっぱい、大きな声でインタビューに応えてくれ、さすが"ビッグだ"なと思った。
さて本題。盛岡芝1600mを舞台に格上馬、上がり馬が入り交じり、どの馬からでも入れる伯仲戦。軸選びに迷ったが、まずは格を重視した。
アーバンキッドは3歳時にGIII・毎日杯2着、ラジオNIKKEI賞3着。芝3勝から障害を経て転入し、初戦の芝交流・OROカップでロードクエストの2着。高配当を演出し、3戦目の芝1600mを快勝。
しかし昨年は順調さを欠いて2着1回が最高。不本意なシーズンだったが、今年は芝準重賞・桂樹杯3着、芝重賞・いしがきマイラーズ2着で古豪健在を誇示。OROカップでも入着はならなかったが、6着に気を吐いた。
今回はB1級へ降格。今年10歳の高齢馬だが、盛岡芝1600mがベストの条件。生きのいい若駒がそろったが、貫禄を見せつけてくれるに違いない。
逆転筆頭はギャレット。2歳時に芝重賞・若鮎賞を制し、芝交流・ジュニアグランプリ2着。その後は低迷期が長く続いたが、今年は徐々に本来のシャープさを取り戻して芝準重賞・かきつばた賞4着からB1芝1600m・浜木綿賞を完勝。2歳11月以来、久々の美酒を味わった。
前々走はダート戦でも2着を確保し、OROカップへ挑戦。さすがに相手が強く11着に終わったが、B1相手なら地力上位は明らか。芝1600mの絶好枠を引き当て逆転首位まで十分。
クトゥネシリカは中央芝2000m3着1回から名古屋1勝を経て転入。ダートもこなしたが、芝に替わって反応が一変。B2芝1700m・セプテンバーカップで鮮やかな直線抜け出しを決め、前走芝1600m・オクトーバーカップでも2着を死守した。今回はB1昇級で相手は大幅に強化されたが、充実の4歳秋を迎えて突破の構え。
シナモンロールも同じことが言える。岩手入り後、ダート未勝利に対し、芝は1勝2着2回。前走・オクトーバーカップでは鮮やかな逃げ切りを決め、待望の初勝利を飾った。勢いなら一番。
ブラックバゴは中央芝4勝から南関東へ移籍。2020年のOROカップを快勝し、初重賞をゲット。昨年6月、転入してダートで3勝。芝ではやや精彩を欠いたが、今年は桂樹杯2着、いしがきマイラーズ5着。ペースが速くなれば直線台頭のシーンまで。
コリコは南関東C1から転入後、4戦2勝2着2回。依然、底を見せていない。芝も中央時に4度経験している。
◎(2)アーバンキッド
〇(1)ギャレット
▲(6)クトゥネシリカ
△(4)シナモンロール
△(8)ブラックバゴ
△(5)コリコ
<お奨めの1頭>
1R ハコダテメモリー
東京芝1600mで1分34秒台をマークし、C2編入は恵まれた。ダートもデビュー戦で経験済み
文・松尾庫司