松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。
松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。 7月27日に行われた芝2400mの重賞『せきれい賞』は3番人気に推されていた10歳馬ゴールドギアが快勝。待望の重賞タイトルを獲得しました。
スタートはわずかに遅く直後は最後方近い位置になっていたゴールドギア。しかし鞍上・高橋悠里騎手は「元々そう言うところがある馬だからリズムを崩さないように」と慌てず騒がず流れに乗ります。最初の4コーナーは後方から2番手あたりでまわって来た同馬でしたが早くもそこから上昇開始。ゆっくり、しかし確実にポジションを上げていくと、向こう正面に入る頃には5番手あたり、2周目の3コーナーでは外3番手から前を捉える位置にまで進出。
こうなってしまえばゴールドギアの展開。直線に向いてすぐに先頭、そこからも脚色は衰えず、後続の追撃も1馬身以上の差を残して退けてゴール。同馬は10歳夏、通算66戦目での初重賞制覇を達成。そして鞍上の高橋悠里騎手も昨年7月30日のオパールカップを制して以来、ほぼ1年ぶりの重賞制覇。人馬共に嬉しい勝利となりました
7月29日のメインレースは12Rのオープン特別『スプリント特別』、ダート1000mの12頭立て。猛暑が続くと思っているうちにはやくも7月の開催最終日となりました。次週からは8月、もっと暑くなるんでしょうか・・・。
さて本命は(1)エメラルドビーチを採りました。
前走の重賞・岩鷲賞では1番人気の支持、自分も本命に推しましたが結果9着と残念な結果。しかしその当日はかなり極端な先行有利・外をまわる形になった差し馬は反対にかなり不利な馬場傾向。本馬もその傾向に持ち味を殺がれた印象がありました。
この馬本来の力量は転入初戦の栗駒賞での3着、その次戦、盛岡1000mのスプリント特別での快勝で見せたものの方のはず。今週も引き続き先行有利の傾向が続いているのは懸念材料ですが、圧勝の実績あるこの距離で前走の雪辱を期待します。
対抗は(2)オスカーブレイン。直線が長くスピードを持続できる盛岡の方がいいタイプで1000mも1200mも守備範囲。5月以来の実戦ですが休み明けから走る馬だと思える実績ですし、その快速には十分に警戒しておきたいところ。
三番手は(9)ゴールドボンド。あまり経験が無い左回り戦、坂があるコースは初めて・・・での初コース。その対応は課題になりますが、同じ園田から来たエイシントルペードの活躍を思えばいきなり通用の計算も可能なはず。
連下としては(11)グットフォーチュン。今季初戦の3着以降は後方での入着が続いていますが850mや1200mはあまり合わないタイプ、ベストは1000mだという点は思い出しておきたいところ。もう一頭は(8)メイショウイジゲン。岩手移籍後3戦、勝ち星は1勝のみですがタイム差はいずれも僅差。力量通用と判断していい一頭。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(1)=(2)、(1)=(9)、(1)=(11)、(2)→(9)、(1)→(8)
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7月22日(火) 「第26回若鮎賞」(2歳 盛岡芝1600m)
昨年はダート変更で実施したが、今年は芝1600mに戻った。ラブコラージェンが逃げ、2番手にデンコウセッカ、3番手外にジュエルレジーナ、内にトゥーナスタディ。セイクリスティーナは大外に入ったため、無理せず馬なりで追走。馬群が開いたのを見て中団インにつけた。
ラブコラージェンが快調に飛ばして直線に入ったが、残り200mで失速。替わってトゥーナスタディが先頭に立ったのもつかの間、外からセイクリスティーナが一気に伸びて2馬身差で完勝。今シーズンいの一番の2歳重賞ウイナーとなった。
1着・セイクリスティーナ=山本聡哉騎手
「前回はゲートでうるさかったが、大外枠だったのでスムーズにスタートできた。ただ芝1600mだし、今の芝は内が有利。向こう正面で進路取りにちょっと迷ったが、スペースが開いたので3~4コーナーで内を回れたのも良かった。あとは馬群をどうさばくかだったが、辰徳(トゥーナスタディ)が抜けたところで外に出すことができた。入れ込みやすい馬だが、きゅう舎スタッフがうまく調整してくれて結果を出せた。マイルぐらいなら芝ダートを問わないと思います」
佐々木由則調教師
「テンションが上がりすぎるのが心配だったが、落ち着いてレースに臨めたからね。うまくクリアーできた。血統的に芝が合うと思っていたので、前回勝った後は若鮎賞1本に絞って調整を進めてきた。これで権利を取ったので、次走はジュニアグランプリへ向かいたいと思っています」
28日メインはA級一組「大暑特別」(盛岡ダート1600m)。転入2頭を含めて近走は精彩を欠くメンバーが多い中、前走1着馬が1頭。ここは順調度、好調度を重視するのがセオリー。
本命はダブルラッキー。今季初戦4着、2戦目3着。続く2戦2着から4連勝をマーク。実戦を使われながら良化一途をたどっている。前々走・朝顔賞は3着だったが、58キロのトップハンデがこたえた一戦。前走はA級復帰戦だったが、定量56キロに戻って2着に0秒6差をつけて完勝した。順調さを欠くメンバー構成なら、もう一丁いける。
ゼットセントラルは今季4着が最高だが、昨年はJRA2勝クラスとの交流・東京カップけやき賞を快勝し、重賞・青藍賞で2着を確保した実力馬。徐々に復調ムードをうかがわせ、久々にロングスパートをさく裂させる。
ヤマニンエステルは昨シーズンまで先行粘りを武器としていたが、今季は控える競馬に転じて1勝2着2回3着2回。着外が一度もなく、堅実なレースを披露している。岩手11勝のうち9勝が盛岡とコース巧者。2判枠なら久々の逃げも考えられ、アッサリのシーンまで。
フレイムウィングスは重賞でも勝ち負けを演じながらジリ脚のため、岩手未勝利だったが、今季3戦目を快勝。待望の白星を手にしたが、以降3戦は着外。ただメンバーが強く流れも合わなかった印象。ペース速くなれば反撃。
ブンブンマルは名古屋で通算14勝をあげ、重賞5勝。昨年1月以降は勝利から遠ざかり、金沢移籍後も精彩を欠いているが、父ナムラタイタンが活躍した岩手で再生するか注目。
ユイノダンディズムは中央1勝クラスから昨年10月に再転入して4勝。今季は未勝利だが、2着2回。ここでも押さえが必要。
◎①ダブルラッキー
〇③ゼットセントラル
▲②ヤマニンエステル
△⑦フレイムウィングス
△⑤ブンブンマル
△④ユイノダンディズム
<お奨めの1頭>
2R ナナドリーム
ここにきて調子をあげて目下2連勝中。前走も1秒1差で圧勝した。逃げにこだわらないのも強みとなる

27日メインは芝2400m重賞「第47回せきれい賞」。昨年は芝走路が悪化したためダート2000mへ変更。今年は芝2400mで実施するが、地方競馬全国交流ではなく地元重賞で行われる。
カナオールウェイズは小倉芝2600m、札幌2600mでそれぞれ1勝。2勝クラスから南関東へ移籍して2戦1勝から岩手入り。初戦の芝1600m重賞・いしがきマイラーズは3着。1コーナーでは後方にいたが、スローの流れとみて2コーナーから2番手に進出。直線では伸びを欠いて3着に終わったが、見せ場は作った。
今度は芝2400mが舞台。中央実績から距離延長は大歓迎だし、盛岡芝も2度目。この長丁場は折り合いが最大ネック。自在に立ち回れるカナオールウェイズには絶好の舞台。格上馬、実績馬が多いが、5歳の若さを前面に首位を奪取する。
ゴールドギアは中央5勝オープンから2023年に転入。芝準重賞・かきつばた賞を制し、芝2400m交流・せきれい賞2着、OROカップ3着。以上の結果から最優秀ターフホースに選出された。
昨年は芝走路悪化のため古馬の芝重賞はいしがきマイラーズの一戦のみ。やむなくダート路線を歩んだが、一條記念みちのく大賞典で3着を確保した。冬場は名古屋へ移籍して転入前のA1戦を快勝して再転入。今年10歳だが、実績上位は明らか。
タイセイモンストルは中央芝1800m~芝2400mで4勝。一昨年2月から障害へ転向して1勝をマークして転入。初戦のいしがきマイラーズは1コーナーで脚を滑らせたが、直線でいい脚を使って4着。コース2度目で首位奪取まで。
ライアンは南関東デビューで平和賞優勝、羽田盃2着から障害3戦を経て転入。ダート変更のせきれい賞、大みそかの桐花賞と重賞2勝。いずれも脚抜きのいい不良馬場だった。今回が平地芝は初めてだが、父がディープインパクト、母はペルーGI2勝。芝で新たな才能が引き出させるか注目。
カレンルシェルブルは芝2000m~芝2200m5勝。リステッドを快勝、GIII・福島記念3着、GII・日経新春杯5着の実績が光る。いしがきマイラーズは7着に終わったが、芝2400mで変わり身を見せる。
ギャレットは昨年のいしがきマイラーズを優勝。ベストは芝1600mだが、盛岡芝4勝2着1回と現役屈指の巧者。状態も徐々にアップしている。
◎⑫カナオールウェイズ
〇④ゴールドギア
▲⑨タイセイモンストル
△⑪ライアン
△⑦カレンルシェルブル
△⑤ギャレット
<お奨めの1頭>
6R マッセダムール
転入戦をアッサリ逃げ切って好発進。逃げにこだわらないタイプで外枠も問題なし。2連勝を飾る

7月21日に行われたダートグレードレース『マーキュリーカップ』は1番人気に推されたカズタンジャーが直線末脚を伸ばしきって勝利。自身初の重賞挑戦でタイトルを掴み取りました。
戦前の想定通りヒロシクンとメイショウフンジンが激しく競り合う先行争い。その二頭を向こう正面で捉えた後続勢からまず抜け出したのは昨年の覇者クラウンプライドで、その時点ではカズタンジャーは馬群の中団、先頭からは10馬身ほど差のある所。
昨年のように直線抜け出したクラウンプライド、しかし外から追い上げてくるカズタンジャーが一完歩毎に差を詰め、そして捉えて交わした所がゴール。
当初は補欠選定だったカズタンジャーでしたが「他の馬の動向もチェックしながら出走できる前提で調整は抜かりなくやってきていた」と管理する新谷調教師。次走は「コースを選ぶ馬だから良い条件を探して考えたい」とのことでした。
7月20日に行われた3歳馬の重賞『やまびこ賞』はこちらも1番人気の支持を受けていたサンロックンロールが人気に応えてV。そしてこちらも自身初の重賞制覇となりました。
道中は2番手から競馬を進めたサンロックンロール。「ある程度前でとは思っていたが2番手は想定以上に前。いつもより前に出る気持ちが強かったのでちょっと心配しましたが、今日は強い競馬をしてくれました(山本聡哉騎手)」。直線は後続を全く寄せ付けない8馬身差の圧勝。リケアカプチーノとの再戦に向けて強烈アピールの勝利でした。
7月22日のメインレースは12Rに行われる2歳芝の重賞『若鮎賞』。今年はここまで順調に行われている芝でのレースですが、2歳の芝戦はここまで1戦しか行われていないため出走馬のほとんどが「芝は未経験」で挑む形になっています。
今年は昨年の今頃とは全く反対に空梅雨、ここまで雨がほとんど降っていない状態で、おかげで芝も良い状態を保っています。例年よりも短めに刈り込んでスピードの出る馬場、前残り傾向が強い印象があるのもそのせい。若鮎賞でも、過去の勝ち馬はスピード性能の高さが芝適性云々を上回っていた印象があります。芝未経験でもスピードを優先しての評価がベターでしょう。
ということで本命は(4)ポデローサです。
ここまで3戦して1賞2着2回。もうひと押し勝ちきれなかった結果ではありますが前走は実力馬にこそ敗れましたが自身の後ろは7馬身引き離しており地力の高さ、スピードは現時点での世代上位と言えるでしょう。軽い脚さばきから芝をこなせそうな印象がありますし、芝になれば距離も対応できると判断しての本命視です。
対抗は(12)セイクリスティーナ。前走の水沢ダート戦では今回も戦うライバル達を10馬身ちぎって勝っており力量比較では上位に。芝も合いそうな走りを見せています。課題は大外枠ですが、ゲートの中で落ち着かない馬ゆえに最後の枠入りになる大外は好都合。
(11)ジュエルレジーナが三番手。こちらはこれまでの戦績からするとまずはここで通用するかどうか?なのですが、血統や走りぶりから芝での変化に期待して狙ってみます。
以下、(10)デンコウセッカはメンバー中唯一の芝での新馬戦勝ち馬。経験や適性で一歩リードしているのは間違いない存在。ただ走りの印象からは短距離がベストかと考えて印は4番手。
もう一頭は(9)トゥーナガラリエ。この馬も戦績からはあまり強気にはなれませんが、芝は合いそうな印象ですし、なにより距離が伸びても相手なりに戦える強みがあります。伏兵として評価してみたいですね。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(4)=(12)、(4)=(11)、(12)=(11)、(4)→(10)、(4)→(9)
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21日メインはJpnIII「第29回マーキュリーカップ(メイセイオペラ記念)」(盛岡ダート2000m)。今年は昨年の覇者であり、海外3勝クラウンプライド、JpnIホース・ライトウォーリア、JpnII2勝セラフィックコール、生きのいい上がり馬など多士済々のメンバー。10頭立てながら非常に楽しみな一戦となった。
セラフィックコールはデビュー戦から圧巻の5連勝。GIII・みやこステークスも制した逸材。続くチャンピオンズカップは10着に終わったが、ダイオライト記念を0秒8差で圧勝した。以降3戦は5着が最高。G/JpnIの壁は厚かったが、今年3月、ダイオライト記念2連覇を果たした。前走・名古屋グランプリ6着だが、水の浮く極端な不良馬場と名古屋が合わなかったか。コース広い左回り=盛岡に替わって首位を奪回する。
ディープリボーンは実戦を使われながら着実に地力アップ。これまで12戦5勝2着3回。前々走、プロキオンステークスへ挑戦して8着だったが、ブリリアントSで競り合いを制し、オープンの壁を突破した。マーキュリーCとブリリアントSの連動性は高い上実績馬が58キロ以上を背負うのに対し、54キロで出走できるのが魅力。初重賞を制し、秋のビッグレースにつなげたい。
クラウンプライドは昨年、かしわ記念12着から参戦。超ハイペースの中、2番手を追走し、ゴール前は一杯となったが、後続の追撃をしのいで優勝。コリアカップ2連覇の偉業達成につなげた。気になるのは佐賀記念の大敗だが、以降は体調回復に専念した。盛岡ダート2000mは3歳時・JBCクラシック2着、昨年マーキュリーC1着と相性抜群。復活を賭ける。
カズタンジャーは4勝2着3回3着6回。近走は追い込みに徹し、2勝2着1回3着1回。前々走はダート2100mで驚異の上がり34秒9の脚を駆使して一気突き抜けた。前走はスレイプニルSへ駒を進めてアタマ差2着に敗れたが、オープンクラスでも通用を証明。ペースが速くなれば自慢の切れを発揮。
ライトウォーリアは中央ダート5勝から2022年、川崎へ移籍。南関東重賞3勝からJpnI・川崎記念を優勝。2024年度のNAR年度代表馬に選出された。以降は勝ち星から遠ざかっていたが、前走・大井記念を快勝。久しぶりの勝利を飾った。59キロのトップハンデを背負うが、完全復活して参戦する。
メイショウフンジンは地方ダートグレードを主戦場に走り、今年2月に佐賀記念を快勝。重賞挑戦14度目にして悲願のタイトルを獲得した。マーキュリーCは過去3度参戦して7、3、8着。昨年は1番人気に支持されたが、ヒロシクンに出鼻を叩かれて8着。今年こそマイペースの逃げに持ち込んで雪辱を果たすか。
<お奨めの1頭>
4R ダークファンタジー
南関東C2から転入戦をハイタイムで完勝。能力の違いを見せつけた。同じ1200m戦ならもう一丁いける