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ばんえい名馬ファイル(6) イエヤス

2010年10月 6日(水)

天下獲りの冬の陣 イエヤス

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Photo●OPBM

 「イエヤスが天下を獲った!」

 年号が昭和から平成に変わった年の農林水産大臣賞典(現・ばんえい記念)。伏兵イエヤスが先頭でゴールした瞬間、スタンドは沸いた。この年の大臣賞はのちに1億円馬となるタカラフジ、ヒカルテンリュウの一騎打ちと見られ、連勝オッズも2倍と両馬が圧倒的な人気を集めていた。

 当日の帯広競馬場は12月10日とはいっても晴れの天気で馬場水分2.5%であり、ひじょうに時計のかかる馬場状態だった。スピードを生かしたレースでの実績はあるが、11月12日の北見記念900キロが今まで経験した最高重量のイエヤスである。それに比べ、タカラフジは岩見沢で行われた地方競馬全国協会会長賞で2着のキンタイコーに15秒の大差をつける圧勝劇を演じており、そのタカラフジを5馬身突き放し旭王冠賞馬となったのがヒカルテンリュウ。超満員のファンの誰もが「銀行馬券で暮れのボーナスを」と思うのも当然だった。

 5分32秒2。農林水産大臣賞典の重量が1000キロに定められてからの優勝最高所要タイムである(※1)。まさに死闘だった。ゲートが開き各馬定位置を第2障害に進み、赤い帽子の西弘美騎手・イエヤスが先頭で降りても、まだ誰も銀行馬券を疑うことはなかった。すぐあとに金山明彦騎手のヒカルテンリュウが、3番手に久田守騎手のタカラフジが差なく続いて降りたからだ。「逃げ」といってもばんえい競馬だ。10メートル進んでは止まり、5メートル進んでは止まるのである。それと一緒にファンも声援を送りながらスタンド前を200メートル移動するのだ。「これがバンバだ」と叫んでいる老人もいる。

 6歳で農林水産大臣賞馬となり天下獲りを果たしたイエヤスは、昭和61年北見競馬場で行われた能力テストを1回で合格、デビュー戦もゴール前で差し切って勝ったが、タイム的には平凡だった。61年デビュー組はチカラトウショウやゴーニテンリュウ、牝馬ではミドリゴゼンと実力馬が揃うなかでイエヤスは陰の存在だった。3歳時は北見産駒特別の優勝はあるが、レース名のとおり北見産駒限定戦である。3歳オープンでは入着はするが勝てないレースが続く。

 しかし不思議なことに、常に人気になる馬ではあった。そのイエヤスという馬名が人気の要素だったのかもしれない。

 ばん馬の名前は昭和40年代前半までは山や河、海など出身地を思わせるものが多く、馬名で馬主さんが分かったものだったが、後半からNHK朝のドラマやコマーシャルからの馬名が多くなるのも特徴である。国民的ドラマの主人公の名をとり「オシン」、「キタノアグリ」や「アグネス」(香港出身の歌手ではなく、ハワイ出身のアグネス・ラム)にヒゲで有名な現調教師(※2)である片平俊悦騎手が乗っていたのも面白い話である。オリンピックの翌年は必ず優勝者の名前が登録馬の中に入っていて、「ルイス」や「ジョイナー」など、時代を反映した名前が見受けられたものだ。

 兄弟騎手の兄として1000勝騎手となった(※3)西弘美騎手は、その後フクイチで平成9、10年の大臣賞を制したが、初めて大臣賞を優勝したのがイエヤスだった。「デビューからずっと手綱を取りました。最初は他厩舎に所属していたのですが、すぐに私の所属の山本幸一厩舎に転厩してきたんです。普段は大人しいんですが、レースが近くなると担当の厩務員しか馬房に入れることができないほどで、馬房の壁は穴だらけでした。イエヤスの同期は本当に強い馬が多くて、騎手の仲間とよく『鳴くまで待つか』なんて話していたものです。現実に大臣賞に出走させるにも、4歳時のばんえい大賞典をひとつ勝っただけの実績しかありませんでしたからね。でも1カ月前の北見記念3着の時の手ごたえが本当に良かったんです。山本先生と相談して出走させて、苦しいレースでしたが勝って良かったです。大臣賞を勝ったあとは、あんなに強いレースをしたのが嘘のように勝てなくなりました。大臣賞で燃え尽きたんですね。でも種牡馬になってからも初仔のダイカツは現在5歳オープンで活躍していますし(※4)、4歳もパワーウルフ、レーザーエッジと続いています。楽しみですよ」

 10月10日(※5)に旭川で行われる旭川記念にイエヤスの長男ダイカツが出走を決めた。ダービー馬ハイトップレディなど実力馬を相手に、無冠のダイカツがどう立ち向かうか、楽しみである。

文/小寺雄司

(馬齢は当時の旧年齢で表記)
※1:その後、08年にトモエパワーが制したばんえい記念が5分35秒8。
※2,3,4,5:1999年当時。

イエヤス
1984年2月27日生 半血 牡 青毛
父 半血・アラミノル
母 半血・クシロホープ
母の父 ペル・2世ロッシーニ
北海道常呂郡佐呂間町・柴田秀男氏生産
競走成績/162戦17勝(1986~94年)
収得賞金/52,907,000円
主な勝鞍/87年ばんえい大賞典(旭川)、89年農林水産大臣賞典(帯広)


月刊「ハロン」1999年11月号より再掲

今週の見どころ(10/2~10/4)

2010年10月 1日(金)

 先々週には銀河賞、先週は岩見沢記念、そして来週がナナカマド賞と秋のばんえい競馬はビッグレースが目白押し。今週は重賞が組まれていませんが、3日(日)のメインには、4歳牝馬オープンによる紅バラ賞が行われます。再来週(10月17日)に実施される重賞・クインカップの前哨戦として注目です。当日、帯広競馬場では、バラフェスタが開催されます。
 また同日、Aiba札幌駅前場外では、古谷剛彦さん、太田裕士さんによる場立ち予想会も行われます。お近くの方はぜひお越しください。

 10月2日(土)のメイン第11レースは桔梗特別(A1級-1組・20:00発走予定)
 前開催の豊頃町開町130周年記念(A1級-1組)を制したナカゼンスピードがここも主役といえそうです。近5走が2、2、2、1、1着と連対継続中。その5戦で、今回のメンバー中、一度も対戦がなかったシベチャタイガーを除く8頭に先着している実績があります。ここを勝ってオープン昇級となるでしょうか。
 ナカゼンスピードの近3走で一緒に走って1、2、3着のニシキユウも有力。豊頃町開町130周年記念は3着でしたが、ナカゼンスピードをけん制し早めに仕掛ける勝ちにいく競馬をしての結果です。当時30キロだったハンデ差が35キロに広がる今回は逆転の可能性がありそうです。
 トカチタカラも侮れない1頭。前々走はオープン-1組特別でカネサブラックの6秒2差4着があります。
 7月にA1級特別で連勝している4歳馬アオノレクサスや、A2級で2連勝してここに臨むタケタカラニシキも争覇圏でしょう。

 10月3日(日)のメイン第11レースは紅バラ賞(4歳牝馬オープン・20:00発走予定)
 4歳重賞・銀河賞で牝馬最先着の6着ワタシハキレイズキに期待します。障害巧者で、最後までしっかり歩ける脚もあるタイプ。3歳牝馬三冠(当時)では、二冠目・ばんえいプリンセス賞を制し、三冠目・ばんえいオークスでも2着に入った世代上位の実力馬です。
 4戦連続連対中のホクショウマドンナ、近5走で4連対のヒマワリカツヒメが続く存在。ともにばんえいオークス以来となる同世代限定のオープン特別出走となりますが、ハンデも有利で昇り調子だけに上位進出が狙えそう。特に、ヒマワリカツヒメ(ばんえいオークス3着)は強烈な決め手があり、障害さえ無難なら一気の首位奪取も考えられます。
 コマクインは、銀河賞7着、前走A1級決勝混合6着など、このところゴール前で粘りを欠いていますが、展開次第では残り目もありそうです。

  10月4日(月)のメイン第11レースに神無月特別(オープン-1組・20:00発走予定)が行われます。ナリタボブサップ、フクイズミが回避して8頭立てとなりました。
 今季、メンバー中で唯一、古馬重賞での連対があるニシキダイジンが実力上位ですが、重賞以外ではやや安定味を欠く傾向もあります。
 前走岩見沢記念は5着も得意の負担重量に戻るホクショウダイヤ、メンバーが手薄だったとはいえ7月にオープン-1組特別制覇のギンガリュウセイ、4歳重賞・銀河賞を含め3連勝と勢いに乗るキタノタイショウらにもチャンスがありそうです。

岩見沢記念 予想結果

2010年9月27日(月)

山崎:馬複3-5 1,700円的中! 収支+13,700円
矢野:馬複3-5 700円的中! 収支+2,700円
須田:ハズレ 収支-5,000円
斎藤:ハズレ 収支-5,000円

【ここまでの集計】
山崎エリカ +13,100円
須田 鷹雄  +8,300円
矢野 吉彦  +7,100円
斎藤  修  +3,950円


 集計には参加していませんが、赤見さんも◎▲で大当たりでした。

9/26岩見沢記念回顧

フクイズミが完勝で重賞10勝目!

 26日(日)は重賞・岩見沢記念(3歳以上オープン)が行われ、単勝2番人気のフクイズミが勝利。08年以来となるこのレース2勝目を挙げました。

 馬場水分は1.3%とやや重め。さらに全馬800キロを超す高重量だけに、道中はゆったりとしたペース。横一線のまま進んでは止まり、進んでは止まり...、相手の様子をうかがいながら、各馬第2障害を迎えました。
 早めに動いたのは単勝1番人気のカネサブラック。一気に天板まで登り切って、障害をクリア。それに一瞬遅れるかたちで仕掛けたナリタボブサップも抜群の登坂力を見せ、1馬身ほどの差で続きます。しかしここで、ヒザを折りながらも上々の登坂を見せたフクイズミが突破。以下ギンガリュウセイ、オレワスゴイが続く展開で、ゴール前の直線を迎えました。
 逃げる先行2頭はともに840キロを曳いているうえ、早めに仕掛けたこともあり鈍い脚いろ。そこへ末脚に絶対の自信を持つフクイズミが一気に詰め寄り、残り20メートルで早くも2頭を捉えました。当然その後の脚いろも鈍ることなく、重馬場に苦戦する2頭を尻目にゆうゆうとゴールイン。圧巻のレースぶりで重賞10勝目を飾りました。追い比べとなった2着争いはナリタボブサップに軍配。人気を背負ったカネサブラックは3着に敗れました。

 普段、障害で苦戦するフクイズミが、ヒザを折りながらも3番手で障害をクリア。30キロの重量差、そして重馬場を考慮すれば、多くの人が障害を下りた時点で捉えられそうな印象を受けたでしょう。しかし、その予想を大きく上回る圧勝ぶり。これなら1カ月後の北見記念も制して、四市冠競走全制覇を果たす可能性も十分です。なお今回のフクイズミの勝利で、松井浩文厩舎はこのレース4連覇を達成。ばんえい界を牽引する同厩舎から、今後も目が離せません。
 ナリタボブサップはばんえいグランプリ勝ちに続く重賞での好走。今季は障害を越えてからの粘りが一段と増した印象で、事実これで5連続3着以内と安定したレースぶり。今回はカネサブラックと並んでトップハンデを課せられただけに価値のある2着で、今後も極端なハンデ差がつかない限り上位をにぎわせてくれそうです。
 今季8戦目にして初めて連対をはずしたカネサブラックでしたが、840キロでの重馬場で積極的なレースを演じただけに仕方のない結果でしょう。今回の厳しいレースの経験は次走以降につながるはずで、北見記念での巻き返しが期待できそうです。

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尾ヶ瀬馨騎手「正直なところ、ホッとしましたね。馬の調子は上向いていて、きょうはハンデも恵まれていました。馬場状態もこの馬にちょうど良く、最高の走りができたのではないかと思います。ヒザを折った時には正直なところ焦りましたが、持ちこたえて頑張ってくれました。障害を下りた時点で何とか頑張ってくれるんじゃないかなと思いました。9歳ですが、まだまだやってくれると思いますよ」

9/26岩見沢記念予想 山崎エリカ

2010年9月26日(日)

ナリタボブサップの巻き返しに期待

 ◎には8月のばんえいグランプリを勝利し、一時期の不振を脱出した感のあるナリタボブサップを抜擢します。同馬は昨シーズンの古馬重賞路線では、カネサブラックやフクイズミの影に隠れる形で、ばんえい十勝オッズパーク杯2着、旭川記念3着、北斗賞3着、岩見沢記念2着、北見記念2着、帯広記念2着、ばんえい記念3着に敗れました。しかし一昨年前は旭川記念や北斗賞勝ちの実績があり、カネサブラックやフクイズミと比較しても見劣らない実力があることは確かですから、ばんえいグランプリの勝利をキッカケに再度の好走を見せてくれる予感がします。

 ○には今年6月の旭川記念の勝ち馬で、前走のポテト特別でも1番枠が有利だったとはいえ、ナリタボブサップにわずかに先着しているフクイズミ。同馬は自分から動いていけないため、どうしても展開に左右されがちになるここと、作シーズンほどの勢いが感じされないために狙いを下げました。

 ▲には7月の北斗賞の勝ち馬で、近2走でもナリタボブサップに先着しているカネサブラック。ただ道新十勝川花火大会特別はナリタボブサップがばんえいグランプリを勝利した後の一戦で疲労残りだったこと、前走のポテト特別などは2番枠でナリタボブサップと比べると枠順に恵まれたことなども勝因のひとつとして挙げられます。今回はやや不利な8番枠で、同馬も作シーズンほどの勢いがないので狙い下げました。

 あとは△にオープン2連勝後のばんえいグランプリでも5着に好走し、ここへ来ての成長力をアピールしたギンガリュウセイ。ばんえいグランプリ5着後はゆっくり休ませて、前走のポテト特別はここを見据えた余裕残しの仕上げでしたから、目一杯仕上げてどこまで通用するかが今回の鍵でしょう。

 他では北斗賞、ばんえいグランプリともに3着のホクショウダイヤ。現状ではフクイズミやカネサブラックを負かせるだけの力はありませんが、2頭が崩れればチャンスはあります。

 ◎ (3)ナリタボブサップ
 ○ (5)フクイズミ
 ▲ (8)カネサブラッグ
 △ (6)ギンガリュウセイ
 △ (7)ホクショウダイヤ

 馬複
 3-5、3-8 各1700円
 3-6 1300円
 3-7 300円

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