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12/14ばんえいオークス予想 矢野吉彦

2008年12月13日(土)

ニシキエースの軸不動

 もうみなさんご存知でしょうが、このところ、ばんえい競馬のホームページが充実してきましたね。担当者の方が頑張っているようです。私も頑張って予想しなきゃ!

 さて、今週はばんえいオークス。同世代の牝馬同士なら、黒ユリ賞、ばんえいプリンセス賞を制したニシキエースが頭ひとつ、あるいはそれ以上、リードしていると思います。全馬同重量ですから、ここは負けられないでしょうね。ここ2戦の内容がいいので、ばんえい菊花賞の6着は度外視。堅い予想になっちゃいますが、まずはこの馬を軸にします。
 問題はその相手。ばんえい菊花賞でお世話になったカネヅルは、ニシキエースとは逆にここ2戦がサッパリ。重い荷物を続けざまに背負って、ちょっとくたびれて来ちゃったんでしょうか。牝馬は格より調子と言いますから、ここは大きく割り引いておきましょう。
 ウィナーナナのレース内容も今イチ。カネヅルほどではないのでバッサリ切るわけにはいきませんが、本線として狙うのはいかがなものでしょう? 今回は押さえに回します。
 おもしろそうなのはキタノメイゲツ。黒ユリ賞ではニシキエース、ウィナーナナ、カネヅルに次いで4着、ばんえいプリンセス賞ではニシキエース、カネヅルの後の3着に来ています。ニシキエースを破って勝つまではどうかと思いますが、ウィナーナナ、カネヅルとの勝負なら先着の可能性は大いにありそう。ばんえい菊花賞後の4戦も好内容ですから、ニシキエースの相手にはまずこの馬を取り上げましょう。
 キタノメイゲツと同じ、久田厩舎のキクノリアルも押さえておきたい1頭。一気の増量で強敵相手となる今回は手を出しづらいところですが、馬場状態にかかわらず常に同じようなタイムで走れるタイプ。他が崩れるようなら、こういう馬が台頭してくるような気がします。
 ということで、馬券はニシキエースを頭に馬単流し。キタノメイゲツ、キクノリアル、ウィナーナナの順に、オッズと相談しながら金額にメリハリをつけて買います。あとはカネヅルをどうするか。思い切って消しちゃう手もありますが、来たら元返しになるくらいの金額を押さえておきましょうか。それにもう1点、キタノメイゲツが頭で2着ニシキエースという馬券も買ってみます。

 今年も押し詰まってきました。新しい年をスッキリした気持ちで迎えるためにも、年末の馬券はズバッと当てていきたいですね。では、今回はこのへんで。

12/14ばんえいオークス予想 斎藤修

ニシキエースの3冠か、カネヅルの勢いか

 ◎ニシキエース
 ○カネヅル
 ▲ウィナーナナ
 △キクノリアル
 △キタノメイゲツ

 詳細は、オッズパークのブログをご覧ください。

12/14ばんえいオークスプレビュー

2008年12月12日(金)

 12月14日(日)のメインはばんえい3歳牝馬三冠のラストを飾る第33回ばんえいオークス。三冠中で唯一の定量戦(全馬670キロ)として行われます。
 今年の見どころはニシキエースの三冠達成なるかでしょう。一冠目・黒ユリ賞(6月15日)、二冠目・ばんえいプリンセス賞(9月15日)とも障害先頭クリアからそのまま押し切っています。特に二冠目は、差なく障害を越えたウィナーナナ(6着)を一気に突き放しての一人旅でした。ばんえい菊花賞(11月3日)は離された6着でしたが、レース直前の豪雨の影響で6.2%と超軽馬場で行われ、しかも第2障害でヒザをつく不利があったことを考えれば参考外。よほどのアクシデントがなければ牝馬三冠達成の瞬間に立ち会うことができそうです。
 相手候補はウィナーナナカネヅルが有力。
 ウィナーナナは一冠目(2着)、二冠目(6着)ともに1番人気に推された素質馬です。ばんえいプリンセス賞は隣枠に入ったニシキエースを意識するあまり、第2障害までに脚を使い、結局ゴールまでもたなかった格好。とはいえ前に行ってこそ持ち味を発揮する馬だけに仕方のない面はあります。マイペースで先行できれば巻き返しても不思議ありません。
 ばんえい菊花賞で重賞初制覇となったカネヅルは黒ユリ賞3着、ばんえいプリンセス賞2着などもともと力がある馬でした。しかしばんえい菊花賞は持ち前の決め手が生きる軽馬場に助けられた面が大きそう。10月12日のオッズパーク杯秋桜賞(3歳オープン)でもニシキエース(2着)を破って勝利していますが、そのときは15キロのハンデ差がありました。馬場の助けがない限り、定量戦のここで同馬を上回るのは難しそうです。
 有力3頭が6、7、8番枠と並んだ枠に入ったことで、必要以上に牽制しあい乱ペースになるようなら、ここまでの二冠を4、3着と健闘しているキタノメイゲツや、末脚自慢のユーファンタジーが食い込む可能性も出てきました。

出走表はこちら

【参考レース】

 6/15黒ユリ賞(勝ち馬:ニシキエース)
 9/15ばんえいプリンセス賞(勝ち馬:ニシキエース)
11/ 3ばんえい菊花賞(勝ち馬:カネヅル)

※映像はこちら。またこれらを含めた2カ月前までの映像はすべてオッズパークにてご覧いただけます。

今週の見どころ(12/13〜12/15)

 今週日曜、12月14日のメインは、3歳牝馬三冠の最終戦・ばんえいオークス。三冠馬誕生なるか、それに待ったをかける馬はいるのか、見どころ満載となりそうです。なお今週のスカパー!の放送チャンネルは709Chとなりますのでご注意ください。
 オッズパークでは、昨年好評だった「ばんえい騎手年賀状キャンペーン」を今年も実施します。12月13日(土)〜12月23日(祝・火)までの期間中、オッズパークでばんえい競馬の馬券を3000円以上購入された方全員に、ばんえいのお気に入り騎手から直筆サイン入り年賀状が届くというもの。なお12月23日までにご応募いただいた方が対象となります。

 12月13日(土)のメイン第11レースはシリウス特別(オープン)。出走10頭中、前開催の知床賞(オープン)のメンバーが7頭を占める組み合わせ。その知床賞は、先頭で第2障害を越えたエンジュオウカンがそのまま押し切って、長期休養明け後4連勝。障害3番手からトカチプリティーが差を詰めるも、最後は勝ち馬と脚色が一緒になり3秒2差の2着でした。この2頭が後続をちぎっており、ここも一騎打ちが予想されます。
 割って入るなら、前走北見記念を使われた2頭、タケタカラニシキスターエンジェルが有力でしょう。

 12月14日(日)のメイン第11レースは重賞・第33回ばんえいオークス(16:30発走予定)です。このレースは別掲のばんえいオークスプレビューをご覧ください。

  12月15日(月)のメイン第11レースはアルデバラン特別(300万円未満)
 注目はアアモンドヤワラ。11月17日の初雪特別(300万円未満)では障害4番手から差を詰め僅差の3着、前々走4歳オープンも僅差4着、前走の4歳オープン勝入混合では逃げ粘って勝利と、安定した先行力を武器に近走堅実な走りをみせています。
 3歳馬の20キロ減が魅力のホクショウジャパンも初雪特別4着、続く300万円未満、勝入300万円未満で1、2着と好調。今回も上位進出が狙えそうです。
 ホシタロウも決め手勝負になるときついものの、この条件では堅実に上位に食い込んでいる1頭。障害がスムーズならホクショウドラゴンも差はありません。

ばんえいジョッキーファイル(19) 中山直樹

2008年12月 5日(金)

第19回 ばんえい愛にあふれて 中山直樹

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--- 中山騎手は、サラリーマン時代に岩見沢でばんえいを見てから競馬の世界に入ったんですよね。

 夜勤のある仕事だったんで、日中は時間ができるからって、職場ですごくばんばが好きな先輩に連れられて。
 自分としては、夜勤明けなんで寝たいんです。行きたくないんだけど、先輩がいうから仕方なく。
 そのうち先輩より行くようになったっていう。
 中央競馬も行きましたが、周りのみんなが行ってるときに自分も買ったりするくらいで、強く興味を持っていたわけではないです。

--- そこまでばんえいに惹かれた理由を教えてください。

 野球なり中央競馬なり、中継や勝利者インタビューがあるなら、喜びの姿とか伝わってくるので選手や騎手の感情が見えやすいけど、その当時、ばんえい競馬には騎手インタビューも何もない状況で。
 淡々とレースが行われて、淡々と騎手が馬橇を降りて、客席の興奮とは裏腹に、騎手の感情が全く伝わってこなかったんですよね。
 でもその時新人だった安部憲二騎手が、負けた時に弁当箱を叩きつけて悔しがっている姿を見たときにちょっと見方が変わって。それから競技として見られるようになってきた。
 お客さんも当時おしゃれじゃなかったっていうか……鉄火場っていうか。酔っ払ったおじさんがいたり。
 全く面識ないはずなのに、騎手を下の名前で呼んだり、そういう親しい感じがいいなって。この世界に入ってみてある程度知り合いなんだろうなってわかったんだけど。
 ばんばの醍醐味はヤジだと思う。ゴールまでずっとヤジがついてくるから本当に伝わってくるっていうか。(言われる方も)へこむだけへこむ。それが魅力だと思いますね。中央競馬ではなかなか(見ている)自分の意志を競技者側に伝えることができないっていうか。
 お客さんの声援に惑わされて早仕掛けになったり、早く(障害に)かけろーって言われて我慢できずにかけちゃうこともあるし……そういった一体感をスタンドの内側にいる時から感じていましたね。入ってから余計そう思いました。

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--- そして、思い切ってばんえいの世界に入りました。

 競技として見ているうちに自分でやってみたくなってきた。高校出て5年、24になる年。
 生まれた頃から馬を触ってるような人たちがいっぱいいるのに、僕はみんなが騎手になる頃にはじめて馬を触ったわけで。
 すごい不安はあって無理かなと思ったんですけど、年齢的には何かに挑戦してみるにはギリギリかなと。逆にもっと若かったら迷ったかもしれないんですけど。
 ばんばやってみたいんだって話を先輩にしてたんですよ。したら職場に、親が馬主さんと知り合いって人がいて道が拓けた。それまではどうやってこの世界に入っていいかもわからなかったんで。
 もう騎手になる目的以外にはなかったです。

--- それにしては騎手になったのは早かったですよね?

 当時、30歳で(負担重量)10kg減がなくなるって規則だったんで、28の時に受からなかったらこの世界はやめようとは思ってたんですけど、27の時に受かったのかな。だから早く受かったようだけど、自分としてはぎりぎりだった。

--- では思い出の馬を教えてください。

 やっぱりシマヅショウリキ。バリバリの最強馬だった時に平場レースだけど乗せてもらえたっていうのが。
 前の晩眠れなかったし、周りからもなんでだ?って雰囲気がありましたね。
 当時僕はまだまだ……今でもだめなんですけど、まだだめな、リーディング最下位にいる状態で。お客さんからも、一番いい馬に一番だめな騎手乗ってるようなヤジられ方もしたし。
 重量を引いて値のある(力を発揮する)馬なんで、平場となるとやっぱりペースが速くて、勝負になる場面ではなかったんですけど。

--- 違いは感じましたか?

 初騎乗以来の緊張だっていう程度で……自分はまだ、伝わってくる何かがわかるレベルじゃなかった。

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--- では、厩舎村(競馬場の人たちが馬と共に住む場所)について教えてください。厩舎村が大好きだとおっしゃられていたのを聞いたことがあります。

 旧き良き昭和の時代を今に残しているっていうか……外の世界にはなくなったような、近所付き合いみたいなものとか。みんな家族づきあいして。下の名前で呼び合うから、苗字知らない人もいるくらいで。
 子どもたちも皆兄弟のように育っているし。今騎手として頑張ってる人たちも皆そうだから昔話が同じ。
 調教師をオヤジ、奥さんは母さんって呼ぶようなかたちもすきだし。ひとつの厩舎がひとつの家族のようにしてる姿とかね。
 奥さんたちもみんなたくましいし。

--- お子さんも厩舎村で育つことになりますね。

 女の子なんだけど、いい意味で下品に育ってほしいっていうか。外で汚くなって遊ぶような。
 せっかくこの世界に入ったんで……。

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--- 減量はいかがですか?

 結婚するまでは、部屋に食べ物を置かないようにしたり、気をつけていたんですけど。
 人と暮らすようになるとそういうワケにもいかなくて……小腹が空くと冷蔵庫開けて食べちゃうんですよね。出してくれなくても自分で勝手に見つけ出して食っちゃったりするんで……。あればなんでも食べるんですよね。
 独身時代はお金も自由に使えたんで、深夜番組のダイエット器具とかはたくさん買って。今も調整ルームの部屋にいっぱいあります。

--- 通販好きですか? 最近痩せましたよね。

 飽きた頃にまた新しいものを見ると……だから絶え間なく鍛えられてる状況は続いたんですけどね。
 結婚するとなかなかそういう時間もなかったり、お金もなかったりで。

--- 青汁飲んでますか?(笑) (以前、アサヒ緑健の青汁のテレビ番組に出演)

 あの時が一番僕の人生で輝いていた瞬間かなと。スポットライトが当たってる時でした。
 本当言うと……最近飲んでないんです(笑)。

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--- では、俺のここを見てくれというところがありますか?

 僕のここ……僕自体あまり見かけることが少ないので、本当に、なんとか探してみてほしいっていう感じです。出てるときにはもう、目に焼き付けてほしい。
 レースでは、障害の一番下につくと、勝てると思ってる時とか緊張してる時は、お尻が出るんですよ。
 体勢が低くなるとどうしてもこういう感じで……(体勢を低くしてお尻を出す)。
 勝てる!とか緊張してる時は、尻が出ます。

--- お尻ですね(笑)。では最後に、元ばんえい競馬ファンとして、ばんえいの見方のアドバイスをお願いします。

 1頭の馬に思い入れを持つと、いろんなものが見えてくる。
 パドックなんて漠然と見てもわからないんです。その馬のことを記憶して、いつもはこうなのに今日はこうだなと変化も見えてきたら、パドックの価値があるんで。いつも元気がない馬はいつも元気ないし、いつもバタバタしてる馬はいつもバタバタしてるから。
 その馬のレースの仕方というのも見えてくるんですよね。いつも先頭に行く馬が行けないのに気づいたり、障害止まってても間に合うんだよとか、ダントツで降りても10m前くらいから全く歩けなくなるとかも。
 1頭見てるとその対戦相手のこともだんだん見えてくるんですね。あの馬があの位置にいたら、自分の好きな馬はどのくらいで降りないと間に合わないとか。相手も見えてきたらそれぞれの個性が広がってくっていうか。
 外から見てた時にわからなかった事が見えてきたのは、厩務員として働いて、担当馬を持つようになったことによって。
 3頭持ちます(世話を担当する)よね。その3頭をずっと見続けているわけだから、中に入らないと絶対に広がらなかったようなことに目が行くようになった。


 テレビカメラに向かうように、初心者にもわかりやすいよう丁寧に話をしてくれました。色んな方から「中山騎手は面白い人だ」と聞いていたのですが、以外にも(?)真面目……と思っていたら、ネタを小出しにしてくるんですね。「アドリブはきくほうではないんだけど……」なんておっしゃっていましたが笑わせてくれました。
 ファンから騎手になっても変わらないばんえいが大好きだ、という気持ち。私たちの憧れも本物なのだろうな、と思います。
 写真を整理していたら結構男前だということに気付きました。このキャラ、もっと表に出したいなぁ〜!!


取材・文・写真/斎藤友香

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