オッズパークで発売しているオートレースの各開催(川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、飯塚オート、山陽オート)の展望や、グレードレース(SG、GI、GII)決勝の直前予想情報とレース結果を提供します。
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《G1スピード王決定戦(浜松)の展望》
今月上旬の伊勢崎G2『レジェンドカップ』は5年連続で遠征勢による優勝となったが、今回で67度目となる浜松G1『スピード王決定戦』は近10年に地元車が7度の優勝を収めており、今回も地元勢は今期のS級11名を勢ぞろいさせて遠征勢を迎え撃つ。
鈴木圭一郎は、松尾啓史が優勝した2018年の第59回から昨年12月の第66回まで8大会連続で優出していて、3連覇1度を含み通算V4。そして、走路改修を経て先月下旬に開催が再開された浜松デイレース4日制は、4戦全勝して完全V。その前の節の飯塚デイレースG1決勝戦1着から5連勝と、目下の勢いも申し分ない。
今大会が開幕する12月17日は、鈴木宏和にとって思い出深い日かもしれない。昨年、自身初めてグレード制覇したのがこの日である。その獲得タイトルは飯塚の『開設記念レース』だった。今度は地元での初タイトルをめざす。
新走路の浜松には1節目から優出。その優勝戦は後日に『コース取りを失敗しました』と振り返ったとおり、先頭を走っていたレース最終盤にインを締めたら鈴木圭に捲られたが、計時したタイムは優秀でエンジンも出足も高水準といえる。
再開1節目の浜松優勝戦、速攻で先頭へ立ったが鈴木宏に捌かれて、しかし最終回4コーナー鈴木圭に追随する形で鈴木宏を捲って逆転した栗原佳祐。今年は11月までに15度の優出に5Vと、年明けから1級車に乗り換わって素質が一段と大きく花開いた。先月には自身初めてのグレード優出も果たし、初タイトルを手中にする日へまた一歩近づいた感がある。
栗原佳と同期の吉林直都は、デビュー2年目~3年目の前半あたりまでは全国ランキングの順位が栗原佳に大きく上回られ続けていたが、今期は2人揃って初のS級入り。そして先月の『日本選手権』において、栗原佳より先に初めてのSG優出をやってのけた。
新走路の今月浜松デイレース1節目は、栗原佳が準優勝したのに対して吉林は未勝利。だが2節目の吉林は準決勝戦で高橋貢・佐藤貴也という超一流レーサーに捌かれたもののスタート速攻から逃げ展開を作っており、走路を掴めてきたことが判る。
2025年は、大躍進した佐藤励のほかにも川口勢がグレード戦線で例年以上のインパクトを放っている。
今月7日の伊勢崎デイレースG2『レジェンドカップ』は、高橋義弘が優勝。今年3月の川口デイレースG1『開設記念グランプリレース』に続く今年2度目のグレードVとなった。その前にタイトルを取ったのが6年前だから、今年の好調持続ぶりがうかがえる。昨年までの10年間は全国ランキングA級に位置することが多かったが、前期と今期は(そして次期も)ふたたびS級に定着しそうなムードが出ている。
佐藤励は今年SGを2度制したばかりでなく、今節を迎えるまでに23度も優出して8度の優勝。1級車へ乗り換わって以降2年あまり、浜松ではG1に2度、G2に1度優出している。
浜野淳は今年5月、なんと約9年ぶりに浜松で優出した。それも一般開催ではなくG1『ゴールデンレース』であり、浜松グレード開催に優出したのは約10年半ぶりであった。
全レース場を通じてもグレード優出回数は2022年と2023年はゼロだったのが、2024年はG2レース4度、今年2025年はG1レース2度と、近年は再上昇の気配が見えていて、更に直近は山陽ミッドナイトとデイレースの2節に連続で優出し、目下の勢いも右肩上がりだ。
青山周平は8月の飯塚ナイターG1優勝までは勢いをキープしていたが、9月上旬の伊勢崎ナイターG1準決勝戦で反則妨害の判定を受けたあたりから流れが若干下がっている感がなくもない。9月下旬『G1プレミアムカップ』、11月『SG日本選手権』と『G2オートレースメモリアル』の全てに優出はしながら優勝はできなかった。それでも、同期間に出走した一般開催は4節とも優勝、うち3節は4日制4連勝の完全Vを決めており、エンジン状態は決して悪くない。
浜松では2024年11月から2025年3月までSGレースを含むグレード3節16戦に16勝して3節とも完全V。今大会と気候の似通った冬季に抜群の実績を挙げている。ここで最高の成果を出して、10日後の川口『SSトライアル』へ良い道筋を付けたい。
今年の有吉辰也は伊勢崎G1『シルクカップ』優出に始まり、続く川口デイレース一般開催と飯塚ミッドナイトの2節を連続で完全V。夏場は落車事故からのブランクがあったが、秋はSG日本選手権の初日から準決勝戦まで5連勝して準優勝。ここ数年と比較しても2025年は高い戦歴を残してきた。
近3年の浜松では気候を問わずどの季節でも活躍。秋冬シーズンに限っても2023年秋のSG日本選手権と今年2月のSG『全日本選抜』に優出している。2010年のプレミアムカップを除いた浜松独自のG1タイトルはまだ獲得したことがなく、充実の今季に新たな勲章を手に入れるか。
上記の面々と比べたら実績・格付けは見劣るが、浜松新走路にマッチすれば活躍する可能性があると思われる1車を紹介したい。
藤川竜は今期に適用中の全国ランキングが初めてA級シングルまで上がってきた。今年3月にはデビュー7年目で初優勝。グレード開催、昨年は10節に出場してトータル3勝だったのが、今年は7節に出場して8勝を挙げた。明らかに成長している。
今年の秋ごろから顕著な傾向はスタートの切れ味の増加。その鋭さは11月後半から一段と増して、現時点での過去10走は1着3度・2着5度と優秀な着取りを示している。前節の飯塚ミッドナイトでは最重ハンへハンデ重化したにもかかわらず、5戦中4戦で3着以内に入った。
過去3年間の浜松では38走して、うち19走で3着以内に入っている。遠征若手の中では(実績は旧走路ではあるが)浜松との相性がいい1車といえそうだ。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-3(32期)〕
栗原 佳祐〔浜松 S-12(36期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-16(32期)〕
吉林 直都〔浜松 S-29(36期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-5(25期)〕
佐藤 励〔川口 S-6(35期)〕
高橋 義弘〔川口 S-37(29期)〕
浜野 淳〔山陽 S-40(24期)〕
藤川 竜〔飯塚 A-9(34期)〕
文/鈴木
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G2レジェンドカップの展望
『皇帝』池田政和が復活グレード制覇を遂げて、その決勝戦が『ベストマッチ・オブ・ザ・イヤー2024』に選出された前回の『レジェンドカップ』から1年。
デビュー満20年を越えた29期生から、79歳となった今年16勝もしている2期生・鈴木章夫まで、経験と巧の技をぶつけ合う。
永久不滅ではないかとも思われる記録を数多く打ち立ててきて、鈴木章と同様に生ける伝説である高橋貢は、当大会を2019年から3年連続で優勝している。前節の伊勢崎ナイター優勝戦は軽ハン勢がハイペースを作る前々の展開になり追いきれず4着だったが、自身も3.385秒で走っておりスピード上がっている。
同じ節の準決勝戦、早川清太郎は翌日に優勝戦を逃げきることになる仲田恵一朗に濡れ走路で敗れて優出を逸したが、節間に本走3.37秒台を連発していて、こちらも高速レースに対応できる状態とみて良い。
先月下旬の山陽デイレース一般開催は優勝戦が雨走路でおこなわれて、金子大輔が準優勝。今年は伊勢崎デイレースの出場機会はなかったがナイターには4節に出場して、G2『稲妻賞』、SG『オートレースグランプリ』、G1『ムーンライトチャンピオンカップ』、一般開催と全てに優出を果たした。
前節決勝戦は同期の金子大に競り負けて3着だった丹村飛竜だが、先月の飯塚デイレースSG『日本選手権』では3年半ぶりにSG優出するなど最近はエンジン・走りの充実度が上がっている。
伊藤信夫も10月以降は成績が充実してきた。現在は飯塚ミッドナイト、伊勢崎ナイター、飯塚デイレースG1『開設記念レース』の3節に連続で優出中。2024年1年間の優出回数が11度だったのに対して今年は1か月を残す現時点ですでに優出16度と、昨年よりも勢いがあるといえそうだ。
今年1月の伊勢崎デイレースG1『シルクカップ争奪戦』。飯塚勢は有吉辰也と篠原睦が優出した。有吉は先月、飯塚デイレースSG『日本選手権』6日制の初日から5連勝して準優勝。篠原は選手権は早退したが4戦3勝して、続く川口デイレースG2『オートレースメモリアル』と開設記念レースに連続優出。今大会は前回シルクカップと似た気象条件となりそうであり、活躍実績のある整備データを持つ両名は遠征車でありながらエンジンを合わせやすいかも知れない。
この2名と共に全国ランキングS級ひとけたに位置して飯塚3巨頭を形成している荒尾聡は、今年9月まではグレード開催に安定して優出していたのが、日本選手権と開設記念レースには優出ならず、現状は勢いを欠いている印象。それでも2023年と2024年の稲妻賞2連覇、今年9月ムーンライトチャンピオンカップ優出と、近年の伊勢崎に高い実績があるので、その相性の良さを生かして巻き返しを図りたい。
さきに少し触れた川口G2『オートレースメモリアル』を優勝したのは永井大介。約2年半ぶりのグレード制覇だった。荒尾とは逆に今年の夏~秋口のグレード戦線では優出できなかったが、10月上旬の川口昼夜ダブルヘッダーから1着率が上がり始めて、『メモリアル』の前節には日本選手権にも優出。メモリアル閉幕の3日後に初日を迎えた開設記念レースでは予選中の発走時にタイヤが空回りしたり、整備でエンジンの課題を良化させてもタイヤが滑ったりとリズムに乗れなかったが、メモリアルでのスタートの切れ味は良かった。
前述した篠原や伊藤信らと共に開設記念レースへ優出して3着と好走したのが高橋義弘。0mオープン戦の4枠から鋭発して、スタートライン通過は8名中トップ旋回。1周回1コーナーで先頭に立った佐藤摩弥をレース中盤に差して逃げ態勢を築き、大いに見せ場を作った。近年の伊勢崎に目立った実績は残していないが、今年3月には地元・川口デイレースG1『開設記念グランプリ』を制して、自身6年ぶりのグレードタイトル獲得。先月の伊勢崎ナイター一般開催の初日は、6周回の残り3周の地点を過ぎるまで最後方8番手にいて、正味3周足らずで7車を捌いて勝利してみせた。
追記
年明けから6月上旬頃まで着取りの良くなかった穴見和正は、今期の全国ランキングがB級へ降格してしまい今節にはエントリーされていないが、7月に3連勝するなど今年後半は競走成績が上昇カーブに転じており、次回からは当大会に復帰して熱い火花で走路を染め上げてもらいたい。
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主な出場予定選手
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高橋 貢〔伊勢崎 S-13(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-26(29期)〕
金子 大輔〔浜松 S-4(29期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-5(25期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-8(26期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-9(27期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-14(29期)〕
永井 大介〔川口 S-18(25期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-19(24期)〕
高橋 義弘〔川口 S-37(29期)〕
岡部 聡〔山陽 A-12(19期)〕
岡松 忠〔山陽 A-85(17期)〕
鈴木 辰己〔浜松 A-94(13期)〕
篠崎 実〔川口 A-107(9期)〕
鈴木 章夫〔浜松 A-196(2期)〕
文/鈴木
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《G1開設69周年記念レースの展望》
今期全国ランキングの地元S級8名が勢ぞろい。そしてA級の上位2名は『開設記念レース』通算V4の浦田信輔と、目下の進境いちじるしい福岡鷹。今の飯塚が誇る最強の布陣だ。
近3回はそれぞれ異なる遠征選手による3連覇、さらに過去10回の内なんと9度も外来勢に優勝されている。栄冠を地元勢の手に奪還すべく、そして次回以降もタイトルを防衛できるように、地元飯塚勢の逆襲が今年こそ始まるか。
有吉辰也は開設記念V3ながら、最後に制したのは15年も前になるが、先日の飯塚デイレースSG『日本選手権』は初日から5連勝で決勝戦へ進んで準優勝。今大会の決勝戦と同じ8周回の準決勝戦を大差で勝利し、決勝戦も8周目を過ぎるまで先頭を走っていた。
荒尾聡は当大会に過去2度優勝。選手権は優出ならなかったが、先週の飯塚ミッドナイトではスピードアップしていた様子だ。
浦田は今年8月下旬の飯塚デイレースあたりから攻撃の決め手が上向いて勝ちきるレースが増え、選手権でも6戦中3連対が3度と、近況は状態の良さに加えて勢いもある。
篠原睦は本大会の優勝歴はなし。というよりG1に優勝したことがまだない。しかし過去1年間の飯塚での安定感は素晴らしく、昼夜とりまぜて21節に出場して17度も優出。そのうち9節に優勝している。今回で69回目を数える飯塚伝統のタイトルを獲ることでG1ウイナーに仲間入りしたいところだ。
岩見貴史は4年前、第65回大会の覇者。その決勝8周戦は約6周回にわたって荒尾の追撃を抑え込んでみせた。今季は、大きな数字の着順が増えていた夏場を経て、10月以降は大敗する場面がほとんど見られなくなった。
長田稚也は2023年の飯塚ナイター『ダイヤモンドレース』で篠原よりひと足さきにG1制覇。今年は2月の浜松SG『全日本選抜』に優出したもののSG戦線では目立った戦歴を残せていないが、選手権の翌週に出走した飯塚デイレース一般開催では6戦5勝して決勝戦3着。発走時に前輪が浮いて金子大輔に先行されたが、後方7番手から追い上げて3着に喰い込んだ。
鈴木圭一郎は選手キャリア丸10年にして本大会をすでに3度も制している。今年の選手権6日制の後半2日間は苦戦が続いたが、先週の川口デイレースG2『オートレースメモリアル』では初日は3着ながら本走タイム3.358秒、2日目から3連勝して決勝戦へ進んだ。
鈴木圭と同期の鈴木宏和は、昨年12月の前回開設記念に優勝して、初めてのグレード制覇を果たした。その後は暮れの川口デイレースでSSトライアルを勝ち抜いて『スーパースター王座決定戦』まで進出。今年も冬の全日本選抜、夏の伊勢崎ナイター『オートレースグランプリ』、今月の選手権と、SG優出が3度。大会連覇をめざせるだけの実績を引っ提げて飯塚の地を踏む。
山陽勢で注目したいのは岡部聡だ。今期は全国ランキングA級に降格していることが表すように、このところ昼開催でも夜開催でも本走タイム3.41秒~42秒で頭打ちだったのが、直近節の山陽ミッドナイト3日制では3走とも3.3秒台を計時し、初日の予選と2日目の準決勝戦に連勝して決勝戦へ駒を進めた。その節間のコメントからは、気候が涼しくなりタイヤの喰い付きが良くなったことが活躍につながったようで、レース中盤に先頭へ立つと後続を引き離して独走するシーンが印象的だった。
今月16日の川口デイレースG2『オートレースメモリアル』。一緒に今節へ転戦してくる篠原・佐藤貴・佐藤摩・鈴木圭・辻大樹をくだして優勝したのが永井大介。2年半あまりを経た久しぶりのグレード制覇となったが、青山周平を何周回も抑え込んだテクニックはさすがだった。
同開催には浅倉樹良も参戦していて、5日間の着順は2着・3着・2着・3着・2着と、2級車ながら大活躍。4日目の準決勝戦は鈴木圭と佐藤摩に喰い下がっての3着、最終日は1周目で有吉に捌かれたものの、10m後ろの岩田裕臣を差し返し、同ハン1級車の筒井健太をも捌いて、番手を盛り返しての2着。この開催は走りが一段と進化していた。
その川口決勝戦から数時間後の飯塚では、浅倉と同じ37期の福岡鷹も成長ぶりを見せつけた。ミッドナイト3日制3日目の決勝戦がおこなわれて、福岡は先輩1級車の早津圭介と道智亮介をほんの10秒くらいの時間で立て続けに捲りきると、今年5月に山陽ミッドナイトでマークした本走3.369秒を更新する自己最高タイムの3.366秒を計時して、荒尾を全く寄せ付けずに圧勝したのだ。日本選手権は連日0mオープン戦だったため苦戦を強いられたが、ハンデ戦になる今回のG1開催なら活躍する可能性は大いにある。
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主な出場予定選手
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有吉 辰也〔飯塚 S-5(25期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-8(26期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-9(27期)〕
浦田 信輔〔飯塚 A-1(23期)〕
福岡 鷹〔飯塚 A-7(37期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-3(32期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-16(32期)〕
永井 大介〔川口 S-18(25期)〕
岡部 聡〔山陽 A-12(19期)〕
浅倉 樹良〔伊勢崎 A-34(37期)〕
文/鈴木

G2オートレースメモリアル(川口)の展望
2022年から毎年秋に開催されてきて今年で4度目となる本大会。浜松(優勝:加賀谷建明)、飯塚(優勝:岩見貴史)、山陽(優勝:青山周平)と各レース場の持ち回りで、今回は川口レース場に順番がめぐってきた。
川口で初めて実施される機会の優勝選手に最もふさわしいのは、目下のオート界の流れでは佐藤励だろう。先週の飯塚『日本選手権』で自身2度目のSG優勝。今年SGを複数回優勝しているのは今のところ佐藤励のみ。7月中旬の川口G1『キューポラ杯争奪戦』3日目の7着を最後に、選手権の決勝戦まで42走オール3着以内、車券圏内を外していない。まだデビュー5年目ながら川口を、オートレース全体を牽引する存在にまで成長した。
黒川京介は10月に川口ナイトレース2節連続の完全Vを決めて、直近節の川口デイレースは優出しながら平川博康の振り切りを許したが準決勝戦で3.349秒の猛スピードを披露しておりエンジンは充実している。
昨年『SG日本選手権』決勝戦でフライングを犯したため規定により今年の同大会に出場できなかった分を、今年9月の山陽デイレースG1『プレミアムカップ』での最高の結果につなげた。今回の川口G2でも同じように強い想いをいだいて臨むだろう。
鈴木圭一郎はお盆のグランプリを最後に優勝できていないが、秋以降のグレード戦線は選手権を除けばコンスタントに優出はしている。川口デイレースでは、昨秋の選手権は優出を逸したが暮れの『スーパースター王座決定戦』は見事に勝利を飾っている。
近3か月の青山周平も伊勢崎ナイターG1『ムーンライトチャンピオンカップ』に優勝した以外は、グランプリ・プレミアムカップ・選手権に優勝できなかったが、通算1000勝に到達したり、先月に自身9度目の10連勝を達成するなど、良い状態をキープできていることは確かだ。
過去1年の川口では、昨年の選手権とスーパースター王座決定戦、今年の『オールスター』が準優勝。今回は銀ではなく金メダルを獲りたいところだ。
佐藤貴也は昨年スーパースター王座トライアルの4日目に他落をこうむりながら、翌日の王座決定戦では金子大輔や鈴木宏和を捌いて後方から3着まで追い上げて不屈の闘志を示した。
今年10月には川口ナイトレース3日制で良走路の初日と濡れ走路の2日目に連勝。2日目の準決勝戦では地元の雨巧者である若井友和と中山光を一気に捌いた。夜開催であったが今に近い気候のもと川口の良路・雨路とも実戦で経験できたことは、遠征勢の中では有利なポイントとなろう。
篠原睦は今春の川口オールスター4日目にフライングを切ったが6日間に5勝。さきの選手権は家事都合により早退したため初日~4日目しか走れなかったが4戦3勝。9月と10月には飯塚デイレース2節に優勝と、さすがの安定感を見せ続けている。
有吉辰也も似た戦績をたどっていて、昨年の選手権6日間に5勝。今とは気候が異なるが今年1月の川口デイレース一般開催4日制に完全V。そして今年の選手権6日制は初日からただひとり無敗の5連勝。選手権の初制覇と自身初のSG完全Vは佐藤励に阻まれたが、目下の状態は非常に高い水準にある。
丹村飛竜は今年の選手権で、2022年オールスター以来3年半ぶりにSG開催で優出した。ちなみのそのオールスターは川口デイレースで、鈴木圭一郎と接戦を繰り広げての準優勝だった。近況の流れは、気候が秋めいてきた9月下旬から着取りが急上昇し、選手権まで3節連続で優出中。そして今年の川口では、ナイター開催ではあるが4月オールスター6日制の初日から3連勝。準決勝戦の4着以外は全て3連対を果たしている。
この機会に浅倉樹良の非凡さ・怪物ぶりを再認識したい。昨年後期から今期まで3期連続で全国ランキングA級入り。昨年末は川口デイレースSSフェスタの『SSシリーズ戦』の方へ出場して5走中4走で3連対。今夏は川口ナイターG1『キューポラ杯』に参戦して、ここでも5走中4度の3連対。デビューした年~2年目の2級車が残せる成績ではない。
そして、この秋。今からちょうど1か月前の山陽デイレースG2『若獅子杯争奪戦』は5戦1勝で準決勝戦へ進めなかったが、北関東の気温がグンと低くなった先月下旬の伊勢崎・夜開催からパワーが復活。アフター5ナイター2節と通常ナイター1節を立て続けに優出して、その3節は11戦7勝、着外わずか1度。どの決勝戦も、2級車ゆえスタート展開を作れなかったのが敗因で、エンジンパワーは強力だった。
37期生が1級車へ乗り換える時期が近付いており、そうなればお別れとなる2級車の相棒と今のうちに大仕事をやってのけようと心ひそかに目論んでいる可能性は大いにある。
昨年から2年連続でお盆のグランプリに優出した佐藤摩弥は、翌週の飯塚ナイターG1『ダイヤモンドレース』、丸1か月後のプレミアムカップにも優出と良い流れで飯塚へ乗り込むと、選手権の初日と2日目に連勝し、3日目は他落を喫したがコンディションをしっかり整えて準決勝戦3着。完走した5戦すべて3着以内に好走したエンジンを相棒に今開催の地元へ戻ってこれる。
2019年から3年連続、そして2022年から今年で4年連続の『スーパースター王座決定戦トライアル』への出場が先ごろ決定・発表された。女子レーサー第一人者の地位を長年ゆるぎないものとし続けているが、日々の走りも積み重ねた実績も男女の別なく1人の一流レーサーとして成熟しつつある。
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主な出場予定選手
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黒川 京介〔川口 S-2(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-6(35期)〕
中村 雅人〔川口 S-7(28期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-10(31期)〕
若井 友和〔川口 S-17(25期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-3(32期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-5(25期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-8(26期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-11(29期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-14(29期)〕
浦田 信輔〔飯塚 A-1(23期)〕
浅倉 樹良〔伊勢崎 A-34(37期)〕
文/鈴木
《SG日本選手権の展望》
まず、前回覇者の黒川京介がエントリーしていないことに疑問を持たれる向きもいらっしゃるだろう。6戦6勝の完全VでSG初制覇したのだが、グレードレースの優勝戦でフライングを犯してしまうと、規定により次回大会への出場権利を失うため、黒川は連覇を狙えなくなってしまった。
佐藤励もこの1年以内にSG初優勝を果たした。今年4月の川口ナイターSG『オールスター』を、黒川と同じく6戦6勝の無敗で制したのだ。そしてオールスター以降、今大会までの優出回数も黒川と並ぶ15回。マラソンに例えれば、この両者は前回選手権からの1年間ずっと競り合いながら併走してきた印象だ。
先週の川口ナイトレース3日制は初日が本走タイム3.354秒、優勝戦は速攻の黒川京介にチギられたが、他の5車を最後方から捌き上げて本走3.360秒で準優勝した。出足に課題を残すものの、スピードはすでに申し分ない。
そして今年2冠目のSGを優勝するようなら、年間最優秀選手=MVPも視野に入ってくる。
今月上旬の山陽デイレースG2『若獅子杯争奪戦』は欠場することになった青山周平が、翌週の伊勢崎ナイター一般開催4日制に4連勝して、史上34人目の通算1000勝レーサーとなった。今年これで優出20度の優勝11回。飯塚では8月にナイターG1『ダイヤモンドレース』制覇。通算5度目の選手権Vに向けて、勢いはあって死角はなく、ムードは最高だ。
鈴木圭一郎も、今年またオートレースの歴史に名を刻んだ。王手をかけてから何年も達成できずにいた『SGグランドスラマー』の称号を、8月の『オートレースグランプリ』初制覇と同時に手に入れたのだ。その後2か月あまり、優勝こそできていないがグレード3節を含めて5節に出場し全て優出と、良好な状態を維持できている。
飯塚への出走は1年ぶりになるが、その昨年10月の飯塚デイレースは一般開催ながら銘柄級レーサーが数多く出場する中、鈴木圭は5日制の4日目まで無敗で優出すると、優勝戦では有吉辰也・荒尾聡・篠原睦を退けて完全Vを成し遂げた。
全てのレースがオープン戦で実施される選手権は、スタート巧者の活躍するチャンスが拡がる。
鈴木宏和は8月の伊勢崎ナイターSG『オートレースグランプリ』6日制のうち良走路の3戦は全勝して優出。その時は雨3戦は大敗したが、9月の伊勢崎ナイターG1『ムーンライトチャンピオンカップ』や山陽デイレースG1『プレミアムカップ』では雨走路で勝利を挙げている。そして秋以降は山陽と飯塚のデイレースへ出場し続けており、他場や夜開催を走ってきた選手よりも今回の飯塚の気候にエンジンを早めに合わせられる可能性がある。
新井日和も夏のグランプリは6日制4日目まで良走路の2戦に勝利。鈴木宏と似た戦歴を辿り、自身2度目のSG準決勝戦まで進んだ(昨年のSSシリーズ戦を含めれば3度目)。翌9月のプレミアムカップは、10mオープン戦でおこなわれた予選を初日から2連勝。今月の若獅子杯は準決勝戦で10メートル7車並びの5枠から鋭いスタートを放ち、佐藤励に捕まったが2着に残って優出した。
石本圭耶が今月の山陽デイレースG2『若獅子杯争奪戦』で嬉しいグレードタイトル初獲得。優勝戦は短ハンデ戦の内枠からダッシュすると黒川・佐藤励・鈴木圭を振り切った。続く飯塚デイレースとミッドナイトでは前捌きに苦しむ場面もあったが、選手権で0ハン横並びになれば内外どこの枠からでも先行力を発揮できて、いきなり逃げる展開を作れば捌きは不要となる。
ここに至り29期の4名が勢いを増してきている。
今月の金子大輔は飯塚ミッドナイトに優出したあと、川口ナイトレース4日制に完全V。この川口では機力の高さはもちろん、節間を通じて出足の鋭さを維持できたことが大活躍につながった。
6月下旬までは状態ソコソコ良かった丹村飛竜が7月上旬の山陽ナイターG2『小林啓二杯』は5日間オール着外。その後の浜松G2や伊勢崎SGも成績ふるわなかったが、10月の山陽デイレースは2節とも優出。夏の暑さがおさまってきて自分の走りを取り戻したようだ。
佐藤貴也も今春のオールスター優出5着のあとに出場したグレード6節とも優出できずにきているが、今月下旬の川口ナイトレースでは濡れ走路で若井友和を捌くなど鋭い決め手を披露した。
平田雅崇は2018年に優出を12度して以降、昨年までの6年間は優出回数が毎年ひとケタで、2019~2020年と2023~2024年はグレード優出がゼロだった。それが今年は2か月以上を残す現時点で優出12度、グレード優出4度と、長らく好調であることが成績にハッキリ表れている。肝心のスタートは高レベルで安定しているわけではないが、前節山陽デイレースの準決勝戦・優勝戦などではギアチェンジしてからの伸びが鋭かったし、スタート後手になった場合でも今の機力と乗り手の充実ぶりなら捌いて進めるだろう。
黒川・佐藤励に続く世代も芽を伸ばしてきた。
栗原佳祐は補充出走を除けば今回が4度目のSG挑戦で、日本選手権は初出場となる。全国ランキングで今期初めてS級入りを果たすことによって、今大会へ出場する選考基準を満たしたのだから、デビュー3年目とは思えない実績を着々と積み重ねている。前節の飯塚デイレース初日は久門徹の外枠から飛び出して、最近の成長めざましい38期の竹尾竜星がハイペースで独走する展開を残り2周で捕えて勝利。濡れ走路の準決勝戦は2着で突破して、今年12度目の優出を果たした。
福岡鷹はデビュー2年未満、まだ2級車乗りでありながら今回早くも3度目のSG出場で、日本選手権は初挑戦。今期のランキングはA-7で、S級昇格が視界に入っているし、選考期間の競走成績44位となって日本選手権への出場資格を得たのだから、いかに活躍してきたかが解る。最近は自身をスタート叩いた1級車に反撃するシーンが一段と増加しているので、全国のトップレーサーしかいない大舞台でも記憶・印象に残る走りを見せてくれる可能性を秘めている。
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主な出場予定選手
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有吉 辰也〔飯塚 S-5(25期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-8(26期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-9(27期)〕
福岡 鷹〔飯塚 A-7(37期)〕
石本 圭耶〔飯塚 A-20(34期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-3(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-4(29期)〕
佐藤 励〔川口 S-6(35期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-11(29期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-14(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-16(32期)〕
平田 雅崇〔川口 S-21(29期)〕
文/鈴木