
今年の真夏の祭典は見どころ盛りだくさん
このタイトルでSG初制覇というシーンを何度も生んできた『オートレースグランプリ』において大会2連覇を2度も達成している青山周平が、史上初の3連覇と史上最多のV5をめざす。冬季のデイレース施行を挟み4月にナイターが再開されて以降の今年の伊勢崎へは18戦に出走して、優勝戦2度4着の他は全勝している。あえて死角を探るとすれば、2月の川口デイレース『SG全日本選抜』あたりから雨走路で敗戦するケースが以前より増えたことか。それでも優勝戦線のトップ集団に今回も位置する。
7月22日の伊勢崎ナイター普通開催。重走路の決勝戦で青山周を4着にくだして優勝したのが高橋貢。6月下旬の浜松デイレースG2『曳馬野賞』決勝では、半乾きの不安定な走路でも車を自在に操り鈴木圭一郎に完勝してV。先ごろ53歳を迎えたが、歴戦で磨き抜かれた技術の輝きはいささかも鈍っておらず、7年ぶり3度目の栄冠へ虎視眈々。
彼らと共に『伊勢崎3強』と称される早川清太郎が、今年の成績は勢いを欠いている。今大会と同レベルの強豪が出場した2月『SG全日本選抜』と4月『SGオールスター』(ともに6日制)、3月『G1プレミアムカップ』(5日制)いずれも未勝利に終わった。ただ、6月の伊勢崎ナイターG2『稲妻賞』決勝では青山周や中村雅との大激戦に競り勝って準優勝。そして今回は山陽デイレースG2『小林啓二杯』優出3着からの参戦で、緩やかな角度だとしても上昇気流に乗って臨めそうなのはプラス要素だ。
若くして輝かしい経歴を築いてきた鈴木圭一郎が、実はまだ手に入れられていないのがグランプリの冠。4連続SG優勝という史上単独最多の記録を持っているが、5連続のかかった2017年のグランプリは決勝まで進みながら高橋貢に敗れて準優勝。その後も決勝2着が1度、3着が3度と、あとわずかのところで手が届いていない。ただ今回は、7月下旬の『G2小林啓二杯』に5戦5勝した時点で、残り5か月もあるのに今年70勝目を挙げて、例年以上の勢いがある。このペースを維持するなら、青山周が昨年末に更新した年間最多勝利数『97勝』の記録を大幅に塗り替えるのは間違いない。デビュー10年を越えて円熟味も出始めた今、史上7人目のSGグランドスラムという新たな勲章を獲得するか。
先月末の川口ダブルヘッダーを2開催にカウントすると、佐藤摩弥は4月の『SGオールスター』から12節も途切れずに優出している。2年連続の準優勝だったオールスターはいずれも飯塚の消音ナイターで実施。今回グランプリは通常マフラーながら伊勢崎ナイター。所は変われど夜開催の8周戦・10周戦の戦い方は経験を積めている。先月には飯塚G2『ミッドナイトチャンピオンカップ』8周回の決戦を制した。グランプリへの優出歴こそないが、伊勢崎ナイターには2022年の夏季に2度優出、1度優勝している。
2020年代に入って以降、SG戦線における女子レーサーの活躍が増え続けている。そのパイオニアにしてトップランナーであり続けている佐藤摩が、先述したようにSG初Vを多く輩出してきたこの大会でガールズの歴史に新たな1ページを書き加えるかも知れない。
黒川京介は昨年グランプリ準優勝。1枠から逃げた青山周の影は踏めなかったが、2番手追走の篠原睦を捌いて浮上し、鈴木圭には完勝といえる、価値の高い内容だった。先月『G2小林啓二杯』決勝は「力が入りすぎてスタート空回りさせてしまった」が、その前の節は川口ナイター『キューポラ杯』を制して初めての地元G1獲得。
佐藤励は1級車に乗り換えて2年目に入ったばかりながら、2級車時代から数多くのグレード開催に出場して強豪たちに揉まれてきた経験値が豊富。今期は飯塚ナイターのオールスターで6戦4勝。地元川口ナイターの『G2川口記念』と『G1キューポラ杯』ともに優出を果たして、前期ランキングA-100から今期S-15へ大躍進した成長ぶりを競走成績に反映させている。
今年1月にデビューしたばかりながらグレード初出場(もちろんSGも初)を決めた37期ホープたちも今回の注目ポイントだ。
浅倉樹良はデビューから無敗の10連勝(13まで連勝を延ばした)、青山周の記録を塗り替えるデビュー最速22日目での初優勝と記録を次々に樹立。森下輝は2着1度を挟んだがデビューから12戦11勝で初V。福岡鷹も雨の敗戦1度を挟みながら同じくデビュー12戦11勝で初V。まだ2級車なためスタートの不安は抱えるが、非凡なスピードと高い闘志で強豪たちに挑戦する。
2022年暮れ、休養明けいきなりの快進撃が話題となった加賀谷建明。その休養前のレースは同年8月の『SGオートレースグランプリ』優勝戦であった。歯車がかみ合った際の爆発的なスピードと、走路が濡れているのか疑ってしまうほどの雨走路での速さは、G1クラスを超えられる可能性を感じさせる。
篠原睦が初めてSGを制した2021年のグランプリ決勝は雨走路での大一番となり、重富大輔もまた初の栄冠へあと一歩まで迫る走りを見せた。重富大と同期の加賀谷が、もし似たような条件で決勝を戦うことになったら、果たしてどのような走りを見せてくれるだろうか。
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主な出場予定選手
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青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-5(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-9(29期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-15(35期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-26(31期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-33(27期)〕
浅倉 樹良〔伊勢崎 B-112(37期)〕(次期はA-32)
森下 輝〔浜松 B-112(37期)〕(次期はA-41)
福岡 鷹〔飯塚 B-112(37期)〕(次期はA-101)
文/鈴木
大会連覇とグレード連続V、そして打倒・鈴木圭一郎を狙う黒川京介
2015年の晩秋に現役引退した小林啓二・元選手の功績を称えて、翌2016年の6月に名前が冠されたG2小林啓二杯。現役時の70年代から90年代にかけて、小林啓二は『山陽王座決定戦』を6度も制している。
山陽王座『防衛戦』のサブタイトルで開催された時期もありながら、近4年は外来選手へのタイトル流出を許してしまっている地元勢が、2019年の緒方浩一以来となる優勝トロフィー奪還なるか。
山陽S級の直近開催は、岩崎亮一が飯塚デイレースで強い内容の走りを披露。佐々木啓と角南一如は山陽ミッドナイトで状態を上げてきた。
山陽A級は永島潤太郎が今月8日、山本翔は19日に山陽ミッドナイト優勝。G1優勝3度の実力者・西村龍太郎も先月からレースぶりが良くなってきた印象。現在ハンデ位置が有利なため注意を払いたい1車。2節前まで最重ハンデの30メートル前に置かれていた稲原良太郎は、前節の飯塚ミッドナイトでハンデ重化し、長年走ってきた位置に戻った格好だが、5月下旬から通常マフラーで13走して2勝、2着7回とかなりの安定感を示している。ランキングはA級下位だがハンデという意味では斎藤隆充も有利な1車。稲原良と同じく最重ハンデの30メートル前で走るようになって数節、走りが良くなってきただけでなく、課題であるスタートの切れが上向いてきたのはセールスポイント。
2022年の小林啓二杯を制した鈴木圭一郎は近1か月に浜松G2と川口G1を準優勝。今春にはG1令和グランドチャンピオンカップで5戦5勝の完全Vを決めており、当時と気候は異なるが山陽デイレースの感覚は掴めているはず。
勢いの高さでは黒川京介が上回るかも知れない。今月15日の川口G1キューポラ杯で同ハン鈴木圭一郎を引き離して圧勝V。地元G1タイトルを初めて獲得。今回は小林啓二杯のディフェンディングチャンピオンとして臨む。2019年のG1スピード王決定戦でグレードレース初優勝、今年2月にはG2若獅子杯争奪戦も制し、山陽デイレースにおける実績も申し分ない。
有吉辰也は今春、ともに山陽G1であるプレミアムカップと令和グランドチャンピオンカップに2節連続で優出したあと1節を挟んで、SGオールスターから11節も途切れず優出し続けて、今月19日の飯塚デイレースにて約半年ぶりのV。近30走で着外わずか4度のみと、今節出場メンバーの中で安定感の高さは鈴木圭と並んで抜きんでている。
ミッドナイトであるが直近の山陽開催で中村晋典が初日予選から3日目準決勝戦まで3連勝して優出の大活躍。同開催では浅香潤・野本佳章・鈴木聡太・佐久間健光・亀井政和・鈴木将光・吉田恵輔も好成績を挙げており、整備面も含めて他者に対するアドバンテージとなるか。
佐藤大地はG1令和グランドチャンピオンカップの後半2日間に連勝。深谷俊太は一般開催ではあるが4月末の山陽デイレース3日制2・3日目に同じく連勝している。
2月のG2若獅子杯争奪戦の最終日に勝利した一般戦は、丹村飛竜の30メートル前、まだ2級車である36期・村瀬月乃丞の10メートル前に置かれていた小椋華恋が、4月のSGオールスター4日目には高橋貢や篠原睦の10メートル前から6周回を逃げ切り『最終予選』に勝利して準決勝戦へ進出。そして翌5月にはグレードレース初優出にしてG2川口記念を制覇。女子レーサー史上2人目のタイトルホルダーに輝いた。非斡旋となったG1キューポラ杯にもし出場していたら、どんな活躍を見せてくれたのかと想像してしまうほど、今季の躍進はめざましい。
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主な出場予定選手
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丹村 飛竜〔山陽 S-20(29期)〕
岩崎 亮一〔山陽 S-43(25期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-44(23期)〕
山本 翔〔山陽 A-25(34期)〕
西村 龍太郎〔山陽 A-72(25期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-8(25期)〕
浅香 潤〔伊勢崎 A-53(23期)〕
小椋 華恋〔川口 A-213(35期)〕
中村 晋典〔浜松 A-222(24期)〕
キューポラ連覇を狙って女王が降臨
昨年の第47回大会は佐藤摩弥が鈴木宏和の猛追を封じ込めて初めてのG1獲得を果たした。佐藤摩の躍進はその後も止まらず、今春の飯塚ナイターSGオールスターは2年連続の準優勝。翌月の川口ナイターG2川口記念は優出3着、そして今月5日には飯塚G2ミッドナイトチャンピオンカップ優勝。通算4度目のグレード制覇となった。川口ナイターは黎明期から相性が良く、雨巧者でもあるので梅雨どきの天候・走路変化があっても不安なし。
今大会の宣伝ポスターに記載されているフレーズは『女王降臨』『真夏の夢へ、再び走り出す』。G1キューポラ杯の2連覇と、飯塚G2から2節連続のグレード優勝をダブルで兼ねる佐藤摩に、まさにピッタリではないか。
オート界のトップランナー青山周平は常に安定している中でも今回は上昇カーブを描いての参戦。今年3月に川口デイレースG1開設記念グランプリ、4月にSGオールスターを優勝したあと、浜松デイレースと伊勢崎ナイターG2稲妻賞は優勝できなかったが、先月末に伊勢崎ナイター4日制を全勝優勝。G1キューポラ杯は2019年に1度制しているほか、同じくナイターのG2川口記念は2020年・2021年・2023年の3度優勝している。近年、消音マフラーでの川口開催は昼夜を問わず実力を発揮できており、今回もV戦線の最有力候補であることは紛れもない。
鈴木圭一郎もG1キューポラ杯は2021年の1度、青山周に完勝してV。通算して川口でのタイトル獲得回数は青山周よりは少ないが、5月以降の成績は青山周が14戦して11勝、着外が1つあるのに対して、鈴木圭は27戦して20勝、残る7戦すべて2着と2連対パーフェクト。青山周が川口の夜開催は11か月ぶりなのに対して鈴木圭は今年6月に川口ナイターを走ったばかりという点も有利といえそうだ。
鈴木宏和は前回キューポラ杯決勝の最終8周回バックストレッチ、佐藤摩の背後を突く動きを見せたが執念実らず準優勝。今季もSGオールスター、浜松デイレースG1ゴールデンレースとG2曳馬野賞に優出しながらタイトルに手が届いていないが、川口の消音・夜は前述のキューポラ杯を含めて14走し着外3度のみと、近1年間は過去最高に成績が安定している。最新ランキングは全国第4位、スタート力は全国トップと称しても異論は少ないのではあるまいか。この実績と実力に見合うタイトルを得て、みずからに箔をつけたいところだ。
金子大輔も昨年G2キューポラ杯に優出したのち、今年1月の川口ナイトレースは予選~準決勝戦3日間3連勝で優出した。
木村武之は昨年6月の川口ナイター4日間オール2着で準優勝してから現在まで、今年のG2川口記念を含めた川口の夜3節は目立った活躍はできなかったが、先月下旬の伊勢崎ナイター(レギュラーマフラー)でエンジンが大幅に良化。上昇曲線の角度の大きさは今回参加メンバーの中でも屈指。キューポラ杯がナイター開催へ移行した初年、2016年大会の覇者でもある。
伊勢崎車は3強が勢ぞろい。高橋貢は川口の夜は昨年G1キューポラ杯に優出して以来の久々だが、デイレースながら先月下旬に浜松G2曳馬野賞を鈴木圭らに完勝で優勝しており機力と勢いの充実ぶりが光る。
近5年にG1キューポラ杯を2度制している早川清太郎は、昨年は準決勝戦入りを逸したが5戦して4走に2連対。9月の川口ナイターは優出2着。今年は先月上旬のG2稲妻賞に準優勝し、次の節も伊勢崎ナイターで優出した。お盆ナイターの実施が定着したSGオートレースグランプリにおける例年の活躍と合わせて、夏の夜にエンジンを仕上げる技術と適性がある。
西日本2場に目を向けると、飯塚の荒尾聡が先月に伊勢崎ナイターG2稲妻賞を昨年に続く2連覇。デイレース1節を挟んで飯塚ミッドナイトでも優勝。G2ミッドナイトチャンピオンカップは準決どまりだったが6走してオール3着以内と安定感は示した。篠原睦は今年5月に飯塚ミッドナイト優勝がある。長田稚也は昨年G2川口記念、岩見貴史は昨年G1キューポラ杯をいずれも予選中のフライングで失権しながら、それぞれ上位の着順を多く残した。
山陽勢は、丸山智史が昨年G1キューポラ杯に優出3着。松尾啓史は今年のG2川口記念に準優勝。激しく競り合う佐藤摩と黒川を一発で捌いた勝負勘が見事だった。岡部聡は今年5月の川口ナイター一般開催に優出。同じ節で強烈にエンジン出ていた高木健太郎は準決勝戦でフライングを喫してしまったが次の節、山陽ミッドナイト3日間3戦を全勝して念願の初優勝を遂げた。
この強力遠征陣に立ち向かう地元車は女王だけではない。
黒川京介は先述したG2川口記念のあと6月も川口の消音・夜での活躍が続いて、3節に出場し2優出・1V。若井友和と中山光は近1か月に川口の夜2節へ優出。中山光はその後G2ミッドナイトチャンピオンカップでも好成績を挙げている。佐藤励はG2ミッドナイトチャンピオンカップは仕上げきれなかった印象だが川口の夜開催は5月~6月に2連続優出。小林瑞季も川口の夜に限ると現在3節連続で優出中。
永井大介は先月の川口ナイターで10か月ぶりの優勝。佐藤裕二は先月下旬にデイレースだが2年半ぶりV。中村雅人はG2川口記念~G2稲妻賞~川口ナイター一般開催に3連続で優出した。加賀谷建明はG2稲妻賞に優出したのち今月3日に川口デイレース優勝。決勝で加賀谷に続く2着に入った森且行と3着だった山田達也はともに先月、川口の夜開催に優出実績がある。
永井大介は昼開催の2010年とナイターの2017年・2018年の通算3度G1キューポラ杯を制覇した。デイレース2013年に1度制している森且行は、2020年のSG日本選手権ぶりとなる復活Vも視野に車を仕上げていきたい。
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主な出場予定選手
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黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-15(35期)〕
森 且行〔川口 S-22(25期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-26(31期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-33(27期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-4(32期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-5(22期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-10(27期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-27(26期)〕
文/鈴木
川口のW佐藤に注目だ
年2回のペースで、飯塚と山陽で交互に開催されているG2ミッドナイトチャンピオンカップ。前回は今年3月に山陽で実施されて、伊勢崎所属の新井恵匠が大会初制覇を遂げた。
地元エースのひとり有吉辰也は目下8連続優出。その中には飯塚・消音のSGオールスターとミッドナイト2節が含まれる。そして昨年7月に飯塚で開催された前々回G2ミッドナイトチャンピオンカップの覇者ともなった。もうひとりのエース荒尾聡は先月上旬、伊勢崎ナイター(レギュラーマフラー)のG2稲妻賞を昨年に続いて2連覇。そして下旬には飯塚ミッドナイトも優勝した。
篠原睦は、通算では4回前、飯塚開催としては2回前の2022年6月に本大会を制した。飯塚の消音開催は今年1月から4月にかけて出場した3節を連続優出。5月から6月にかけて出場した4節もすべて優出し、優勝を1度決めた。岩見貴史は飯塚・消音へ今年12節に出走して7度も優出。篠原と同様に優勝が1回ある。
長田稚也は前々節浜松G2や前節飯塚のデイレースは活躍できなかったが、今年1月以降の飯塚・消音に限ると24戦して13勝、4節に優出と安定感が跳ね上がる。長田と肩を並べるようにここ数年で実力を上げてきた中村杏亮は5月下旬あたりから成績ふるわないが、4月のSGオールスターは初日から5日目までオール3着以内で優出を果たした。
ミッドナイト巧者として名高い滝下隼平は今年4月~5月の飯塚消音では大きな着順が増えていたが、6月に入り2勝を挙げるなど上昇の兆しは見えている。久門徹・別府敬剛・川口裕司・井村淳一も5~6月に飯塚消音での成績が上向いてきた。
木山優輝と藤川竜はマフラー種別や昼夜の別なく今季は成績が上昇している。木山は1月の落車をきっかけに陥っていた低迷からの脱却、藤川竜は捌く技術の向上が要因とみられる。
浦田信輔は正月の飯塚ミッドナイトに優出と今年の緒戦を好発進しながら2月に落車して3か月の休養をしいられた。5月に復帰して5節20戦を走り、先月29日の飯塚デイレース最終日は力強い捌きで快勝。復帰後2つ目の勝利を手にした。SG制覇8度、グレードレース40Vの大スターは、完全復活へ向けて1歩ずつ進んでいる。
過去1年間における消音マフラーでの飯塚・夜開催に、4場の遠征車たちの中でトップクラスの実績を挙げているのが、川口の佐藤摩弥。昨春のSGオールスターに準優勝、同年7月のG2ミッドナイトチャンピオンカップにも優出すると、今春のSGオールスターは2年連続で準優勝した。
佐藤励も非常に高い適性を示している。2級車で挑戦した昨年のSGオールスターは準決勝に進めず一般戦回りにはなったが、6日制の後半3日間に3連勝。夏に1級車へ乗り換わり、飯塚ミッドナイトは10月に優勝、12月に準優勝。今年のSGオールスターは昨年とは逆に初日から3連勝。フライングで勝ち上がり権利を失ったが、後半3日間もオール3着以内でまとめた。通算すると飯塚の消音では現在15戦連続で車券対象を外しておらず、1級車での3連対率は100パーセントである。
中山光は今とは気候が異なるが昨年12月に飯塚ミッドナイト優出。山田真弘は昨年7月の飯塚ナイターG2オーバルチャンピオンカップで準決勝まで進出して3着と活躍。青木治親は今年SGオールスター6戦のうち3走で3着以内に好走。さらに5月の山陽ミッドナイトや6月の川口ナイトレースでも上位の着順を多く取っている。
伊勢崎車は吉原恭佑が先週の山陽ミッドナイトに優出して、消音マフラーの感触を掴めていそうだ。
新井日和は昨年のSGオールスターを初日3着、2日目2着と好発進しながら他者被害の落車により早退となったが、3か月後のG2オーバルチャンピオンカップは5戦2勝・2着1回、今年のSGオールスターは6日間に1着と2着を1つずつ獲っている。
浜松の鈴木宏和は今年のSGオールスター、不安定な走路状態だった決勝戦は速攻が決まらなかったが、初日~5日目までオール2連対して優出。5日目の準決勝戦は0メートルオープン戦の6枠から好スタートを切り8周戦に勝利。今大会ミッドナイトチャンピオンカップの優勝戦も8周回でおこなわれる。
昨年4月の飯塚ナイターに揃って優出した中村友和と落合巧は、先月29日に終了した飯塚デイレースでも揃って準決勝戦3着の戦績を残した。
前田淳は昨年9月の飯塚ミッドナイトを3戦3勝の完全V。今年5月の飯塚ミッドナイトと先月の山陽ミッドナイトでも好走した。人見剛志は今年5月アタマの山陽ミッドナイトから目に見えて成績が上昇し、以降は現在まで27戦12勝。6月中旬の山陽ミッドナイトでは本走タイム3.380秒をマークし2着の丸山智史に大差をつけて圧勝した。
開幕の数日前、当初あっせん予定のなかった丹村飛竜の追加出場が発表された。昨年7月以降の消音開催、特に山陽ミッドの成績は卓抜しており、12節に出場して8優出・4V。同期間に出走した飯塚・消音3節でも好成績を残している。有力なV候補がいきなり加わったインパクトはかなり強烈だ。
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主な出場予定選手
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有吉 辰也〔飯塚 S-8(25期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-10(27期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-14(26期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-18(34期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-30(23期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-4(32期)〕
佐藤 励〔川口 S-15(35期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-20(29期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-26(31期)〕
新井 日和〔伊勢崎 A-16(35期)〕
文/鈴木
浜松32期の三銃士
G2開催へ昇格してから今回で2度目となる『浜松記念 曳馬野賞』。昨年10月の前回大会は鈴木圭一郎が5日制の2日目から4連勝で『初代』覇者となった。
今季の鈴木圭はオートレース新記録となる18連勝を達成したうえ、今年の半分が終わっていないのに現在56勝。昨年に青山周平が樹立した年間最多勝利数の記録97勝を大幅に更新できるペースで勝ちまくっている。5月以降18戦で2連対を外しておらず、今大会も万全の構えで臨めそうだ。
その鈴木圭を今月3日の浜松デイレースで破ったのが同期32期の鈴木宏和。浜松アーリーレースから連続Vとなった。4月から5月にかけてはSGオールスター(飯塚ナイター)とG1ゴールデンレース(浜松デイレース)に連続優出。前期ランキングはS15、今期はS4。来期もS級上位を維持しそうな活躍ぶりだ。そうした現状で欲しいのはグレードレースのタイトル。ひとつ獲れば、更なる飛躍へつながる可能性もあるだろう。
同じく32期の中村友和も、今月16日の川口ナイター決勝で鈴木圭に土をつけて優勝。4月下旬のアーリーレースから浜松の開催6節に出走して、それ以前よりも上位の着順を取るケースが増加しているので、春以降の浜松の気候にエンジンが合ってきたとも考えられる。
昨年の曳馬野賞を準優勝した金子大輔が、ここにきて本格化している。4節前と3節前の浜松デイレース決勝は共にスーパーハンデ鈴木圭の後塵を拝したが、2節前の浜松アーリーを4戦4勝で制すると、返す刀で前節の浜松アーリーも3戦3勝、2節連続の完全Vで通算7連勝。5月以降は21戦13勝の白星ラッシュとなっている。
伊藤信夫は今月9日のアーリー決勝ゴール間際、逃げ込む金子大へタイヤ半分ほどまで差を詰めた。昨年7月以来Vから遠ざかっているが、現在は2節連続で優出し近9走が3着以内と、上昇カーブを描きながら安定してきた。
佐藤貴也の前節はG2稲妻賞(伊勢崎ナイター)優出。ゴール通過は5着だったが、逃げる荒尾聡の背後で青山周平・早川清太郎・中村雅人らが繰り広げた大激戦に佐藤貴も加わっていて、エンジン状態は良かった。最近の浜松では先月中旬のゴールデンレース最終日に勝利。続いてデイレース一般開催2節に出場して9戦5勝、すべて4着以内と着順をまとめており、地元の気候も掴めている。
まだ2級車ながら栗原佳祐は9度目、吉林直都は7度目のグレードレース挑戦となる今回。それぞれの直近の大レースは、栗原佳はゴールデンレース初日の『ゴールデンドリーム』戦を最重ハンの20メートル前から逃げて、鈴木圭には捕まったが佐藤励や佐藤貴也を大差でチギって2着。最終日は本走タイム3.400秒で独走勝利した。吉林はG2川口記念の初日を永井大介に先着して2着。4日目は岡部聡を振り切って勝利すると最終日5日目は残り半周で森本優佑に差されたが2着に逃げ残った。両名とも厳しいハンデ位置へ置かれることになるだろうが、車券の対象に十分なりうるし、今まで出場したグレード戦より優秀な成績を挙げる可能性を秘めている。
永井大介は今月上旬の地元ナイター開催を初日2着からの4連勝で優勝し、波に乗ってきた感がある。過去1年の浜松デイレースでは、今と気候の近い昨年7月の一般開催、そして昨秋のSG日本選手権に優出している。
川口S級5名のうち、6月13日~16日のナイター開催に出場した佐藤摩弥・若井友和・森且行の3名とも優出を果たしており、エンジンを仕上げてくる手腕はさすがというほかない。
その中でも特に佐藤摩弥が過去1年の浜松で高い実績を残している。昨年9月の特別G1プレミアムカップに優出。11月の日本選手権では2023年3度目のSG優出(同年最初のSG優出も、2月に浜松でおこなわれた全日本選抜だった)。今年に入っても、浜松に出走した1月と5月の2開催とも優出している。昨年の曳馬野賞は強風や降雨に日替わりで見舞われる不安定な天候に折り合いを欠いたものの、おおむね季節を問わず好走できていることは強みでもあり自信にもつながりそう。
高橋貢は近況のグレードレースでは準決勝戦どまりが相次いでいるが、過去1年の浜松デイレースは昨年9月の特別G1プレミアムカップが5戦4勝。11月のSG日本選手権と今年1月の一般開催に優出し、先月ゴールデンレースは5走して2連対3度と、悪くない流れで今節を迎える。
伊藤正真は過去1年、消音アーリーには優出歴があるものの浜松レギュラーマフラーでは未勝利が続いていたが、先月デイレース5日制開催の4日目は、自身の20メートル前から先に抜け出して独走態勢に入った大物ルーキー浅倉樹良を、本走3.395秒の好タイムでレース終盤に捕えて勝利した。
飯塚勢で気になるのは浦田信輔の動向。2月の落車事故から5月に実戦復帰して3節を走り、まだ本来の動きにはほど遠い印象ながら、過去にゴールデンレースを4連覇するなど浜松走路との相性は長年良好で、完全復活を心待ちにしている大勢のファンのためにも得意の舞台で巻き返したいところだ。
昨秋当地の日本選手権で自身初のSG優出を果たした長田稚也は、今年5月は相次ぐ落車に見舞われたが、6月に入ると飯塚ミッドナイトに優出し、続く飯塚デイレースで今年の初優勝を挙げた。若い成長株は上昇気流に乗ったときに大仕事をやってのけることがあるので注目したい。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-4(32期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-7(29期)〕
金子 大輔〔浜松 S-11(29期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-16(24期)〕
中村 友和〔浜松 A-1(32期)〕
栗原 佳祐〔浜松 A-117(36期)〕
吉林 直都〔浜松 A-205(36期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-5(22期)〕
永井 大介〔川口 S-13(25期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-18(34期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-26(31期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-30(23期)〕
文/鈴木