2強をおびやかす存在の出現も待望したい
昨年の青山周平は『グランプリ』『日本選手権』『スーパースター王座決定戦』と3タイトルのSGを優勝。4度目の年間MVPに選出された。加えて年間最多勝の新記録を樹立して97勝。2位に大差をつけて5度目の年間賞金王。そして、2024年度の前期(4月から)に適用される最新のランキングでは自身9度目の全国ナンバー1に輝いた。SGの通算優勝回数でも15Vで史上2位タイへ順位を上げて、今年12月には40歳を迎えるが今も進化し続け、走りは円熟味を増す一方である。
近年に改修された川口の新走路および導入された消音マフラーとのマッチングに苦心する時期もかつてはあったが、昨年暮れの川口デイレースではスーパースター王座トライアル~王座決定戦まで5戦5勝しての完全優勝を決めて、もはや不安も死角もない。
鈴木圭一郎は昨年、前回の『全日本選抜』と『オールスター』のSGを2度制覇。ランキング全国の次期トップは青山周に奪われたが、地元浜松の場別ランキングトップは16期連続で保持。今年の11月に30歳の節目へ到達するが、速さは年々アップしていきつつ、巧さも年ごとに増している。先週おこなわれた山陽G2における青山周との2度の対決では、いずれも青山周を後ろから追う展開で捌いて先着している。昨年のスーパースター王座決定戦は、部分部分が湿っている走路状態で青山周を追いきれなかったが、両車の機力は甲乙つけがたかった。
SG優勝者も全国ランキングの首位争いもこの両雄にほぼ独占されている『2強時代』を打ち破る存在になりうる1名が黒川京介。
今月12日の山陽デイレースG2『若獅子杯争奪戦』では、早めの仕掛けから2強に差をつけての優勝。近年の躍進が目立つ33期~35期勢の中から頭ひとつ抜け出したことを印象づけるレースだった。そして次期の最新ランキングでは初めて、所属する川口レース場でのナンバー1の座を獲得した。全国ランキングでは並みいる先輩の強豪を押しのけてS3。昨年の選手表彰では、鈴木圭・佐藤摩弥と並んで優秀選手賞に選出されている。
黒川と同じ川口に所属する佐藤励も、昨年7月に1級車へ乗り換えてから活躍と成長の速度を一段と増している。12月に山陽G1、大みそかの『SSシリーズ優勝戦』を2節連続で優勝。全国ランキングは今期のA-100から次期はS15まで大きくジャンプアップした。
黒川と同期の中村杏亮は、昨年のSSフェスタでは『SSシリーズ戦』の方に出場。4戦3勝して決勝に進出し、佐藤励と接戦に持ち込んでの準優勝。全国ランキングは近年S級に定着しつつある。
長田稚也は前期にS級へ昇格すると、次期もS級を維持。昨年のSS王座トライアルで連日スタートが全く切れていなかったのは不安材料。ただ川口デイレースは昨年2月に2度出場して2優出・1優勝と好成績を挙げており、走路との相性自体は決して悪くない。
鈴木宏和は次期ランキング全国4位。長田稚と同様に昨年のSSトライアルを争ったことからも実力アップは明らか。さきのG2若獅子杯に優出と近況の状態はまずまず。現在タイトル未獲得も、いずれは獲れる能力の持ち主であり、それが今回になるかも知れない。
1月下旬に飯塚で優勝した荒尾聡、2月上旬に山陽で優勝した有吉辰也はそれぞれ全日選の優勝経験者。
通算4度の大会V歴を持つ高橋貢は今月に史上最多の1637勝目を挙げて、ついに前人未到の領域へ足を踏み入れた。誰もが憧れて超えたい、超えようと目標にする高峰をこれからも築き続ける。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-7(22期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-8(25期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-10(27期)〕
黒川 京介〔川口 S-20(33期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
中村 杏亮〔飯塚 S-14(33期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-17(34期)〕
佐藤 励〔川口 A-100(35期)〕
文/鈴木
新星は現れるか?
29期以前の選手が斡旋されなくなり、大会史上初めて30期以降の選手のみによっておこなわれる『G2若獅子杯争奪戦』。
5回前(2018年)は中村杏亮、3回前(2020年)は丸山智史、前回(2022年)は佐藤励が、それぞれ初めて獲得したタイトルとなった(3名とも今回も出場)。
今回はそのジンクスの順番からは外れているが、いまだにタイトル未獲得であるのが不思議と感じられるほど実力をつけている上和田拓海・鈴木宏和・松本康・伊藤正真や、改修後の山陽新走路で年明けに8連勝した泉田修佑などは、グレード初制覇を狙える好機といえる。スタートに難点を抱えているが中村友和や森本優佑も決勝戦に乗れれば、8周回に距離が延びることも加味して追い込みの効くだけのスピード能力を備えている。
2級車としては破格の本走タイムを常時マークしている栗原佳祐も優勝候補の一角と評価したい。上述の中村杏と佐藤励は若獅子杯を2級車で制したからだ(ちなみにこの両名は自身初の優勝がグレードレースという快挙でもあった)。最近は厳しいハンデ位置のため成績が上がっていないが、同期の村瀬月乃丞も栗原佳にヒケをとらない高素質の持ち主。
今季S1の鈴木圭一郎は前々回に1度、青山周平はまだ獲っていない若獅子杯。鈴木圭は地元浜松のG1『スピード王決定戦』優勝戦を本走タイム316秒で圧勝して勢いは最高潮。青山周は2節前の地元準決勝戦で40メートル前の0ハン選手にハイペースで逃げられて優出を逸したが、3節前には地元G1『シルクカップ』優勝戦をスーパーハンデで快勝している。
黒川京介も同様に前節の地元ナイトレース準決勝戦3着に敗れたが、敗因はスタートが決まらなかったためでエンジンは快調。2日目「選抜予選」は本走タイム324秒で圧勝している。
長田稚也は地元飯塚のミッドナイト準優勝後。SGホルダーの同ハン荒尾聡に速攻を決められ、本走タイム338秒で追い上げての2着だから、こちらも機力は高いレベルといえる。
3年以内にデビューしたばかりである最若手にも高いポテンシャルを示しているレーサーが栗原佳祐の他にもいる。
35期の永島潤太郎は近況は山陽ミッドナイトで本走タイム36秒~37秒が常速化している。36期の石田啓貴と浜野翼は2級車ゆえ速い時計は出せていないものの、背後に迫られてもコースを乱さない走りをできていてレースセンスが高い。同期の祐定響は先月中旬あたりから急速に成長中であり、帆景岬は前節の山陽ナイターで準決勝戦へ進出し3日間3走で2勝を挙げるなど成長を示した。
デビュー5年目の松尾彩は前節地元ナイターの準決勝戦には進めなかったが、最終日は自己最高タイムを更新する3.360秒をマーク。昨年暮れのSSフェスタでは強豪を相手に3着へ2度入っており、こちらも成長は明らかだ。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-6(31期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-17(34期)〕
黒川 京介〔川口 S-20(33期)〕
栗原 佳祐〔浜松 A-4(36期)〕
丸山 智史〔山陽 A-23(31期)〕
佐藤 励〔川口 A-100(35期)〕
村瀬 月乃丞〔飯塚 A-206(36期)〕
永島 潤太郎〔山陽 B-17(35期)〕
文/鈴木
※追記:車立て拡充のため29期の藤岡一樹選手が追加斡旋されました。
4度目のスピードキングをめざす鈴木圭一郎
開催時期によって「秋のスピード王」と銘打たれる回もある「第65回スピード王決定戦」、かつて3連覇した実績を持つ鈴木圭一郎が前節の浜松デイレースを3戦3勝の完全Vと勢いに乗ってきた。
金子大輔は年明けの川口デイレース優勝戦でその鈴木圭を破って4戦4勝の完全V。川口~前節浜松とスタートの切れ味を増している。
本大会ディフェンディングチャンピオン佐藤貴也の前節は、伊勢崎G1準決勝戦3着のあと最終日に勝負強い走りで1着。試走タイム2秒台が出ていたのでスピードアップできている。
川口勢は佐藤摩弥が今月14日に川口デイレース優勝。直近に出走した浜松開催は先月に初日・2日目と連勝しており、車を早くマッチさせることが期待できる。
永井大介は前節の地元川口は準決勝戦が急な雨に見舞われて苦戦したが、初日の良走路において試走・本走とも好時計をマークしていて状態は悪くないはず。
永井と同じレースを戦い準決勝戦4着にとどまった若井友和は、翌日の最終日をやはり好タイムで圧勝している。
上和田拓海、浜松走路と相性がいい掛川和人のムードが良くなってきている。
有吉辰也は地元飯塚ナイター優勝戦は別府敬剛の勢いに屈したが、近況は順調に推移。浦田信輔は昨年後半と比較すると勝ち星を挙げるペースが上がっている。中村杏亮は浜松決勝で鈴木圭に捌かれたものの喰い下がり反撃する姿勢を見せていて、伸びは劣っていなかった。
早川清太郎も底力は上位の選手だが、浜松では以前から活躍する機会が多くなかった。ただ昨年10月のG2と11月のSG日本選手権では何度も2連対を果たしており、整備のコツや走路特性を掴めて徐々に相性が上向いてきた可能性がある。
ランキングA級では地元車に勢いのある選手が多い。花田一輝、米里崇徳、前節浜松の準決勝戦で高橋貢の追撃を振り切った柴田健治、2節前から本走タイム3秒台を連発している中村友和、近況ハンデ位置が有利で逃げ冴えている鈴木健吾、最近は試走タイム2秒台を量産している西翔子、元旦の走り初めを本走タイム388秒でブッチ切り快勝した筒井健太などは、S級車に太刀打ちできる車速の持ち主だ。
栗原佳祐がG1初出場。デビューしてまだ1年弱という若手ながらSG・G2の出場を早くも1度ずつ経験しているようにスピードもレースセンスも非凡であり、排気量の少ない2級車でもメンバー構成とスタート~レース序盤のこなし方によっては、1級車を駆る先輩の強豪たちへひと太刀浴びせるシーンを生み出せるかも。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-4(29期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-6(31期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-8(25期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-11(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-18(24期)〕
木村 武之〔浜松 S-21(26期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-25(29期)〕
栗原 佳祐〔浜松 A-4(36期)〕
文/鈴木
SS王座Vの青山周平が地元へ凱旋
2023年の大みそか決戦「SGスーパースター王座決定戦」を制した青山周平が今年の緒戦を地元ファンの前で迎える。
伊勢崎勢では他に高橋貢も王座決定戦を戦った。トライアル4走のラスト4日目を快勝して決定戦8番目の椅子へ滑り込んだあたり、さすがの千両役者ぶりだ。西原智昭は決定戦へは進めなかったがトライアルで好タイムを出していた。
吉原恭佑は今月4日の浜松デイレースでV。2回乗りを含めて4日間5走4勝・2着1度と勢いバッチリ。
川口勢は黒川京介と中村雅人が王座決定戦へ進出した。永井大介はトライアル初日いきなりフライングしてしまい、その後の着順はふるわなかったが、今回は心機一転で臨む。
浜松勢は佐藤貴也と鈴木宏和が年末SSフェスタで好成績を挙げたのに対して、木村武之は先月伊勢崎、正月の浜松とも優勝できず、勢いの点でやや見劣る。
飯塚の荒尾聡も最近の数節は勢いに乗れていない。「SSシリーズ戦」を準優勝した中村杏亮の方がフレッシュな魅力がある。長田稚也は初参加のSSトライアルで切れなかったスタートの修正が当面の課題。
山陽勢は今回のSSフェスタでは目立った活躍をできず。とはいえ丹村飛竜と松尾啓史はレース場や昼夜に関わらず安定して動けるし、山本将之は最近の成長ぶりが秀逸。
ランキングA級から伏兵になりうる選手を挙げると、地元の三浦康平、佐久間健光、仲田恵一朗が昨秋から活躍中。野本佳章は直前の浜松でスタートの切れ味を大きく上げていた。辰巳裕樹と平塚雅樹もダッシュ力は高値安定。
緒方浩一、中野憲人、鈴木一馬、柴山信行が直近の開催でエンジン良かった。
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主な出場予定選手
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青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-7(22期)〕
中村 雅人〔川口 S-5(28期)〕
黒川 京介〔川口 S-20(33期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-10(27期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-4(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
中村 杏亮〔飯塚 S-14(33期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-25(29期)〕
三浦 康平〔伊勢崎 A-154(28期)〕
文/鈴木
鈴木圭一郎と青山周平をおびやかす存在は現れるか?
昨年の王座決定戦、史上3人目の4連覇を目指していた青山周平に待ったをかけて2度目のSS王座に輝いた鈴木圭一郎が、今回は先週の山陽オートを身体不良で欠車して以来、ぶっつけで大一番に臨むことになった。4日間のトライアル4走すべてで良い成績を挙げることが重要なだけに、体調をしっかり整えられるか動向に注目したい。
青山周は消音マフラーとの折り合いをつけて車を仕上げられるかが大きなポイント。2019年~2021年の3連覇はいずれも最内1枠から早めに先頭へ立って逃げに持ち込んだのが、2022年は1枠から先行できず8番手まで後退する苦しい展開に。数年先までスーパースターが消音マフラーを用いて争われる以上、SS王座を奪還するためには消音マフラーと仲良くなり、手なずけることが大切だ。
黒川京介はレーサー5年目の弱冠23歳でSSトライアルを突破し、初めて挑んだ王座決定戦で青山周を相手に堂々の2着。何周もマークを受けた鈴木圭には1度も前へ出させなかった。
今年はG2タイトルを2つ獲得、夏の「SGオートレースグランプリ」準優勝と、2021年にヒケを取らない実績を挙げて挑戦する。
今年大きく躍進した若手の筆頭格が長田稚也。8月に地元G1「ダイヤモンドレース」を優勝して初めてのグレード制覇。その2カ月後には日本選手権の予選~準決勝戦を突破して初めてのSG優出を果たした。実戦での10周戦を経験できたことも、今回そして将来への大きな糧となるだろう。
SSトライアル初出場が今回もう1人いる。全国トップクラスのスタート力を武器にキャリアの浅い時期から頭角を現していた鈴木宏和である。
今年は自身通算2度目となるSG決勝の舞台を経験。グレード戦タイトルこそ未獲得だが、先月下旬は飯塚G1準優勝、今月中旬には川口デイレース5日間開催を初日から準決勝戦まで4連勝。決勝で名手・早川清太郎と競り合えたのは、鈴木宏の捌きが上達していることを如実に物語っている。
並行して争われる「SSシリーズ」の方は、こちらも近年の成長めざましい若手の中村杏亮が有力候補の1名。昨年はSSシリーズ決勝戦へ進出し、黒川・佐藤摩弥・金子大輔・佐藤貴也に次ぐ5着。その4名が今年はSS王座トライアルの方を走る。となれば今年のSSシリーズ王者に最も近いのは...。
開催の初日には「2023スーパースターガールズ王座決定戦」が行なわれる。近況は35期の新井日和と西翔子が活躍し話題にも多くのぼっているが、34期の松尾彩も実力をどんどん付けている。先月の飯塚G1と今月の地元山陽G1でそれぞれ1勝を挙げた。最新ランキングでは100以上も順位を上げて初のA級2ケタに。速攻派が多い女子レーサーの中では希少な、どちらかといえば追い込み型で、決定戦のレース前半は展開作りに参加できなかったとしても、後半にかけて姿を現してくるか。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
黒川 京介〔川口 S-20(33期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-17(34期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
中村 杏亮〔飯塚 S-14(33期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-6(31期)〕
松尾 彩〔山陽 A-38(34期)〕
文/鈴木