
黒川京介が新時代の扉を開くか
キャリアの浅い頃からグレード戦線に参入し、2019年には『SGオールスター』にデビューから丸2年経たずして優出、山陽G1『スピード王決定戦』でグレード初優勝するなど非凡な才能を表していた黒川京介。それでも現在の躍進へとつながるきっかけの1つは、2023年4月に浜松デイレースで開催された『G2ウィナーズカップ』を5戦5勝の完全Vで制したことではなかろうか。この開催までの黒川は、2022年末の『スーパースター シリーズ戦』を最後に3か月間、優出できないでいた。それが浜松V後は年末までの7か月間に15度も優出。暮れには自身2度目の『SGスーパースター王座決定戦』進出も果たした。
平成後期から令和の今に至るまで、鈴木圭一郎と青山周平が全国ランキングトップのS1を交互に奪い合う『2強』の状態が続いている。この状況に黒川がクサビを打ち込み、第3の男として名乗りを挙げられるか。今大会も黒川が再び2強をくだして優勝するようなら、次に3名が集結する『スーパースター王座トライアル』の結果次第では『3強』時代が到来する未来まで見えてくる。
地元浜松のエースにして今期S1の鈴木圭は、今年は浜松10節に出場して全て優出。決勝戦の着順は1着が6度、2着が3度、残る1度は2月に4着と、ほぼ完璧に近い。『G2若獅子杯争奪戦』と『SG日本選手権』で優出を逸するまさかの流れから臨んだ前節の山陽デイレース『G2オートレースメモリアル』は、初日~準決勝4連勝と勢いを取り戻して準優勝。
本大会は『秋のスピード王決定戦』を含めて過去4度制覇。第60回から第62回まで3連覇し、今回は今年1月の第65回からの2連覇をめざす。
今年9月以降の青山周はG1を2度、G2を1度優勝し、SG準優勝も1度。9月から10月にかけて16連勝し、今大会を迎える時点で鈴木圭に大きく差をつけて今年の獲得賞金トップを快走している。この大会を終えた数日後には40代となるが、むしろ走りは30代に入ってから今に至るまで進化し続けていて、スピードもここ数年の方が上がっている印象だ。浜松は今年5月以来ちょうど半年ぶりとなるが、その開催は1・1・2・1・2着とオール連対で準優勝している。
SG日本選手権の2日目、前述した青山周の連勝をストップさせたのが鈴木宏和。8月SG『オートレースグランプリ』決勝戦では1枠青山周・3枠鈴木圭の外5枠からトップスタート。このレースは1周回で青山周に抜かれたが、同じく0メートルオープン戦で実施された選手権2日目の対決は、またも5枠からダッシュを放つと、4枠から2番手発進し追撃してきた青山周をまるまる6周回ブロックして先頭ゴール。夏の経験が秋の収穫、成長につながったと捉えたい。その日本選手権は決勝戦まで進んで4着。次節に臨んだ今月18日~21日の浜松デイレース一般開催は3日目の準決勝戦が雨に見舞われて大敗したが、他の3走はいずれも快勝している。
今年度の浜松グレード開催は『G1ゴールデンレース』『G2浜松記念曳馬野賞』ともに優出は果たしながら優勝には手が届かなかった。初のタイトルを、ぜひとも地元で。掛ける想いは人一倍強いはず。
佐藤摩弥も先週の浜松デイレースに出走し、鈴木宏と同様に良走路3戦全勝。前回のスピード王決定戦は決勝まで勝ち上がり、有吉辰也や佐藤貴也に先着しての3着と活躍を見せた。昨年の秋に浜松デイレースで開催されたG1プレミアムカップとSG日本選手権、今年6月のG2曳馬野賞にも優出しており、浜松走路との相性はかなり良いと言えそうだ。
第57代のスピード王でもある金子大輔が切れ味を増してきている。今年の浜松は6月にアーリーレース2節・7日間を無敗で駆け抜けて完全Vの2連発。そして再開なった先週のデイレースは岩科鮮太に振り切られたが準優勝。その決勝戦の2周回、3コーナーから4コーナーにかけて永井大介と斎藤正悟へ対して放った長距離の突っ込みが実に鋭かった。
有吉辰也は今年3節、荒尾聡は今年2節、浜松に参戦して全ての節に優出。中村杏亮は今年1月の浜松デイレース3日制オール2着で準優勝。吉原恭佑は今年お正月の浜松でいきなりV。通算して今年4節に出場して3節に優出と、走路との相性がいい1車。松尾啓史は3月に3日制1節のみ出場して1着・1着・優勝戦3着。2023年も2022年も11月に浜松で優出しており、近年の浜松では総体的に見て春夏よりも秋冬の方が着取りが良い。
シリーズの惑星となりうる若手も何名かピックアップしたい。
地元浜松のホープ栗原佳祐は9月下旬の飯塚ミッドナイトから高い機力をずっとキープしている。今節を迎えるまでの18走で着外たったの2度と素晴らしい安定感で、山陽デイ若獅子杯は準決勝戦まで進んだ。浅倉樹良は若獅子杯は予選モレとなったが、続く伊勢崎ナイターから上昇気流に乗った印象だ。この両者ともごく最近、1級車に対して内から攻撃を仕掛けるシーンが見られて、やはりポテンシャルが高い。
早津康介は先月までは目立った動きはなかったが、最重ハンで戦ったSG日本選手権では持ち前の先行力を発揮して、節の後半は3着・3着・2着と好走。そして次節、先週の浜松デイレースでも良走路3戦はオール3着以内に入った。2日目は今年4月以来、その半年間の夜開催でも出なかった試走タイム2秒台を計時して、本走も3.383秒と優秀な時計で快勝。10メートル前の選手がしっかりスタートを切っても割り込んでいける強烈なダッシュ力を武器に、今節も活躍を見込める1車だ。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
佐藤 貴也〔浜松 S-7(29期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-19(24期)〕
木村 武之〔浜松 S-22(26期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-4(25期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-11(31期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-13(26期)〕
永井 大介〔川口 S-18(25期)〕
文/鈴木
SG並みの豪華メンバーが集結
『オートレースメモリアル』は2022年に誕生して今年が3度目の開催となる新興グレードレースながら、今期の全国ランキングS級シングルの大半が参加するなど、G2ながらSGにもヒケを取らない顔ぶれとなった。
栄えある初代チャンピオンは加賀谷建明。昨年の前回大会は岩見貴史が制して、今回は連覇を狙う立場となる。
過去の当欄において、今年の山陽デイレースでは完璧に近い成績を挙げていると何度も触れてきた鈴木圭一郎。だが今回に関しては少しばかり流れが良くない。直近の山陽デイレース出場である10月の『G2若獅子杯争奪戦』も5戦中4勝したものの、準決勝戦の前日3日目に落車妨害を犯して4・5日目は一般戦回り。続く川口デイレース『SG日本選手権』でも同じく予選最終日であった4日目に雨で大敗、準決勝戦もリズムに乗れず4着、最終日6日目はレースは快勝したがフライングを喫してしまった。しかしそれでも今年は前人未到の年間100勝を達成、今季は全国ナンバー1の座を奪還と、総体的には充実している。
その鈴木圭に若獅子杯(2月)、『G1プレミアムカップ』(3月)、『G1令和グランドチャンピオンカップ』(4月)と山陽デイレース決勝で後塵を拝し続けてきた青山周平が、9月のプレミアムカップでは黒川京介・鈴木圭を抑えて優勝し溜飲を下げた。先週の川口デイレース『SG日本選手権』決勝戦は黒川に敗れたが6日間オール2連対と、エンジンは高いレベルで推移している。
このS1・S2両雄と黒川・佐藤励に今年の山陽タイトルほとんどを席巻されてきた地元勢だが、今回はひと味違う結果を出す可能性がある。ランキング上位選手たちがここにきて上昇ムードに転じてきたからだ。
まずは今年下半期の山陽エース・松尾啓史。日本選手権は未勝利ではあったが6戦して2着と3着が各2回。スタートが上向いたことと、道中の捌きの切れ味を増したことが今回に向けてのセールスポイント。
それから今年上半期の山陽エース・丹村飛竜。こちらも同じく選手権は未勝利ながら2着3回と3着1回。初日・2日目に本走3秒台の速いタイムをいきなり連発し、気候の冷え込みにつれてスピードを上げてきた印象だ。
続いて佐々木啓。選手権は4日目に雨走路で1勝。スタートが切れていなかったため目立った活躍はできなかったが、伸びは直線もコーナーも最近の中ではかなり良かった。後方から3着まで押し上げた3日目は丹村飛を一発で交わし、2着に入った佐藤貴也と比較しても直線の威力は上回っていた。
丸山智史は逆に選手権の雨1走は大敗したが良走路5走では3着以内に4度入り、本走3秒台を2度マークした。
浜野淳は山陽ナイター、飯塚デイレース『G2オーバルチャンピオンカップ』、山陽ミッドナイトに3節連続で優出と昇り調子にある。
西村龍太郎は先月の山陽ミッドナイトから前節の山陽デイレースにかけて4節14走して着外わずか2度。しばらく続いた低迷を最近は脱出して速攻力がよみがえった上、競り合う展開にも強くなった。前節の最終日は雨巧者ぶりを発揮し内外自在に捌いて快勝した。
中村雅人と有吉辰也は『G1プレミアムカップ』(山陽9月)と選手権に優出。選手権の有吉は、他者に不利を受けて着外に沈んだ準決勝戦を除く5戦に全勝。タイムもレース内容も優秀だったので今回も有力候補の1人だ。中村雅はプレミアムカップのあと地元川口の2節にも優出し、続くオーバルチャンピオンカップは出走レースが中止になった3日目のほか4戦を全勝してのV。そのオーバルチャンピオンカップ準優勝だった荒尾聡も選手権に優出している。
近況の早川清太郎は地元開催での良績が多い一方、今年の山陽は20走して未勝利ではあるが、7月デイレースの『G2小林啓二杯』では優出3着と活躍した。
渡辺篤は今年の山陽での好走が消音・夜開催に偏っている感はあるものの、走路の特性は掴めているであろうし、気候が冷え込んでタイヤの喰い付きがアップすれば活躍の可能性が拡がりそう。
渡辺篤と同じ31期の辰巳裕樹は、今年の山陽は昼夜まんべんなく動いている。春季と秋季の若獅子杯2節10走は、着外1度のほか9走で3着以内に好走する安定ぶりを今回にも強みとして生かせれば。
山陽のグレード開催への出場は2022年3月ぶりの久々となるが、田中哲が今回の伏兵になるか。今年の山陽は6月のミッドナイトで良走路は2戦2勝。そして今月10日に終わったばかりのデイレース5日制には6走して初日~準決勝戦までオール2連対。決勝戦も、優勝した永島潤太郎を道中いったん捲りで交わす奮闘を見せて3着。雨の決勝戦はスタート後手になったが4日目までの良走路では連日鋭い出足を放っていたので、相手が強化される今開催もスタート争いに連日注目したい。
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主な出場予定選手
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松尾 啓史〔山陽 S-13(26期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-30(29期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-48(23期)〕
浜野 淳〔山陽 A-13(24期)〕
丸山 智史〔山陽 A-22(31期)〕
西村 龍太郎〔山陽 A-110(25期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
有吉 辰也〔飯塚 S-4(25期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
若井 友和〔川口 S-8(25期)〕
中村 雅人〔川口 S-9(28期)〕
文/鈴木
青山周平が現役単独最多の選手権V5へ躍り出るか
『SG日本選手権』を最も多く優勝したのは飯塚将光(引退)の6度。2位タイの優勝4度で続くのが高橋貢・永井大介・青山周平。まずはこの3名から近況の動向をみていく。
高橋貢は2017年の『SGオートレースグランプリ』を最後にSG制覇からは遠ざかっているが、今年は6月に浜松G2優勝。前期も今期も全国ランキングS級シングルに位置して存在感を放っており、今すでに史上最多を独走しているSG優勝回数を22度に延ばす態勢は整っている。
永井大介は単独で史上最多となる『選手権3連覇』のレコード保持者。今年まだグレード優勝はないが、昨年2月の川口デイレース『G1開設記念グランプリレース』決勝戦では1周で先頭に立つと、2番手まで追い上げてきた青山周平をレース終盤は逆に突き放して快勝した。今月は川口のみ4節に出場して、昼夜を合わせて3節に優出と、9月に比べて上昇気流に乗ってきた感がある。
日本選手権の2連覇を2度達成しているのはオートレース史上、飯塚将光と青山周の2名のみ。その青山周が今回は3連覇をめざす資格を持っている。9月29日の伊勢崎ナイターを優勝した直後のアフター5ナイターは身体不良で欠場。およそ1か月ぶりの競走となった10月24日~28日の伊勢崎ナイターは全日程スーパーハンデに据えられたが5戦5勝の完全V。史上3人目、自身初の15連勝を飾った。
川口では7月ナイター『G1キューポラ杯』は節間を通して天候が不順だったこともあり準決勝戦進出にとどまったが、デイレースでは今年3月に『G1開設記念グランプリレース』優勝。そして昨年末には『SGスーパースター王座決定戦』を5戦全勝し、通算V5を決めている。
早川清太郎もまた1か月ぶりの実戦として10月24日~28日の伊勢崎ナイター決勝戦に臨み、青山周には捌かれたが準優勝。大レース制覇から少し遠ざかっているが、前回に獲得したタイトルはナイターではあるが2022年7月の川口『G1キューポラ杯』。直近の川口デイレースは今年3月の『G1開設記念グランプリレース』の5戦中4走に2連対して準決勝戦に進んでいる。
能力はSG級と誰もが認める実力者。先述した川口グランプリレースの準決勝戦はスタート8番手に遅れて6着に敗れたが、10月27日の前節ナイター準決勝戦では鋭いダッシュを放っており、念願のSG初制覇に向けてはスタート力に一層の磨きをかけたい。
片平巧(引退)と並ぶ選手権通算V3なのが、10月から適用中の最新ランキングで全国S1を青山周から奪還した鈴木圭一郎。近況は『SGオートレースグランプリ』『G1ダイヤモンドレース』『特別G1プレミアムカップ』と決勝戦に進みながら勝てず、前節の『G2若獅子杯争奪戦』は落車妨害で開催3日目に勝ち上がり権利喪失と、今ひとつ勢いに乗りきれていないが、今年の勝ち星を97まで延ばしており、選手権の節間に史上初の年間100勝まで到達すれば、おのずと勢いも増してくるだろう。あとは今後を含めたテーマとしては、青山周にレースで前を走られた時いかにして攻略するか。
今年の川口デイレースでは、浜松車は金子大輔が2月の『SG全日本選抜』で鈴木圭を2着にくだして優勝。木村武之は今月の一般開催で3日間3勝の完全V。佐藤貴也は3月『G1開設記念グランプリレース』準優勝と、鈴木圭の他にもSGレーサーが高い実績を残している。
西日本の2場は、飯塚の荒尾聡が4節に出場してSG全日本選抜を含む3度優出、山陽の山本翔と松尾彩が比較的に上位着順を多く獲っているものの、川口デイレースで際立った活躍をできている選手が多くない。
中村雅人が飯塚デイレース『G2オーバルチャンピオンカップ』を制して地元川口へ帰ってくる。今年は16度優出して、2度のVはいずれも川口デイレースと、年間を通じての流れも良く、10年ぶり2度目の選手権制覇へムードをみずから高めてきた。
黒川京介の最近の優勝は川口の夜開催でのものが続いているが、8月以降のSGやG1・G2にしっかり優出しており、高い走力を長らくキープしている。佐藤励は不振に終わった『SGオートレースグランプリ』の次節、『G1ダイヤモンドレース』へ優出したあたりから成績が急上昇中だ。9月末の川口と山陽『G2若獅子杯争奪戦』のデイレース2節を連続優勝。若獅子杯の決勝戦では黒川京介をイン切り返しで捌いている。今月23日の川口ナイトレースで若井友和・黒川・永井を下して優勝した上和田拓海との川口ニューウエーブ3名はいずれも若くしてスタート力と攻撃力の高さを誇り、日本一を決めるこの舞台でさらに躍進するか注目だ。
森且行は今年10度優出し、2着が5回に3着が2度と、落車事故による療養を経て4年ぶりの復活Vは遠くないはず。その4年前のVこそ悲願のSG初制覇となった2020年の第52回日本選手権である。
池田政和も同様にレース中の事故から長期療養ののちに復帰。選手権は1999年と2003年の2度制覇。今月上旬の川口デイレースは3日目の決勝戦は雨に見舞われて苦戦したが、良走路の初日予選と2日目準決勝戦は快勝。特に2日目は好スタートから自在に捌き3周で先頭に立つ速攻劇。中村雅人に影をも踏ませなかった。
この2大スターが、縁もゆかりもあり地元で開催される日本選手権で完全復活を遂げるか、動向を注視したい。
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主な出場予定選手
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中村 雅人〔川口 S-9(28期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
永井 大介〔川口 S-18(25期)〕
池田 政和〔川口 S-26(23期)〕
森 且行〔川口 S-35(25期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-6(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-17(29期)〕
文/鈴木
4度目の大会制覇をもくろむ荒尾聡
飯塚でのランキングトップ、『地元エース』の座は今期も有吉辰也に譲った荒尾聡だが、先ごろ史上31人目の通算1000勝に到達するなど近況のムードは上々だ。
今大会『G2オーバルチャンピオンカップ』は2015年・2019年(1月)・2023年に優勝。その『4年おき』のペースから今年は外れているが、大台達成からの2節で早くも6勝を加算している現在の勢いなら2年連続の戴冠は大いにありそう。
有吉辰也は8月『G1ダイヤモンドレース』と今月の一般開催デイレース、同ミッドナイト(4戦4勝の完全V)と、飯塚は3連続で優出して今回に臨む。今年の優出回数すでに23回。長い年月キープできている安定感は、オートレース界の全体を見渡しても高橋貢と双璧といえる。
オーバルチャンピオンカップ優勝歴は2019年(4月)の1度のみながら、昨年は『G2ミッドナイトチャンピオンカップ』(決勝は8周戦)を制して、今年は『SGオールスターオートレース』(準決勝戦は8周戦)に優出3着と、地元飯塚の長距離戦の戦い方を熟知している。
遠征勢の最大の目玉は高橋貢。8月の伊勢崎ナイター『SGオートレースグランプリ』は予選勝ち上がりポイントが次点の33位で準決勝戦入りは逸したが、続く8月下旬の伊勢崎ナイター一般開催は4日間を無敗で完全V。これで通算優勝回数は歴代ダントツでトップの218回。通算勝利数は来年にも1700勝に達する見込みで、王者の走りは円熟味を一段と増している。
中村雅人は9月山陽『特別G1プレミアムカップ』と川口2節、デイレースに3連続で優出中。直近の飯塚は8月ダイヤモンドレースに優出した他、昨年秋の飯塚デイレース『G2オートレースメモリアル』と『G1開設記念』にも優出しているので、夏~秋の飯塚にエンジンを合わせる整備のコツを会得しているか。
さきに触れたダイヤモンドレースの準決勝戦で中村雅・有吉を破って勝利したのが伊藤信夫。このレースはフライングを喫して勝ち上がり権利を失ったため翌日の優勝戦へは進めなかったが、近年の飯塚では勝ち星を多く挙げられていなかったのが、この1節は5戦して1着2回・2着1回と好走。近年は濡れた走路での上位着順がレース場を問わず急増していることも付け加えておきたい。
加賀谷建明は既得のグレード6タイトルのうち2つを、ここ飯塚で制している。2017年のオーバルチャンピオンカップ優勝は小雪舞う1月、2022年のG1開設記念の優勝は雨上がり重走路の11月と、秋~冬の飯塚に実績を残している。事実いま現在も、暑さが落ち着き始めた先月下旬から成績が急上昇中で、9月プレミアムカップ最終日から11戦7勝、オール3着以内。それ以前の11走が1勝のみだったのとはきわめて対照的だ。
今週14日に閉幕したばかりの山陽デイレース『G2若獅子杯』から、31期以降の若手が数多く転戦してくる。
今年デビューしたばかりの新人37期ながら最重ハンデの20メートル前で戦った福岡鷹は開催3日目の準々決勝戦、1級車の角貝拓海を並ぶ間もなく捲って快勝し、翌4日目の準決勝戦入りを果たした。
同じく最重ハンデの20メートル前に置かれたデビュー2年目36期の村瀬月乃丞は、準決勝戦には進めなかったが4日目の一般戦、今期ランキングA-125の米里崇徳にスタート叩かれる試練の展開から道中で捲って逆転すると、残り1周半で稲原瑞穂・本田仁恵・桝崎星名の1級車3名を次々と捲り、ゴールでは10メートルの差をつけて圧勝した。
いま挙げた2個レースとも出走して後方に沈んだ中村杏亮は、当開催は初日から車券に絡めないレースが続いたが、最終日5日目は5日間で最高の試走タイム33秒を計時し、レースでも強い足色を見せた。オーバルチャンピオンカップは昨年3月の前々回大会、雨走路で鈴木圭一郎を大差でくだして優勝した。
長田稚也は4日目の準決勝戦、レース中盤まで福岡鷹に抵抗されてスピードアップできなかったのと、2番手を走る佐藤摩弥へ迫った5周回4コーナーで滑って車間が開き優出は逸したが、開催初日から好気配を維持し続けた。
森本優佑も初日から好調をキープし、8月『SGオートレースグランプリ』以来のグレードレース優出。その決勝戦は2周回1コーナーやや外へ張り気味になり、ちょうど後ろにいた佐藤励の進む道を空ける形になってしまったが、優勝した佐藤励と前日の準決勝戦で接戦できたのだから、エンジンは状態はかなり高いハズだ。
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主な出場予定選手
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有吉 辰也〔飯塚 S-4(25期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
中村 杏亮〔飯塚 S-31(33期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-32(34期)〕
森本 優佑〔飯塚 S-46(31期)〕
福岡 鷹〔飯塚 A-101(37期)〕
村瀬 月乃丞〔飯塚 A-226(36期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-6(22期)〕
中村 雅人〔川口 S-9(28期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-14(27期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-19(24期)〕
文/鈴木
年間100勝が見えてきた鈴木圭一郎
『2024スーパースターガールズ王座決定戦』の出場権を争うべく5月の第1戦から繰り広げられてきたトライアルの最終戦となる第6戦が、今節『G2若獅子杯争奪戦』初日に実施される。第5戦を終えての選考順位トップは佐藤摩弥。ただ佐藤摩は『スーパースター王座決定戦トライアル』への出場が有望な情勢であり、ガールズ王座トライアル得点2位の松尾彩や4位の西翔子は、この第6戦で好成績を挙げて得点上位をキープするとともに、開催の本編である若獅子杯の勝ち上がりにもつなげたいところ。
先週の飯塚デイレースを5戦5勝の完全Vで駆け抜けた鈴木圭一郎は、昨年の大みそかに青山周平が更新したばかりの『年間最多勝利数』記録を大幅に塗り替える見込みが極めて濃厚。今年の山陽には全てデイレースの6節へ出場して、G1プレミアムカップ(春)、G1令和グランドチャンピオンカップ、G2小林啓二杯、8月の一般開催と、出場機会4節に連続優勝。加えて2月には前回大会の若獅子杯を準優勝し、先月のG1プレミアムカップ(秋)は優出3着と、成績が全く崩れていない。若獅子杯は3年前の11月に1度制している。
前回若獅子杯を制したのが黒川京介。過去に獲得したグレードタイトル6つのうち3つが山陽でのもので、外来勢としての山陽との相性の良さは鈴木圭にも劣らない。先月のG1プレミアムカップ決勝戦は鈴木圭の追撃を振り切る形で準優勝している。
前々回(2022年)若獅子杯の覇者は佐藤励。昨年暮れには『G1スピード王決定戦』も制して、獲得タイトル2つとも山陽デイレースであり、今年3月の山陽デイレース一般開催では良走路の競走は全勝してV。先月のG1プレミアムカップは初日・2日目を連勝して準決勝戦へ進みながら、4・5日目はスタートが決まらなかったが、その最終日の4日後に開幕した地元川口のデイレースは4戦4勝の無敗で優勝し、再び勢いを増してきた印象だ。
佐藤摩弥も若獅子杯の歴代覇者に名を連ねる。過去に4度制したグレードタイトルのうち3つは夜開催で、唯一デイレースで実施されたのが2020年の若獅子杯だった。2年連続でSGオールスター(飯塚ナイター)準優勝、7月G2ミッドナイトチャンピオンカップ制覇など、今年も夜開催での活躍が目立っているが、デイレースでも『SG全日本選抜』(川口)などグレード3節に優出しており、オールラウンダーといえる。
鈴木宏和は前回大会で通算2度目の若獅子杯優出。初回の2018年はいきなり準優勝。ちなみに勝った中村杏亮は自身の初優勝がグレード大会という快挙だった。
今年2月の若獅子杯は決勝戦5着だったが、この夏は7月の伊勢崎ナイターから前々節まで6節連続で優出し、長らく好機力をキープできている。その6節にはSGオートレースグランプリやG1プレミアムカップが含まれる。連続優出が途切れた前節、先週の飯塚デイレース5日制でも、準決勝戦と最終日はそれぞれ地元車の激しい抵抗に遭って厳しい位置取りをしいられたが、3日目にはハンデ単独30メートルの最後方から雨走路で追い込み勝ちを決めており、機力は良かったことと雨の乗り方に進境がうかがえることは留意しておきたい。
鈴木宏と同様に初タイトルを狙える雰囲気が出てきたのが森本優佑。ここ数か月の傾向として、スタートが遅れる場面の減少が挙げられる。最近のレーススタイルは最重ハンから1~2周目で4~5番手くらいまで上がり、後半の周回は先頭争いに加わる展開が増えている。今年の山陽は2月のナイターに優出し、5月のデイレースを3戦3勝でV。8月にはオートレースグランプリで初めてのSG優出も果たし、ランキングは2023年の上期・下期A級から今期はS級へ復帰しての昇格と、さまざまな角度から流れが上向いている。
今年も女子レーサーの躍進は止まらない。パイオニア佐藤摩が昨年までと比較してレベルアップしている他、小椋華恋が5月に『G2川口記念』でグレード初制覇。その前節と前々節は山陽デイレースとミッドナイトで上位着順を数多く取った。2月の前回若獅子杯5日間も2・3・4・4・1着と好走し、山陽走路への適性は高い。
新井日和が先月プレミアムカップでG1初優出。決勝戦は0ハンデオープン戦の大外8枠に置かれて、ゴール入線は8着だったが、発走してスタートラインの通過は1枠の青山周や4枠の鈴木圭より早い3番手発進。3月の前回プレミアムカップでは本走タイム3.376秒で1勝を挙げた。山陽デイレースにおけるスピードの上げ方やスタートの感覚を掴めていることは強みとなりそう。
松尾彩は2023年の上期以降、ランキングがA級上位に定着しつつある。今年は2月の若獅子杯~SG全日本選抜~3月の山陽ミッドナイトチャンピオンカップと好走を続けた。加えて例年を越える3度もSGに挑戦し、その全てで勝利を挙げているのが成長の証しだ。
8月1日の飯塚ナイターにおいて『36期新人王決定戦』が実施されて、11名いる36期の中でもスピードが抜きん出ている栗原佳祐・村瀬月乃丞・吉林直都が同ハンに並んで直接対決し栗原佳が快勝した。
栗原佳の直近の山陽デイレースは2月の若獅子杯、3月のプレミアムカップ、4月の令和グラチャン。まず、デビュー2年目でこれらの大レースへあっせんされること自体が凄いのだが、この3節すべてで車券に絡む走りをできたことがまた非凡さを表している。
村瀬はもう半年以上、飯塚でしか実戦を走っていない点が気がかりだが、3節前の飯塚ミッドナイトで優勝して勢いは十分。前回若獅子杯では2着と3着を1度ずつ獲っている。
吉林は昨年の晩秋あたりからエンジンがハイパワーを維持した数か月間があり、2月の若獅子杯は初日から3連勝。3日目の選抜予選では20メートル後ろの鈴木圭一郎・青山周平を振り切って勝利した。そして、ミッドナイトとはいえ先月末に山陽走路で実戦を経験できているのは好材料といえそう。
37期は今年のデビュー当初は浅倉樹良・福岡鷹・森下輝が大活躍して37期3強のように称されたが、夏前ごろから田中崇太・丹下昂紀・村田光希の山陽3車が足並みを揃えて急速に成長してきた。ハンデが重くなってから勝ち星をなかなか増やせないでいる浅倉の通算勝利数に10月9日の時点で、田中崇は同数で並び、村田は追い抜いている。
36・37期は1級車よりパワーの劣る2級車で戦うため、優勝戦線をリードするほど活躍できるかは不透明だが、それは未知の可能性を秘めているということ。将来の伸びしろを発見できるかも知れず、連日の走りに注目していきたい。
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主な出場予定選手
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鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-11(31期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
森本 優佑〔飯塚 S-46(31期)〕
浅倉 樹良〔伊勢崎 A-32(37期)〕
松尾 彩〔山陽 A-56(34期)〕
新井 日和〔伊勢崎 A-65(35期)〕
栗原 佳祐〔浜松 A-117(36期)〕
文/鈴木