
SG優勝後の青山周平がスピードキングも奪取か
今月6日~11日の浜松デイレースSG『全日本選抜』で黒川京介との全勝対決を制して大会V2を果たした青山周平が、その勢いを持ち込んで今節も快進撃するか。
山陽G1『スピード王決定戦』は2021年の第56回大会に優勝。直近では昨年9月に特別G1『プレミアムカップ』を5連勝の完全V、11月にはG2『オートレースメモリアル』も優勝と、山陽デイレースでも大活躍しており、不安要素がいっさい見当たらない。
鈴木圭一郎は本大会の第52回と53回を連覇しているが、SS王座決定戦を制して年を越した2025年は、ここまでのところ青山周とは対照的に勢いに乗りきれていない。SG全日本選抜は予選中にフライングで失権。その前に出走した今年4節も優勝できず。昨年のプレミアムカップ(秋)とオートレースメモリアルはともに決勝戦で青山周に完敗している。ただ、昨年3月の特別G1プレミアムカップ(春)と4月のデイレースG1『令和グランドチャンピオンカップ』はそれぞれ青山周を2着にくだして優勝。7月のデイレースG2『小林啓二杯』決勝戦は黒川京介らに大差をつけて圧勝している。あとは、ちょっとした歯車の噛み合わせさえフィットすれば、地元開催のSG全日本選抜を奪われた青山周に対して今回逆襲する可能性は十分ある。
金子大輔は1月に浜松デイレースG2『ウィナーズカップ』を初制覇。全日本選抜も優出3着と、近1年は上記2強に次ぐレベルの成績を安定して残している。山陽デイレースでも昨年は春秋のプレミアムカップに優出。レース場・昼夜・晴雨と条件を問わない総合力の高さから、今回も有力なV候補に位置づけたい。
鈴木宏和は昨秋のプレミアムカップ決勝戦で、6着の金子大輔を上回る4着ゴール。翌月の若獅子杯争奪戦では佐藤励に競り負けたが準優勝。黒川京介や佐藤摩弥には先着した。そして今年はウィナーズカップ、全日本選抜ともに準優勝。結果だけ見るとシルバーコレクターになっているが、全日本選抜決勝戦における青山周との伸び比較は決して劣っていなかった。青山周のブロックを執拗に攻め立てるレース内容は、鈴木圭や近年の黒川京介が何度も見せている。鈴木宏もこの両者に並ぶレベルまで実力が近づいていると判断できる。
おととし12月に開催された前回スピード王の覇者である佐藤励は、昨年10月の若獅子杯争奪戦を2022年に続く2度目の制覇。今年はウィナーズカップ優出3着のあと、全日本選抜の準決勝戦は8周戦の残り100メートルまで2番手=優出圏内に粘る力走を見せた。今後に持ち越しとなったがSGを狙える器であることはもはや疑う余地がなく、今回でトータル4度目のグレード獲得を決めて、来たる春へのステップアップにもつなげたい。
平田雅崇は全日選は6戦1勝のみながら初日~4日目までオール2着と好乗。5日目の準決勝戦はスタートで前輪を浮かせてしまい8番手発進になったが、最終日6日目は準決勝戦と同じ4枠から再び前輪が浮きながらも先手を取りきると、浦田信輔や岩崎亮一に大差をつけて独走勝利。2022年の令和グランドチャンピオンカップ以来となるグレード優勝が近々あるのでは、と思わせる好機力と勢いを掴んでいる。
長田稚也は今年緒戦となった1月の山陽ナイター一般開催に優出3着。年末の川口SSトライアル絶不調から立ち直った。全日本選抜は前半2日間は2連対できなかったが、3日目は金子大輔に次ぐ2着に健闘すると、4日目の最終予選は青山周にチギられたものの道中で岩崎亮一を捌き、ゴール寸前の直線で永井大介に伸び勝って2着。そして5日目の準決勝戦では金子大輔と佐藤励の逃げ態勢に3番手追走から、ゴール前の直線勝負で今度は佐藤励に伸び勝って2着に入り優出キップを手にした。
近3年の山陽では夜開催の方に良績が偏っているが(この期間の優出4度はナイターとミッドナイトが2節ずつ)、デイレースの若獅子杯争奪戦やプレミアムカップにも出場するたびに好走しているので、現状の勢いも加味して注目したい1車だ。
浜野淳が今年4月~9月に適用される『2025年前期ランキング』の山陽1位に輝いた。2024年前期はA-43、いま現在適用されている後期はA-13とランクを上げていたが、次期は3期ぶりにS級へ復帰するだけでなく、いきなり山陽トップに立つSー19までジャンプアップを果たす。改めて成績をひもとくと、昨年5月ごろから上位入着が増加し始め、1~6月の優出は3度だったのに対して、2025年前期ランク審査期間だった7~12月の優出は6度に倍増。2016年の前期以来18期ぶりに襲名する山陽エース。その名にふさわしい活躍を今年最初に臨むグレード開催から早くも見せ始めるか。
全日本選抜の丹村飛竜は初日から3連勝、通算7連勝を挙げて、SG初制覇へ近づけそうな雰囲気を放った。初日いきなり本走3.360秒をマークすると、5日目の準決勝戦(8周戦)は4着だったが上位3車とは接戦で、本走タイムは6日間で最高の3.359秒。1月の山陽ナイター優勝タイムは3.340秒。浜松SGから走り慣れた地元・山陽へと舞台を替える今回は、地の利も生かしての活躍を見込める。
第57回大会を含めて2度の大会V歴を誇る松尾啓史も、全日本選抜の準決勝戦で本走3.356秒を計時。暮れのSSトライアル4日目(8周戦)は3.334秒で2着に好走している。
佐々木啓は年末の山陽ミッドナイトで約4年2か月ぶりに優勝。年明けの浜松デイレース一般開催2節にも連続で優出し、捌きの決め手が以前より上向いた状態でずっと推移している。
丸山智史、緒方浩一、松尾彩は全日本選抜で高いスピードを示したし、別路線組の人見剛志、永島潤太郎、山本翔も気配が良い。今回の地元勢は、近年の山陽グレード開催と比較しても戦力の層が厚いと評価できる。
近10年のうち8度を外来勢に持ち去られている山陽スピードキングの称号。今年は地元勢が流出を阻止するか。
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主な出場予定選手
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松尾 啓史〔山陽 S-13(26期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-30(29期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-48(23期)〕
浜野 淳〔山陽 A-13(24期)〕
丸山 智史〔山陽 A-22(31期)〕
松尾 彩〔山陽 A-56(34期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-15(32期)〕
平田 雅崇〔川口 S-23(29期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-32(34期)〕
文/鈴木