
G1キューポラ杯の展望
川口レース場伝統のタイトル戦のひとつである『G1キューポラ杯』、2016年の第40回大会をもってナイター開催へ移行してから、今年で10年目となる。昨年の前回決勝戦は、鈴木圭一郎が岩見貴史に抵抗される間に黒川京介がリードを拡げて大差で勝ち、キューポラ杯の初制覇&地元G1初獲得の、ダブルでメモリアルな結果となった。
昨年後半~今年前半の黒川はまさに充実一途だ。『日本選手権』でのSG初制覇を含めて、この12か月間に12度の優勝。今年3月下旬からの3か月間だけでG2レースを4度も優勝している。その内訳には消音・夜開催の『G2川口記念』と『G2ミッドナイトチャンピオンカップ』(3月と6月の2連覇)を含んでおり、キューポラ杯連覇への視界はきわめて良好といえる。
今期ランキングは黒川に次ぐ川口第2位、全国ランクS4の中村雅人も目下の流れは非常に良い。直近節は今月上旬の川口ナイター一般開催3日制に全勝しての完全V。その前はデイレースだが川口で4節連続で優出していたし、4月には川口ナイター『SGオールスター』にも優出していた。
通算10度目となるG1制覇、そして初めての川口グレードタイトル獲得を成し遂げれば、お盆のSGを含めて8月後半まで出場の決まっているグレードレース3連戦にも一層の弾みが付く。
最近はデイレースでの活躍が目立つ佐藤摩弥だが、夜の消音開催での実績は折り紙つきだ。近年に限っても2023年に川口ナイター『G1キューポラ杯』、2024年に飯塚『G2ミッドナイトチャンピオンカップ』を制しているほか、今年2月の川口ナイトレース決勝戦は本走3.334秒の好タイムで準優勝している。
今年5月の消音ナイター『G2川口記念』は未勝利ながら5日間すべて2着と3着に好走。6月前半は川口デイレース優勝1度、6月下旬から現在まで3節連続で優出中とエンジン状態は高水準で安定している。
ちなみに直近節として出走した飯塚ナイターでは『スーパースターガールズ王座予選』の第3戦に勝利し、年末の『王座決定戦』出場権をかけた選考順位のトップに立っている。
佐藤励は今年4月の川口ナイター『SGオールスター』を6戦6勝してSG初制覇。翌週の浜松デイレース『G1ゴールデンレース』は成績ふるわなかったが、5月中旬から昼夜・レース場・マフラー種別を問わず7節連続で優出して今大会に臨む。近1年間の川口・夜開催への優出回数は黒川と並ぶ6度で、これは中村雅人(3度)や佐藤摩弥(2度)を上回る。
佐藤励も中村雅と同様に川口レース場のG1・G2トロフィーは手にしたことがない。未来の川口エース候補、いや全国ナンバー1候補のひとりとして、そろそろ地元の勲章を獲得したいところだ。
森且行が上昇気流に乗ってきた印象だ。4月『SGオールスター』は6戦2着1度にとどまったが、5月に入ると2連対する回数が増え始めて、6月は上旬に川口デイレース準優勝。そこから現在まで浜松G2を含む4節に出場して全て優出している。6月の川口ナイトレースと先週の川口ナイター、2節の予選~準決勝戦は5戦3勝・2着2度と2連対パーフェクト。今の時季の川口の夜にエンジンがマッチしていることは確実だ。
ナイター開催へ移行して2年目の2017年と翌2018年にキューポラ杯を連覇した永井大介は今年まだVゼロながら、先週の山陽ナイター『G2小林啓二杯』で今年のグレード初優出を果たした。初日から3日目までは勝ちきれなかったが、4日目の準決勝戦は10線6車並びの大外枠からダッシュを決めると、2着の木村武之に1秒の大差をつけて圧勝した。最終日の決勝戦は中枠からスタート後手を踏んで展開が悪くなったが、近況は総体的に勢いを増している印象がある。
川口S級は他に小林瑞季・平田雅崇・加賀谷建明・山田達也が今年6月以降に好成績を挙げており、小林瑞と加賀谷は過去5年以内にキューポラ杯への優出歴がある。
そしてA級勢では6月中旬の川口ナイトレースで早津康介がV、小椋華恋が準優勝したほか、森谷隼人、石井大輔、牧野貴博、間中大輔が6月~7月の川口ナイター・ナイトレースで好走している。
同時期に高石光将はハンデ30m~40mの位置に置かれ続けて6着~8着が並んでしまったが、グレードレースの今回はハンデ0mや10mから早めに抜け出せる番組構成が増えると想定されるので、先月とは見違える姿を披露できるかも。
鈴木宏和は前々回2023年のキューポラ杯に準優勝(優勝は佐藤摩弥)。昨年のキューポラ杯は5戦中の良走路3戦は1着・1着・2着。今年は『SGオールスター』と『G2川口記念』に出場して、良走路は8戦4勝、着外は4着が1度のみと、川口の夜開催では高い安定感を長らく維持している。
今年の6月以降は浜松消音アーリー準優勝に『G2浜松記念 曳馬野賞』にも優出と近況の状態も良いので、天候および走路状態がネックながら活躍を見込める。
2023年のキューポラ杯に優出した金子大輔は翌2024年にも参戦したが、当時は調子を崩していて活躍ならず。しかし今年の『SGオールスター』は予選中にフライングで失権したものの6戦オール2連対と実力は示した。
直近節は浜松アーリー4日制に完全V。今大会とは昼夜が逆転するが、消音マフラーを装着してのライディングのバランスを掴めていることは大きい。
今年の『SGオールスター』は6日間1勝の予選モレに終わった中村杏亮だが、西日本2場での消音・夜開催は今年は例年以上の成績を挙げている。25戦して着外たったの4度。濡れ走路に至っては7戦5勝・オール3着以内。地域は異なるが消音マフラーでエンジンが安定して動いていることはセールスポイントとなろう。
福岡鷹は『SGオールスター』で中村杏亮を上回る6戦3勝を挙げて、5日目には準決勝戦へ進出。パワーが劣る2級車の身で初日から最重ハンの10メートル前で戦ってのこの戦績は見事というほかない。
今大会の初日を迎える時点からみて3節前にフライングを切っており、実際その日から後ろにスタート叩かれるケースが増えて7戦未勝利と、リズム下がっているが、車と乗り手がマッチした際の破壊力は37期の中で5本の指に入る。
『SGオールスター』6戦を未勝利で終えてから約1か月ののち『G2川口記念』で再び川口の地を踏んだ岩見貴史は、初日いきなり妨害・勝ち上がり権利喪失となったが、2日目からの4走すべてを3着以内にまとめると、またも1か月を空けての実戦となった飯塚ナイターに優出。そして6月末からの飯塚ミッドナイト2節は7戦6勝、1節目に準優勝からの2節目は完全Vと、走るごとに勢いを増して今年3度目の川口・夜開催へ乗り込める。
2021年のキューポラ決勝戦。隣の外枠であった青山周平をスタート後の加速でみるみる引き離して大会初制覇した鈴木圭一郎は、翌2022年のキューポラ杯にも優出して3着、昨年は優出2着と、本大会でも毎年のように活躍している。
そして先週13日には、山陽ナイター『G2小林啓二杯』決勝戦に圧勝。消音マフラーでの夜開催の8周回で見事な走りを披露して、今春『SGオールスター』優出ぶりとなる川口ナイターへやって来る。
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主な出場予定選手
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黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
中村 雅人〔川口 S-4(28期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-9(31期)〕
佐藤 励〔川口 S-11(35期)〕
永井 大介〔川口 S-12(25期)〕
森 且行〔川口 S-16(25期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-6(32期)〕
金子 大輔〔浜松 S-8(29期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-26(26期)〕
浅倉 樹良〔伊勢崎 A-69(37期)〕
福岡 鷹〔飯塚 A-91(37期)〕
文/鈴木