7日(日)メインは岩手3歳最高峰の一戦「第40回不来方賞」。この不来方賞を皮切りに4週連続で重賞が組まれ、ファンには最高の1ヶ月間となる。また10月13日にはJpn?「第21回南部杯」も控え、楽しみは増すばかり。まさに馬肥ゆる秋に合わせた日程が組まれている。
その伝統の不来方賞を祝し、社台スタリオンステーションが協賛。優勝馬主には大種牡馬フジキセキの配合権利が与えられる。
まずは今年の3歳オープン戦線を振り返ってみたい。岩手に春を告げるスプリングカップで一躍トップの座に躍り出たのがリュウノツバサだった。
2歳時はデビューが遅かったため重特路線に乗らなかったが、3月の特別開催でモエレハナオーのタイム差なし2着にまとめ、特別・スプリングカップへ登場。まだ実績面で劣り4番人気に甘んじていたが、3角で先頭に立ちそのまま押し切って快勝。
この時点では展開がはまったものと解釈され、重賞・阿久利黒賞でも3番人気。しかしその評価を見事覆し、一冠を堂々手に入れた。
両レースで2着に惜敗したのがゴールデンクリーク。昨年は気性難が災いして頭角を現せなかったが、ひと冬を越して精神面で大きく成長。それがついにブレイクしたのが岩手ダービー・ダイヤモンドカップだった。リュウノツバサ不在の前哨戦・七時雨賞を貫禄で制し、ダイヤモンドCに臨んだゴールデンクリークは逃げ馬が不在と見るや果敢に先行。ゴール寸前でモエレハナオーに一旦並ばれると、勝負根性に火がついて二の脚を駆使し、初の重賞タイトルを手に入れた。
この2強に割って入ったのがモエレハナオーだった。春当初は歯替わりなどの影響で馬体がしぼんでいたが、徐々に回復。七時雨賞で2着、そし本番・ダイヤモンドCでもゴールデンクリークにハナ差まで肉薄した。ジャパンダートダービーはレベル差に加え、長距離輸送もこたえて13着に惨敗。そして帰郷初戦のクリスタル賞では遠征疲れが残っていたが、根性で2着を死守。勝ったのは控える競馬が見事はまり、距離も克服したリュウノツバサ。一方のゴールデンクリークは58キロのトップハンデもたたり、逃げたが直線失速3着に沈んだ。
以上のように3頭は一進一退の攻防を繰り返し、不来方賞へ駒を進めてきたが、ここがまさに雌雄決戦となった。
盛岡ダート2000m適性ならゴールデンクリーク。そのゴールデンクリークとの直接対決で4勝1敗のリュウノツバサ。最大の課題だった距離克服もクリスタル賞快勝でメドが立った。そしていまだ無冠ながら実力互角のモエレハナオーは調子もグンと上向いて出走と、3頭どれが勝っても納得できるだろう。
名古屋からノゾミカイザーが殴りこみをかけてきた。父はサンデーサイレンスの直子で母が新潟3歳ステークス覇者ユートジェーンという超良血馬。自身も東京ダービー2着などに入ったことがあるが、慢性的な脚部不安に悩まされ、12戦5勝。結局、ビッグタイトルを手にすることができなかったものの、未完の大器と言われた逸材。
ノゾミカイザーは通算2勝馬だが、東海ダービーでは後方から恐ろしいまでの末脚を繰り出してヒシウォーシイのハナ差2着。またジャパンDD8着、大井・黒潮盃でも5着入線し、岩手3頭をはるかに上回る実績。鞍上が名手・吉田稔騎手も脅威に輪をかける。
結論を出さなければならない。◎ゴールデンクリーク。跳びの大きい馬でコース広い盛岡で本領発揮のタイプだし、2000m適性を最重視した。
○はリュウノツバサ。盛岡に若干不安を抱えているが、今の進境度でコース、距離を克服する。
▲はノゾミカイザー。強豪メンバーに揉まれてきたキャリアで逆転首位を狙い、△モエレハナオー。最後の詰めに課題を残しているが、馬体を併せれば根性発揮する。直線勝負に持ち込みたい。あとは展開の紛れでコンバットキック、エイプリルボーイだが、これは恵まれた際に限る。
◎ ?ゴールデンクリーク
○ ?リュウノツバサ
▲ ?ノゾミカイザー
△ ?モエレハナオー
△ ?コンバットキック
3連単は4、12、11、9のボックスが無難だが、それでは点数が多い。絞れば4を1着固定に12、11の折り返し。あとは9をどう絡めるか
馬複は4−12、4−11、4−9、9−12
<お奨めの1頭>
11レース アルディ
前回は3着に敗れたが、負けてなお強しの内容。1800mも総合能力でこなす
今週から戦いの舞台はオーロパーク=盛岡競馬場へと替わり、9月6日から10月27日までの約2ヶ月間にわたって熱いバトルが繰り広げられる。その開催替わり初日メインは2歳馬によるコアレススタッド協賛・ダイタクリーヴァ賞「第9回若鮎賞」(盛岡芝1600m)、9頭立て。このレースの1、2着馬には9月21日、地方競馬全国交流「テシオ杯ジュニアグランプリ」への優先出走権が与えられる。
地方競馬では唯一の芝コースを持ち、1ヵ月あまりで荒れた馬場の改修も万全。再び青々と茂った芝が蘇った。
これまで特別2戦・ビギナーズカップ、りんどう賞は水沢1400mで実施され、ワタリシンセイキが連勝。そのワタリシンセイキはジュニアグランプリへ直行ということだから、今回の焦点は第二グループから抜け出す馬捜しとなる。
(ダンストンジール 写真・佐藤到)
芝に替わってダンストンジールの反撃に注目。デビュー戦・芝1000mを59秒3の今季一番時計で快勝。父がダートで一世を風靡したウイングアロー産駒で、ダートでさらに期待を集め、ビギナーズカップで圧倒的な1番人気に支持。ところが4番手を追走するのに終始し、2・2秒差5着。続くりんどう賞も同じような展開から再び5着。
ビギナーズCのレース後、村上忍騎手は「もしかするとダートが合わないかも」とコメントしたが、どうやら現時点ではダートより芝向きと見た方が妥当。480キロ前後の恵まれた馬体を誇る牡馬。脚抜きのいい盛岡芝で持てる能力を全開といきたい。
逆転首位まで、というより主軸視するべきなのがダンストングラン。ダンストンジールと同日デビューで、こちらは中団から鋭く抜け出して快勝。タイムは59秒8と若干劣ったが、上がり3ハロン35秒1の末脚が光った。ジールは逃げ切ったにせよ、上がり35秒8で牝馬特有のシャープな切れを身上とする。
前走・ビギナーズCでもワタリシンセイキに完敗3着に敗れたが、2番手から渋太く喰らいついていた点は評価に値する。距離1600mは脚質からむしろ歓迎となるだろう。
センリグランピーは水沢850mの新馬戦を快勝。好位3番手をキープし、直線アッサリ抜け出すスマートなレースぶりが目についた。初の盛岡、初輸送、初の芝、そしていきなり1600mへ距離延長など不安要素は多いが、それらを克服できそうなデビュー戦の内容。ここもアッサリなら将来の飛躍も約束された。
先のビギナーズCで逃げて2着に粘ったのがフジフーフーだった。巡り会わせが悪く5戦未勝利だが、2着3回3着1回4着1回。相手なりに駆ける堅実さがセールスポイントで今回は絶好の1枠。逃げの手も十分に考えられ、上位争いは必至だろう。
フェニックスクインは3戦1勝。出遅れが響いたデビュー戦4着はともかく、2戦目は後方待機策から見事な直線一気を決めて快勝。マイネルラヴ産駒は芝適性馬が多く、その意味からも目が離せない1頭となる。あとは同じレースで0・1秒差2着リュウノパトラを押さえたい。
◎ ?ダンストンジール
○ ?ダンストングラン
▲ ?センリグランピー
△ ?フジフーフー
△ ?フェニックスクイン
△ ?リュウノパトラ
3連単は3、2、6のボックス本線。あとは3、2の1、2着折り返しから6、1、7へ
馬複は2−3、3−6、1−3、3−7、2−6
<お奨めの1頭>
9レース トゥルーオトメ
盛岡戦4戦4勝(芝も含む)とパーフェクト成績。マイル戦も逃げ切っているのが心強い
最近は「ゲリラ豪雨」という言葉をよく聞きますけども、そこまでいかなくてもスコールっぽい雨、というのは岩手でも出会う事が多くなったような気がします。
よく初心者の方に「競馬って雨が降ってもやってるんだ!」と驚かれますが、やってるんですよ。雨でも雪でも。
しかしこうして土砂降りの雨の中のレースを見ると、騎手も馬も本当にプロだなと改めて感心した次第。
本命は1枠1番メタモルキングで行きます。以前は“ハナが獲れなければアウト”だったり、他の逃げ馬と競り合ったあげく共倒れというシーンも多かった馬ですが、最近は番手の競馬をこなしたり、後方から差してきたりと戦法のバリエーションが増えました。
昨年あたりから変わったなあと感じていたもののの、最近の走りでそれは確信に。つまりはそれだけ馬が充実しているという事なのでしょう。
今回は得意のマイル戦だし枠順も絶好。すっかり逃げ馬天国と化した今の水沢競馬場ならこの馬の持ち味が活かしきれるはずです。
対抗はソーユアフロストで。元々は芝狙いで移籍してきた馬だけに、前走は陣営も驚く圧勝。それが圧勝過ぎてやや出来過ぎの感がありますが、あの末脚の破壊力は高く評価しなくてはならないでしょう。前残り傾向が強いので前走のように後方からでは辛いかもしれませんが、今のコースは芝馬に合う状態でもあり、そこは差し引きできるのでは。
実績と格でいけばヤマニンエグザルトも外せません。グレードレースの強豪相手でも自分のレースの形を貫き通せているのは、それだけ好調サイクルに乗っているということ。外枠は割引の馬ですが、一方で少頭数のレースにはめっぽう強い馬でもあります。好調度+得意距離で優勝まで。
忘れずに押さえておきたいのがダークマター。前走は直線まで逃げ粘ったものの最後は失速気味。これなら1ハロン距離短縮がプラスに働きそうです。この馬が逃げてメタモルキングが番手という事になれば2頭の行った行ったも十分あり得るのでは。
●買い目
馬単1=4、1=6、4=6、1=2
◆お奨めこの一頭
7R:ブライティアバレー
先行差しの戦法に加え逃げまで打てるようになった。持ち時計面でもリード。
31日(日)メインはオープン牝馬による重賞「第34回ビューチフル・ドリーマーカップ」(水沢1900m)、10頭立て。このレースの優勝馬主には社台スタリオンステーションから種牡馬アドマイヤドンの配合権利が与えられる。
(サイレントエクセル 写真・佐藤到)
サイレントエクセルが史上初の同レース3連覇の偉業を果たすか―が最大の見どころ。2歳デビュー当初から重賞特別路線を歩み、3歳時はオウシュウクラウンに次ぐ?2に君臨し、G?・ダービーグランプリでも3着に健闘。4歳時には王者テンショウボス相手に特別・あすなろ賞、重賞・青藍賞を優勝。牡馬にもヒケを取らない実績を誇り、当然のように地元牝馬には敵なし。牝馬重賞を総なめにしている。
ただ、今シーズンは順調さを欠いて6月、みちのく大賞典から始動。久々の影響が大きく後方のまま10着に沈み、川崎遠征・スパーキングレディーカップも11着に大敗。
これは相手、仕上がり状態を考えれば仕方なしの結果だったが、評価を迷わせたのがフェアリーカップの2着。休み明け3戦目、地元の牝馬が相手なら勝って当然と圧倒的な1番人気に支持されたが、勝負どころの3コーナーでもたついて反応ひと息。
それでも前にいたカネショウプルート、シュクジャンヌを何とか直線で交わしたものの、大外クルセイズの勢いに屈してクビ差2着。これには陣営もショックを隠せなかった。
果たしてこのまま引き下がるのか、女王の貫禄を見せつけて復活なるか。まさに正念場の一戦だと言えるだろう。
相手筆頭はジュリア。逃げ馬の宿命ゆえ勝つか、はたまた大敗かのレースを繰り返しているが、今季すでに4勝をマーク。自分の型に持ち込むと直線で二の脚を使い、前回も2着に0・8秒差をつけて完勝した。
ヒザに疲れが出たため大事を取って自重したため、ちょっとレース間隔が開いたが、幸い軽度に済み、中間の追い切りでも抜群の動きを披露した。
今回は絶好の1枠を引き当て逃げの手に出るのはほぼ間違いなし。ただ昨年同レースで2着に粘ったとは言え、守備範囲を越えた1900m。おそらく楽に逃がすはずはなく、マークきつくなった場合は馬群に沈む可能性もある。
前記2頭をまとめて負かすとすればクルセイズ、3歳馬カネショウプルートの2頭。クルセイズは今年4月、A級戦で5着後、一度北海道へ移籍。赤レンガ記念で5着入線して再び岩手へ戻ってきた。その帰郷初戦を快勝し、その後は芝にターゲットを絞って特別・かきつばた賞3着、重賞・せきれい賞でも3着。完全にオープンへ定着し、前回は女王サイレントエクセルに土をつける大金星をあげた。
クルセイズの特長は展開構わず直線で確実に伸びる末脚。それが爆発したのが前走・フェアリーカップだった。有力馬が早めに動けば一気台頭のシーンまで。
最大の惑星馬となるのがカネショウプルートだろう。2歳時まで未勝利だったのがウソのように今年は大飛躍。日高賞、ひまわり賞と3歳牝馬重賞で2連勝を飾り、しかも両レースともワンサイドレースで圧勝した。その後、JRA条件交流戦で足踏みしたが、初の古馬挑戦となったフェアリーカップでも見せ場を十分に作って3着に気を吐いた。
上位3頭は円熟期を迎えた一方でカネショウプルートは上昇一途の3歳馬。しかも一度でも古馬のペースを経験すれば鬼に金棒。2キロ軽いハンデも味方に、先輩を押し退けて牝馬の頂点に立つか注目してみたい。
以下はやや離され、B2の格下からの挑戦ながら、水沢7戦6勝2着1回のハウプトローレ、フェアリーカップ4着シュクジャンヌを連下に少々。
◎ ?サイレントエクセル
○ ?ジュリア
▲ ?クルセイズ
△ ?カネショウプルート
△ ?ハウプトローレ
△ ?シュクジャンヌ
3連単は3、1、4のボックスが本線だが、強気に攻めるなら10から入る手も十分
馬複は1−3、3−4、3−10、1−4、1−10
<お奨めの1頭>
11レース マイネルティーダ
時に取りこぼしもあるが、毎回上位を争う超堅実派。ここでも信頼の軸となる
30日(土)メインはB1級馬による水沢1600m戦「第8回ムーンライトカップ」、9頭立て。有力馬の実力が伯仲しており、ちょっと難解な一戦となった。
人気を分け合うのはブラックオーメン、ヘライカントリーの2頭。前回快勝の内容を評価されたが、両馬とも差しタイプ。先に行ける馬を捜すとツジジオット、オリエントボスあたりだろうが、まず競り合うことはなくスローペース必至。展開も重要なファクターとなる。
主軸にヘライカントリーを指名する。ここまで14戦連続で5着以内に入着し大崩れない安定度を誇っていた半面、先行するとどうしても末が甘くなり、なかなか勝ち切れずにいた。
それを解消したのが今シーズン。先行脚質から差しへ脚質転換を図り、ついに成功。距離が長すぎたレインボーカップ(水沢1900m)3着はともかく、3走前の盛岡1600m戦、そして前回・水沢1600m戦を完勝。ひと皮むけてこのレースに臨んできた。
不安材料は冒頭にも記したとおりスローに落とされ、脚を余して負けるケース。競馬は生き物だけに仕方ない面があるが、そこはヘライカントリーを手の内に入れた村上忍騎手の手腕に託したい。
ブラックオーメンは昨シーズンA1、A2級へ在籍したが、クラスの壁が厚く1勝のみに終わり、今季はB1へ降格。2回盛岡の白神賞で最後方一気を決めて初勝利。その後は初芝に戸惑って8着に敗れた以外は毎回勝ち負けを演じている。前回はペース遅いと判断して早め5番手を追走。アッサリ直線抜け出して2勝目をあげた。
今回も好気配を保っているが、不安はやはりスローの場合。ヘライカントリーと同様、自慢の末脚が不発に終わる可能性もある。
逆に願ってもない展開となりそうなのがオリエントボスだ。重賞・岩鷲賞を制するなどで昨年までオープンへ在籍したが、今季はB1へ降格。メンバーに恵まれて特別開催を含めて3勝マーク。着外に沈んだのは盛岡1200mの忙しい競馬となった早池峰賞8着、距離延長に泣いた前々走・レインボーC9着の2度のみ。他は毎回上位争いを演じている。
前走4着は守備範囲を越えた1800m戦。それでも4コーナーで先頭に立ち、見せ場は十分作っていた。しかも今度はベストと言える水沢マイル戦で持てる能力を発揮するお膳立ては整った。単まであり得る。
テンショウタイヨウの評価が難しい。相手なりに駆ける堅実さを身上とし通算13勝。冬期間には荒尾、浦和遠征で3連勝をマークした実績も光る。帰郷後はその疲れも残り、精彩を欠いていた時期もあったが、ひとまず立て直しに成功した。
ただ、気になるのが前回3着。4番手追走と位置取りも悪くなかったのだが、直線でいつものシャープさが見られなかった。このクラスで頭打ちか、それとも再度飛躍を遂げるのか、ここは真価を問われる一戦となった。
他にも伏兵がそろった。やや陰りが見え始めたツジジオットだが、今回は得意の水沢1600mに加え、行く気になれば先手を取れそうなメンバー構成。盛岡に替わる前に一発を決めたいところだろう。ツルギフェロンは金沢A級から里帰り。再転入2戦は芝が合わず10、9着に沈んだが、ダートに替わった途端2着を確保。軽視されがちだが、実力は決してヒケを取らない。
またマチカネダイキチ、キレアジサイコウも一発の怖さはあるが、それでは手を広げすぎなのであえて無印とした。
◎ ?ヘライカントリー
○ ?ブラックオーメン
▲ ?オリエントボス
△ ?テンショウタイヨウ
△ ?ツジジオット
△ ?ツルギフェロン
3連単は6、2の2頭軸から9、3へ。あとは7、8を押さえ
馬複は2−6、6−9、3−6、6−7、6−8
<お奨めの1頭>
11レース ジャッキードリーム
先行馬がそろって展開がカギを握るが、ここでもスピード上位の見解。前回タイムも抜けている