
2ヶ月のご無沙汰です。岩手競馬は1月12日、トウケイニセイ記念から冬休みに入ったが、いよいよ3月20日(金)から春競馬に突入する。
今開催は前半が20日から23日(月)までの4日間。後半は28(土)、29日(日)の2日間開催。計6日間で2008年度の全日程が終了する。
ご存知かもしれないが、地方競馬はJRAと違って4月から翌年3月までの年度で区切るため、4月4日(土)からが新年度のスタート。よってリーディングなどのデータ関連などもすべて3月31日で集約される。
とは言ってもファンにしてみればあまり関係のないこと。それもあって岩手競馬では『春競馬スタート!!』と位置づけた次第だ。
冬休み明け初日20日(金)メイン10レースは、3歳A級戦「奥馬の会会長杯」。改めて振り返るまでもないが、昨年の2歳戦線はワタリシンセイキの一人舞台。ダート戦で無敗の7連勝を飾り、史上初めて2歳ダートの重賞・特別全制覇の偉業を成し遂げた。
その結果、2008年度の岩手競馬グランプリ年度代表馬の栄誉も獲得。内部事情を話すと各委員から様々な意見が飛び交い、ワタリシンセイキかカネショウエリートかで票が割れたが、ワタリシンセイキがネイティブハート以来、史上2頭目となる2歳馬の受賞となった。
ワタリシンセイキは年明けの金杯を優勝後、南関東へ移籍(すでに2月の準重賞・雲取賞に出走し4着)し、岩手不在の馬に与えていいのかという意見もあったが、それ以上にワタリシンセイキのパフォーマンスを評価する委員が多く栄えある年度代表馬の座を射止めた。
今、岩手競馬のファンが願うことはただ一つ。是非、南関東クラシックを制してほしい――。それ以外にはない。
今年の3歳戦線は必然的にポスト・ワタリシンセイキが最大テーマとなり、最有力候補はマヨノエンゼルだろう。
(マヨノエンゼル 写真・佐藤到)
先ほども記したとおり、ワタリシンセイキが圧倒的なパフォーマンスで圧巻のダート7連勝をマークし、ほとんどがワンサイドで完勝。その中で最も肉薄されたのが、重賞・南部駒賞でマヨノエンゼルがアタマ差2着。この時、ワタリシンセイキは北海道2騎アラベスクシーズ、モエレオフィシャルをマークする形でレースを進め、彼らを退けて誰もがワタリシンセイキの勝利を確信したところ、大外一気に強襲したのがマヨノエンゼルだった。
関本淳騎手は「正直、マヨノエンゼルには驚いた。一瞬、交わされるのではと思った」とレース後、本音を漏らすほど。
続く寒菊賞ではワタリシンセイキになし崩し的に脚を使わされ、ダンストンジールに先着を許して3着に敗れたが、12月末の最終戦を圧勝して冬休みに入った。
このレースは収穫が大。いつもはワタリシンセイキと同じ位置か、それより若干前かの競馬だったが、4番手を追走し4角先頭での圧勝劇。追い込み一辺倒の脚質だと展開に紛れが生じるケースもあるが、悪くても中団をキープできれば鬼に金棒。400キロ前後の小柄な牡馬ながら、破壊力はワタリシンセイキにもヒケを取らない。
逆転筆頭はセンリグランピー。なぜか昨年の岩手2歳有力馬は追い込みタイプが多かったが、こちらも同様の脚質。門別遠征の岩手・北海道交流「岩手山特別」ではポツンと最後方から直線一気に伸びて2着に食い込んだ。
ただエンジンの掛かりが遅いため着順がムラ。今のところ重賞では金杯の4着が最高だが、マヨノエンゼルより馬格があり、2月にJRA挑戦(10着)で揉まれてきたのが強調材料。この一戦を使われた強みを全面に大勢逆転を狙う。
マルブツコンバットは父サッカーボーイ、母父ビワハヤヒデで現役時代の活躍を知っているファンは思わず肩入れしたくなるような血統。
いまだ1勝のみだが、着外に沈んだのはわずか1回。それ以外は芝ダートを問わず、堅実に入着を果たしているのが最大のセールスポイント。レース運びも巧みで終いもしっかり。マヨノエンゼル、センリグランピーは展開によって末脚が不発に終わることもあり、その場合に漁夫の利を得る可能性も十分ある。
リリーミッションは牝馬ながら470キロ前後の好馬体。デビューが11月と遅かったため4戦でシーズンを終了したが、これは無理をさせたくないとの陣営方針から。2勝はいずれもスケールが大きく、今年秘かに注目している1頭だ。
以下、仕上がり上々クラサッキー、逃げ一辺倒の脚質から脱皮したアイビーを連下押さえ。
◎ ?マヨノエンゼル
○ ?センリグランピー
▲ ?マルブツコンバット
△ ?リリーミッション
△ ?アイビー
3連単は3、4の1、2着折り返しから6、8、1流し
馬複は3−4、3−6、3−8、2−3
<お奨めの1頭>
7レース キョウエイノーブル
活きのいい4歳馬がそろい激戦必至だが、ここはキョウエイノーブルのスピードが一枚上と見る
12日の水沢競馬場にトウケイニセイがやって来ます。
通算成績43戦39勝、93年から95年にかけて岩手競馬の頂点に立っていた、いや日本のダート界の頂点に立っていたと言っても過言ではない馬です。
自分がトウケイニセイを知ったのは、既に十分に強くなっていた頃の事。ちょうど、一つ前の世代、スイフトセイダイとグレートホープの『SG時代』からトウケイニセイとモリユウプリンスによる『TM時代』に変わろうとする頃でした。
当時は岩手に住んでいなかったので、競馬ブックとか、たまに見るレース映像とかでその強さを感じるのみ。生のニセイの姿を見たのは現役最終年の95年だけ。それでもトウケイニセイという馬の存在は自分の中でとても大きく、例えて言うならばDNAに刻まれた原初の記憶のようなものになっています。
この馬がいなければ、この馬のことを知らなければ、恐らく私は地方競馬というものに関心を持たずに終わっていたでしょう。
そんなニセイももう22歳。岩手で余生を送るべく北海道を離れ、あわせて水沢競馬場でお披露目をする事になりました。年が年だけに、競馬場に姿を現すのはこれで最後になるのではないでしょうか。
お披露目は12日の6Rと7Rの間、7Rの馬がパドックを離れてから行われます。ネット中継などでも流されると思いますので、トウケイニセイの姿をぜひご覧になってください。
さあ、いよいよレギュラーシーズンラストとなりました。月曜メインは重賞『トウケイニセイ記念』。オープン級・マイルの戦いです。
このトウケイニセイ記念では、過去8回中1番人気が連を外したのは第1回のみ、その後の7年はすべて1番人気馬が連対中。2番人気馬も強くて8年連続馬券対象になっており、第2回から第8回までの7回の馬複平均配当は264円(注・第3回は7頭立てだったため枠複の配当で計算)という「超」堅いレース。
それが今年はどうなるか。混戦といわれるシーズンではありますが、しかし過去、同様に“混戦”と言われた年でも結果は堅く収まっている訳で・・・。
いや、今年が過去と違うのは“軸はこれで絶対”という馬がいないこと。テンショウボスやトニージェントのような信頼を置ける軸馬は不在。今年は過去にない波乱も十分にあり得るのではないでしょうか。
そんなことを思いながら今回の本命は(5)リュウノツバサを狙います。桐花賞は8着に終わりましたが、しかし鼻出血明けを一度叩いた段階ながら雪のため満足な調教も出来ず・・・ということではあの結果も致し方なし。今回は追い切りも出来、上積みは期待できます。距離短縮も好条件。対古馬オープンでも差はないはず。
対抗は(8)ヤマニンエグザルト。今季は様々な条件で活躍し、岩手の看板を背負って戦ってもきました。桐花賞2着の勢いは持続中、マイルはもちろんお手の物。問題は鞍上がどうなるかだけ。テン乗りだと辛い馬だけにそこが心配。
そして(7)アンダーボナンザ。秋以降の成長ぶりは見事で、以前よりもはるかに安定して力を出すように。白嶺賞優勝も決して恵まれたとは思えず、ここでも勝ち負けを争って良いはず。
(6)オウシュウクラウンは絶好の調整を経て挑んできます。前走だけで復活とは言い切れないでしょうが、再度の先行策が採れるならチャンスもあるか。
気になるのが(9)マイネルアンセム。基本は芝馬ですが田んぼ馬場専用でもなさそう。とにかく最近は自在に動いてきます。ここ3戦くらいに走れるなら上位食い込みがあってもおかしくないのでは。
●買い目
馬単(5)=(8)、(5)=(7)、(8)=(7)、(5)=(6)、(5)=(9)
◆お奨めこの一頭
5R:アマデウス
年は取ったが地力はやはり高い。パワータイプ向きコースはもってこい。
11日(日)メイン10レース(この日と明日12日は全11レースで実施)はC1級馬による水沢1600m戦「第2回アテルイ賞」。
アテルイとは平安時代初期の蝦夷(えみし)の軍事指導者で、789年に胆沢(現奥州市周辺)に侵攻した朝廷軍を撃退したが、坂上田村麻呂に敗れて降伏。その後、京都で処刑された古代東北の抵抗の英雄。
主軸はアルカイクスマイル。中央5戦0勝2着1回の成績から北海道へトレード。移籍1戦目に初勝利を飾り、2戦目3着を経て岩手入り。初戦は2着だったが、続くレースで直線抜け出しを決めて快勝した。
中央時代の二ケタ着順はすべて芝レース。ダート戦で動きが一変し6、2着と適性あることを証明。前回も好位追走から抜け出したものでダート競馬の理想的な勝ちパターン。今回は好調馬が勢ぞろいし前回のような楽なレースができないかもしれないが、前走の水沢1600mタイム1分41秒9は非常に優秀。2連勝を飾ってシーズンを終了する。
逆転筆頭はシルクライムライト。07年12月に転入後、圧巻の4連勝をマークし将来のオープン候補と期待を集めたが、5戦目の盛岡戦6着後、気性難を解消するために去勢。それで復帰まで6ヶ月半もかかったが、休み明けの前走を逃げ切って快勝。改めて底力を見せつけた。
ただ、ちょっと心配なのは前回マイナス28キロと大幅に体重減。今回、さらに減っているようだと若干割り引きが必要かもしれない。
コスモフェデラーは転入後、着外に沈んだのは4走前・義経賞6着の一度のみ。この時の敗因はいきなり1800mへ距離が延長されたため。その一戦以外はすべて入着を果たす堅実さを誇っている。前回も3番手キープからアッサリ直線抜け出しを決めた。
タイム比較で▲評価としたが、実力は前記2頭とまったく遜色はない。
ベルモントジャイロは依然、底を見せていない。今度はメンバーが一気に強化され、これまでのような競馬はできないと思うが、血統背景がすばらしくこれからも成長し続けそうだ。
以下、前回出遅れを喫しながらも鮮やかな直線一気を決めたマツノアテナ、展開が合うエプソムシャトルも押さえが必要。
◎ ?アルカイクスマイル
○ ?シルクライムライト
▲ ?コスモフェデラー
△ ?ベルモントジャイロ
△ ?マツノアテナ
△ ?エプソムシャトル
3連単は8を1着固定に4、9の折り返し本線。あとは3、10、6を押さえ
馬複は4−8、8−9、3−4、4−10
<お奨めの1頭>
5レース サクラアメージング
前回はキョウエイノーブルを捕らえ切れなかったが、これは勝った相手を誉めるべき。仕切り直しの一戦だ
10日(土)メイン9レースは奥州市職員奥馬(おうま)の会会長杯「第9回初夢賞」(水沢1600m)、12頭立て。
(マイネルティーダ 写真・佐藤到)
各馬のローテーションが微妙に違い、ちょっと難解となったが、主軸にマイネルティーダを指名する。相手なりに駆ける堅実さを身上とし、今季8勝2着3回。
岩手で着外に沈んだのは前々走・ゴールデンステッキ賞7着の一度のみ。この時は距離が1900mへ延長されたのに加え、後方4番手からの競馬。さすがのマイネルティーダでも持ち味を出せずに終わったが、タイム差は0・8秒。目立ちはしなかったが、いつもどおり直線では盛り返していた。
当初、六華賞へ進む選択肢もあったが、距離2000mをさけて自重し、初夢賞へ照準ピタリ。水沢マイル戦はすべて3着以上の安定感を存分に発揮する。
ケイジーウォリアも同じ意味が言え、水沢マイル<2.3.0.1>と抜群の連対率を誇る。岩手転入後、12勝を荒稼ぎし、4走前にはB1格下から赤松杯へ強気の挑戦。その一戦でも0・5秒差4着にまとめたのだが、レースの反動が大きかったようで自己の条件・ひいらぎ賞、G・ステッキ賞で連続8着と凡走。
勢いが薄れてしまったかに見えたが、近2戦2着でひとまず復調。立ち直ったとなれば7戦ぶりの白星を飾る可能性は非常に高い。
サクラアリエルは詰めの甘さに泣いて今季2着5回を確保しながら、いまだ未勝利。距離延長で期待を集めたG・ステッキ賞、六華賞といずれも4着に終わってしまった。しかし実力的には上位に位置し、アッサリあってもなんら不思議はない。
サイレントステージの充実ぶりが目につく。活躍の場が芝のみに限られていたが、銀嶺賞、六華賞と連続2着。ひところ馬体重が410キロ台まで落ちて精彩を欠いていたが、現在440キロ台まで回復。そして今の水が浮く馬場も功を奏して好走につながった。
以下、サイレントステージと同じステップで連続3着テンショウタイヨウ、岩手転入後、初勝利をマークしたパワフルボーイも押さえが必要だろう。
◎ ?マイネルティーダ
○ ?ケイジーウォリア
▲ ?サクラアリエル
△ ?サイレントステージ
△ ?テンショウタイヨウ
△ ?パワフルボーイ
3連単は4、10の1、2着折り返しから6、7へ。あとは8、9を3着押さえ
馬複は4−10、4−6、4−7、4−8
<お奨めの1頭>
8レース ベガブラン
C1昇級戦は4着止まりだったが、メンバーが強かった。今回は強豪不在できっちり勝つ
昨日のこのコーナーで触れたシャンパンスコール、無事優勝しました。
逃げた馬をようやく捉えて1馬身差、という結果ではありましたが、騎乗した小林俊彦騎手によると「初ダートだし右回りも久々。それに飛びが綺麗な馬なので今のようなコース状態ももう一つだったと思います。背中の良さはオープン馬のそれ。これから成長する馬なのは間違いないでしょう」とのこと。まずは1勝を挙げたことを良しとしましょう。
気になる今後ですが、とりあえずJRAに戻る条件の2勝を挙げるまで岩手に留まるとのこと。ただ、3月の特別開催でもう1勝を狙うか、ゆっくり始動させるかは未定だそうです。個人的希望としては岩手の芝で走るところを見てみたい!
4日の田瀬湖賞はC2級の1400m戦。実力馬揃いのC2級、そして各馬にとって走りやすい距離。コース状態も今のままなら脚質による差がそれほど極端ではなく手頃。激戦必至です。
本命は(12)マイネマシェリで行きましょう。前走の圧勝は少々出来過ぎではありましたが、しかしあのスピードがこの馬本来の武器。ここまでの印象だと番手や控えての競馬では良さが出ない感じ。少々無理をしてでも主導権を奪ってしまえば前走の再現も十分。
対抗は思い切って(5)コンゴウフクフクを。前走は逃げて勝ちましたが差す競馬もできます。詰めが甘い甘いと思われていますが、この馬の末の伸びだってここで通用するはず。
(7)オメガユーロスターは前走のマイル特別勝ちで吹っ切れた感。勝った時の相手がやや軽いのが少し気になる点も、前走の勢いには乗っておきたいところ。
(2)マイネルオスカー。なかなか勝ちきれないですが、戦ってきた相手は確かに強かった。1400m戦はプラスになるし、今までの相手関係と比較すればここは楽。
穴なら(3)ノボルシラオキ。やはりこの時期は走ります。前々走は決してフロックではないはず。
●買い目
馬単(12)=(5)、(12)=(7)、(5)=(7)、(12)=(2)、(12)=(3)
◆お奨めこの一頭
7R:ダークリン
メインに出ていても勝ち負けを争えるスピードの持ち主。ここも一気に駆け抜ける。