3歳第一弾の特別「スプリングカップ」(水沢1600m)今年、3歳のレース日程に変更があった。岩手版皐月賞・阿久利黒賞は5月から4月(19日)へ移行。岩手ダービー・ダイヤモンドカップは従来どおり(6月1日)だが、不来方賞は9月(もしくは8月末)から11月(22日)へ大きく移行。大まかで言うが、JRAクラシック戦線とほぼ同じローテーションとなった。
加えて古馬へ一斉編入時期も9月中旬から8月22日へ前倒しされた。これまで冬期間休養をはさむ岩手競馬では、必然的に始動時期も遅くなり、3歳のカテゴリーが他の地区と時差があったが、これも全国的な流れに歩調を合わせたもの。
仮に今回の試みが失敗したら、修正をかければいいだけのこと。試行錯誤の中で競馬は発展し、より良いものが創られるのだから。
さてスプリングカップ。ハイレベル北海道から9戦2勝2着4回のオープン馬トキワノマツカゼが転入し、一気に風向きが変わった。G?・北海道2歳優駿にも駒を進めて7着。このメンバーでは群を抜くキャリアを誇る。
ただネックは、それ以来5ヶ月ぶりの実戦。しかも能力検査でプラス40キロと大幅に体重が増え、どこまで仕上がって出走できるか。村上昌幸調教師の話では「休んでいる間に背(体高)が伸びた。太目は間違いないが、成長も確か。できれば480キロぐらいで出走させたい」とのこと。
村上昌幸調教師は「急仕上げは極力避ける―」の一貫した方針があり、以上のことから対抗=○評価が妥当だろう。
主軸はマヨノエンゼル。2歳時はワタリシンセイキと同じステップを踏み、最後まで歯が立たなかったが、南部駒賞ではアタマ差まで肉薄。展開に恵まれたにせよ、ワタリシンセイキに最も接戦を演じたのがマヨノエンゼルだった。
またワタリシンセイキが不在の2歳A級戦、そして休み明けの前回も圧勝し、ポスト・ワタリシンセイキの座を不動のものとしている。
この2戦の収穫は何といっても前で競馬ができるようになったこと。ワタリシンセイキといっしょのレースではほぼ最後方からだったが、2戦とも4番手を追走。追い出してからの反応もすばらしく、展開に左右されなくなったのが最大の強みだ。
▲は期待も込めてダンストンジール。馬格に恵まれた牡馬で均整も文句なしだが、唯一の欠点がレースに集中したりしなかったり。精神面の幼さがムラな結果につながっていた。この冬場にどこまで成長したか。昨年も記してきたが、大化けする可能性を最も秘めているのがダンストンジールだ。
逆に完成度の高さならセンリグランピー。終い確実に伸びる脚がセールスポイントで前回もマヨノエンゼルの2着を死守した。あとは好調持続クラサッキーを押さえたい。
◎ ?マヨノエンゼル
○ ?トキワノマツカゼ
▲ ?ダンストンジール
△ ?センリグランピー
△ ?クラサッキー
3連単は6、1の1、2着折り返しから3、7、5へ3着流し
馬複は1−6、3−6、6−7、5−6
<お奨めの1頭>
12レース シルクライムライト
去勢効果がこれほどプラスに出るケースも珍しく、復帰後は強いレースで3連勝中。黙って追いかける一手だ
本日4日(土)から2009年度の岩手競馬がスタート。幕開けメインはB1級「岩手日報杯」(水沢1900m)、10頭立て。
勝敗のカギを握るのは1900mの距離だが、ヒカルメイオーが好調度と総合力でカバーする。
(ヒカルメイオー 写真・佐藤到)
10連勝で臨んだ睦月賞だったが、最後の伸びを欠いて3着。敗因はいろいろと考えられる。まずスタートで出遅れて後手を踏んで自分の競馬に持ち込めなかったこと。変則開催だったため12月28日から1月3日の中5日の強行軍だったこと。そして父(キャプテンスティーヴ)はともかく、母父ニホンピロウイナーの血が強く影響し、2000mに泣いたとも解釈できる。
ニホンピロウイナーは現役時代、3年連続で最優秀スプリンターに選出された典型的な快速馬。マイル以下が舞台ならシンボリルドルフでさえ敵わなかっただろうとさえ言われていた。当時、距離体系の整備が始まったばかりでニホンピロウイナーはその先駆け。今ではごく普通に距離適性を考慮しローテーションを組むことができるが、ニホンピロウイナーが道を作ったといっても過言ではない。
以上のことからヒカルメイオーは距離の限界が見え隠れするが、今回は100m短縮され1900mが舞台。おそらくレース運びのうまさで距離を克服できると思うし、前回圧勝したようにB1では実力上位は明白。やはり主軸は動かない。
逆転候補はヒドゥンアジェンダ、ケンタッキーハットの2頭。ヒドゥンアジェンダは岩手での成績がすばらしい。芝ダート、コースを問わずすべて3着以上にまとめ、帰郷初戦の前回も2着を確保した。何といっても水沢1800mで2着に入った実績(1着はダンストンリアル)が光り、逆転首位を狙う。
ケンタッキーハットは通算9勝マーク。2度の3着はそれぞれスターエフェクト、アルディが強すぎたもので仕方なしの結果。前回も絶好枠からあっさり逃げ切った。ここも先手を奪うのはほぼ間違いなく、マイペースからそのまま押し切る可能性もある。
最も1900mを歓迎するのがブラックオーメンだろう。当該距離2戦2着2回とこのメンバーでは一番の実績がある。また前回3着に敗れたが、ヒドゥンアジェンダとの差はわずかアタマ差。距離を味方に巻き返しに転じてまったく不思議はない。
中央3勝、A級でも勝った実績を誇るマイネルアンセム。前回は明らかに重め残りだっただけに、叩かれて絞れてくれば決して軽視はできない。
サイレントカイザーも距離がちょっと微妙だ。昨年終盤から4戦連続で連対中と絶好調をキープしているが、これまでは1800mが最長距離。しかも水沢1800m戦は前回が初連対で3着1回、あとは9、8着と大敗を喫している。前半でいかに楽ができるか、好走のカギはそれに尽きる。
◎ ?ヒカルメイオー
○ ?ヒドゥンアジェンダ
▲ ?ケンタッキーハット
△ ?ブラックオーメン
△ ?マイネルアンセム
△ ?サイレントカイザー
3連単は7を1着固定に2、1、6、10流し
馬複は2−7、1−7、6−7、7−10
<お奨めの1頭>
11レース ヤマニンリボールト
前回はマイネベリンダを深追いしたため、末が甘くなって3着。今度こそ好位抜け出しを決める
29日メインはA級一組「水沢青年会議所杯」(水沢1800m)、8頭立て。今年度の最優秀古馬に選出されたカネショウエリートが出走する。
3歳時まで活躍の場はほぼ芝に限られ、A2級でも頭打ちだったが、昨年は芝ダートを問わず大活躍。6月、B1戦(盛岡ダート1800m)を皮切りに圧巻の5連勝をマーク。一気にオープンまで上り詰めた。その後はトップグループの壁に突き当たったが、4歳の成長度で克服。不良馬場のきんもくせい賞(芝2400m)で初の重賞タイトルを手にし、ついにはファン投票・桐花賞も完勝。遅咲きの血が一気に開花した。
冬期間は完全リフレッシュに専念し、自厩舎で休養。2月中旬から順調に乗り込みをこなし、最終追い切りの動きも上々。好発進を決め、また父メイセイオペラにビッグなプレゼントを贈ってほしい。
オウシュウクラウンは長い長いスランプからようやく脱出。白嶺賞、トウケイニセイ記念2着でようやく復活の手ごたえを掴んだ。休み休みの実戦だったのは、球節に爆弾を抱えていたため。しかし幸いなことに腫れそのものは引かなかったが、患部が固まって落ち着いたから。冬休みもオウシュウクラウンには好都合となり、「納得の仕上がり」と陣営。
カネショウエリートが今年度の最優秀古馬なら、こちらは2年前の年度代表馬。その面子にかけても反撃に転じたいところだ。
ヤマニンエグザルトは毎年コンスタントに結果を出し、これほど長期にわたって活躍する馬も本当に珍しい。昨年も水沢1900mのレコードを更新し、特別2勝。惜しくも重賞には手が届かなかったが、年間を通じて岩手のオープン戦線を支えた。
休み明けもまったく苦にしないタイプで、昨年3月の特別開催でも見事1着。歴戦のキャリアで通算26勝目を狙う。
サイレントエクセルは昨シーズン、まったく不本意な内容に終わったが、一貫して?2の座をキープしてきた実力牝馬。この冬は遠野馬の里へ移動し、坂路で再度鍛えなおしてきたという。この時期は本質的には合わないが、今年は信じられないほどの暖冬。復活の1年を期待したい。
ソーユアフロストは桐花賞で1番人気に支持されたが、案外の10着。しかしこれは中間の降雪でまともな攻め馬ができなかったのが敗因。北上川大賞典3着の実力を持ってすればアッサリあって不思議はない。
◎ ?カネショウエリート
○ ?オウシュウクラウン
▲ ?ヤマニンエグザルト
△ ?サイレントエクセル
△ ?ソーユアフロスト
3連単は5、6、8のボックスが本線。しかし思い切って7、1から入る手も十分
馬複は5−6、5−8、5−7、1−5
<お奨めの1頭>
9レース ワイルドシャトー
園田では未勝利に終わったが、C2では役者が違うとばかり強いレースで完勝。連勝疑わず
28日(土)メインはA級馬による水沢1600m戦「5きげんテレビ3千回放送記念」。岩手県外のファンにはちょっと馴染みの冠だと思うが、これはテレビ岩手(日本テレビ系)で毎週月曜日から金曜日夕方に放映されている地元情報番組。
主軸はメタモルキング。重賞特別では結果を出せないでいるが、平場戦で抜群の安定感を誇り、昨年も3勝2着3回3着3回。トウケイニセイ記念はブービー11着に沈んだのは、いわゆる一線級の壁。果敢に逃げたが、3コーナーで早めに交わされてしまった。
しかしこのメンバーに入れば実力上位は明白。しかも水沢1600m戦は<5.8.3.7>と最も得意とする条件で、ここはきっちり勝ちたいところ。
ただ、ちょっと気になるのは尻上がりに調子を上げていくタイプなので、久し振りがどうでるか。それだけが不安材料だ。
逆転筆頭はエアルーア。中央デビューで9戦して2着2回3着2回のほかすべて入着の堅実派だったが、未勝利に終わって07年11月に岩手入り。A2級で2勝3着1回の成績で中央へ戻ったが、着を拾うので精一杯。再び昨年11月、岩手へ戻ってきた。
初戦は3番手追走のまま3着にとどまったが、2戦目を快勝。スタートで出遅れを喫したが、果敢にハナに立って押し切った。
おそらく中央で勝てなかったのはスピードに対応できなかったから。その点で岩手、特に水沢コースはエアルーアに打ってつけのようで絶好枠から一気押し切る。
ダークマターは中央ダートで4勝マークしたが、2度の長期休養を余儀なくされ、昨年8月、南関東を経て岩手へ新天地を求めてきた。母はビューチフル・ドリーマーカップ(当時:特別で実施)を含め、10勝マークしたパローニアクレスト。
みなさんは昨年のユニコーンSで圧倒的なパフォーマンスを披露したユビキタスのお母さんでお馴染みかもしれない。
ダークマターは岩手未勝利だが、A級のトップグループとも勝ち負けを演じ、赤松杯5着、白嶺賞4着。ここでアッサリあって不思議はない。
ゴールデンクリークは岩手ダービー・ダイヤモンドカップを見事優勝。飛躍が期待された1頭だったが、その後は白星がなく古馬編入後もひと息。案外の結果に終わったものの、最終戦で3着。これで通用のメドが立った。馬体の良さは同世代でも群を抜き、今年こそ重特戦線へ殴り込みをかけてほしい。
トキノプリンセスは中央1勝から昨年転入。当初はA級のペースに戸惑ったが、一戦ごとに良化一途。3戦目のA・B1混合戦で待望の白星をマークした。ゴールデンクリークと同じ4歳。今後の成長も楽しみだ。
◎ ?メタモルキング
○ ?エアルーア
▲ ?ダークマター
△ ?ゴールデンクリーク
△ ?トキノプリンセス
3連単は9、1、2のボックスが本線。あとは7、4を3着押さえ
馬複は1−9、2−9、1−2、7−9
<お奨めの1頭>
6レース デポジットブック
昨年A級馬が最下級C2へ一気に降格。初戦はグリフィンアイズの大駆けに屈したが、2着を死守。叩かれて今度は首位譲れない
月曜のメイン10RはB1級一組の楽天競馬杯。この春競馬が始まって初めてのダート1800m戦です。
この距離では内枠有利、というのは皆さんもご存じでしょうが、今シーズンはコース状態のせいなのか、外枠からダッシュしていって上位争いする、というシーンがしばしば見られます。今回も8頭立てという事で、あまり枠の内外にはこだわらなくて良いのではないかと思います。
この3日間のメインの中でも最上位クラスとあって、B1級からA級まで上位クラスの馬が入り乱れていますが、本命は(5)サイレントカイザーを狙いました。
昨年は一時スランプっぽくなりましたが秋から復調、10月以降の7戦では4勝、加えて掲示板を外していません。確かにここまでの実績として水沢1800mではイマイチ。しかしこの条件で凡走した時は馬の状態や相手関係にも難があった印象で、この距離が長いという事はないはずです。ここは素直に本命視で。
対抗は(6)マイネルアンセム。A級でカネショウエリートを破ったのは見事。重賞では全くでしたが平場では安定してきており、基本的には好調サイクルに乗っているのでしょう。この距離も手頃なはず。
(2)サクラアリエルは水沢中距離の鬼といっていい存在。この馬の場合、ポイントは馬体重で、きっちり力を出すには少なくとも480kg台前半に絞れている事が必要です。休み明けで手頃な体重に落ち着くかどうか?が微妙な点ですが、ここまで乗り込みも順調のようですし、そこさえクリアできているなら上位争い。
あとは、ですが、まず(4)アルディ。この馬にとっては1800mは気持ち長い気がしますが、日曜の雨で渋り気味のコース状態が味方になれば。
転入2戦目の(1)シグナルパス。前走の1番人気3着という結果をどう見るか。私は、やや気合い先行気味で折り合いに苦しんだ分伸びを欠いた、という印象でした。ただ、前回は外枠だった分でそうなったのかもしれず、この枠ならば折り合える、と期待しても良いでしょう。
●買い目
馬単(5)=(6)、(6)=(2)、(5)=(1)、(5)=(4)、(6)→(2)
◆お奨めこの一頭
6R:アマデウス
微妙にクラスが下がって相手関係は引き続き楽。短い距離にも全く苦手感無く、冬休みを挟んでの連勝濃厚。