10日(土)メイン9レースは奥州市職員奥馬(おうま)の会会長杯「第9回初夢賞」(水沢1600m)、12頭立て。
(マイネルティーダ 写真・佐藤到)
各馬のローテーションが微妙に違い、ちょっと難解となったが、主軸にマイネルティーダを指名する。相手なりに駆ける堅実さを身上とし、今季8勝2着3回。
岩手で着外に沈んだのは前々走・ゴールデンステッキ賞7着の一度のみ。この時は距離が1900mへ延長されたのに加え、後方4番手からの競馬。さすがのマイネルティーダでも持ち味を出せずに終わったが、タイム差は0・8秒。目立ちはしなかったが、いつもどおり直線では盛り返していた。
当初、六華賞へ進む選択肢もあったが、距離2000mをさけて自重し、初夢賞へ照準ピタリ。水沢マイル戦はすべて3着以上の安定感を存分に発揮する。
ケイジーウォリアも同じ意味が言え、水沢マイル<2.3.0.1>と抜群の連対率を誇る。岩手転入後、12勝を荒稼ぎし、4走前にはB1格下から赤松杯へ強気の挑戦。その一戦でも0・5秒差4着にまとめたのだが、レースの反動が大きかったようで自己の条件・ひいらぎ賞、G・ステッキ賞で連続8着と凡走。
勢いが薄れてしまったかに見えたが、近2戦2着でひとまず復調。立ち直ったとなれば7戦ぶりの白星を飾る可能性は非常に高い。
サクラアリエルは詰めの甘さに泣いて今季2着5回を確保しながら、いまだ未勝利。距離延長で期待を集めたG・ステッキ賞、六華賞といずれも4着に終わってしまった。しかし実力的には上位に位置し、アッサリあってもなんら不思議はない。
サイレントステージの充実ぶりが目につく。活躍の場が芝のみに限られていたが、銀嶺賞、六華賞と連続2着。ひところ馬体重が410キロ台まで落ちて精彩を欠いていたが、現在440キロ台まで回復。そして今の水が浮く馬場も功を奏して好走につながった。
以下、サイレントステージと同じステップで連続3着テンショウタイヨウ、岩手転入後、初勝利をマークしたパワフルボーイも押さえが必要だろう。
◎ ?マイネルティーダ
○ ?ケイジーウォリア
▲ ?サクラアリエル
△ ?サイレントステージ
△ ?テンショウタイヨウ
△ ?パワフルボーイ
3連単は4、10の1、2着折り返しから6、7へ。あとは8、9を3着押さえ
馬複は4−10、4−6、4−7、4−8
<お奨めの1頭>
8レース ベガブラン
C1昇級戦は4着止まりだったが、メンバーが強かった。今回は強豪不在できっちり勝つ
昨日のこのコーナーで触れたシャンパンスコール、無事優勝しました。
逃げた馬をようやく捉えて1馬身差、という結果ではありましたが、騎乗した小林俊彦騎手によると「初ダートだし右回りも久々。それに飛びが綺麗な馬なので今のようなコース状態ももう一つだったと思います。背中の良さはオープン馬のそれ。これから成長する馬なのは間違いないでしょう」とのこと。まずは1勝を挙げたことを良しとしましょう。
気になる今後ですが、とりあえずJRAに戻る条件の2勝を挙げるまで岩手に留まるとのこと。ただ、3月の特別開催でもう1勝を狙うか、ゆっくり始動させるかは未定だそうです。個人的希望としては岩手の芝で走るところを見てみたい!
4日の田瀬湖賞はC2級の1400m戦。実力馬揃いのC2級、そして各馬にとって走りやすい距離。コース状態も今のままなら脚質による差がそれほど極端ではなく手頃。激戦必至です。
本命は(12)マイネマシェリで行きましょう。前走の圧勝は少々出来過ぎではありましたが、しかしあのスピードがこの馬本来の武器。ここまでの印象だと番手や控えての競馬では良さが出ない感じ。少々無理をしてでも主導権を奪ってしまえば前走の再現も十分。
対抗は思い切って(5)コンゴウフクフクを。前走は逃げて勝ちましたが差す競馬もできます。詰めが甘い甘いと思われていますが、この馬の末の伸びだってここで通用するはず。
(7)オメガユーロスターは前走のマイル特別勝ちで吹っ切れた感。勝った時の相手がやや軽いのが少し気になる点も、前走の勢いには乗っておきたいところ。
(2)マイネルオスカー。なかなか勝ちきれないですが、戦ってきた相手は確かに強かった。1400m戦はプラスになるし、今までの相手関係と比較すればここは楽。
穴なら(3)ノボルシラオキ。やはりこの時期は走ります。前々走は決してフロックではないはず。
●買い目
馬単(12)=(5)、(12)=(7)、(5)=(7)、(12)=(2)、(12)=(3)
◆お奨めこの一頭
7R:ダークリン
メインに出ていても勝ち負けを争えるスピードの持ち主。ここも一気に駆け抜ける。
3日の水沢競馬6Rに、なんとも驚きの馬が出走します。その名はシャンパンスコール。カジノドライヴの帯同馬としてアメリカに遠征した馬です。
このシャンパンスコール、アメリカでも好走したものの格付けとしては「JRA未勝利」。この岩手移籍は当然、こちらで勝ってJRA復帰するという路線をにらんでのもの。
こうしたJRA未勝利馬が地方競馬で走って復帰するためには、地方で『2勝』もしくは『5戦1勝以上』という条件をクリアしなくてはなりません。
シャンパンスコールほどの力があれば、この条件をクリアするのはさほど苦にならないでしょう。しかしここで問題が。通常、JRA未勝利馬はたいていC級に入ってくるのですが、この馬は新馬戦3着やアメリカでの賞金などもあるため、B級に組み込まれてしまったのです。
いや、B級でも力は足りる。問題はそれではなく出走回数の方。岩手競馬は今開催でひとまず冬休みに入るため、例え3日に勝っても、次の出走機会は3月になってしまうのです。
じっくり待ってもらって盛岡の芝で走るのを見てみたい、とは思うのですが、そうもいかないでしょう。とりあえず2勝するまで今後も岩手に残るのか、それともさらに他所へ移籍するのか。非常に気になるところです。
年明けの3日間開催、2日目。睦月賞はダート2000mのレースです。ほとんどの馬はこの条件の出走経験が無く、またレース間隔が詰まっていたり、コース状態も変わりやすかったりと微妙な要素が多い印象。
ただ、出走各馬とも最近の調子は悪くなく、それぞれ力は出せるでしょう。距離は皆どっこいどっこい。となると、最近の力関係のままに、基本的には順当と思って組み立てるのが良さそう。
ということで本命は(6)ヒカルメイオー。あまりにも順当すぎますが、10連勝中の馬に無理に逆らうこともない。コース状態や展開がどう変わっても自在に乗り切れるだろうし、気になるとすればここのところのレース間隔の詰まり方ですが、よほどの馬体重変動でもない限りそれも問題ないでしょう。
対抗は(2)エアテムジンでどうでしょう。取りこぼしやすい印象があった1400m以下に比べるとマイルになって安定感があります。半兄はダービー馬、この距離で意外な変身あってもいいはず。
(4)ジェドはブリンカーを付けて大変身。元々B2級上位の馬だけに、こうなると軽視できません。ただ、1800mあたりの距離はわりと正攻法になりやすい馬“意表を衝いた一発”はないのかも。
(10)コスモスパングルはJRA時代に芝2000mで2勝しており距離不安は無し。また、今週は芝馬が好走する例が多く、この馬には有利な状況にあります。(3)ジェドバトラーにとってはこの距離は長いでしょうが、しかし最近の勢いには注目。先行しそうな馬がやや頼りないだけに、この馬が差し込んでくるチャンスもありそうです。
●買い目
馬単(6)=(2)、(6)=(4)、(2)=(4)、(6)→(10)、(6)→(3)
◆お奨めこの一頭
6R:シャンパンスコール
ややクラスはキツイが、この馬なら楽に突破。ここはなんとしても勝ちたいレースだ。
新年明けましておめでとうございます。本年も岩手競馬をよろしくお願いします。
1月2日(金)は大晦日の桐花賞と同様、毎年恒例となった明け3歳馬による重賞「第35回金杯」(水沢1600m)。
今年はワタリシンセイキの、ワタリシンセイキによる、ワタリシンセイキのための金杯。死角まったくなしの大本命となった。
ダート戦は水沢、盛岡を問わず6戦無敗。2歳ダートの重賞・特別を総なめにし、この金杯を勝つとと完全制覇。社台スタリオンステーションから種牡馬ダンスインザダークの配合権利プラス、三冠ボーナス300万円が競馬組合から提供され、陣営も俄然、力が入る。
ワタリシンセイキの最大特長は、いい脚を長く使えること。前半は最後方に待機し、水沢なら2コーナー過ぎから鞍上・関本淳騎手がゴーサインを出すと、矢のように反応。アッという間に前にいた馬をすべて駆除し、ゴールまで突き抜けてしまう。
しかもダート戦で最も肉薄されたのは南部駒賞=マヨノエンゼルの首差だったが、今回マヨノエンゼルは自重。関本淳騎手が「後ろから来る馬が一番怖い」と日頃から語っていたように、追い込み馬ながら自分で競馬を作るワタリシンセイキにはマヨノエンゼルが最も強敵。その馬が不在とくれば負ける要素は本当に見当たらない。
相手も順当にダンストンジール。デビュー戦の芝1000mを圧勝し、若鮎賞(盛岡芝1600m)も完勝。その一方で同じ芝1600m・黄菊賞8着、父がウイングアローならダートもってこいと思ったビギナーズカップ、りんどう賞でいずれも5着に敗れ、期待を裏切ることも多々。
これはダンストンジールの精神面の問題だった。470キロ台の馬格を誇り、均整の取れた体は父ウイングアロー以上。ところがレースに集中しないときが間々あり、それが凡走要因だった。
しかし若駒賞以降はレースに集中力が出て安定した取り口を披露。ただ相手がワタリシンセイキだったから白星に恵まれなかっただけで、一戦ごとに成長しているのは確か。寒菊賞と同様、早めにスパートをかけて2着は是非とも死守したい。
マサノシャルナは北海道1勝オープン。現役馬セールで購入し、鳴り物入りで転入し、初戦から注目を集めたが、なんとマイナス23キロで出走。これはセール直後に長距離輸送で岩手へ入り、水沢の移動でも体重が減ったため。
いかに牝馬とはいえパドックでも明らかに細く、これでは着すらも厳しいかと思った。結果は0・3秒差3着。格下相手に3着は評価が微妙だが、大幅減の馬体重を考えればむしろ健闘の部類。
今回は輸送にも慣れ、コースも2度目でエンジン全開といきたいところだ。
以下はワタリシンセイキが早めに動いた場合、そのラインに乗れるセンリグランピー、先行力と渋太さが身上トウホクビジンを押さえたい。
◎ ?ワタリシンセイキ
○ ?ダンストンジール
▲ ?マサノシャルナ
△ ?センリグランピー
△ ?トウホクビジン
3連単は3を1着固定に7、8の折り返し本線。あとは4、2を押さえ少々
馬複は3−7、3−8、3−4、2−3
<お奨めの1頭>
5レース フェスティブムテキ
前回は水を開けられた2着だったが、これは相手を誉めるべき。今度こそ首位奪回
31日(火)メインは岩手版グランプリレース「第34回桐花賞」(水沢2000m)。このレースの優勝馬主には社台スタリオンステーションから種牡馬ファルブラヴの配合権利が与えられる。
何度か記してきたが、今年の岩手オープン戦線は主役不在のままでシーズンラストへ突入。これほど大混戦の1年も珍しかったが、さらに拍車がかかったのがサイレントエクセル、オウシュウクラウン、トーホウライデンの回避。この3頭が仮に出走すれば人気の一角を間違いなく形成したはずで、なんとも残念な限りだが、逆にどの馬が勝っても不思議がない一戦となった。
(阿久利黒賞ゴール 1着・リュウノツバサ=外 写真・佐藤到)
迷いに迷った結論は3歳馬リュウノツバサ=◎。今年の3歳クラシック戦線の主役を演じ、一冠目・阿久利黒賞を優勝。ダイヤモンドカップは折り合いを欠いて3着、不来方賞は伏兵ピンクゴールドの強襲に遭って0・1秒差2着。結局、重賞タイトルは1つのみとなったが、課題だった距離もインに入れ、うまく折り合いをつけることで克服。現時点で3歳トップは誰もが認めるところだろう。
また古馬初挑戦となった赤松杯でもコンバットキックの3着を確保したが、レース中に鼻出血が発生。ご存知の方も多いと思うが、人間と違って鼻でしか呼吸できない競走馬にとって大事件。競馬規定によって30日の出走停止を課せられてしまった。
そして赤松杯から約1ヵ月半を経て前回・A1戦で復帰。実はこのとき、菅原勲騎手はリュウノツバサ初騎乗。レースをじっくり見ていたのだが、外を追走して道中は掛かり気味。元々が気のいいタイプで前半、脚を使ってしまって末をなくすのが敗戦パターン。それでもメタモルキングにタイム差なし2着を確保したのだから、実力は推して知るべし。
その一戦を叩かれて上昇必至だろうし、人気を背負うであろうソーユアフロスト、ヤマニンエグザルトの負担重量が57キロに対し、3歳は56キロ。たかが1キロでも最後の最後になればハンデ差が少なからず生きてくるに違いない。
付け加えるなら、リュウノツバサは競り合いになると抜群の勝負根性を発揮する。赤松杯でも接戦に持ち込んで3着を死守した。
逆転筆頭はソーユアフロスト。中央6勝すべてが芝でマークした馬だが、岩手転入後はダート1本でレースを消化。すずらん賞、青藍賞と2着に入り、南部杯7着。その後、一息入れて北上川大賞典に駒を進め、1番人気に支持されたが伸び切れず3着。
レース後、管理する佐藤雅彦調教師に話を聞いたところ、桐花賞から逆算すると北上川大賞典がベストと判断して使ったとのこと。どうやら南部杯後のローテーションを早々と決めていたようだ。
芝とダートはまったく別物だが、2000mはソーユアフロストに最も合う距離。桐花賞に照準をピタリと合わせ、待望の重賞タイトル制覇に意欲満々で登場する。
ヤマニンエグザルトは毎年、活躍の時期は春と秋以降に限られていたが、今年は1年を通じて活躍。水沢1900mレコード更新であすなろ賞優勝、すずらん賞を驚異のタイムで制するなど、とても8歳とは思えないほど元気一杯だ。惜しむらくは重賞勝ちがない点だが、それを補うに十分の充実した中味を誇っている。
前回のA級戦も当然のように快勝。中7日のきついローテーションだが、一連の成績から主軸視も十分可能だ。
カネショウエリートは今年6勝マーク。2、3歳時にわずか2勝馬がひと皮もふた皮もむけ大飛躍を遂げ、きんもくせい賞で重賞ウィナーの仲間入りも果たした。北上川大賞典5着、前走・A級戦2着はちょっと物足りないが、今度の2000mは合いそうだし、展開もカネショウエリート向き。重賞2勝なら年度代表馬の有力候補にもなるだろう。
同じメイセイオペラ産駒ジュリアは逃げ一辺倒に加え、距離は明らかに長いが、スンナリの流れに持ち込めば渋太さを発揮。ただ、牡馬一線級に入ると選の細さは否定できない。
◎ ?リュウノツバサ
○ ?ソーユアフロスト
▲ ?ヤマニンエグザルト
△ ?カネショウエリート
△ ?ジュリア
3連単は8、7の1、2着折り返しから2、3へ。また2、3から入る手も十分あり得る
馬複は7−8、2−8、3−8、2−7
<お奨めの1頭>
9レース ケイジーウォリア
2戦凡走で勢いと待ったかと思ったが、前回2着で払拭。メンバーにも恵まれ今季12勝目をゲット