今年で36回目を迎える伝統の「南部駒賞」(2歳オープン地方競馬全国交流 水沢1600m)。2000年(第28回)から東北交流で実施され、04年(第32回)から全国の地方競馬に門戸を開放。同年、スマートシェーブ、翌年05年(第33回)モエレスターダムと北海道勢が2連覇を達成。昨年は地元トーホウノゾミが優勝し、クビ差2着に北海道のライトオブマリアが入った。
今シーズンもホッカイドウ競馬はハイレベルを誇り、先週のJRA・ファンタジーステークスで同地区出身イナズマアマリリスが優勝、船橋重賞・平和賞はチョットゴメンナ。またJpn?・エーデルワイス賞はアンペアが制し、ブリーダーズゴールドジュニアカップはワンダフルクエスト、そしてハート王子マサノウイズキッドなど活躍馬がずらり。
そして今回、アラベスクシーズ、モエレオフィシャルの2頭が殴り込みをかけてきた。アラベスクシーズはこれまで3戦2勝2着1回。表舞台は今度が初めてだが、2連勝はそれぞれ2着に1・4秒差、0・7秒差で圧勝。このスケールの大きさが最大の魅力だ。鞍上は五十嵐冬樹騎手。
一方のモエレオフィシャルはただ今、売り出し中のゴールドヘイロー産駒。これまで7戦2勝2着1回。着外に2度沈んだが、これは1000m、1200mの忙しい競馬が合わなかったため。前回は1700mを舞台に見事な直線抜け出しを決めて快勝。距離1600mは望むところだろう。鞍上は久々に水沢参戦、小嶋久輝騎手だ。
この2頭によるワン・ツーフィニッシュの可能性も高いが、岩手も切り札ワタリシンセイキが満を持して登場する。芝も決して合わない訳ではないが、4着が最高。しかしダートに替わると動きが一変し、目下4戦4勝と無敗を誇っているだけではなく、すべてワンサイドで圧勝。
前回は初の盛岡ダート戦に加え、隣にいた馬がヨレて接触のアクシデント。落鉄の不利も重なり、普通なら着すらない状況だったが、逞しい精神力で克服。3コーナーでエンジン全開するや、いつもどおり前にいた馬をごぼう抜き。4コーナーで早くも先陣に取り付け、直線で後続を突き放す一方。とても2歳とは思えないケタ違いの強さで勝利をもぎ取ってしまった。
ワタリシンセイキのセールスポイントはいい脚を長く使える点。水沢なら向正面からゴーサインを出すとすばやく反応。行き脚がつくとアッという間に捲くりを決め、ゴールでは余裕たっぷり。果たしてハイレベル北海道相手に、このロングスパートが爆発するか期待を込めて注目してみたい。
ダンストンジールは個人的にだが、非常に高いフリーハンデをつけている。デビュー戦の芝1000mをハイタイムで逃げ切り、ウイングアロー産駒ならダートでさらに真価発揮だろうとビギナーズカップ(水沢1400m)で◎をつけたが、中団のまま5着。続くりんどう賞もワタリシンセイキに完敗を喫して5着。
ところが芝に替わった若鮎賞を強いレースで勝って2勝目。これで軌道に乗ったと思いきや、同じ芝・黄菊賞で8着凡走。気になって村上忍騎手に聞いてみたら「精神的にまだまだ子ども。道中遊んでみたり、集中力を欠いたりするが、スケールは大きいはず」と。
その裏づけが前走・若駒賞2着で、ダートが決して悪い訳ではない。将来性は間違いなくA級候補を見ている。
あとは遠征の反動次第だが、門別・岩手山特別で2着センリグランピー、能力劣らないテンショウスズランが連下。
◎ ?ワタリシンセイキ
○ ?アラベスクシーズ
▲ ?モエレオフィシャル
△ ?ダンストンジール
△ ?センリグランピー
△ ?テンショウスズラン
3連単は1、8、12の3頭ボックスが本線。あとは1を1着固定に8、12、3
馬複は1−8、1−12、8−12、1−3、1−7
<お奨めの1頭>
6レース スターエフェクト
目下7連勝中と破竹の進撃。展開構わず今回も豪快に突き抜ける
15日(土)メイン9レースはC2級「第8回胆沢川賞」(水沢1800m)、10頭立て。主軸はトーセンダズル。中央2戦0勝から今年7月に転入。初戦は仕上がり途上だったため5着に敗れたが、一度叩かれて気配が一変。圧巻の5連勝を飾った。
前回・猊鼻渓賞でも果敢に逃げ、ジャンドゥーヤにアッサリ交わされたが、2着を死守。そのジャンドゥーヤは転入後すべてワンサイドで圧勝。すでにB級でも勝ち負けできる出色のタイムをマークし続けるほどの実力馬。それを考えれば2着でも評価は決して下がることはなく、相手が手頃の今回は巻き返し必至と見るべきだろう。
あえて不安材料を捜せば距離が一気に延長されて1800m。これに戸惑わないかだが、逃げ一辺倒の脚質でもないし、折り合いもつくタイプ。仮に1枠からクロシェレースが逃げたとしても2番手はキープできそうで勝機がっちりと掴む。
相手筆頭はベガブラン。中央未勝利に終わったが、ダート1700m戦を2回、また芝でもマイル以上をずっと使われて距離延長は望むところ。しかも前回、2ヶ月半ぶりの実戦だったにもかかわらず2着と上々の滑り出し。ひと叩きされた上昇度も見込めば主力扱いでもなんら不思議はない。
クロシェレースは中央5戦0勝から転入。移籍直前のレースでは札幌芝1800m戦で8着ながら0・5秒差にまとめ、初戦アッサリ逃げ切って完勝。幸先のいいスタートを切った。ただ同日、猊鼻渓賞でトーセンダズルが水沢1400m1分29秒3に対し、クロシェレースは1分30秒1。ここに一叩きされたベガブランが割って入ると考え、▲評価とした。
以下はちょっと水を開けられた印象だが、落馬中止後の前回を3着にまとめたシャルルドミル、格の底力に期待パワーポリティクスが連下押さえ。
◎ ?トーセンダズル
○ ?ベガブラン
▲ ?クロシェレース
△ ?シャルルドミル
△ ?パワーポリティクス
3連単は3、6、1のボックス本線。あとは3を1着固定から2着流し
馬複は3−6、1−3、3−7、3−9
<お奨めの1頭>
8レース エアテムジン
ここ2戦は足踏み続いたが、地元水沢は抜群の安定感。今季4勝目はほぼ手中に入れた
先週の月曜日、最終レース。ノーウォーリーズに騎乗していた沢田盛夫利騎手が落馬・競走中止となりました。その様子を見る限り、これはかなりの怪我だろうと心配していたのですが・・・。沢田騎手、金曜の能力検査からいつも通りに騎乗していました。日曜は勝ち星まで挙げちゃって。
「痛い事は痛いんだけどね。派手に落ちたから(騎乗)投票してもらえないかと思ってたら“乗れるか?”って聞かれたからさ、“乗ります!”ってね(沢田騎手)」
・・・騎手というのは本当に鉄人揃いです。
実は私、ちょうどその時、落馬事故の一部始終を写真に撮っていたんですよ。馬がトモを滑らせて沢田騎手が落とされて、後続馬に引っかけられて・・・の一部始終を。
今日、沢田騎手に「実は・・・」とその話をしてみたんです。“そんな写真、見たくない”と言われるかと思いきや、返ってきた答えは「え、ホント!?見せて!」。
デジカメのモニターで見ながら沢田騎手、「あー、トモが滑ったんだ。俺はてっきり前脚がパンクしたと思って手綱を引いちゃったんだよな」「勝負服のズボンから背中まですっぱり切れていたのが“なんで?”と思ってたけど、あー、ここで引っかけられたのか」と沢田騎手、感心しながら見入っています。おまけに「後でその写真ちょうだいよ」とまで言い出しました。
撮った方は“もしかしたら人が死んだ瞬間を撮ってしまったかも・・・”と青くなっていたというのに。騎手という仕事は精神もタフでないと務まらないなと、改めて思った次第。
本命は(1)スカイラプターを狙います。前走はマイル戦を圧勝。JRA時代にはダート1700m戦でもそこそこに走っており、距離延長がいきなりマイナスになるとは思えません。そして水沢1800mで最も有利な1枠を引いたのも好材料。岩手では先行して戦っているだけに、この枠を引いた事で大きく勝利に近づいたといえるでしょう。
対抗は(6)ラビットサプライズ。岩手では1400m戦で強さを見せつけていますが、JRAでのデビュー戦に芝1800mを選んだように長めの距離の適性はあるはず。そう思ってみればこの2戦も、勝ったとはいえやや窮屈な感じの戦いでした。この距離で真価発揮かも。
3番手は(3)コスモフェデラー。本格化しつつある今ならこのメンバーでも差はありません。血統的に中距離まででしょうし、この距離が狙い目。
やや穴っぽいところへ狙うなら(7)ロードフラッシュ、(10)コスモレイロウでは。枠順はやや不利、展開の助けも必要でしょうが、ここで力足りないとは思えないし、血統的にはこの距離こそベスト。内枠の馬達の競り合い方次第ではチャンスありと見ます。
●買い目
馬単(1)=(6)、(1)=(3)、(6)=(3)、(1)→(7)、(1)→(10)
◆お奨めこの一頭
4R:ヒカルメイオー
オープンでもやれそうという馬がここに出てくるのは反則。そこそこ強い面々ではあるがモノが違うだろう。相手は2で一騎打ち。
9日(日)メインは3歳以上オープン「第34回赤松杯」(水沢2000m)、11頭立て。このレースの1、2着馬には重賞・北上川大賞典(11月24日 水沢2500m)への優先出走件が与えられる。
今シーズンの古馬ダート戦線は、主役不在のままで冬シーズンへ突入。今回の赤松杯はまさにそれを象徴するかのような大混戦レースとなった。逆の見方をすればどの馬にもチャンスがあり、このレースをズバリ仕留めたファンは最高の快感を味わうと思う。
難解予想に輪をかけるのが展開。おそらく出走ジョッキーもどの馬をマークするか迷うに違いない。ひとまずサクラエキスプレスが先行すると読むのだが、あくまでも芝で逃げているだけ。ダートでは先手はおろか、大差負けの連続。仮にハナに立てたとしてもどこまで持つか、ハッキリ言って疑問だ。
3歳馬リュウノツバサは先行力もあり、逃げた実績もあるのだが、長距離対応が可能になったのは内に入れて砂を被らせてから。前半で折り合いがつくことで距離を克服した。アンダーボナンザにしても近走は差し競馬に徹した2連勝。果たしてどの馬がレースを引っ張り、主導権を握るのか。正直、頭が痛い。
しかし悩んでばかりもいられない。まずは有力馬をヤマニンエグザルト、サンシャインヘイロ、コスモスパーブの3頭に絞ってみた。過去実績、順調度、コース適性を重視するとそうなる。
さて序列。今シーズンの活躍ではヤマニンエグザルトが一歩も二歩もリードしている。5月、あすなろ賞(水沢1900m)をレコード勝ちし、3走前・すずらん賞も優勝。またマーキュリーカップでは岩手最先着の5着に食い込み、短距離重賞・岩鷲賞でもトーホウライデンのタイム差なし2着。これら一連の成績から主軸視が妥当なのだが、南部杯はともかく青藍賞の6着が不満。
結論はサンシャインヘイロ◎。毎年、この季節を向かえるとグーンと上昇し昨年はファン投票・桐花賞でテンショウボスの2着を確保するなどした。逆に暑い夏は精彩を欠き、8月のA級戦1着後、2ヶ月休養。結果これが功を奏し、休み明けの前走を強いレースで快勝した。懸念材料だった体重減も525キロまで回復。しかも大型馬ながら、盛岡より水沢を得意としており2000mの距離も大歓迎。
対抗は前記ヤマニンエグザルト。そしてコスモスパーブだが、昨シーズン岩手在籍時に3連勝マークして特別・すずらん賞も快勝。南部杯出走後、名古屋へ一旦戻り、東海桜花賞でキングスゾーンの2着。またJpn?・かきつばた賞でも6着に善戦した。
4ヵ月半の休養をはさんで岩手復帰初戦で2着。この内容を評価され、前回1番人気に支持されたが、勝負どころでもたついて5着。これがなければ本命視もできたのだが、あえて敗因を求めれば二走ボケと解釈。なおかつ水沢は2戦2勝と相性も抜群で、アッサリ首位まであるだろう。
アンダーボナンザも軽視できない。再転入当時は体調も本物ではなく、ひと息のレースを繰り返していたが、叩かれるごとに良化一途。目下2連勝と絶好調を誇り、コース替わりも後押しする。
みちのく大賞典馬ブラーボウッズ。あのレースは今でも鮮烈でペースが遅くなった2コーナーから一気にスパートをかけて先頭。誰の目にも早仕掛けにしか映らなかったが、そのまま押し切って見事優勝。菅原勲騎手、名勝負、名プレーの一つに加わった。その後、白星がないのが気になるが、混戦になればなるほど騎手の腕がモノを言う。
3歳馬リュウノツバサは冒頭にも記したとおり折り合いに進境度著しい。ここ2戦は4、3着と伸びを欠いたが、これは59キロの酷量が厳しかったから。55キロなら裸同然ともいえる。ただ、古馬経験が一度もない上、いきなりオープン馬が相手。キャリアを考えると今回は押さえ程度に落ち着く。またダートでは16戦連続で連対中という驚異の上がり馬ケイジーウォリアもノーマークにできず、これぞ混戦レースの典型だ。
◎ ?サンシャインヘイロ
○ ?ヤマニンエグザルト
▲ ?コスモスパーブ
△ ?アンダーボナンザ
△ ?ブラーボウッズ
△ ?リュウノツバサ
3連単は4、8、2のボックスをひとまず本線に、4、8の1、2着折り返しからヒモは手広く
馬複は4−8、2−4、4−10、4−7、2−8
<お奨めの1頭>
10レース リバーサイド
浦和遠征を快勝後、白星から遠ざかっているが、相手が強かった。このメンバーなら首位譲れない
8日(土)メイン9レースはB1級「第9回秋嶺賞」(水沢1800m)、9頭立て。
上位拮抗のメンバーがそろったが、主軸はテンショウタイヨウ。前回、JRAとの条件交流・シリウス賞でブービー11着。生涯3度目の着外となったが、敗因は出遅れ。後方2番手を追走してそのままという、抜群の安定感を身上とするテンショウタイヨウらしくない競馬に終始し、不満が残ったのも事実。
しかし今回は9勝マークの水沢へ替わり、しかも水沢1800mの絶好1枠。過去、同条件で3戦2勝3着1回と相性もマズマズ。仮にここで敗戦、もしくは着外に沈むようだと今後に暗雲が立ちこめることになり、陣営も巻き返しに全力投球だ。
逆転筆頭はアルゴ。中央デビューで8戦0勝2着1回の成績で笠松へ移籍。5戦1勝2着2回の成績を残して再び中央入りし、2戦目の新潟ダート1800m戦で2着。これで通用メドが立ったかに見えたが、その後は着外を繰り返して今年9月に岩手入り。
初戦は実績のない芝で6着に敗れたが、2戦目の盛岡ダート1600m戦を快勝。前走・シリウス賞では岩手最先着の3着に入線した。
テンショウタイヨウが出遅れたにせよ11着、対するアルゴは3着。この成績を素直に評価すれば本命視もでき、カギは小回りへの対応だけ。堅実な差し脚を身上とするだけに、直線届かないケースもあるだろう。
ウィンエヴリーは芝、距離適性から3歳特別・ウイナーカップで1番人気に推されたが、直線で伸びを欠いて4着。これは前走比プラス7キロ。元々がコロッとした体型で太めに映るタイプだが、それにしても重め残りは誰の目にも明らかだった。
今回は輸送がない地元競馬。さらに体重増であれば苦しいが、きっちり絞れていれば巻き返しの余地は十分にある。
サクラアリエルは最後の詰めが甘く今季未勝利。しかし牝馬重賞ビューチフル・ドリーマーカップ2着を含めて2着4回。しかも勝ち星すべてが水沢コースに集中しており、コース替わり大歓迎。有力馬がもたつけば割って入るシーンまで。
以下、中央1勝500万下からの転入で初戦4着とマズマズの滑り出しステニスハート、大外は痛かったが、前回快勝で波に乗るアポロパトリオットも圏内に位置。
◎ ?テンショウタイヨウ
○ ?アルゴ
▲ ?ウィンエヴリー
△ ?サクラアリエル
△ ?ステニスハート
△ ?アポロパトリオット
3連単は1、5、6のボックス本線。あとは1を1着固定に5、6、4流しから2、9押さえ
馬複は1−5、1−6、5−6、1−4、1−2
<お奨めの1頭>
10レース ダンストンリアル
前回はアンダーボナンザの僅差2着に敗れたが、これは展開のアヤ。相手さらに楽になった今度こそ首位決める