昨日行われた重賞・青藍賞は3歳馬マヨノエンゼルの優勝で幕を閉じました。この青藍賞、今年で17回目を迎えたレースですが、もともとは「3歳馬が古馬に挑戦する重賞」として作られたものでした。
今でこそ3歳馬が夏頃から古馬重賞に挑戦する、というのも珍しい話ではないですが、青藍賞が生まれた90年代前半は、3歳馬は少なくとも秋一杯は3歳馬(そのころは4歳ですね)同士で戦うものと、地方もJRAも含めてそれが常識とされていました。
地方の重賞では、秋くらいまでは3歳馬が出走できないとか、出られても古馬と同斤量だったとか、そんな規定のレースも少なくなかったです。
そんな時代に作られた青藍賞。第1回にはエビスサクラ・トウホクグラスの2頭の3歳(旧4歳)馬が出走していました。エビスサクラはそこまで11戦10勝、前走となった東北優駿も制した東北No.1。トウホクグラスは大きなタイトルこそ無いものの、そのエビスサクラと互角の戦いをしていました(ちなみにユキノビジンと同期の世代ですね)。青藍賞でもエビスサクラが2番人気、トウホクグラスが4番人気。
しかし結果は、エビスサクラが4着、トウホクグラスが7着。勝ったのはモリユウプリンス、エビスサクラですら勝ち馬から2秒以上離された完敗でした。
エビスサクラとトウホクグラスはその後不来方賞でタイム差無しの激戦を演じ、エビスサクラはダービーGPで3着、暮れの桐花賞でも4着となっていて、決して弱かった訳ではありません。それなのに・・・という結果は、それだけ古馬の壁が高いという事だったのです。
もちろん、8月半ばという時期も早かった。その後の青藍賞は9月や10月に移動しながら行われ、上位に入った3歳馬にはダービーGPの優先出走権を与える、という様な時期もありましたが、結局これまで、3歳馬が優勝することなく来ていました。
マヨノエンゼルはレース史上初の3歳馬による制覇を達成。また、この時期の混合の古馬重賞を3歳馬が制したのも初(注・サイレントエクセルやドリームチャッターが勝った時のB・ドリーマーCは10月頭の実施。アラブではテットテンプーが8月に重賞制覇の例あり)。まさに歴史的な快挙となりました。
この後のマヨノエンゼル、南部杯に向かうかどうかはまだ未定ですが、青藍賞を勝った事でJBCという選択肢も出てきて今後の楽しみが大きく拡がりました。どんな戦いを見せてくれるのか楽しみですね。
対抗は(9)グラスバラードを。現級の安定勢力で、C1の特別戦でも常に好走。力はここでも上位の存在です。全能力を発揮するにはある程度すんなりレースを運びたい。そんなタイプ故、実力拮抗のここでは2番手としましたが、能力発揮なら当然、勝ち負けしておかしくない馬。
3番手は(1)キーボックス。前走の勝利は決して恵まれてのものではないはず。距離短縮もプラス。軌道に乗った今なら前走の再現も。
あとは差し馬から狙ってみよう、という事で挙げるのは(2)ヨークタウンと(10)コンゴウザハリアー。土・日の傾向では基本的に前残りながらもペースによっては差しも届く感じ。ここは先行馬が多いだけに、うまく流れに乗れれば上位に食い込んでくるかも。
◆買い目
馬単(8)=(9)、(8)=(1)、(9)=(1)、(8)→(2)、(8)→(10)
★お奨めこの一頭
8R:ラストトレジャー
前走はいろいろと条件が悪かった。依然先行有利の状況だが、良馬場でこの面々なら巻き返せる。
13日(日)メイン10レースは南部杯(Jpn? 10月12日)トライアル「第17回青藍賞」(水沢1600m)、11頭立て。
当初、クインオブクインの登録があり、出走すれば断然の1番人気に支持されるはずだったが、桜田康二調教師は最終的に回避を選択した。「11日の追い切り後、体調が思わしくないので大事を取って自重しました。ビューチフル・ドリーマーカップからレース間隔もありませんでしたし、無理をすれば今後の競走生活にも影響しますからね。がっかりしたファンも多いと思いますが、クインオブクインのことを最優先に考えての決断です。ご了承ください」とコメントした。
桜田康二調教師の言うとおり、ここで無理をすればファンをもっと悲しませることになる。一日も早い回復を祈りたい。
クインオブクインが不在となり、俄然クローズアップされる存在がマヨノエンゼルだ。ポスト・ワタリシンセイキの重責を務め、岩手クラシック・阿久利黒賞、岩手ダービー・ダイヤモンドカップの二冠を達成。
しかし、それだけにとどまらなかった。古馬編入初戦A級を軽々と突破し、勢いを駆って青藍賞トライアル・すずらん賞へも駒を進め、並み居るオープン一線級を一蹴。それはフロックではないことは水沢1600m1分39秒7の破格のタイムも叩き出した。
これには鞍上・小林騎手も驚きを隠せず、「前走で勝っていたから、ある程度自信をもって挑んだが、こんな勝ち方ができるとは。3キロ差があるにせよ強い内容だったし、タイムも速い。強い相手でもそれなりに走るタイプだろうし、馬自身も成長している。今後も楽しみ」とすずらん賞後、マヨノエンゼルを絶賛した。
今回は古馬57キロの負担重量に対し、マヨノエンゼルは55キロ。すずらん賞よりハンデ差はなくなったが、今の勢いは止められそうにない。
逆転筆頭はダンストンリアル。いわゆる晩成型であまり表舞台に出てこなかったが、昨年の南部杯で6着。実力はお墨付きだったが、裏街道を歩んで確実にパワーアップ。前々走・岩鷲賞で驚異の差し脚で快勝し、ついに重賞タイトルを獲得した。
続くクラスターカップは明らかに距離不足だったが、上がり36秒7を駆使して6着。あと一押しで電光掲示板にも載りそうだった。その後は十分休養を取り、今回の青藍賞へ臨んできた。時に凡走もあるタイプだが、ベストの水沢1600mならマヨノエンゼルを切って捨てる可能性も高い。
カギを握るのがただ1頭の遠征馬リュウノケンシロウ。前走・東京中日スポーツ賞(B2)は北海道二冠馬ブルータブー相手で6着も仕方なし。ハイレベル南関東で通算9勝マークなら十分通用する。
最近の2勝はいずれも逃げ切りだったが、決してハナにこだわるタイプでもない。大外に入ったのはちょっと痛かったが、今の岩手オープンならアッサリあっても不思議はない。
あとはB・ドリーマーカップは出遅れて5着サイレントエクセル、すずらん賞で2、3着を確保グッドストーン、ソフトパワーをひとまず押さえたい。
◎ ?マヨノエンゼル
○ ?ダンストンリアル
▲ ?リュウノケンシロウ
△ ?サイレントエクセル
△ ?ソフトパワー
3連単は3、1、11の3頭ボックスが本線。あとは6、5を3着押さえ
馬複は 1−3、3−11、1−11、3−6
<お奨めの1頭>
4レース トーホウジュエル
目下2連勝中と遅ればせながら、トーホウエンペラー産駒が本格化。ここは連勝を伸ばすのみ
12日(土)メイン10レースはA級二組「食の世界遺産・岩泉短角牛レース」(水沢1600m)、10頭立て。
上がり馬、格上馬が混在してなかなか難しい一戦となった。おそらく人気も割れると思うし、波乱の目も十分に考えられる。
主軸にアサクサロータスを抜擢。逃げ馬の宿命でアッサリ勝つか、大敗かの両極端。シーズン当初は本調子を欠いて凡走の連続だったが、6月のB2戦を皮切りに3連勝マーク。JRA条件交流は流れが速すぎて先手も取れず中団から退いたが、以降は反撃に転じB1・レインボーカップ、A級B1級混合戦と2連勝。勢いを駆ってオープン特別・すずらん賞へ挑戦。ここでも自慢のスピードを前面に果敢に逃げたが、さすがに一線級が相手では楽はできず直線で退いてしんがり負けを喫した。
勝ったマヨノエンゼルの走破タイムが1分39秒7。このハイタイム決着になれば失速も仕方なし。評価ダウンには決してならない。
今回はメンバーがグッと楽になったのに加え、絶好の1番枠。隣枠のメタモルキングも無理に競りかけないだろうし、マイペースの逃げ必至。スイスイ一人旅を決める。
今年の3歳馬はここにきて元気がいい。マヨノエンゼルがオープン・すずらん賞を完勝したほか、古馬編入馬が軒並み活躍。ダンストンジールはここ2戦8着、6着と凡走したが、敗因は明らかに芝。
「2歳の時は訳が分からず、がむしゃらに走っていたが、今はダート向き」と村上忍騎手が語っていたとおり、主戦場はダート。実際、水沢1400mで行われたウイナーカップを快勝。前半は短距離特有のハイペースに戸惑って追走にも手こずっていたが、直線では矢のように伸びて実力をアピールした。
ウイナーCより1ハロンでも伸びることはもちろん大歓迎。本来なら1800m以上の方が合うと思うが、近走のうっ憤を晴らすには格好の舞台となった。
ヒカルメイオーは4月20日以降、白星から遠ざかっているが、これは巡り合わせ。負けても中味は非常に濃く、なんと言ってもJpn?・マーキュリーカップで現時点で岩手トップ評価のクインオブクインにクビ差まで肉薄6着と大健闘した。
ただその反動か、近2走3、4着と欠いているのが気になり▲評価になってしまった。
センリグランピーはサファイア賞で鮮やかな大外強襲を決め、待望の特別タイトルを獲得。追い込み一辺倒の脚質ゆえ、届かないレースの繰り返しだったが、そのうっ憤を一気に晴らした。
パワーを要求されるダートでは持ち味の切れが不発に終わることも多いが、弾みついた今なら古馬A級突破も可能だろう。
あとは常識にかからない面はあってもベストの水沢1600mならメタモルキングの一発大駆けも不思議ではない。
◎ ?アサクサロータス
○ ?ダンストンジール
▲ ?ヒカルメイオー
△ ?センリグランピー
△ ?メタモルキング
3連単は1、8、3の3頭ボックスが本線。あとは3、7、2を3着押さえ
馬複は 1−8、1−3、1−7、3−8、1−2
<お奨めの1頭>
11レース ジーアイジェーン
転入初戦を破格のタイムで快勝。距離がマイルへ延長されたが、おそらく問題にしない
今回は皆さんにおしらせ。暑くなったり寒くなったりと気温の差が激しい岩手ですが、日が短くなって秋が迫っているのはたしか。
という事で、5月からお楽しみいただいた「はくぼ開催」は今日7日をもって終了となり、来週からは1レーススタート時間が早くなります。
例えばこれまで11時30分(もしくは11時45分)だった第1レース発走時刻が10時45分に、16時台後半だったメインレース発走時刻は16時05分(原則・場外発売等によって変動あり)となります。
オッズパークで行っている『指定ポイントレースで最大20%還元」キャンペーンをお楽しみの皆さん、来週からは岩手競馬の1〜3Rの発走時刻が大きく変わりますので十分ご注意ください。これまでの1Rの時間のつもりでネットに繋ぐと、2Rのリプレイか3Rのパドックの映像が出てきますよ!5%分のポイントを損しちゃうのはもったいないですからね。
対抗は先行力が魅力の(3)エイシンアサヒオー。これが転入初戦・おまけに休み明け、やや読みづらいというか計りかねる部分はありますが、しかしここまでの勝ち星のほとんどが逃げ・先行というところが非常に魅力大。ここもソノマンマの出方次第では単騎逃げも可能だし、枠順もそれにもってこいの好ポジション。ここはこの馬の“逃げ”に賭ける手。
思い切って狙ってみたいのが(2)ワラッテオクレヨ。ここ3戦は高速馬場+先行有利の状態で戦わざるを得ず、いつもぽつんと最後方追走からそのまま・・・という姿しか見る事ができませんでした。今の水沢競馬も先行有利の状況ですが、先週までよりはよほど戦いやすいでしょうし、頭数や相手関係も手頃で格上の力だけで押せます。
残り5頭、どうもピリッとしない馬・安定しない馬を外していくと(5)ナムライシスと(8)サイレントステージが残る格好に。ただ、この2頭はどちらもマイルの馬というイメージでこの距離は若干の割引感が。有力どころが距離不安なしに先行して戦える馬だけに、上位に割り込むには展開の助けが必要でしょう。
◆買い目
馬単(7)=(3)、(7)=(2)、(3)=(2)、(7)→(5)、(7)→(8)
3連単 (2)=(3)=(7)のBOX、1頭軸(7)から相手は(2)(3)(5)(8)へ
★お奨めこの一頭
8R:シルクグラディウス
ここまでの成績通り、安定感溢れる走り。前走などもまだ余裕があり、形上は微妙に相手強化になったが全く苦にしないだろう。
6日(日)メインは2歳特別「ビギナーズカップ」(水沢1400m)、フルゲート12頭立て。
主軸はやはりサンデーゴールド。前走・若鮎賞で4着。敗因は初の芝、不良馬場で脚がのめったためと考えれば評価ダウンにはならないはず。
デビュー戦・水沢850mで1枠に入ったが、痛恨の出遅れ。常識的には包まれてしまって凡走のケースだったが、その不利をまったく問題にせず0・4秒差で完勝。2歳馬離れしたレースを披露した。
続く2戦目はフラットリアが快調に逃げたところ、ゴール寸前できっちり交わして2連勝マーク。490キロ前後の恵まれた馬体、スケール大きいレースぶりから一躍、注目の的となった。
血統背景もすばらしい。父は岩手でもおなじみのアドマイヤドンでサンデーゴールドが第一世代、初年度産駒。そして母父アフリートとダートはもってこい。それを考えれば若鮎賞4着も仕方なしとも言え、2戦2勝のダートに戻って雪辱を晴らす絶好のチャンスとなった。
相手筆頭はフラットリア。父ダンディコマンドは現A級・ダンディキングと同じ。その父が名スプリンターで鳴らしたニホンピロウイナーで、恵まれたスピードは父譲り。
ここ2戦は2着に敗れているが、前々走は先に記したようにサンデーゴールドのハナ差。前走はセイントビーナスが先手をアピールし、2番手に控える競馬。結果的に伸び切れなかったのは逃げなかったからかも知れないが、今の時期はいろんな戦法を試してみるのが得策。1400mを経験したことも強みとなるに違いなし。
セイントネイティブを▲評価としたのは前走内容が良かったから。スタートで後手を踏みながら3コーナーから早めまくりに出て4角先頭。最後は一杯となって3着に沈んだが、見せ場たっぷり。一戦ごとにレース勘を身につけており、上位争い必至だ。
ベルデンアインは前走、フラットリアを直線で楽々交わして1着。デビュー戦3着は芝も敗因だったが、距離1000mが短かったようで、1400mへ一気延長をまったく苦にせず快勝した。フラットリアを基準に考えればサンデーゴールドを負かすシーンまである。
アドマイヤドンと同様、今年が初年度産駒プリサイスエンド。子供たちの評判も上々でリュウノムサシも新馬戦をアッサリものにした。またトーホウデートはデビュー戦の芝は5着凡走したが、ダートに替わって動きが一変。父トーホウエンペラーをほうふつさせるレースぶりを披露した。
◎ ?サンデーゴールド
○ ?フラットリア
▲ ?セイントネイティブ
△ ?ベルデンアイン
△ ?リュウノムサシ
△ ?トーホウデート
3連単は11を1着固定に10、4、1流し。あとは7、12を3着押さえ
馬複は 10−11、4−11、1−11、7−11、11−12
<お奨めの1頭>
6レース コスモアポロ前走は水沢1400m戦で1分30秒を切る好タイムで逃げ切り勝ち。ここも一気押し切る