19日(日)メイン10レースは盛岡芝2400mを舞台に行われる「第31回せきれい賞」、12頭立て。注目はもちろんコスモバルク。盛岡遠征は2年前、OROカップ以来2度目となる。
(コスモバルク 写真・佐藤到)
あのときのレースを振り返ってみたい。五十嵐冬樹騎手は前半無理せず3番手を追走。1周1400mの小回りを意識してコーナーワークに最大の注意を払い、安全運転に心がけた。
しかし能力の違いが歴然で3コーナーでオグリホットを馬なりで交わして先頭。ラスト100mで気合いをちょっとつけると後続を突き放す一方。ボスアミーゴも早めスパートをかけ、「本気で勝ちに行った」(菅原勲騎手)が、4馬身前をコスモバルクが楽々走っていた。
当時、馬インフルエンザ渦に巻き込まれ、加えて使うレースがなかったため遠征前に地元重賞・瑞穂賞へ出走。ダート適性がないのは分かっていたが、よもやの3着に敗れていた。
それもあったのだろうコスモバルクがゴールに入った直後、場内はシーンとしていた。無事に走り、負けられないレースをちゃんと勝ってファンはホッとした表情。時間差があって歓声と拍手が起こった。
あれから2年が過ぎ、さすがに衰えを隠せず3度目のシンガポール航空国際カップ6着後、5戦とも大敗の連続。宝塚記念では「押し出される格好で逃げることになった」(田部調教師)が、4コーナー手前で早くも一杯。馬群にどんどん飲み込まれてブービー13着に沈んだ。
今回、せきれい賞を選んだ理由は「勝ち味を思い出させて立ち直るきっかけを何とかつかみたい」ということと「天皇賞・秋トライアルの権利を取りたい」(いずれも田部調教師)の二つ。
不安は「体が重いかもしれない」と「間違いなくスローになるだろうから折り合いがつくかどうか」だという。確かにゴール板を2度通過する2400m。1周目スタンド前がゴールだと錯覚してガンと行きたがる可能性も高いが、そこは初コンビを組む小林騎手がうまく御してくれるだろう。
相手筆頭は盛岡ターフに絶対の自信を持っているボスアミーゴ。3歳時、4歳半ばまではマイル前後がベストだったが、年々ズブさを増している中、今回の2400mが最も合う距離。コスモバルクに折り合いの不安が残るとすれば、つけ入る隙はそこ。OROカップの4馬身差をどこまで詰めることができるか、そして菅原勲騎手は秘かに逆転を狙っているかもしれない。
カネショウエリートは本質的には芝が合わない。村上忍騎手はそう断言している。ただペースがゆったりとする長距離戦向きで芝ダートを問わず不良馬場を得意とする。天気予報では今週末は雨模様だそうだから、陣営は雨乞いをしたいところ。それならばボスアミーゴに先着できる可能性も十分にある。
カクテルラウンジは昨年のオパールカップでリュウノツバサ、ウィンエヴリーに次ぐ3番人気だったが、芝適性を前面に快勝。さすがダイナアクトレスの孫と大向こうを唸らせた。その後、勝ち星から遠ざかっているが、ゲンのいいコースでコスモバルクと同様、復活の手応えをつかみたい。
なかなか軌道に乗れないでいるソーユアフロストだが、中央時代に芝6勝マーク。心機一転を図りたいところだし、同じ意味がコンバットキックにも言える。2年前、オパールCで落馬中止の憂き目にあったハイベットタイム。今度こそそのときの雪辱を晴らしたい。
◎?コスモバルク
○?ボスアミーゴ
▲?カネショウエリート
△?カクテルラウンジ
△?ソーユアフロスト
△?コンバットキック
3連単は9を1着固定に1、3の折り返し本線。あとは5、6、2が3着押さえ
馬複は1−9、3−9、5−9、6−9
<お奨めの1頭>
11レース ドーリーゴンザレス
基本重量55キロだが、騎手ハンデ戦53キロで騎乗は恵まれすぎ。ここ2戦2着はエアメギド相手では仕方なし。今日こそ白星をゲットする
18日(土)メインはA級一組「ブロードバンドカップ」(盛岡ダート1600m)、10頭立て。
カギを握るのはもちろん中央オープンからの転入馬トーセンザオー。短距離1本に絞って芝1200m<6.8.3.18>、ダート1200m<1.1.2.4>。
昨年のG?・ガーネットステークス(中山ダート1200m)でタイセイアトムの0・6秒差5着、同じくG?・オーシャンステークス(中山芝1200m)でプレミアムボックスの0・2秒差6着など実績も申し分なし。おそらくクラスターカップを狙っての移籍と見て間違いない。
7ヵ月半ぶりの実戦に加え、1600m経験は芝で一度のみ。さらには上積みをそれほど見込めない9歳馬など不安材料はあるが、これまでの実績がすべてカバー。好発進を決め、短距離路線の主役を突っ走りたい。
逆転筆頭はメタモルキング。岩鷲賞は逃げたフリーモアを徹底的にマーク。3コーナー過ぎに競り落としてそのまま押し切るかに見えたが、ダンストンリアル、リュウノツバサの強襲に屈してアタマ差、アタマ差の悔しい3着に敗れた。
しかし、大方はメタモルキングが最も強いレースだった―と評価。同馬の渋太さとスピードには舌を巻いた。7歳馬ながら衰えはまったくない、というより老いて益々盛ん。毎回、好勝負を演じて個性派健在を誇示している。
ピンクゴールドは開幕当初、昨年と同様に体重を減らしていたが、徐々に回復。結果はともかく前回430キロまで回復したのが心強い。切れ勝負型のため水沢では末脚が不発のケースも多いが、盛岡ダートは4戦2勝2着2回。3歳重賞・不来方賞優勝を含め、すべて馬券対象も見逃せない。
今季、ダークマターが着外に沈んだのは距離が合わなかった早池峰賞9着だけ。いまだ岩手未勝利と詰めの甘さは解消されていないが、前回も2着確保。引き続きマークが必要。
トキノプリンセスは月1回のローテーションをキッチリ守り、前走は鮮やかな逃げ切りを決めた。レース運びが実にスマートだが、その半面で破壊力がもう一つ。これが強く押せない理由だが、上位争いの一角は譲れないだろう。
あとはハイペースになった際にはハルサンヒコの台頭があるかも。
◎?トーセンザオー
○?メタモルキング
▲?ピンクゴールド
△?ダークマター
△?トキノプリンセス
△?ハルサンヒコ
3連単は10、9の1、2着折り返しから7、4、8へ3着流し
馬複は9−10、7−10、4−10、7−9
<お奨めの1頭>
8レース コスモリュウキ
転入2戦目を2番手キープから直線抜け出して快勝。走破タイムがすばらしく、相手強化も難なく克服する
13日の月曜日は交流戦を含めて特別戦が3レース。今回はその3つのレースの展望を取り上げてみたいと思います。まずはメインレースの11R・ジュライカップから。
★11R/ジュライカップ(B2級 ダート1600m)
なかなか好調な10頭が揃ったレースとなりました。特に前走勝っている馬はどれにもチャンスがあると思うのですが、今回は(4)ベルモントジャイロを主軸とします。
昨冬に転入して12戦を経ながら徐々にクラスを上げてきたベルモントジャイロ。時々ポカのような大敗をするのが玉に瑕ながら、馬の力自体はB2級でも上位のものを持っていると感じます。
転入時期の関係で盛岡戦の経験が少ないものの苦手ではない事は証明済み。そして、前走がタイム差無しながら非常に力強い内容の勝利。勢いに乗っての盛岡戦で躍進の雰囲気が濃厚です。ハンデ+2kgをものともせず特別タイトル奪取のチャンス。
対抗は(2)エクストラポイント。転入初戦の前走が絵に描いたような圧勝。元中央馬といっても実績の多くは地方で積んできた馬ですが、現級通用をはっきりと示しました。左回りもさほど苦手ではないだろうし、前走同様の勝ちッぷりを期待してもいいかも。
三番手も順当に狙って(6)ラビットサプライズ。牝馬ながらここで+2kgを背負わされているというのは、つまりこのクラスで牡馬とも互角以上に戦う力がある馬だと証明。岩手では9戦5勝で4着以下がない成績ながら、まだ本当の力を出していないような不気味さがあるのもこの馬の面白いところです。
牝馬ながらに・・・というのは(1)グリーンヒルフライも同様。盛岡での2戦が圧勝だったのはコーナーが少ないコースの方が合うのかもしれず、警戒が怠れません。
(9)グラスホープもここ通用という以上の力があるのですが、この馬にとっては月曜の天気が崩れそうなのが気になる点。マイルで1分40秒台になってくると取りこぼす危険性が増えてきます。
◆買い目
馬単(4)=(2)、(4)=(6)、(2)=(6)、(4)→(1)、(4)→(9)
★8R/エメラルド賞(3歳・JRA未勝利 芝1700m)
この条件の戦いはJRA勢圧倒的有利だけに基本は遠征馬中心の狙いで良いでしょうが、今回のメンバーは多かれ少なかれ弱点がありそうな馬ばかりで岩手勢にもつけいる隙がありそう。
軸は(8)スズマーシャルとしました。先行力も終いの脚もまずまずのものを持っており、いかにもこういう条件で勝ち上がりそうなタイプ。父が岩手の芝と相性がよいニューイングランドという点もプラス材料。
対抗格もJRAから(3)テンブレイク、(6)サワヤカトウショウと拾いますが芝のスピードというところで不安があります。ならば岩手の芝馬(4)ハイメリーにも食い込む余地があっていいし、(2)トーセンメロディも、岩手では初芝ですがJRA時代の東京芝1800m1分51秒0のタイムなら、今回の遠征勢と大きな差はない印象です。
◆買い目
馬単(8)=(3)、(8)=(6)、(8)=(4)、(8)=(2)
★10R/アンタレス賞(岩手B1・JRA500万下 ダート1600m)
こちらの交流も岩手勢はあまり強気にはなれない感じ。今の先行有利の状況だと、もう3年前になりますが同じ盛岡マイルを逃げ切った(5)リージェントゲストに流れが向きそう。
ただ、前に行きたい馬は多くハイペースの可能性も十分。となると先行馬同士の決着を狙って(11)や(12)に行くよりは(3)セイカアレグロ、(10)パックノオトウトの一発に期待する手も。
岩手勢では好調サイクルに乗った(1)や(6)に期待。どちらも展開ひとつでチャンスは。
◆買い目
馬単(5)=(11)、(5)=(12)、(5)=(3)、(5)=(10)、(5)=(1)
盛岡へ開催替わり初日11日(土)メイン10レースは、OROパーク自慢の芝1000mが舞台「FM岩手杯」。B1クラスの芝もしくは短距離適性組がズラリ顔をそろえた。
この芝1000m戦は2コーナーを回ったところが発走地点。2ハロンで3コーナーに入るが、どの馬が好ポジションにつけることができるか。そこが勝敗のカギを握ると見て間違いない。
主軸にウメノレイメイを指名。中央1勝500万下から昨年12月に転入。初戦を鮮やかに逃げ切り幸先のいいスタートを切ったが、冬休み明け3戦を凡走。そのまましぼんでしまうかと思ったが、ダート1000m戦「立夏賞」で大反撃。快速で3連勝中のマイネベリンダをアッサリ競り落として快勝。短距離適性を存分に発揮した。
続く2戦は9、8着と着外に沈んだが、明らかに距離が敗因。立夏賞の優勝インタビューで千田知幸調教師はこう語った。「短距離なら芝もダートも大丈夫。もっとレース数があればいいのになぁ」と。
父ヒシアケボノ譲りの大型馬で、いかにもスプリンターらしい体つき。今回の芝1000mは願ってもない条件となった。
逆転筆頭はマルタラヴ。中央3戦未勝利から一度、岩手へ転籍。アッサリ2連勝をマークし、再び中央入り。東京ダート1300mで1勝、函館芝1200m・立待岬特別(1000万下)で2着に入ったこともある。
岩手再転入戦は4ヶ月ぶりの実戦ながら直線アッサリ抜け出して圧勝。少頭数6頭立てだったとはいえ、格の違いをマザマザと見せつけた。
この一戦を叩かれて気配アップは明らかだろうし、適性面もまったく問題なし。内枠で馬群に包まれないかが唯一の不安点だが、切れはメンバー中一番。
ヘライカントリーの今季充実度は目を見張るものがある。2度馬券の対象から外れたことがあるが、7着は直線で不利を受けたため。4着は装鞍所で激しく入れ込んで消耗。レース前にすでに終わっていた感じ。特にダート1200m戦「緑風賞」では意表を突いた逃げ切りは見事の一語だった。芝は昨年7月(芝1700m)以来、1000m戦になると5年前までさかのぼらなければならないが、どんな条件でもこなすのがヘライカントリーの特長だ。
マイネルティーダは今季3着が最高で昨年の勢いが薄れてしまった印象だが、前回3着でようやく復調のメドが立った。芝1000m戦は昨年6月、水無月賞(B2)でタイキランデヴーの0・2秒差4着。前半は早いペースに戸惑い、ようやくエンジンがかかったところでゴール。本質的には1000m戦向きではないが、一度でも経験したことは強みとなるはず。
サイレントステージは2、3歳の芝重賞テシオ杯ジュニアグランプリ3着、オパールカップ2着と芝適性は文句なし。ここ3戦は精彩を欠いているが、芝に替わって大駆けの可能性は十分ある。
あとは評価を下げてしまったが、折り合いを気にしなくていい1000mで巻き返しを期すモエレマーメイドにも注意が必要だ。
◎?ウメノレイメイ
○?マルタラヴ
▲?ヘライカントリー
△?マイネルティーダ
△?サイレントステージ
△?モエレマーメイド
3連単は5、3の1、2着折り返しから1、7、2、10へ3着流し
馬複は 3−5、1−5、5−7、1−3
<お奨めの1頭>
9レース クリスティラビット
前走・リアス賞は勝った相手が強すぎた。B2昇級でもむしろ相手は楽になっており首位を奪取する
12日(日)メイン10レースはHBA(日高軽種馬農協)協賛アドマイヤボス賞「第10回オパールカップ」(3歳オープン・地方競馬全国交流 盛岡芝1700m)。
(エイブルインレース・2008年ジュニアグランプリ/撮影・佐藤到)
エイブルインレースが断然の主役を演じる。昨年のテシオ杯ジュニアグランプリをご記憶だろうか。当時、北海道所属馬で参戦し、道中は好位3番手を追走。直線で満を持して追い出すと鋭く反応、アッという間に3馬身突き放して余裕でゴール。能力の違いをマザマザと見せつけた。
続くターゲットにクラシックの登竜門でもある京王杯2歳Sを選び、0・6秒差6着。その後、南関東へトレードされてクイーンCに挑戦。ディアジーナの0・1秒差3着に粘り、アネモネステークスはハイペースに巻き込まれて14着。惜しくもクラシック・桜花賞出走はならなかったが、中央グレード級の実力であることは誰もが認めるところ。
4ヶ月の休養をはさんでのオパールカップ参戦は、おそらく秋の秋華賞をにらんでのこと。再始動を白星で飾り、今後への弾みをつけたい。
相手筆頭はフレンチマリー。2歳時、北海道で1勝マークしてエイブルインレースと同じくクローバー賞に挑戦。片や3着だったが、フレンチマリーは後方のまま11着。この結果を見る限り芝は合わない印象だが、叔父が日本ダービー馬タヤスツヨシで母も中央ダートで2勝。芝でも2着2回の成績があり、父がフレンチデピュティなら芝もこなせるはず。牝馬にしてはちょっと大型馬だが、ペースが落ち着く盛岡芝なら能力を発揮できる。
岩手勢は現時点のトップ3・マヨノエンゼル、ダンストンジール、トキワノマツカゼがそろって名乗りを上げた。
マヨノエンゼルは堂々の岩手二冠馬。400キロの小柄な牡馬だが、驚くばかりの根性と決め手が最大セールスポイント。阿久利黒賞、ダイヤモンドCとも激しい競り合いの末にタイトルを獲得した。
肝心の芝適性だが、デビュー芝1000mを快勝し、問題はなさそう。ただ、調子落としていたとは言えジュニアグランプリ9着、黄菊賞6着と凡走。当時と今とは実力が段違いにせよ、この結果は割り引き材料。
それならば2歳芝特別・若鮎賞を制したダンストンジールを上位に採るのが妥当ではないか。前々走・はまなす賞(芝1600m)はダイヤモンドCをスキップ。必勝を期して臨んだのだが、ブレーキがかかりっぱなしで4着。久々の芝に戸惑いを隠せなかった。
これには陣営もショックを受けたが、ウイナーカップ優勝で汚名返上。元々が気分屋のため、凡走したからと言って決して合わない訳ではないはず。気楽に挑める今度はおもしろい存在となった。
トキワノマツカゼは生涯初の芝レース。鳴り物入りで岩手へ転入し、3歳重特戦線で常に好勝負を演じているのだが、最後の詰めが甘いため4戦2着3回3着1回。なんとも歯がゆいレースを繰り返していたが、前走・ダイヤモンドCはマヨノエンゼルと壮絶な叩き合いの末、ハナ差の惜しい惜しい2着。盛岡2度目の訪問で持てる能力をフルに発揮した。
今回のカギはもちろん芝適性があるかないか。血統的にはクリアーできそうだし、跳びの大きい走法も芝向きとも解釈できる。一発ならこの馬かもしれない。
浦和・エンジンソウルも芝は初めてだが、注目の血は母父が盛岡芝の鬼ロドリゴデトリアーノ。父もバブルガムフェローなら適性はありそう。
◎?エイブルインレース
○?フレンチマリー
▲?ダンストンジール
△?トキワノマツカゼ
△?マヨノエンゼル
△?エンジンソウル
3連単は1を1着固定に10、6の折り返し本線。あとは11、5、4を3着押さえ
馬複は1−10、1−6、1−11、1−5、1−4
<お奨めの1頭>
11レース ベジータ
岩手へ来て初めて芝を経験したが、2戦(芝1700m)とも2着。父がアドマイヤベガなら納得のいく結果で今日こそ首位を奪取する