先週に引き続き青森の牧場のお話しから。
諏訪牧場を訪れた翌日、八戸市にある山内牧場に行きました。今回は7月7日に行われる1歳馬セリの測尺(セリ上場馬の直前の体格を測り、セリの参考資料にします)について行ったのですが、それを行っている馬房の隣のパドックに見た事のある馬が放牧中。カームでした。
カームは2006年からこの牧場で種牡馬生活を送っており、少ないながらも産駒を送り出しています。07年生まれの初年度産駒は2頭でしたが2頭とも無事デビューを迎えられそうで、そのうちの1頭(母メグミアリダー)は千葉で行われた2歳馬トレーニングセールに上場、510万円で購買されて話題となりました。
初年度産駒2頭となるとこれはもう「マイナー種牡馬」と言わざるを得ないのですが、しかし先日の岩手競馬の新馬戦でユメノセテコウユー産駒が勝ったり、この日曜日に行われた新馬戦でもダンディコマンド産駒が勝ったり、産駒が少ないからといって存在感がないというわけではないのが面白いところ。カーム産駒にも少数精鋭の活躍を期待したいですね。
悩んだあげくに選んだ本命は(3)ダークマター。この馬の岩手転入後初勝利を狙います。
岩手に移籍してきて15戦を消化しつつも2着が最高というダークマター。ですが前走のような短距離戦だとか2500mの重賞だとかに挑んだ時以外は勝てないまでも大崩れもしていません。特に今シーズンはどこかで必ず伸びる脚を使っており、昨季後半よりもずっといい感じできているように思えます。
1800mも、マイルあたりで流れに乗り損ねて終わるよりは戦いやすいでしょう。ここは転入後初勝利のチャンス。いや、チャンスに留まらず実際に勝ち星を手に入れてほしいもの。
対抗は転入初戦の(1)ソフトパワーを狙います。半年の休養を1回叩いての転入、増加気味の馬体重などなど不安要素はありますが、JRA時代の実績ならここは勝ち負けしておかしくないところ。厩舎もこういう転入馬の扱いや仕上げに定評があり、むしろ初戦に思い切って狙ってみるのが面白いのかも。
調子の良さで推せるのが(4)マツリダワルツ。脚元の不安は今はだいぶマシのようで、それなら調子自体上り調子なのを重視してみてもいいでしょう。幸い月曜のコース状態はパンパンの良にはならなさそう。軽いコースの状態ならチャンス拡大。
6頭立てなのでもう一頭だけ挙げるとすると、(5)オメガエンドレスでどうでしょうか。岩手では差し競馬ばかりも以前は先行した事もあるようです。引き続き先行有利のコース状態でもあり、うまくハナを奪ってしまえばしぶとい可能性が大と見ます。
◆買い目
馬単(3)=(1)、(3)=(4)、(3)=(5)、(1)=(4)、(1)=(5)
◆お奨めこの一頭
5R:トレジャースマイル
ハートマークのアイドルがいよいよ強さを増してきた。メンバー自体はここ2走より軽い印象で、外目の枠順さえ乗りこなせば勝機。
5日(日)メインはJpn?・クラスターカップへの道「第41回岩鷲(がんじゅ)賞」(水沢1400m)、10頭立て。
岩鷲賞トライアル・早池峰賞はフリーモア、メタモルキング、トーホウライデンの順で入線。転入2戦目のフリーモアが見事な逃げ切り勝ちを収めた。中央時代の2勝はダート1000m、1150m戦。1200mをメインに使われて<2.3.2.10>とダート短距離戦でマズマズの成績をあげていた。早池峰賞はその適性ぶりを存分に発揮。転入初戦は守備範囲外の1800m戦で8着凡走したが、その雪辱も晴らした。
今回のカギは1400mへ距離が延長されたこと。1300m以上では3着はおろか、入着すらなかった馬が果たして克服できるか否か。
過去データからは苦戦―となるのだが、あくまでも中央時代のこと。水沢1400mはコーナーが4つある小回り。盛岡1400mならともかく、コーナーで息が入るのはフリーモアには好材料。絶好の1枠も引き当て、新コンビ・内田利雄騎手が果敢な逃げから押し切る可能性は高いかもしれない。
(トーホウライデン 写真・佐藤到)
しかしあくまでもデータにこだわってみたい。早池峰賞は確かに鮮やかだったが、2着にもメタモルキングが粘り、行ったきりで決まったレース。その中でメンバー最速の上がりで3着に突っ込んできたトーホウライデンを主軸に推してみたい。
昨年、良血が素質開花して岩鷲賞、青藍賞の2重賞を制覇。能力で距離もこなしていたが、本質的にはスプリンター。昨年、盛岡1200mで行われた岩鷲賞で鮮やかな直線抜け出しを決め、重賞ウィナーの仲間入りを果たした。
毎年だが、休み明けは精彩を欠いて凡走を繰り返していたが、叩かれながら上昇。5月の盛岡1800m戦で快勝するや、早池峰賞3着、前走はクインオブクインの2着。ついに好調サイクルを取り戻した。
正直なところ昨年ほどのパワーがなくなったのは事実。早池峰賞で前半もたついていたのは年齢的にズブくなったことを実感させた。
それでも短距離適性はトーホウライデン。その考えは今でも変わらない。右回りはあまりうまくはないし、水沢1400m戦も06年12月以来(その後、浦和1400m戦を快勝)となるが、同条件4戦4勝も見逃せない。今度こそ短距離適性を爆発させ、岩鷲賞2連覇を期待したい。
メタモルキングの個性が光っている。休み明け3戦目の水沢1600m戦で大逃げを打ち、後続を最大200mは離したと思うが、スタンドからどよめき。直線で一杯になりながらも粘って2着争いで僅差の3着。久々に胸のすく大逃走劇を見せてくれた。
その一戦をきっかけに前々走、アッサリ逃げ切り。前走・早池峰賞でも2着を死守し、名脇役の本領を如何なく発揮している。
アンダーボナンザの評価が難しい。ベストは1600m。あすなろ賞では1800mも克服し豪脚を披露したが、みちのく大賞典=2000mからいきなり1200mへ距離短縮。ペースに戸惑わないかが心配だが、いずれすばらしい切れ脚を持っている。フリーモアがスローに落とすと厳しいが、先行激化なら一気浮上のシーンまで。
あとは早池峰賞凡走だったが、1ハロン延長は歓迎オウシュウクラウン、みちのく大賞典4着で復調の光が見えてきたサイレントエクセルが押さえ。
◎ ?トーホウライデン
○ ?フリーモア
▲ ?メタモルキング
△ ?アンダーボナンザ
△ ?オウシュウクラウン
△ ?サイレントエクセル
3連単は10、1の1、2着折り返しから8、2、3、7へ3着流し
馬複は 1−10、8−10、1−8、2−10
<お奨めの1頭>
5レース ダンストンヴァール
父がミスプロ系グリーンアプローズ、母父がトウショウボーイから豊かなスピードをもらい、初戦もらった
4日(土)メインはC1級・水沢1600m戦「三陸リアス賞」。目下6連勝中と破竹の進撃エアメギドが中心。
中央2戦0勝から転入し、9ヶ月ぶりの実戦となった岩手初戦こそ2着に敗れたが、2戦目から連戦連勝。前走・焼石岳賞は1ヵ月半ぶりながら、アッサリ逃げ切りを決めて圧勝。盛岡開催を休養に当てたのがズバリ正解。初の1800m戦をモノともせず、強いレースを披露した。
父がウォーエンブレム、兄がエアシャカールの配合だけでも期待のほどがうかがい知れるが、中央では2戦とも10着に終わり、岩手へ新天地を求めてきた。その選択はズバリ的中。一戦ごとに迫力が増す一方で前回タイムも非常に優秀。さらに上でも通用することを証明済みだ。
最大ネックは57キロの負担重量。すでに56キロは克服しているが、450キロを切る馬体にトップハンデ57キロはちょっと微妙。不安点はただ一点、それだけだ。
逆転筆頭はグラスバラード。昨年9月、中央3戦0勝で転入し、初戦で6着に沈んだが、その後は5勝2着1回3着2回と8戦連続で馬券の対象となっている。
4月、3連勝で臨んだ田沢湖賞で3着に敗れたあと、思い切って2ヶ月ほど休養。エアメギドと同様、その選択が功を奏して前走をアッサリ逃げ切り。馬体重も448キロと大幅に増え、さらにパワーアップした印象を与えた。
大外に入ったのは痛いが、どんな流れにも対応できるのが強み。エアメギドとのハンデ差2キロを生かして首位を狙う。
ドーリーゴンザレスは前走・焼石岳賞で7番人気の低評価を覆して2着。向正面から早めスパートをかけてスルスルと進出し、反応の良さを披露した。勝負どころでもたつくのが弱点だったが、板垣騎手がうまく乗ったのが目についた。グラスバラードと同じ55キロも味方にして再現を狙う。
まさに伏兵の評価がふさわしいのがサドラーズアレグロだろう。南関東で3勝マークしてB3級へ在籍。その後、名古屋へ転籍したが、クラスがきつかったのかほとんど着外。それで岩手格付けがC2となり、現在<4.2.1.1>。とりわけ水沢は連対100%と抜群の安定度を誇っている。今回はメンバーが一気に強化されたが、前走タイムが非常に優秀。岩手ではマイル初だが、旧地で経験豊富。一発ならこの馬か。
今回、逃げたい馬が勢ぞろい。常識的に考えればハイペース必至で展開有利に運ぶのがニシネホウジュ。シーズン当初は波に乗れなかったが、待望の白星で弾みもついた。
逆に展開はきつそうだが、ハイタイムで圧勝の連続クリスティラビットも押さえが必要。
◎?エアメギド
○?グラスバラード
▲?ドーリーゴンザレス
△?サドラーズアレグロ
△?ニシネホウジュ
△?クリスティラビット
3連単は8、12の1、2着折り返しから2、9、7へ
馬複は8−12、2−8、8−9、7−8
<お奨めの1頭>
11レース ヒカルメイオー
前回はスタートで後手を踏んだ上、トキノプリンセスが絶妙の逃げ切りにしてやられた。ここは仕切り直しの一戦
先日、青森・諏訪牧場を訪れました。牧場の方に教えられて行った木陰には小さな石碑が木漏れ日を浴びていました。2007年に亡くなったタムロチェリーのお墓でした。
2001年の阪神ジュベナイルフィリーズG1、小倉2歳ステークスG3を勝ち、同年のJRA最優秀2歳牝馬に輝いたタムロチェリー。グリーングラス以来の青森産G1馬としても話題となりました。
03年夏に引退した彼女は生まれ故郷に戻り繁殖生活に。競馬場にいる間にバナナが大好物になって・・・というお話は以前「テシオ」でも書いた事があります。牧場に帰ってすぐの03年秋でした。
G1馬という勲章に加え、諏訪牧場が育ててきた母系血統という事もあって、繁殖馬として大きな期待をかけられていたタムロチェリー。ですが、わずかに3頭の仔を送り出しただけで、07年夏にガンのため急逝してしまいました。あまりにも早すぎる出来事でした。むしゃむしゃと無心にバナナをほおばる彼女の姿、昨日の事のように思い出されます。
来年末には諏訪牧場から歩いていけるくらいの所に新幹線の七戸駅が開業します。牧場の風景はあの頃と変わらないけれど、取り巻く状況は大きく変わるのでしょう。
月曜のメインレースはみなづき賞。B2級の1800m戦です。先週の月曜メイン・焼石岳賞も似たような状況だったのですが、このレースは出走10頭すべてがハンデ対象のうえ、+3kgが1頭、+2kgが4頭もいます。+2kgの有力馬が内枠に揃い、+3kgのセユウブラボーは不利な大外に。その辺のハンデと枠順の影響具合が鍵でしょうか。
本命は(1)キングバッハを推します。昨季はA級下位〜B1級でもそこそこに走っていただけに、最下級スタートとなった今季の5戦4勝2着1回という成績はなんの不思議もない物です。形の上ではメンバーが強化された事になっているものの、昨季の成績からはまだ問題ないレベル。距離経験が豊富な点も強みです。
ただ、JRA時代を含め57kg以上では9戦して5着が一度のみという所が若干の不安材料。案外カンカン泣きするタイプなのかもしれず、その辺に注意。
対抗は(5)ワイルドシャトー。盛岡戦ではイマイチ伸び切れませんでしたが、得意の水沢であっさり変身。調子の方はずっと悪くなかっただけに水沢開催の間にもう一丁。
(3)エーシンスローインは1800mは気持ち長い気がするし57kgを背負うのも初めて。しかし調子の良さ・勢いならメンバー中最右翼に思え、その勢い重視で。
気になる馬を挙げるとすればまず(6)シュクジャンヌ。今季はずっとB2級の上位で好走していますが、勝ち星が1つという事でハンデ1kg増に留まっています。焼石岳賞2着のドーリーゴンザレスと似たパターンでこれは有利。
(8)マイネルスペランザは今季3着以下がない安定ぶり。加えて非常にしぶとい走りをしている所も評価できます。この距離も流れに乗れさえすれば・・・でしょう。
なお、このみなづき賞は第11R・発走時刻17時10分となっています。お間違えのないようお願いいたします、
◆買い目
馬単(1)=(5)、(1)=(3)、(1)=(6)、(1)=(8)、(5)=(3)
◆お奨めこの一頭
2R:ヘブンオンアース
ほぼワンサイドでの2連勝。今回もさほど相手強化感なく、3連勝濃厚だ。
28日(日)メイン10レースは3歳馬による水沢1400m戦「ウイナーカップ」。春の岩手クラシック戦線はダイヤモンドカップ(6月1日)でひと段落。ランク順もマヨノエンゼル、トキワノマツカゼ、ダンストンジールで落ち着いた。
そして今回のウイナーカップから新たな路線が始まり、芝はオパールカップ(7月12日)、牝馬はひまわり賞(オークス 7月26日)、そして三冠目・不来方賞は11月22日に実施予定となっている。
このウイナーカップは様々な条件変更を経てきた。創設当初は第1回から22回まではアラブ3歳(当時は4歳表記)で行われ、23回(平成10年)以降はサラブレッド3歳の盛岡芝が舞台。そして今回は水沢1400mの条件で実施する。参考までにトータルカウントでは今年で34回目となる。
トップ2のマヨノエンゼル、トキワノマツカゼが不在ならダンストンジールで中心不動。水沢コース初勝利のチャンスを迎えた。
前々走・七時雨賞ではマヨノエンゼル、トキワノマツカゼの追撃を封じて完勝。その後の選択肢は2つあった。岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(ダート2000m)と芝・はまなす賞だったが、陣営は適性を重視して芝に方向転換。
当然のように断然の1番人気に支持されたが、道中モタモタするばかり。格下相手の後塵を拝して4着に敗れてしまった。レース後、村上忍騎手はこうコメントした。「久々の芝に戸惑ったのかブレーキがかかりっぱなし。これだったらダイヤモンドカップに行ったほうが良かった(笑)」と。
ダンストンジールはデビュー戦の芝1000mを昨年の一番時計で快勝し、芝1600m・若鮎賞も優勝。ウイングアロー産駒には珍しく芝適性が高いと陣営も周囲も思っていたが、決してそうではなかった。能力があるからこなしたに過ぎず、本質的にはダート向き。もちろん一貫して芝を使い続けていればトップを張れるだろうが、前回に限って言えばダイヤモンドカップ選択が正しかったかもしれない。それで軌道を修正して今回、ウイナーカップに臨んだ次第。
ただ一つネックがある。水沢1400mは2度使われていずれも5着止まりで、しかも2・2秒差、2・1秒差と完敗。忙しい競馬よりゆったりとした中距離以上が合っている印象もある。
しかし気性面は当時と今では雲泥の差。「気まぐれで走るか走らないかはゲートを出てみないと分からない」(村上忍騎手)ほどムラだったが、今年は精神面の成長がハッキリ。何よりも収穫はレースに集中できるようになったことで、七時雨賞がその証明。
またはまなす賞の敗因の一つにデビュー最軽量464キロでの出走もあったはず。今回は一息入れたし、輸送のない地元競馬。順当勝ちを収めて今後にも弾みをつけたい。
逆転筆頭はシルバーカテリーナ。あやめ賞、留守杯日高賞と牝馬の重特2連勝を飾り、岩手ダービー・ダイヤモンドカップに名乗り。雌雄対決が最大の焦点となったが、4コーナーで一杯。2番手から馬群に飲み込まれ、直線失速6着に敗れた。「牡馬との差もあるが、距離が長すぎた」と菅原勲騎手。確かに距離経験が1700mまで。2000mは全馬が未知の距離だったが、一番こたえたのがシルバーカテリーナだった。
1400mは守備範囲。しかも「追ってからの反応の良さ」(菅原勲騎手)が最大のセールスポイントで、どこからでも動けるのが強み。仕切り直しに格好のレースとなった。
センリグランピーはダイヤモンドカップで本来の後方待機策に転じ、直線追い込んで3着。前に行くこともできるが、やはり追い込みに徹した方がベストのようだ。
もう一つ言えるのは短距離が意外に合うこと。門別競馬場で行われた北海道競馬との交流・岩手山特別で道中、絶望的な最後方を追走。勝ったクラフィンライデンは逃げ切ったのだが、同馬は後に東京優駿牝馬2歳で2着、地元に戻ってエトワール賞を優勝。センリグランピーはその馬を相手に直線猛追して0・2秒差2着に食い込んだ。
昨年11月以降、白星から遠ざかっているが、短距離戦でシャープな切れを発揮する可能性がある。
フジフーフーは豊かなスピードを前面に、再転入後はすべて逃げの手。2歳時にはダンストンジール相手にビギナーズカップ2着、りんどう賞3着と水沢1400m戦で先着した実績を誇る。トーホクプリンスとハイペースを形成すれば苦しいが、すんなり先手ならアッサリのシーンまで。
あとはレース運びが巧みなテンショウスズランも押さえたい。
◎ ?ダンストンジール
○ ?シルバーカテリーナ
▲ ?センリグランピー
△ ?フジフーフー
△ ?テンショウスズラン
3連単は8、5の1、2着折り返しから1、2、9流し
馬複は5−8、1−8、2−8、1−5
<お奨めの1頭>
9レース エクストラポイント
中央で2着1回、笠松で2勝マークならB2通用は当然。先に行ける脚もあり、初戦から