いよいよダービーグランプリ決戦の日が近づいてきた。『ダービー馬によるダービー』を夢見て全国に先駆けて1986年に3歳交流レースを創設。
"ダービー"と"グランプリ"を合体させたレース名称は失礼極まりない―と物議を醸し出した創設当時のことを思い出す。
実際、発表されたときに驚いた。反響が大きいだろうなと思ったが、案の定だった。自分自身も正直、違和感があったし、とある方には怒りを込めて問いただされた。しかし、回数を重ねるごとにしっくりくるのだから面白い。年輪とはそんなものだろうなとも思った。
事あるごとにダービーグランプリは岩手競馬の歴史そのものと書き続けてきた。詳細は省くが、2007年、岩手競馬は存廃問題に揺れ、3月にいったん廃止が決定。4日後に奇跡的に存続が決定したが、ひん死の状態で2007年度の競馬がスタートした。
ところが、追い打ちをかけるかのように夏を境に馬インフルエンザが全国にまん延。競走馬の移動が許されず、ダービーグランプリは地元3歳重賞で実施。翌年には周辺事情を鑑みて休止の措置が取られた。
まさに一寸先は闇状態だったが、何とか競馬を継続。まだ光は見えなかったが、ダービーグランプリ休止を惜しむ声が高まり、2010年に復活。ロックハンドスターが見事優勝し、3冠を達成。救世主のような存在となった。
あれから7年が過ぎ、今年で29回目。昨年も豪華だったが、今年も強豪がそろった。東海以西の参戦がなかったのは残念だが、ダービーグランプリが成長続ける当時とオーバーラップできる。
もしかすると岩手競馬再生の切り札になるかもしれない。勝手にそう思っている。
本題に入る。主役はやはりバルダッサーレだろう。中央ダート2勝から東京ダービーを獲るためにトレード。そのとおり7馬身差で圧勝し、周囲を沈黙させた。
その後は足踏みが続くが、一貫して王道を歩んできた。前走・マイルグランプリも4着だったが、3コーナーでごちゃごちゃして大外を回る羽目になったのも痛かった。
おそらく我々が思っている以上に乗り難しいタイプの感じだが、今回は相手が大幅に弱化。ダービーGPをきっかけにさらに羽ばたいてほしい。
トロヴァオはわずか7戦のキャリアだが、中身がすばらしい。北海道から移籍初戦のハイセイコー記念を優勝。全日本2歳優駿4着、羽田盃クビ差2着、東京ダービー4着。
最大ネックはそれ以来の実戦だが、天栄トレセンで乗り込んでおり、久々は問題ないはず。いずれのレースでも終い確実に伸びており、いきなり重賞制覇まで十分。
スティールキングは道営記念6着をどう評価するかだが、馬群に包まれて自分の競馬ができなかった。瑞穂賞でオヤコダカの2着で実力は折り紙付き。
気になるのは跳びの大きいタイプで小回り水沢が合うかどうか。連闘よりその点が不安だが、絶対能力でカバーするか。
それならばジャストフォファンの方が計算できるか。初芝の盛岡3歳交流・オパールカップで2着確保。黒潮盃ではスティールキングに先着4着に入った。器用なタイプなら小回りはむしろ歓迎だろう。
ベルゼブブは戸塚記念の逃げ切りが光る。バルダッサーレは尻も舐められず3馬身差で逃げ切った。埼玉新聞杯栄冠賞の失速振りから典型的な逃げ馬。モロさも同居だが、絶好枠を引き当てたのは運が強いという他はない。
エンパイアペガサスは無敵の進撃8連勝、重賞5連勝。まだ地元3歳同士の戦いしか経験がなく、いきなり全国区は厳しいが、まだ底を見せていない。加えて一戦ごとに凄みを増しているのも確実。どんな戦いができるのか。熱い視線を送りたい。
◎⑪バルダッサーレ
〇②トロヴァオ
▲⑦スティールキング
△③ジャストフォファン
△①ベルゼブブ
△⑤エンパイアペガサス
<お奨めの1頭>
7R シャイニーエルフ
岩手転入後、6戦5勝2着1回。唯一の3走前2着はブラックスナイパーが強く仕方なし。追いかける一手だ。
今週は復活して7年目を迎えるダービーグランプリ。西日本ダービー組の出走はなかったが、昨年にも劣らず豪華なメンバーがそろった。今から激突が待ち遠しい。
今開催からレース番組に変更があったので報告したい。C2クラスの2回使い(基本的に毎週出走できる)の後半(19日~21日)に一般戦、選抜戦、優秀戦が組まれている。
具体的に言うと19日の2Rから7RがC2一般戦。20日の第2Rから5Rが選抜戦で、第6RはC2優秀戦。21日の第3Rから6Rが優秀戦となっている。
大事なのは一般戦、選抜戦、優秀戦の見分け方だが、一般戦は前走着外(6着以下)、選抜戦は前走4、5着馬、優秀戦は1、2、3着馬。以上の3パターンがある。
そして実際に予想検討を始めたら、一般戦はとても難解だった。俗にいう負け鞍戦だが、どの馬が勝っても(負けても)不思議ないメンバー構成となったからだ。
とは言え、どんなレースからでも勝ち馬、2着、3着馬が当然だが、出る。果たして結果は如何。波乱も十分に考えて臨みたい。
19日メインは「小雪特別」(A級二組 水沢1600m)。実力伯仲のメンバー構成なら、展開と距離適性重視シャークを主軸に推す。
シーズン半ばまで本来の粘りが影を潜めていたが、徐々に良化を示して8月以降になって上昇ムード。
3走前に待望のシーズン初勝利を飾り、その後の2戦も連続2着。持ち味の先行力と強じんな粘りがよみがえってきた。
しかも今回は楽に先手が取れるメンバー構成に加え、距離短縮。2勝目を飾る条件がそろったと見ていいだろう。
逆転筆頭はニーマルキング。中山芝1600m、盛岡条件交流(芝)でそれぞれ1勝。1000万下にも在籍した実績があり、初戦を快勝。ダートも問題ないことを証明した。
2戦目・寒露特別は濃霧のため競走取り止め。続く菊花特別はその影響があってプラス11キロ。太目残りで2着に敗れた。
前走は短距離が仇。1200mの忙しい競馬が合わず追走に手こずって7着と2戦の敗因がはっきりしている。
今度はコースが替わるが、ベストの1600m戦。先に行ける脚があるのも強み。2番手キープから抜け出しを狙う。
タイセイメテオは岩手の水が合い、マイル重賞・すずらん賞3着。芝でも活躍し、交流・OROカップ4着、OROターフスプリントでは2着確保した。
前走・絆カップでダートに戻ったが、岩手一線級相手に4着なら上々。どんな条件でも自己能力を発揮してきた。今度はA級でも二組。メンバーが楽になり、首位奪取のシーンまで十分。
リトルキングはA級で頭打ちの時期もあったが、見事克服。すでに4勝を稼いだ。ここ2戦4、5着に勢い止まった印象もあるが、水沢で反撃に転じる。
スフィンクスも水沢コース歓迎。昨年11月、見事な直線一気を決め、栗駒賞(水沢1400m)を優勝した。流れは落ち着きそうだが、切れ味は脅威の的。
ミトノレオは岩手未勝利だが、堅実な差し脚で入着確保。展開構わず台頭あるかも。
◎④シャーク
〇⑤ニーマルキング
▲⑨タイセイメテオ
△⑥リトルキング
△①スフィンクス
△⑦ミトノレオ
<お奨めの1頭>
9R ヴァーサス
再転入後、あっさり3連勝。勝つたびにすごさを増している。C1昇級だが、むしろメンバーは楽。連勝をどこまで伸ばすか注目
★重賞・南部駒賞/岩手のベンテンコゾウ馬V
岩手の2歳馬の頂点を競う戦い・南部駒賞。今年も北海道からの遠征馬4頭を交えての9頭が王座を争いましたが、1番人気に推された岩手のベンテンコゾウが2着以下に6馬身差をつける圧勝を飾りました。
2着には北海道・ヘイジュード、3着には岩手メモリーダンス、4着北海道・スカイロックゲート、5着岩手のサンエイリシャールと上位は北海道勢・岩手勢がちょうど交互に並ぶ形。それだけにこの6馬身差は大きな勝利という事ができるでしょう。
11月14日のメインレースはB2級の『ノベンバーカップ』。ダート1400m戦にフルゲートの12頭、それだけでも"激戦必至"という印象ですが、果たしてどんな結末になるのでしょうか?
本命は(10)イチフジキングでいかがでしょうか。転入後8戦して崩れたのは初戦のみ。それも8着とはいえ勝馬とのタイム差は僅かに0.7秒だったのですから崩れたうちに入らないでしょう。盛岡のマイルで3連勝して勢いに乗りましたが、岩手に来るまでは右回りの大井のみの経験。距離も1400mの方がマイルより得意という戦績でした。ならば水沢の1400mはむしろ狙い目の条件になるのでは。力量面も当然通用以上のものを持っているはず。
対抗は(5)ロザムンデ。芝の1000mはさすがに短すぎ。1400mであっさり巻き返したのに不思議はありません。当初B2では苦戦しましたが何度か上下するうちに流れにも慣れた様子。先行有利の傾向が強い今の水沢の馬場も味方に付いてくれそうです。
(9)モズフウジンは三番手に止めます。B2級の特別戦を既に2勝、それも余裕綽々の勝ち方をしているのだから現級で力上位は明白でしょう。ただ今回は8月以来の一息後に加え58kgを背負います。その点はさすがに不利と見てここまでの印で。
ヒモ一番手は(3)タイセイオーシャン。岩手ではマイルしか経験がないですが、旧地では1400mに良績があった馬です。内枠ゆえ上手く捌けるかどうか?がカギかもしれませんが、本来の距離適性が活きれば一発あるかも。
(8)ギンザジャンヌも同様です。東海時代は時計が速い短距離がめっぽう得意。まさに今の水沢にぴったりかも。やはり混戦前提、穴目もしっかり拾って組み立てておきたいですね。
●10Rの買い目
馬単(10)=(5)、(10)=(9)、(10)=(3)、(10)=(8)
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★オッズパークLOTO 5重勝/11月14日(対象7R~11R)
7R/評価A: 6番 評価B: 1番
8R/評価A: 4番、 3番 評価B: 9番 穴:2番
9R/評価A: 5番 評価B: 8番 穴:1番
10R/評価A:10番、 5番 評価B: 9番 穴: 3番、8番
11R/評価A: 3番 評価B:12番、11番 穴:6番
13日メインは今年で44回目を数える伝統の2歳重賞「南部駒賞」。舞台は水沢1600m。
創設は1973年。案外、知られていないが、2歳重賞はずっと南部駒賞1レースのみ。あとは水沢固定で東北サラブレッド3歳(現2歳)チャンピオンが1987年から始まったが、2000年に南部駒賞へ吸収された経緯がある。
ほかでは芝・ジュニアグランプリが創設されたのが1999年。若駒賞が重賞へ格上げされたのは2000年。そして2歳三冠目・金杯は1998年までアラブ2歳重賞。いくつかの変遷を経て2歳(実際は明け3歳)重賞となったのは2004年から。南部駒賞、44回の歴史を改めて踏みしめている次第だ。
そして東北3件交流から地方競馬全国交流へ昇格したのは2004年。その年スマートシェーブ、翌年モエレスターダムと北海道所属馬が優勝したが、2012年のオグリタイムをはさんで岩手勢に凱歌。意外とは失礼だが、岩手が8勝している。今年勝てば4年連続。果たして優勝するのは岩手か、それとも北海道か。
主軸はサンエイリシャール。当初から素質の片りんをうかがわせていたが、距離不足がたたって1勝のみ。
しかし陣営は焦りはなかった。「距離延びれば間違いなく頭角を現す」と。そのとおり1400mへ延長されたビギナーズカップを勝ち、マイル重賞・若駒賞と重賞連勝。1番人気ベンテンコゾウをアッサリ交わした。
今度は水沢に替わったが、ビギナーズカップをすでに勝っているので問題なし。ロングスパートを決め、重賞3連勝に王手をかけた。
ベンテンコゾウは若駒賞2着。0秒3差は完敗だったが、ゲート内で暴れるアクシデントがあった。出遅れこそなかったが、動揺を隠せずレースに集中できなかった。
菅原勲調教師は以前からゲートが心配と語っていたが、不安が当たってしまった。しかしケガがなかったのが不幸中の幸い。最終追い切りで4ハロン49秒台をマークして絶好の動きを披露した。
ミルグラシアスは強豪そろったブリーダーズゴールドジュニアカップでストーンリバー、ヒガシウイルウィンに次ぐ3着。しかも0秒2差にまとめた。
ストーンリバーはその後、鎌倉記念(川崎)を快勝。ヒガシウイルウィンはサンライズカップを制し、北海道2歳優駿でも2着確保。
ジュニアグランプリ7着は初芝。サンライズカップ11着がその影響が残っていたと解釈。じっくり間隔を開けて巻き返しに意欲満々。
メモリーダンスも好勝負必至。知床賞はタイム差なし2着に敗れたが、1400m戦の決め手勝負に負けた。1600mは前々走の圧勝からも大歓迎。マイルなら反撃必至。
ヘイジュードはデビュー4戦は短距離が合わず2着最高だったが、距離延長を味方に3連勝。前走も直線でいい脚を使って3着。小回りさえこなせれば勝ち負けに持ち込める。
カゲカツは逆に小回り水沢が合いそうな印象。ノーマークにはできない。
◎⑧サンエイリシャール
〇③ベンテンコゾウ
▲①ミルグラシアス
△⑤メモリーダンス
△⑥ヘイジュード
△⑨カゲカツ
<お奨めの1頭>
2R ヴィグラスムーヴ
転入2戦とも驚異的なタイムで圧勝。C2ではモノが違うことを証明した。ここも追いかける一手
盛岡開催最終日7日(月)、「レディスヴィクトリーラウンド(LVR)」第1ラウンド盛岡が行われ、名古屋所属の木乃前葵騎手が首位に立った。
当日はコース内側の砂が深く、各騎手とも進路を外に取っていたが、第1戦(10R)がその象徴だった。レースは行った切り。逃げたラブレジェンド=千田洋の2番手キープのチョーハッピー=鈴木祐が交わして快勝したが、大外からケセラストーン=菅原辰徳が強襲。馬場の真ん中をクインズトロブラボ=木村直輝との写真判定に持ち込まれたが、スローVTRに菅原辰徳が映っていなかった。
外方逸走、空馬は例外として、おそらく盛岡で最も外ラチ沿いを走ったレースとなった。それほど外が有利の馬場だった。
当然のように第2戦(11R)も馬場の外目をめぐる争いに持ち込まれた。逃げたカタオモイ=菅原辰徳をコスモタウルス=鈴木麻優が交わし、圧倒的1番人気に応えたかと思ったのもつかの間、内をすくってプレミアムフレンチ=木乃前葵が進出。
鈴木麻優「まさか内から交わされるとは思わなかった。度肝を抜かされました。外は意識していたので、まさかという気持ちです」
木乃前葵は深い馬場を承知の上、あえて内に進路を取った。これが最大の勝因となった。経済コースを優先するか、砂の軽い外を進路に選ぶか。一か八かの勝負に出た木乃前葵の勝利だった。「内が深いのは分かっていましたが、馬の行きたい気持ちを優先させたら2戦目を勝つことができました」
LVR盛岡ラウンドは見応え十分だった。第2戦以降も楽しみにしている。
12日メインは「震災復興 子ども達に夢と笑顔を」(B1 水沢1400m)。主役はケイジースワローで疑いないだろう。
昨年9月、中央未勝利から転入後、9戦8勝でシーズンを終了。数少ないトウカイワイルド産駒が岩手で素質を開花させた。
冬休み明け当初はC1からB1へジャンプアップ。仕上がりも本物ではなく入着止まりだったが、叩かれながら上昇。
シーズン5戦目から快進撃。芝3着をはさんで5勝2着1回と完全に勢いを取り戻した。前走はタフガイの強襲に遭って3着だったが、レース運びは勝ちパターン。巡り合わせが悪かった。
今回から舞台が水沢に移り、3戦3勝の1400m戦。仕切り直しにはベストの条件といっていいだろう。
相手筆頭はフジノピューマ。北海道から移籍して3戦を消化。3、2、4着とあとひと踏ん張りが欲しいところだが、前走は1600mの距離が厳しかったし、馬群に入って苦しい競馬を強いられた一戦。2秒7差も仕方なしだった。レースぶりを見る限り、小回り平坦向き。直線200mの水沢でこそ持ち味が生きる。
ウインミラージュの成長力には驚かされる。B2で頭打ちだったが、戸崎圭太騎手とのコンビで芝1700mを快勝後、芝1000mで快進撃。重賞・ハーベストCで2着確保するまでに至った。前走もオープン相手に3着に健闘。B1ならアッサリまで十分。
エリモサプライズは短距離の追い込み馬。ここにきて調子も上向き、流れは落ち着きそうだが、ソロソロ一発あるか。
ブラックバイキングは強烈な差し脚が武器。前走、ウインミラージュとは0秒2差4着。当然だが、マークが欠かせない。
タイセイマジックは近走精彩を欠いているが、水沢1300mタイム一目。水沢に替わって反撃あるかも。
◎③ケイジースワロー
〇⑥フジノピューマ
▲⑩ウインミラージュ
△②エリモサプライズ
△⑨ブラックバイキング
△⑧タイセイマジック
<お奨めの1頭>
5R イワバシル
転入初戦を0秒7差で圧勝。地力の違いを見せつけた。相手強化感もなく、2連勝に待ったなし