
8日メインはA級一組「小暑特別」(盛岡ダート1600m)。次週にJpnIII・マーキュリーカップがあり一組とは言え、実質二組のメンバー構成。トップ不在のレースできっちり勝ちたいところだろう。
筆頭はボウトロイ。門別2勝、南関東1勝、門別を経て一昨年8月に転入。B級編入にも恵まれて着外が一度もなし。3勝2着2回3着3回と安定した成績を残してシーズンを終了。昨年はA級へ昇格し、通用するか半信半疑だったが、5勝マーク。JpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯へも駒を進めた。
今季も健在を誇示して1勝2着2回3着2回。着外は相手が大幅に強化された一條記念みちのく大賞典10着のみ。距離2000mも長く仕方なしの結果。それ以外は抜群の安定感を誇っている。気になるのは勝ち切れないレースが続いていることだが、自己の能力をきっちり出せるタイプ。やはり最有力候補と見るのが妥当だろう。
タイセイアベニールは中央芝1200m5勝・オープンに在籍。芝1200m重賞でも入着5回の実績を引っ提げて岩手入り。栗駒賞5着、2戦目4着でダートも問題ないことを証明し、前走は水沢1600m戦へエントリー。マイル戦はGIII・ユニコーンステークス14着のみ。距離対応が最大ネックだったが、4角先頭から0秒7差で完勝。2着に退けたグローリーグローリは続く一條記念みちのく大賞典で2着確保。価値ある1勝となった。
今度は盛岡ダート1600mに舞台が替わるが、ズブい面が出てきた今なら望むところ。前走パフォーマンスからも逆転2連勝まで十分。
ミニアチュールは4歳になってさらに進化を遂げている。3歳時はダイヤモンドカップ、東北優駿と牡馬二冠を制し、ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと牝馬二冠を獲得。3歳最優秀馬に選ばれたが、古馬編入後は苦戦の連続。今季2戦とも着外に沈んだが、短距離にシフトして反撃。盛岡1000m戦を完勝し、早池峰SS4着、前走2着。
今度は自己条件に戻って1600mへ延長されるが、元々がマイルがベスト条件。4歳の若さを武器にシーズン2勝目に王手をかけた。
マイネルアストリアは先行力と強じんな粘りが身上。今季は2着1回が最高だが、自己ペースに持ち込めなかったのが敗因。逃げ馬の宿命で凡走も仕方なしだった。しかし今回はメンバー緩和に加え少頭数8頭。主導権を握れば本来の粘りを発揮する。
ハクシンパーソナルは強烈なまくり脚が武器。今シーズンは自慢の末脚が不発に終わって3戦連続10着と精彩を欠いていたが、前回は早めに抜け出して快勝。本来のシャープさを取り戻した。最大要因はブリンカー着用。レースに集中できるようになって復活宣言。これで弾みがついた。
ゼットセントラルはいい脚を長く使えるタイプだが、今季は入着止まり。十分な乗り込みができず太目も影響したが、今の暑さは歓迎。さらに輸送で体が絞れてくれば軽視できない。当日の気配に注意を払いたい。
◎⑦ボウトロイ
〇②タイセイアベニール
▲③ミニアチュール
△④マイネルアストリア
△⑧ハクシンパーソナル
△⑥ゼットセントラル
<お奨めの1頭>
9R ビッグヒップルーフ
前走3着は850mの忙しい競馬が合わなかった。転入戦の1400mをアッサリ逃げ切り、距離延長を味方に首位を奪回する
7日メインはオープン馬による地方競馬全国交流「第46回せきれい賞」(盛岡芝2400m)。今シーズンの芝スタートは先週6月30日。7R、B1・朝顔賞、メイン11R、3歳・サファイア賞が行われたが、盛岡競馬場は激しい雨が降ったため翌日7月1日、第1、第2Rの2歳新馬は芝1000mからダート1000mへ変更。7月2日はJRA条件交流・アメジスト賞が8Rで行われたのみ。結果的に芝は3レースだけ。傾向を推測するデータ不足で、いきなり交流重賞・せきれい賞は行われる。当然のように波乱の要素は多いが、盛岡芝実績が高い馬がそろった。
アトミックフォースは中央芝2000m4勝、GIII・新潟大賞典2着から南関東へ移籍。2戦目から2連勝を飾り、せきれい賞へ参戦。盛岡芝2400mのコースレコードを25年ぶりに更新。1997年、ロイヤルハーバーがマークした2分29秒0を0秒5塗り替えた。
続いて11月、OROカップへぶっつけで臨み、2着コズミックフォースに1秒差(6馬身)をつけて圧勝した。続いて南関東帰郷戦を快勝し、GI・東京大賞典へ挑戦14着。その後は休養に入り、8月に復帰。その一戦を叩いて9月、OROカップへ駒を進めて見事連覇を果たした。以降は順調さを欠いて4ヵ月休養から中原オープン6着から今回参戦する。今年8歳の高齢馬だが、盛岡芝は3戦3勝。休み明けを叩いて変わり身も見込め、せきれい賞2度目の制覇する可能性は高い。
ヴィゴーレは中央芝1800m2勝、新潟ダート1800m1勝から南関東へトレード。浦和2000mを勝ち、昨せきれい賞へ参戦。ゴールドギアを退けて初重賞をゲット。キズナ産駒の期待馬が待望の重賞制覇を果たした。
続いて小倉日経オープンに挑戦したが、11着に終わって地元競馬に専念。1勝をマークして相手が強かった前走7着以外は堅実さを発揮してきた。アトミックフォース8歳に対し、ヴィゴーレは6歳。この2歳差を味方に逆転、2連覇を狙う。
ゴールドギアは昨年、中央芝5勝オープンから岩手入り。初戦のダート重賞・あすなろ賞で2着を確保して芝準重賞・かきつばた賞を優勝。続いてせきれい賞へ出走したが、惜しくもヴィゴーレの0秒1差2着に敗れた。OROカップでも3着を確保したが、以降はダート以外に選択肢がなし。当初は戸惑うケースが多かったが、今年は徐々に克服。あすなろ賞2着、一條記念みちのく大賞典でも3着に健闘した。
過去実績からも盛岡芝2400mがベストの条件。芝1700mでは追走に手こずっていることから、ゆったりと流れる2400m向き。今度こそ重賞タイトルを獲得できるか、期待が集まる。
マンダリンヒーローはデビュー4連勝を飾り、重賞・ハイセイコー記念を優勝。5戦目の雲取賞2着からアメリカへ遠征。サンタアニタダービーでハナ差2着に惜敗し、ケンタッキーダービーにも挑戦して話題を集めた。帰国後は3戦連続2着。ダービーグランプリはミックファイアに敗れ、以降は10、2着、4着。勝ち切れないレースが続き、芝に活路を求めてきた。最大ネックは初の芝対応だが、近親には芝で活躍馬が多数。2歳以来の勝利を手にし、今後の選択肢を増やしたいところ。
ブローヴェイスは中央2戦から再転入後1勝2着2回3着1回。芝2400m3歳重賞・サファイア賞を優勝した。持ち時計は劣るが、適性は証明済み。
ソロフレーズは一昨年、いしがきマイラーズ優勝後、勝ち星なし。3着が最高だが、盛岡芝3勝。一変の可能性がある。
◎⑨アトミックフォース
〇①ヴィゴーレ
▲④ゴールドギア
△②マンダリンヒーロー
△⑪ブローヴェイス
△⑥ソロフレーズ
<お奨めの1頭>
2R アークヴィルヌーブ
転入初戦を2着にまとめて上々の滑り出し。ここでは前走タイムが抜けており、順当に勝利を飾る
6月30日、この日から始まった夏の盛岡開催初日にあわせて今季最初の芝重賞『サファイア賞』が行われました。あいにくの強い雨の影響で稍重の馬場で行われたレースは5番人気パラダイスリズムが優勝。自身の2勝目を重賞制覇で飾りました。
ほとんどの馬にとって初めての2400mというだけでなく、先の盛岡開催に芝戦が組まれていなかったこともあって盛岡の芝が初めてという馬も少なくなく、戦前から予想以前に有力馬の絞り込みにも悩むレース。加えて雨の影響で末脚も封じられるような状況になってさらに難解になりましたが、終わってみればパラダイスリズムが2400mを逃げ切り勝ち。「こういう馬場になったことで差し馬の末脚が鈍るだろう。思い切って逃げて勝負と指示しました」とは同馬を管理する橘友和調教師。その読みが見事にはまった勝利でもありました。
7月2日のメインレースは12Rの3歳・地方競馬全国交流重賞『ハヤテスプリント』。遠征馬6頭・地元勢6頭が1200mの舞台で戦います。
夏の盛岡開催初日は先にも触れたように雨から始まりましたが2日目の7月1日は好天に転じて馬場の回復も急。その回復具合の刻々の変化によって馬場傾向が大きく変わる難解な1日にもなりました。7月2日も朝から好天が続く予報。傾向や展開は7月1日の終盤ともまた変わってくると思われますのでご注意を。
さてハヤテスプリント。本命は(5)マッシャーブルムです。
JRA時代にダート1800mの新馬勝ち、南関に移籍しての初戦でも大井2000mの準重賞を制し一躍クラシック候補の一角に挙げられる存在になった同馬。京浜盃、羽田盃でも上位に入ってきましたが東京ダービーには向かわず、かわって矛先を向けたのが1200m路線でした。前走の優駿スプリントトライアルはしかし、大幅距離短縮にもかかわらず、そして短距離路線の実績馬を相手にして2着を確保。敗れはしましたがスピード性能の高さを示す結果だったといえるでしょう。
そのまま優駿スプリントに向かっても上位争いできたでしょうが、ここに向かってきたということは勝ちを狙ってきたものと判断すべき。もちろんそれだけの力量があると見ての本命視です。
対抗は(12)オスカーブレイン。昨年の南部駒賞では初マイルを懸念されながらも快速を活かし切って2着確保。これで輸送やコース対応にもメドが立った様子でした。門別での今季二戦はもうひとつの結果でしたが今回はいわゆる叩き三戦目。門別とは違う軽い盛岡の砂を狙っての遠征なのも不気味。
三番手は(11)ワールドエンパイアを。2着が目立つ戦績ですが相手は重賞勝ち負けレベルの強敵がほとんど。むしろこの馬の能力の高さを示している結果といえます。前走は、水が浮くようなオーストラリア砂は巧拙が極端に現れるので度外視可。あとは初輸送がカギですがそれをクリアできたなら勝ち負けまで。
(4)ツキシロは南関でも早い時期にデビューしていた馬で、重賞級のタイトルこそないですが地力の高さは早くから評価されていた馬。距離短縮も恐らく好材料。もう一頭は(6)スピニングガール。昨秋までの実績ならこのメンバー中でも最上位レベルでした。大井の砂が苦手という可能性があり一変に注意を。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(5)=(12)、(5)=(11)、(5)=(4)、(5)=(6)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
7月1日(月)メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1600m)。この日は夕方の降水確率が90%だが、予想最高気温が30度超え。真夏日の可能性が高く、サラブレッドにも少なからず影響するのは確実。いつも以上にパドックの気配、体重の増減が重要なファクターになるに違いない。
主軸はマナホク。昨年11月、門別から再転入。絆カップ4着、トウケイニセイ記念で5着を確保した。今季はA級からB2へ降格して初戦を快勝。3歳時に岩手クラシック三冠目・不来方賞(当時は地元重賞)を快勝した実力を誇示した。
以降は2着3回3着1回と足踏みを続けているが、近2走はヒロシクンが相手では仕方なし。ご存じのとおり、ヒロシクンはB1級3連勝から岩手古馬の最高峰・一條記念みちのく大賞典へ挑戦。鮮やかな逃げ切りを決めた。レース回顧でも触れたが、ヒロシクンの祖母はファビラスラフイン。岩手で秘めた素質を開花させた。今回は強豪メンバーが抜けて絶好の勝機。いい脚を長く使えるタイプで直線長い盛岡向き。首位を奪回し、今後に弾みをつける。
エスクマは2歳時に盛岡で2勝マーク。3歳時は順調さを欠いて2度の休養を経て秋に復帰。いきなり2連勝を飾り、地力の高さを誇示した。しかし典型的なサウスポーで水沢に替わって凡走の連続。これまで2着1回が最高と小回りで苦戦するが、盛岡に替わると反応が一変。競馬再開の水沢戦は3戦とも着外に沈んだが、盛岡で2着に反撃すると前々回快勝した。
それゆえ前走・水沢850m8着も陣営の想定内。その一戦を叩いて盛岡戦に照準をピタリと合わせた。盛岡マイルも3戦2勝2着1回と得意とする条件。好調メンバーがそろったが、適性を前面に逆転首位まで十分。
ネオネオモッズは2歳時に2勝をあげたが、3歳時は1勝のみ。昨年は開幕から好走を続けたが、脚部不安が発生して8ヵ月休養。今季も2戦着外だったが、3戦目を快勝。続く一戦は8着だったが、以降は2勝2着1回3着1回。ようやく上昇ムードに乗った。前回も快勝し、絶好調を誇っている。
ローグネイションは昨年A級から今年は最下級C2へ降格。あっさり5連勝をマークした。3走前10着に敗れて連勝はストップしたが、しっかり軌道修正して1、3着。相手は骨っぽくなったが、マーク欠かせない。
マルケイアローは今季3着2回と伸びを欠いているが、元々が器用なタイプではなくコース広い盛岡で本領を発揮。マイルも4勝2着1回と距離も合う。
エスペルトは昨年7月、南関東B3から転入して3勝2着1回。その後は休養を余儀なくされ、復帰後は入着止まりだが、徐々に復調気配。
◎(2)マナホク
〇(3)エスクマ
▲(8)ネオネオモッズ
△(9)ローグネイション
△(1)マルケイアロー
△(10)エスペルト
<お奨めの1頭>
3R ミラクルレインボー
休養明けの初戦1000m戦を完勝。前走は4着に沈んだが、今回はマイペースの逃げ必至。条件も合い、首位を奪回する
今週から戦いの舞台は盛岡競馬場へ替わり、いよいよ芝レースもスタートする。今年は芝のダメージを考えて実施時期を遅らせて終了も10月。短期集中型で芝競走を行う。今季のこけら落としは第7R・B1級特別「朝顔賞」。その試走を受け、メインは3歳重賞「第17回サファイア賞」(盛岡芝2400m)。盛岡芝の基本距離は1600m、1700mだが、いきなり盛岡芝の最長距離を舞台に行われ、未知の部分が多数。波乱の要素もたっぷりと含んでいる。
セイバイラックは昨年、デビュー4戦まで芝路線を歩んで重賞・若鮎賞2着、芝交流・ジュニアグランプリ4着。5戦目も芝1600m戦にエントリーしたが、走路悪化のためダート変更。それも功を奏して初勝利をあげ、以降はダート路線へシフト。一連の重賞で入着を確保。着外に沈んだのは前々走・イーハトーブマイル8着のみ。抜群の安定感を誇り、東北優駿でも3着に健闘した。
ただ芝ダートを問わず勝ち切れないのも事実。最後の爆発力が足りないのがネックだが、それならば2400m延長は歓迎のはず。ジリ脚タイプには打ってつけの条件と言え、重賞挑戦10度目で悲願の重賞タイトルを手にする。
ホッコーアドミラルは中央3戦0勝、佐賀2勝から今年4月に転入。初戦3着から2戦目を快勝し、以降4、2着。前走は格下から東北優駿へ挑戦して5着に健闘した。今度は芝に替わるが、父シュヴァルグランはジャパンカップを優勝。母父もヨハネスブルグなら血統的にはOK。何よりもどんな流れにも対応できるのが強味。アッサリまで十分。
プリズムスペクトルは2歳時に3戦を消化。陣営は芝も予定していたが、脚部不安のため9月から戦列離脱。今年3月に復帰し、2勝2着1回。本来の実力を発揮してきた。なぜ芝を使いたかったかというと血統背景。父レインボーラインは春の天皇賞を制し、阪神大賞典1着。長丁場で活躍し、母父がスピニングワールド。大化けする可能性を十分に秘めている。
シンプロレタリアトは東京芝2000m・新馬戦で3番人気5着。その後3戦は二けた着順に終わり、門別へトレード。初戦を快勝し、2戦目8着から転入。いきなり芝重賞へ挑戦はデビュー戦の内容を考えれば納得できる。
サンタルチアは東京芝1800m・新馬戦7着。今回は3月以来の実戦だが、転入前の中京芝2000m戦で2番手をキープした先行力が魅力。マイペースに持ち込んで粘りを発揮。
ユウユウププリエはデビュー戦の水沢850m5頭立て4着。他のダート戦では入着が一度もなく、ほとんどが大差負け。しかし5戦目の芝重賞・若鮎賞で動きが一変して快勝。典型的ターフホースと見ていい。今回は待ちに待った一戦。
◎⑧セイバイラック
〇⑦ホッコーアドミラル
▲④プリズムスペクトル
△②シンプロレタリアト
△③サンタルチア
△⑩ユウユウププリエ
<お奨めの1頭>
2R ポマイカイ
デビュー戦の盛岡ダート1000m戦を1秒8差で圧勝。早池峰SSを完勝ダイセンメイトの弟らしくスピードを発揮した。1400m延長でも追いかける手