
先週の「第30回岩手ダービー ダイヤモンドカップ」の報告から始めたい。圧倒的な1番人気に支持されたのは、もちろんロックハンドスター。しかも100円元返しの1本かぶりとなったが、その期待にこたえて圧勝。ニューヒーローの誕生を予感させるに十分の内容だった。
レース後、菅原勲騎手は「思ったよりペースが遅く折り合いを欠いたりしたので、馬の能力を信じて早め先頭に立った。昨年までなら先頭に立つとトボけるところがあったが、最後まで気を抜かないで走っていた。これが最も成長した面」とコメント。
続いて今後については「これから遠征競馬になると思うが、最初から勝てるとは思っていない。強いメンバーに揉まれ、速いペースを経験して地力がついていくはず。その意味で楽しみ。このぐらいの馬はなかなかでないと思うので岩手のためにも頑張ってほしい」とのこと。
現時点ではジャパンダートダービー挑戦も視界に入れているが、最も優先すべきことはロックハンドスターの体調。温かい目で見守ってほしい。
6日(日)メイン10レースはオープン馬による芝2400m特別「かきつばた賞」。このレースの1、2着馬には地方競馬全国交流・せきれい賞(7月18日)への優先出走権が与えられる。
当初、ボスアミーゴの登録もあったが、出走を自重した。理由は万全の態勢で臨めないから。史上初の同レース3連覇がかかっていただけに残念な限りだが、ここで無理をすれば後々まで響くのは間違いないこと。じっくり態勢を立て直し、再び元気なボスアミーゴをファンの前に見せてほしい。
盛岡ターフ王が不在で一転して混戦模様となったが、コンバットキックを主軸に抜擢してみたい。明け3歳の重賞・金杯を制し2歳最優秀馬に選ばれ、その後の飛躍を期待されたが、自問自答の日々を繰り返し、長期スランプ。
3歳秋にようやく復調を遂げて交流レースで積極的に挑戦。なかなか結果が出ず南関東、岩手を行き来し、今年4月に里戻り。2戦目を快勝し、1年半ぶりの美酒を味わった。
今回、主軸視したのは芝適性以上に長距離が合うと見たから。スパッとした決め手がある訳ではなく、ゆったりとした流れで最も本領を発揮する。他が2400mの若干不安がある馬が多いだけに、距離適性を全面に勝利を飾りたい。
逆転筆頭はホウザン。2歳時の活躍はご存知の方も多いと思う。新馬戦を快勝後、函館2歳S4着、札幌2歳S0・2秒差3着。またダートグレード・北海道2歳優駿でもディラクエの2着に健闘した。
その後、南関東へトレードされ、クラシック戦線にチャレンジしたが、東京ダービー後に骨折が判明。1年半の長期休養を余儀なくされた。
戦列に復帰したのは今年2月だったが、往時の迫力を取り戻せず着外の連続。それならば芝がある岩手へと活路を求めてきた。初戦ダート戦は逃げて3着。ペースにも恵まれたが、これで今後のメドが十分立った。
カギを握るのは芝2400mの距離だが、小回りの盛岡なら道中で息を入れることができるだろうし、スローペース間違いなし。芝で鮮やかな復活シーンの可能性も大きい。
サケダイスキは中央3戦0勝から岩手入り後、3戦2勝から再びJRAへ。それが見事成功を収め、芝で3勝。準オープンまで出世した。
今年3月、大井を経て3月に帰郷。3戦を消化していずれも着外だったが、こちらも芝は待ちに待っていた一戦。自慢のスピードがよみがえるか注目。
アポロノサトリは中央時時代、芝短距離路線を歩んで5勝。NHKマイルカップで4着に入った実績が光る。その後、障害へ転向して1勝をあげ、今年5月に転入。初戦は中団待機策から4着。2戦目・あすなろ賞は逃げて直線失速6着に終わった。
今回、芝2400mが長いため、陣営はかきつばた賞を使うかどうか迷ったが、芝が合うか否かも見極めたいと出走を決断した。結果は如何。
ソノマンマは盛岡芝4戦3勝3着1回。その3着はオープン・桂樹杯で0・3秒差。実績的には当然勝ち負けなのだが、今シーズンは迫力がもう一つ。芝適性でどこまで巻き返しを図れるか。
◎(8)コンバットキック
○(1)ホウザン
▲(9)サケダイスキ
△(2)アポロノサトリ
△(5)ソノマンマ
3連単は8、1の1、2着折り返しから9、2、5へ3着流し
馬複は 1-8、8-9、2-8、5-8
<お奨めの1頭>
9レース クォーク
惜しいレースの連続で2着4回。敗戦すべてが力負けとは思えず、今日こそスッキリ勝つ
5日(土)メイン「早池峰賞」(盛岡ダート1200m)はJpnⅢ・クラスターカップとつながる道。このレースを皮切りに、重賞・岩鷲賞(7月5日 水沢1400m)からクラスターCがダート短距離戦の王道。
現時点での岩手№1・ゴールドマインが短距離路線へ矛先を向けてきた。シーズン初戦・赤松杯を転入後、最も強い内容で完勝したが、シアンモア記念では東海2騎に6馬身差3着。全国の強豪と戦ってきたキングスゾーン、マルヨフェニックスに完敗を喫した。
ただ、一つ気になったのがマイナス11キロの大幅な体重減。赤松杯が最高の状態で臨んだだけに、その落差に陣営も正直戸惑いを隠せなかった。これは中央時代を含め、2番目に軽い馬体重での出走。そこに酌量の余地がある。
もちろん万全だったとしても東海の2騎にはかなわなかっただろうが、いつもの反応が見られず直線でガス切れした印象。
これまでの最短距離は1400m。今回の1200m戦は生涯初めてに不安は残るものの、このメンバーでは底力が一枚上。それに1400m戦は昨年の重賞・栗駒賞(水沢)完勝で距離の融通性があることを証明済み。スッキリと勝ちたいところだ。
逆転筆頭はトーホウライデン。水沢戦で好勝負を演じながら、勝ち切れないレースを繰り返していたが、そのうっ憤を晴らすかのように緑風賞(B1)を快勝。人気はコアレスランナーが集めていたが、得意の盛岡で逆転劇を演じた。
思い出すのは一昨年の岩鷲賞。A1級平場戦を勝ち上がったばかりで6番人気と低評価だったが、それを見事覆して快勝。初の重賞タイトルを手に入れた。その時マークした1分12秒1も出色のタイム。クラスターカップで地元の期待を一身に集めたが、無念の出走取り消しとなった。
今回はB1の格下からの挑戦でA級馬が57キロの負担重量に対し、トーホウライデンは55キロで出走できるのも強み。盛岡ダート1200m適性を存分に発揮する。
5月23日、あすなろ賞はコアレスレーサー、ソニックルーラーの初対決にわいたが、その2頭を尻目に快勝したのがダンストンリアルだった。今シーズンは3着が最高で脇役に甘んじていたが、久々に本領を発揮。2着サンシャインヘイロに抜かれそうで抜かせない根性が爆発した。
オープンタイトルは昨年の岩鷲賞に続く2個目。その岩鷲賞では直線で最内から強襲。4頭がアタマ差の大接戦を制したものだったが、並ぶと根性を発揮するのがダンストンリアルの持ち味。気ムラな面があり、好走が続かないタイプで全幅の信頼を置けないが、前回と同様の展開になれば首位奪取のシーンまで。
ベルモントギルダーは南関東時代に1000m戦で<2. 1.2.2>、1200mでは重賞(アフター5スター賞・大井)で4着入線した実績を誇る。シアンモア記念の直前、脚部不安が発生して回避したのは痛かったが、短距離適性を全面に、まとめてといきたいところ。赤松杯の再現まで。
サイレントカイザーの前走・立夏賞(盛岡ダ1000m)は強いの一語だった。必至に逃げ込みを図るセプテンバーレインを子供扱い。2番手キープから直線アッサリ抜け出し、2着に7馬身差もつけた。
B2からいきなりA級馬相手は厳しいだろうが、秘めた短距離適性は決してヒケを採らない。母ベルグチェリーが中央新馬戦(ダ1000m、ダ1200m)で連続2着はダテではなかった。
◎(8)ゴールドマイン
○(4)トーホウライデン
▲(1)ダンストンリアル
△(6)ベルモントギルダー
△(5)サイレントカイザー
3連単は8を1着固定に4、1、6流し。あとは5を3着押さえ少々
馬複は 4-8、1-8、6-8、5-8
<お奨めの1頭>
9レース シルクナトゥール
目下3連勝中と破竹の進撃。初の盛岡コースも難なくこなし、ここも迷わず主軸視
今週はいろいろな節目の多い週となりました。まず、前回のこの項でもお伝えした村松学騎手が1000勝を達成しました。「999」で迎えた土曜日の1Rでの達成で、今か今かと待っていましたが決まってみれば実にあっさりとしたもの。こういう時は得てしてこんなものですね。
そして、調教師試験に合格した板垣吉則騎手が今週いっぱいをもって現役引退の運びとなり、日曜日に引退セレモニーが行われました。
これまでは試験の時期が年末で、岩手の冬季休催期間中にいつの間にか引退していて翌春から調教師として登場・・・というパターンが多かったのですが、試験の時期が変わってシーズン途中での引退という形になりました。
そのおかげ、といっては何ですが、岩手では史上2人目となる騎手引退セレモニーを行う事ができ、たくさんのファンが見守る中で『騎手・板垣吉則』に別れが告げられました。
板垣吉則騎手といえばサイレントエクセルでの活躍が印象深かったですし、古いファンの皆さんならビソウウエスタンらアラブ馬とのコンビも思い出深いでしょう。
私は、ゴールでの決めポーズの印象ですかね。ゴール手前でカメラを探してきっちり決めのポーズを贈ってくれた板垣騎手。ベテランならではの余裕であり貫禄であり、性格的にも板垣騎手らしいなと思ってみていました。
もう一つ。今なら言えるこの秘密。「板垣騎手が返し馬で笑っていたら、その馬の調子が良い」。冗談みたいだけど本当なんですよ。
本人にも尋ねた事があります。馬の調子が良いと思ってにっこりしているんですか?って。「そう?笑ってるつもりはないけど・・・」という答えでしたが、実際それで穴馬券を獲った事もあります。
そんな時の写真も見せた事があるんですよ。
「ほら、笑ってますよ」
「あれ。本当だね。何でだろうね(笑)」
本当に気が付いてないようです。
板垣騎手の最後のレースはメインのダイヤモンドカップ、ミスギンレイ。返し馬で笑っているかどうか、よく見ておいて下さいね。それによっては穴馬券につながるかも・・・。
本命は(5)ロックハンドスターで揺るぎないでしょう。春初戦のスプリングカップ、前哨戦の阿久利黒賞のいずれも圧勝。全く追う所無く、ムチを使わずの走りは格の違いとしかいいようがありません。
中間の調整も順調で、追い切りについても「すでに使ってきているのでこれで十分。状態は万全」と、騎手・調教師とも口を揃えます。
唯一心配があるとすれば2000mの距離。芝・ダともマイル以上の経験がない同馬にとって、もし足枷になるなら距離だろうと、これも騎手・調教師ともが揃って言う所。
ただ、血統やこれまでの走りから距離が伸びて悪いようには見えませんし、2000mの経験がないのは他の馬も一緒。例えば既に距離経験豊富な古馬の中に飛び込んで・・・というのならともかく、3歳馬相手で困るとは思えません。
岩手の3歳三冠戦は全て2000mですし、この後の全国レベルの舞台もほとんどが2000m。ロックハンドスターにとっては、この距離でもきっちり強さを発揮して見せて、今後の活躍への弾みにしたいところ。いや、しなくてはなりません。
事実上の「1対11」の構図で2着以下は何とでも選べそうです。という事で2着は少しひねって(1)サクラエルセダンとしてみます。
前走は3着でしたが距離適性・コース適性は十分に発揮しました。小回り水沢では身体をもてあますような感じでしたから盛岡で変身するかも・・・と思っていたら案の定。今週は差しも届く馬場だし、スロー必至の2000mなら立ち回りも楽になるでしょう。
三番手はトライアルの勝馬(12)モエレフットライト。メンバー中唯一の1800mでの優勝経験と2000m出走経験が強みになるのは間違いなし。ただ、気性的にまだ子どもっぽく、前走があんな勝ち方だっただけに今回は逆に・・・という心配はあります。
(4)ダークライは距離よりも状態面がそろそろ不安。前走は2着に粘ったもののあまり良い感じには思えませんでした。距離に関しては、過去の3歳2000mのレースで「明らかなマイラー」という馬がスローペースを利して粘る例は多く、それほど不安視しなくても良いと思います。◎にかわいがって貰ってどこまで・・・では。
★買い目
馬単 (5)→(1)、(5)→(12)、(5)→(4)
30日(日)、31日(月)の両日ともメインレースは3歳戦。30日は芝1600mが舞台「はまなす賞」。そして31日はダービーウィーク第2戦目「第30回岩手ダービー ダイヤモンドカップ」。こちらはダートのクラシック・ディスタンス2000mが戦いの舞台。
連日に渡って3歳戦が組まれ、絶対頭数の少ない岩手で馬が分散化してしまうとの声があるが、要はそのヴァリエーションをどう生かすか次第。実際、適性のあ有り無しがハッキリ出ている。
試行錯誤はこれからも続くだろうが、芝ダートを生かす術(すべ)は必ずある。今の岩手に必要なのは前向きさだ。
さて「はまなす賞」。実力比較、好調度、さらには芝適性のファクターも加わり、軸の選定に迷うが、これは望むところ。盛岡芝は初めてだが、転入後5戦5勝ゲンパチオブラヴの勢いを重視したい。
中央4戦未勝利から3月に転入。獲得賞金が"0円"だったため、最下級C2からスタート。メンバーにも恵まれて中団からアッサリ抜け出して完勝。これで弾みがついて以降、2着に1・2秒、1・1秒、0・4秒、そして前走も1・2秒差で圧勝。走るたびに迫力が増すばかり。
懸念材料は盛岡芝が初めてに尽きるが、中央時代に東京芝1400mを使って1分23秒3。1着馬から0・7秒差7着なら何とかクリアーできそうだし、何よりゲンパチオブラヴには勢いがある。
逆転候補はイシノウォーニング、リュウノオパール。イシノウォーニングは七時雨賞で1番人気に支持されたが、直線で一杯となって5着。逃げたダークライ以外はすべて先行馬が沈んだレースで、流れもきつかった。また1800mの初距離にも戸惑った印象もあり、芝に替わるがマイルなら本領を発揮できるはず。
リュウノオパールは父がダービー馬アグネスフライト、兄が菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念を制したヒシミラクルの良血馬。素質はまだ花開いていないが、盛岡芝<1.2.1.2>と適性の高さを証明。今季の成績度外視して狙ってみたい。
本調子を欠いていても潜在能力はメンバー中一番、ダイメイジュエリーも不気味だ。七時雨賞のペースを速めた張本人がダイメイジュエリーで、結果4着に敗れたが、その時に見せた脚に実力の片りんをのぞかせた。
他に輸送で体重が減っていなければ実力互角以上ベルデンアイン、JRA交流「フレンドリートロフィー・アンバー賞」で2着に善戦リュウノヒーローも侮れず、馬券的にも非常におもしろい一戦となった。
<お奨めの1頭>
6レース コスモジャーニー
転入後、アッサリ2連勝をマーク。特に前走は2着に1秒差をつける圧勝劇を演じ、走破タイムも出色。もう一丁いける
週半ばから極端に気温が低下し、愛馬の体調維持に各陣営とも苦労している。しかし盛岡替わりの5月中旬に比べると向正面の木々が青々と繁り、まさに新緑の季節を迎えた。29日(土)メイン10レース「五月雨賞」の舞台、芝1700mも緑がさらに色濃くなっている。当日の天気予想は晴れ時々曇りだそうだから、きれいなターフのもとで好レースが期待できる。
人気はドーリーゴンザレスに集中するだろう。過去、盛岡芝<6.2.1.1>と適性抜群。特に1700m戦に絶対の自信を持っており、6戦5勝2着1回と連対率100%を誇っている。前走の芝1600m戦でもヒドゥンアジェンダの強襲に遭ったが、驚異的な粘りを見せて1着同着。改めて盛岡芝の鬼ぶりを発揮した。
ただ、この結果にケチをつける訳ではないが、それ以前の4戦にかつての勢いが感じられなかったのが気になる。好調時には芝だけではなく、水沢でも勝ち負けしていたことを考えれば不満が残る内容。8歳の年齢的な衰えが見え隠れする。
主軸にポイントプリムを指名する。昨年10月、中央未勝利から転入後、すべて3着以上にまとめ依然、底を見せていない。また冬休みをはさんで4戦連続で2着に敗れていたが、前走・メイカップで鮮やかな逃げ切りを決め、これまでのうっ憤を一気に晴らした。
加えて2着が続いたのは相手も強かったから。今年の1着馬タニノレジェンド、ハルサンヒコ(バンドマスターはB2)は現在、B1へ昇級しており、むしろ2着を死守したポイントプリムを評価するべきだろう。
肝心の芝適性だが、父アグネスワールド、母父フジキセキなら逆に大歓迎。実際、中央時代に札幌芝1200mで0・5秒差4着に入線を果たしているし、芝1200mの持ちタイム1分10秒5なら十分通用する。
ヒドゥンアジェンダの前走には驚いた。4コーナーでは後方2番手にいたが、大外に進路を取ると矢のように伸び、ゴール前ではドーリーゴンザレスを交わす勢い。さすが中央3歳新馬戦・京都芝1400m戦で0・1秒差3着に入っただけのことはある。今回は100m延長の芝1700mなら、さらに切れを発揮する可能性も高い。
アドマイヤセレスは前走、ドーリーゴンザレス、ヒドゥンアジェンダから0・3秒差3着。これは決定的な差ともいえるが、道中ずっと前が壁になる不利が続き脚を余して負けた印象。一戦のみで見限るのは早計だろう。
そのアドマイヤセレスにタイム差なし5着サイレントステージ、中央芝で3勝ラストモアも不気味な存在だ。
◎(6)ポイントプリム
○(5)ドーリーゴンザレス
▲(9)ヒドゥンアジェンダ
△(11)アドマイヤセレス
△(2)サイレントステージ
△(12)ラストモア
3連単は5、6の2頭軸から9、11、2、12へ3着流し
馬複は 5-6、6-9、6-11、2-6
<お奨めの1頭>
9レース サクラカムイオー
北海道から転入後、スケールの違いを見せつけて5戦5勝。B2昇格も難なくクリアーし、黙って追いかける手