<次走へのメモ>
8月26日 第11回りんどう賞(2歳 水沢1400m)
1着 オペラダンディー
大外からフジリバティーが逃げ、2番手を追走したが、外パチョリの間に入って息のつけない苦しい流れ。2コーナーを回ってフジリバティーがペースダウンを図ったが、オペラダンディー、パチョリがアッサリ交わす。3コーナーではボスアミーゴも外から並びかけるが、オペラダンディー、パチョリの手応えの方が上回り、直線はその2頭のマッチレース。
直線半ばで一旦、パチョリが抜け出したが、内からオペラダンディーが再度差し返してクビ差先着。デビュー2連勝を飾った。
オペラダンディーは岩手のヒーロー・メイセイオペラ産駒で、デビュー戦の盛岡芝1000mでは芝にのめりながらも逃げ切り勝ち。今回も2歳馬には苦しい展開となったが、それをしのいで快勝した。
「今回はプラス11キロでしたが、前回が減り過ぎ(能力検査は485キロ、前回459キロ。そして今回は470キロで出走)。これが本来の体でしょうし、中間に2本、追い切ってこの馬体重ですから状態も良くなったんだと思います。血統的にも芝よりダートが合いますし、良く差し返しましたね。思った以上に強くなるかもしれません」と板垣騎手。
2着 パチョリ
前回・若鮎賞ではスローペースのため道中、折り合いを欠いてしまったが、今回はすんなり2番手を追走。一瞬、砂を被って嫌がるところを見せたが、小林騎手がうまくなだめて直線で一旦先頭。惜しくも僅差2着に敗れたが、これで今後のメドが十分に立った。
3着 ボスアミーゴ
ビギナーズカップではパラダイスフラワーに完敗2着だったが、パラダイスが不在で圧倒的な1番人気に支持された。終始4番手を追走し、いつでも交わせる勢いだったが、いざ追い始めたら伸びが案外。パドックでカリカリしたところを見せ、レースでやや折り合いを欠くシーンもあったが、それにしても3着は意外な結果。デビュー戦水沢850mで非常に強いレースで勝ち、一躍注目を集めたが、ここ2戦の内容が不満。今後は芝にもトライしてみたいという話だが、このまま引き下がるとは思えない。
8月27日 第29回すずらん賞(オープン 水沢1600m)
1着 ミサキノハンター
「調教師の指示どおり」(高松亮騎手)、好枠から逃げたが、ローランボスコが外でずっと馬体を併せて追走。13秒台に落ちたのは1、2コーナーだけであとは12秒台のラップを刻む。3コーナー、ローランボスコが馬なりで交わしそうになるが、「反応が悪い馬なので早めに追った方が良いと聞いた」高松騎手が必死に手をしごいて逃げにこだわる。
直線を向いても後続から襲ってくる馬はなく、ミサキノハンター、ローランボスコの2頭の争いが濃厚となったが、ミサキノハンターは尻尾を振りながらも何とかローランボスコの追撃を封じる。
今回、ミサキノハンターはA2からの格下挑戦で負担重量55キロに加え、高松騎手が減量騎手だったので54キロの軽ハンデにも恵まれたが、岩手での3勝は逃げ、もしくは2番手から早めの抜け出し。今回も道中で手応えが怪しくなるシーンもあったが、多少、強引にでもハナに立ったのが結果功を奏した。高松亮騎手は今年デビュー3年目でうれしいオープン特別初制覇を果たした。
2着 ローランボスコ
7月2日、栗駒賞以来の実戦となったが、太め感もなくスッキリした体で出走。好スタートから2番手を追走し、いつでも抜け出せる勢いだったが、直線半ばで一杯となった。これが久々の影響だろうが、中身は十分に合格点。改めて水沢マイルの鬼を証明した。
3着 ブラーボウッズ
スタートであおってポツンと最後方からの競馬だったが、小林騎手はあわてることなくジックリ待機。2コーナー過ぎでスルスルと前に進出し、先行2頭を射程圏に入れたかに見えたが、ラスト100mで脚色がいっしょとなった。今回は行ったきりの競馬で3着も仕方なく、これまでの成績どおり右回りが真価発揮の舞台となりそうだ。
4着 マンジュデンツルギ
終始3、4番手インにつけ、直線で一瞬いい脚を見せたが、最後の伸びがもう一つだった。
5着 エアウィード
ポツンと離れた6番手につけ、ブラーボウッズが動いたのを見てスパートをかけたが、反応なし。マーキュリーカップ後、ひと息を入れて馬体重も470キロに回復し、過去実績からも1番人気に支持されたが、気難しい面を出す。次走は予定どおり青藍賞だが、ひと叩きされて競走本能を戻しているかがカギ。
8着 シンボリスナイパー
3番手外で掛かり気味に追走したが、2コーナー過ぎに早々と一杯。中央1600万下から転入初戦、鮮やかな直線抜け出しを決めて快勝。それで今回は2番人気に推されたが、意外な凡走に終わった。
全国のお天気を眺めていると、西日本を中心にまだまだ残暑が厳しいようですね。お疲れ様でございます。こちら岩手は、先週末あたりからめっきり風がひんやりとしてきまして、夜など寒く感じるくらいになってきました。日中、日差しがある時はさすがに暑いのですが、日がかげったり曇ったりすると、“涼しいな”と思います。
そう思って空を見上げると、まだまだ頑張るモコッとした夏雲の上、空の高いところにハケでサッと掃いたような秋の雲が広がっています。空にはもう、秋が迫ってきているんですね。やっぱり岩手の夏は短かった・・・。
月曜のメインレースはサラA1・A2混合のエクセレント競走です。クラス混合戦の上、転入初戦、もしくは転入後間もない馬が多くて力比較が難しいところですが、そんな中ではここまで安定した実績を積んでいる村上昌幸厩舎の3頭、ドラグーン・ゲイリーエクシード・マイニングプレスが、やはり有力と見ていいのではないかと思います。
そこで今回の本命はゲイリーエクシード。前走はヤマニンエグザルトの2着に敗れましたが、これは馬にやられたというよりは勝ち馬に騎乗していた内田利雄騎手にやられたという感が強かったレース。ゲイリーが動きたい時は上手くペースを抑えられ、ヤマニンが動きたい時は自分のペースで好きなように動かれ・・・。さすが内田騎手と唸らざるを得ないレースでしたからね。
ゲイリーエクシード自身は依然、好調サイクルをキープしており、前走比較で言ってもメンバーが楽なここはしっかり決めたいところです。
対抗はマイニングプレス。57kgで大外枠は若干不利な印象がありますが、この条件はほとんど掲示板を外した事がない得意の条件ですし、レース運びに注文がつく馬なので鞍上が小林俊彦騎手に戻るのも好材料といえます。
そしてもう一頭、ドラグーン。最近は芝での活躍、それも差し・追い込みでのそれが目につきますが、4月には水沢ダート1900mで行われた駒形賞を逃げ切ったように、ダートで先行力を活かす競馬も可能な馬です。よほどのハイペースにでもならなければ粘り込み可能。
あとは横一線という感じですが、その中から転入初戦のニーマルファイターに期待してみましょう。JRA未勝利馬ですがダート適性はそこそこありそう。久々になる点は、能力検査で先行し切ったところをみるとある程度の仕上がりにはありそうです。
穴目ではケイアイフォーユーとチェリーフォティ。特にチェリーフォティは折り合いさえつけば逃げ切りまであり、ここでも警戒が必要でしょう。
買い目は5枠5番ゲイリーエクシードから4、9、12へ。穴目を加えて7と11。
ゲイリー頭で良いと思うのですが、今のコース状態を考慮して裏目も少々。フォーメーションなら(5・12)−(4・5・9・12)−(4・9)でいかが。穴目を加えるなら3着に。
◇お奨めこの一頭
最終11R、リヴェール競走に出走するナリタルートワン。とにかく揉まれず・ごちゃつかずレースができるかどうかがこの馬の好走のカギ。大外枠は好都合。
おまけしてもう一頭、最内枠のサージェリーなどいかがでしょうか?どうも勝ち切れませんが馬の状態やレース内容は安定。勝ち負け参加は展開ひとつのはず。
27日(日)メインは古馬オープン馬による水沢1600m戦「第29回すずらん賞」、8頭立て。このレースの1、2着馬には重賞・青藍賞(9月10日、水沢1600m)の優先出走権が与えられ、マイルチャンピオンシップ南部杯(10月9日、盛岡ダート1600m)へと続くG?への道がいよいよスタートを切る。
当初、登録のあったウツミジョーダン、ベルモントシーザー、オリエントボスなど出走すれば人気を集めるであろう有力馬が続々と回避。結局、8頭立ての少頭数となってしまったが、そうなると俄然、エアウィードに注目が集中する。
(写真はシアンモア記念ゴール 1着エアウィード 佐藤到)
今シーズンは開幕前の3月、特別競馬の平場戦でまず1勝をマークし、続くまんさく賞(4月16日、水沢1600m)はローランボスコの5着。この時は馬体重480キロジャストと余裕を残した調整で臨み、この結果も陣営の想定範囲内だった。
しかし、エアウィードはまんさく賞を叩かれて気配がガラリ一変。5月7日、予定どおり重賞・シアンモア記念へ駒に進めたが、気配一変は馬体重にも顕著に現れ、前走比マイナス15キロの465キロで盛岡へと登場した。
この激減には評価は真っ二つに分かれた。前回とは見違えるほどキッチリ仕上がっている。最高の状態になった。いや、あまりにも絞り過ぎでなかったか。馬が細く見える―。
答えは『吉』と出た。先陣が争い、ハイペースを形成する中、いつもより早め4、5番手を追走したエアウィードが直線シャープに抜け出して快勝。単騎先頭に立つととぼける馬が、2着タイキシェンロンに0・2秒差をつけるという完璧なレースを披露した。
これでエアウィードの時代到来を誰もが疑わなかったが、続くみちのく大賞典(6月4日)では、さらに体重が減って460キロ。その影響が大きく、前回・シアンモア記念の冴えがまったく見られずコアレスハンターから0・7秒差の6着に敗れた。
また昨年4着に入り、地元の期待を担ったG?・マーキュリーカップ(馬体重465キロ)でも見せ場すらなく後方のまま10着に沈んだ。
月1回の無理のないローテーションで使いながら、それでこの結果は疲労以外なにものでもなく、陣営は迷いなく休養を選択。1ヵ月半ほどリフレッシュに務め、エアウィードは万全を期してこのすずらん賞へと臨む。
今回のネックはレース勘を取り戻せるか否かに尽きるが、元々が気のいいタイプだし、有力馬が続々と回避して相手有利は明白。ここをキッチリ勝ってマイルロードを驀進したいところだ。
軸はエアウィードに託したが、相手捜しがちょっと面倒くさい。それならば栗駒賞(7月2日)以来の実戦で仕上がりカギだが、水沢マイルの鬼ローランボスコを指名してみたい。4月16日、まんさく賞では前記エアウィード、タイキシェンロン以下を一蹴。大金星をあげ、改めて水沢巧者ぶりを誇示した。これは数字にもハッキリ現れ、水沢4勝に対し、盛岡はわずか1勝。さらに水沢マイルは2勝2着1回と連対パーフェクトを継続中だ。
仕上がり具合がカギと書いたが、今年の岩手は他県同様に非常に暑い夏となって各陣営とも調整に苦労していたが、無理をせず夏場を休ませたことはローランボスコにとってプラスに作用するに違いない。
ブラーボウッズも地元水沢で真価を発揮できるタイプだ。水沢1勝2着1回。盛岡は3着にすら入っていないが、これは輸送で入れ込んでしまったため。実際、盛岡の装鞍所で激しく嘶いていたのを何度も目にしたし、レース前に終わってしまった感じだった。本質的には1700〜1800mの中距離タイプだが、マイルも守備範囲と見ていいだろう。
以下、岩手初戦(7月29日、A1級)を完勝したシンボリスナイパー、マーキュリーカップで6着に入ったマンジュデンツルギも押さえておきたい。
3連単は6を1着固定に2、3着は4、7を厚めにして8、1を押さえに
馬複は4−6、6−7、6−8、1−6
<お奨めの1頭>
4レース リヴァイアサン
使い込めないタイプだが、目下2連勝中と良血馬が素質開花。2戦の走破タイムも抜けており、ここも断然の主役を演じる
26日メインは2歳特別「第11回りんどう賞」(水沢1400m)、9頭立て。このレースの1、2着馬には10月15日、盛岡ダート1600mを舞台に行われる重賞・若駒賞への優先出走権が与えられる。
当初、目下3連勝中もパラダイスフラワー(牝 父ティンバーカントリー)の名前もあったが、使い詰めだったこともあって自重した。同馬は2戦目の平場、そしてビギナーズカップ、若鮎賞とダート芝特別と連戦連勝。現時点では他の2歳馬を圧倒的にリードする存在だが、意外にもJRA認定競走をまだ勝っていない。今後、遠征を視界に入れれば認定競走は是非、取っておきたいところで、それも考慮して今回は出走を見送った。
それならボスアミーゴ(牡 父アドマイヤボス)にチャンス到来の一戦となった。ビギナーズカップのブログでも記したが、ボスアミーゴは7月1日、水沢新馬戦で1枠に入って痛恨の出遅れ。850mの短距離でこの出遅れは致命傷ともいえたが、一旦下げて3コーナーから大外を回りながら豪快に抜け出して快勝。このスケールの大きいレースぶりから周囲の期待は高まる一方だった。
ところが、ビギナーズカップでパラダイスフラワーがボスアミーゴをアッサリ一蹴。盛岡ダート1200mで1分12秒2の驚異のタイムをマーク。これはG?・クラスターカップで破られるまで、古馬も含めて今季一番の時計だった。これではボスアミーゴ2着も仕方なしの結果で自身は1分13秒0で駆けており、例年のビギナーズカップなら圧勝パターンだった。今回はそのパラダイスフラワーが不在に加え、輸送のない地元水沢の競馬なら当然の主役を演じるに違いない。
軸はボスアミーゴで確定。2着争いがちょっと難解だが、プリムラジュリアンを相手一番手に指名したい。前走・若鮎賞は中団から退いて8着に敗れたが、これは本質的に芝が合わなかったものと解釈したい。デビュー2戦目、水沢1300m戦ではパラダイスフラワーから離されたものの、0・7秒差の1分23秒3の好タイム2着。続く盛岡ダート1200m戦で待望の白星を飾っている。それは父がティンバーカントリー、母が2、3歳時、岩手ダートで活躍したサクラスギなら納得。今回、ダート戦に戻って巻き返し必至と見たい。
ブラックホーク産駒ソードは叩かれながら徐々に本領を発揮し始めた。500キロを超す大型牡馬で母父グリーングラスの血が強く出たのか、デビュー2戦は忙しい競馬に戸惑って連続4着。3戦目で初勝利をマークしたが、前回・若鮎賞は6番人気と低評価。しかし直線大外から鋭く伸び、メンバー中最速の上がりを使って0・1秒差3着に食い込んだ。連闘となるが、気配落ちはまったくなく距離1400mを味方に豪快なマクリが見られるかもしれない。
おそらく人気を集めるのはメイセイオペラ産駒オペラダンディーだろう。7月15日、デビュー戦芝1000m戦をスイスイ逃げ切って快勝。メイセイオペラ産駒で初めて盛岡芝の認定競走を勝ち上がった。これまで同産駒は活躍の場はダート中心だったが、母父ロドリゴデトリアーノの血も後押しして白星をマークした。初の盛岡、初の芝をアッサリ克服できるのは器用さも兼ね備えていることを意味し、人気の一角を占めるのは当然だが、能力検査(水沢850m)での動きがもう一つ。それで小生は4番手評価とした。
以下、JRAマリーゴールド賞はしんがり10着と凡走したが、デビュー戦51秒4(水沢850m)のハイタイムで逃げ切ったフジリバティー、マツリダパレスの妹マツリダランランあたりも軽視できない存在だ。
3連単は5を1着固定に、2着、3着折り返しで1、4。押さえで8、9、7
馬複は1−5、4−5、5−8、5−9
<お奨めの1頭>
3レース クールビズ
能力検査で水沢850m51秒3を余力残しでマーク。これはコースレコードに0・2秒差という破格のタイムだった
先日、近々発売される「テシオ」Vol.42に掲載する記事の取材のため、盛岡市内にある「塩釜馬具店」をお訪ねしました。
このお店は大沢川原という、盛岡の中心街・大通りからわずか300mほどしか離れていない場所にあります。しかしこの近辺は、一方通行の狭い通りが幸いしてか新しい店舗は少なく、農作業の道具を製作する鍛冶屋さんや、おそらく大正時代からの姿そのままで営業を続けている旅館、その名も「大正館」などがあり、ぶらりと歩くだけでも何か懐かしさを感じるところ。塩釜馬具店さんも、正面こそ入り口をアルミサッシにするなど改装が施されていますが、ちょっと中を覗けば、相当に古い板張りの店内がいかにも歴史を伝えるという感じです。
実は塩釜馬具店は、私が十数年前に盛岡に越してきたときから気になっていて、「おぉ〜っ、今でも馬具屋さんがあるなんてさすが南部だなー」と感心して見ていました。その後、何かの縁があったのか私は競馬カメラマンという形で馬に関わるようになり、テシオに企画を提案して、このたび取材をお願いすることになったのです。
詳しくは本誌のほうを読んで頂きたいと思いますが、わずか1ページの記事では書ききれなかったことが沢山ありました。その中のひとつは、本誌でもちょっとだけ触れた「熊よけの鈴」。
熊よけ鈴とは、登山者などが熊とばったり出くわさないために、歩くと音がするように体やザックに付けておく鈴で、塩釜さんが本業の馬具の他に作っている製品のひとつ。やはり馬自体が激減している現在、馬具だけでは商売が成り立たないのだそうですが、いわば副業的製品が「職人の技で手作りされた逸品」ということでTVなどでも紹介され、大変な人気になっています。実際、私が取材をしている間にも関西から観光ツアー中の団体が大型バスで店舗前に乗り付け、愛犬用にとハーネスなどを買い求めて行きました。
さてその熊よけ鈴。“土台”と呼ばれるベースの部分が上質の牛革で出来ており、とてもしっかりしています。これにトロイカ鈴という、もともとはシベリアでオオカミよけに使われていたという鈴が2つか3つ付くのですが、この厚みのある真鍮製の鈴が大変いい音を奏でます。近いもので言えば南部鉄器の風鈴でしょうか。とても深みのある優しい音色なのです。そしてこの鈴は飛行機の機体組み立てにも使われていたという“沈頭鋲”でしっかりと取り付けられるのですが、これを狭い“鈴口”から道具を差し込んで留める技術が、いまはもう出来る人が少なくなっているのだそうです。お値段は4500円からですが、この音色と職人の技をこの手に出来るなら、その価値は十分あるでしょう。私もとても気に入ってひとつ買いました。今はこれを腰につけて登山に行くのが楽しみです。
現在、店頭で黙々と作業するご主人の孝さんは、一度は県外に出て大学へ進学・卒業した後、Uターンして家業を継いだといいます。私事ながら筆者の実家も祖父の代からの駄菓子屋でして、私自身「跡取り息子」なのですが、自らの夢のために勝手をさせてもらい今の道を選びました。
南部の歴史を背負った伝統の職人さんと、近所の小学生が10円玉を握ってやってくる駄菓子屋ではその重みが違うとはいえ、塩釜馬具店の年季の入った柱や床は私の実家と同じ色をしており、いろいろと考えさせられる取材となりました。