オーロパークでレースがあるとき、盛岡所属の出走馬は、競馬場に隣接する厩舎地区から担当の厩務員と一緒に歩いて競馬場にやってきます。
写真は10月16日の午後、第8レースに出走する馬たちがやってくるところ。ここは私の好きな風景のひとつで、奥の方にあるそれぞれの厩舎からやってきた馬たちの列は、ここで写真左手の方に曲がって装鞍所の方へ向かいます。写っているのは一番手前が田村光則厩舎のディアブロハンター、次が桜田浩三厩舎のミチノクレット。自転車で厩舎へ戻る晴山厚司調教師の姿も見えます。
右の壁の向こうは採尿所で、3着までの馬は必ずこの中に入って薬物などの検査を受け、そのあとでようやく自分の寝床のある厩舎へと帰ります。出走馬とその担当厩務員がこの道を歩いて来るとき、ある者はのんびりと、ある者は必勝の気合いを胸にめいめいばらばらやってきて、レース後は上位入着馬とそうでない者がはっきり分けられて帰ってゆくわけですね。
ごらんのとおり、オーロではもう紅葉が始まっています。最近の良く晴れた朝には結構な寒さを感じるようになってきており、もう最低気温がマイナスになるのも目の前という感じです。ところで、紅葉の色は最低気温と最高気温の差が大きいほど鮮やかになるというのをご存じでしょうか。今年の紅葉はというと、いま色づいている木々を見る限りあまりきれいにはならないようで、寒くなったとはいえこの時期にしてはまだまだ冷え込みが足りないようですね。
というか、ここ十年かあるいはもっと前から「今年の紅葉はきれいだね、色鮮やかだね」という声をほとんど聞いた覚えが無く、記憶の彼方にあるような山全体が燃えるような紅葉というのを長い間見ていないような気がします。これも大気汚染や温暖化で、地球環境が変わって来ているせいなのかも知れません。
(写真・文/佐藤 到)
<次走へのメモ>
10月15日 第26回若駒賞(2歳ダート1600m・地方競馬全国交流)
1着 グローリーソング
勝った2勝がいずれも後方からの競馬なので、今回もじっくり待機策かと思ったが、絶好のスタートから2番手をキープ。これは「逃げ馬が不在で、もしかすると先に行けるかもと思っていた。元々、どこからでもいい馬なので行く気に任せたら、内の馬(オペラダンディ)がムチを入れて先手を取ろうとしたので2番手になった」(服部騎手)そうで、このポジションは想定に入れていたようだ。
そのコメントどおり、前半スローペースで流れ、3コーナーからオペラダンディが後続を離して逃げたが、それにもあわてずガッチリ2番手をキープし、直線を向いてエンジン全開。
ラスト100mから内オペラダンディ、外グローリーソングのマッチレースとなり、一旦グローリーソングが交わしたが、再度オペラダンディが差し返してそのままゴールまでもつれ込んだ。しかし、グローリーソングが並んでから勝負根性を見せ、頭差先着。初重賞を手に入れた。
「前回(6着)は体重増ではなかったが、重め残り。それで反応がひと息だったが、今回は輸送もあっていい感じで絞れていた。マイナス13キロは全然気にならなかったし、むしろこれぐらいがベスト。これまで後方からまくって2勝マークしていたが、今日は並んでからいい根性を見せてくれたので収穫が大きい一戦となった」(服部騎手)
「馬(グローリーソング)がここ数戦で成長していたから今回もひそかに期待を持って連れてきた。跳びが大きいので盛岡のコースも合うんではないかとも思っていましたしね。この一戦を使って船橋へ転籍しますが、そこでも活躍を祈っています」(林和弘調教師)
2着 オペラダンディ
スタートでグローリーソングに後れを取ったが、板垣騎手が逃げにこだわる構えを見せて先手を取る。道中はスローに落とし、3コーナー過ぎから徐々に後続を引き離してセーフティリードから逃げ込みを図ったが、直線では先に記したようにグローリーソングとの叩き合いの末、惜しくも頭差2着に敗れる。
今回の好走要因はスローに落としたことが大きかったが、それに加えてこの馬もメイセイオペラ産駒の例にもれず、ダートに替わって本来の先行力が生きたと見ていいだろう。
3着 セイントセーリング
終始4番手インにつけ、満を持して4コーナー手前から追い出し始めたが、伸びが案外。デビュー戦でパラダイスフラワーをアッサリ振り切ったレース内容が印象強く、今回は初のダート戦でも1番人気に支持されていた。
初ダートで仕方ない面もあっただろうが、2着から6馬身差は離され過ぎ。今後の評価が微妙になった。
4着 アンダーボナンザ
スタートで出遅れを喫したが、手をしごいてセイントセーリングの直後を追走。動き出したのもセイントセーリングとほぼ同じだったが、反応がひと息。いかに行った切りの先行競馬で決まったにせよ、4着は不満。本格化するにはもう少し時間がかかりそうだ。
先日12日、旭川競馬場で行われたエーデルワイス賞G3で岩手のパラダイスフラワーが優勝しました。
メイセイオペラやトーホウエンペラーを送り出し、“地方競馬の中ではハイレベル”と言われてきた岩手競馬ですが、最近はグレードレースをなかなか勝てないでいました。先のダービーグランプリもそうですし、この2、3年で言ってもアテスト、ウツミジョーダン、デンゲキヒーローなど、惜しいところまで行くんだけれど勝てずにいた。思い返せば02年の南部杯でトーホウエンペラーが勝って以来、ちょうど4年ぶりのグレードレース制覇。長かったですねえ・・・。
このレース、私も現地まで行っておりまして、優勝の瞬間を見てきたのですが、その場では意外なほど冷静でして、騎乗した小林俊彦騎手とも握手をしたくらいで帰ってきちゃいました。小林騎手にしても「あんまり気負いこまないで乗った方が、いい結果になるんだねえ」なんて平然としてました。こういうのはその場ですぐ爆発!というより、しばらく経って、じわじわと嬉しさがこみ上げてくるものなんでしょう。
今年の岩手の2歳馬は、こうしてG3を勝ったから言うわけではないですが、もしかしたら昨年以上かも、というくらいレベルが高いと噂されています。有力馬を抱える陣営もいずれも積極的に遠征を狙っていますし、この後もまだまだいい便りが聞けるんではないか。そんな気がしています。
さて、この16日の月曜日はWSJS予選レースが2レースありまして、実質トリプルメインのような形になっております。予想としては岩木山特別を採り上げますが、皆様ぜひ3レースともお楽しみ下さい。
その岩木山特別。私の本命はゲイリーザスカイです。芝で好走しつつも勝てないゲイリーザスカイ。今のところは人気先行というか裏目を行くというか、どうにもつかみ所がない成績が続くのですけれど、まず芝が合うタイプなのは間違いないのがひとつ。そして、1600mから1700mへ、100mの距離延長が意外と好材料なのではないかという点。もうひとつは芝ならA2級でもそこそこ走る力を持っている点。なかでも強く推したいのが2番目の点。距離が短いと追いかけきれなかったり、逆に早めに動いて自滅気味だったりのレースに感じますので、少しでもゆったり行ける条件がよさそうなのです。馬券的にも前走人気で負けての今回が面白いのでは。この馬が出走できる芝のレースは今年これが最後という事も考えつつ思い切って。
対抗はブラインドタッチを。前走の敗戦は、やはり盛岡芝コース初騎乗の騎手ではなかなか難しかったという事なんでしょう。道中の走りは悪くなかったですし、力は通用するはず。改めて狙い直し。
もう一頭はマイネピルエットを。前走、負けはしたけれど直線の伸びはなかなか見事でした。やはりこの馬は芝馬。勢いに乗っていると見て狙ってみます。
連勝中のファニーガールは、岩手では芝は初の出走ですが、JRA時代に3戦した経験があって芝もこなせる気配。前走で破ったオースミエンドレスが土曜日のB2戦を完勝しており、力はB2突破レベル間違いなし。後は芝だけ。
タイキミスティは最近リズムを取り戻してきたのが好印象。前走や前々走のように、どうしても伸び脚勝負で負けてしまいがちなので単は狙いづらいですが、連軸としては安定度を買えます。
買い目は4枠4番ゲイリーザスカイから1、5、6、8へ。馬単でもそこそこの好配当が狙えるはず。
◇お奨めこの一頭
8レース・ミツアキトゥーリオ 前走、マイル戦が長かったという印象はないのですが、より走り慣れている1400戦で雪辱チャンス。相手は、いっそモエレタキシード・ディアブロハンターの3歳牝馬へ。どちらも距離短縮は大きなプラス。
12日、旭川競馬場で2歳G?「第9回エーデルワイス賞」(1600m)があり、岩手からパラダイスフラワー(父ティンバーカントリー)が参戦。この日、岩手でも旭川の全レースが場外発売され、小生も仲間と画面越しに応援した。
これまでパラダイスフラワーは芝ダートを問わず、すべて逃げの戦法(6戦4勝)だったが、今回は4番手イン。6戦とも地元同士でスピードの違いで逃げていたにせよ、初めて揉まれる競馬と砂をかぶる競馬を経験し、その影響がどうでるか正直、不安がない訳ではなかった。
しかし、それは杞憂に終わった。直線を向いてタガタメ、フェアリーライドを外から鋭く捕らえ、大外アグリフェスタの強襲も封じて快勝。02年、トーホウエンペラー(名古屋大賞典)以来4年ぶりに岩手勢へグレードタイトルをもたらしてくれた。
我々も直線でパラダイスフラワーに大声援を送り、ゴールの瞬間、みんながガッツポーズで優勝を祝福した。現場にいたら最高だったが、画面越しでも興奮はいっしょ。みんなが一体になって喜び合うのは、やっぱりいいものだなぁと改めて思った。
“おめでとう!パラダイスフラワー!!”
付け加えれば今後、全日本2歳優駿も目標にすると櫻田浩三調教師はレース後、語っていたという。もう1頭、平和賞(船橋)でネバーオブライト(父ウェイオブライト)の健闘も期待したい。
さて本題。15日(日)メインも2歳馬による重賞「第26回若駒賞」(盛岡ダート1600m)。当初、北海道レイズミーアップ(父トーホウエンペラー)、前記・ネバーオブライトの登録もあったが、両馬とも平和賞へ向かうために自重。
結果、10頭立てとなったが、なかなか好メンバーがそろった。人気はセイントセーリングが集めそうだが、今回はちょっと捻ってアンダーボナンザ(父スキャン)を主軸に指名してみたい。
アンダーボナンザのデビュー戦は7月30日、盛岡芝1000m戦8頭立てだったが、1着サンサンテーストから6・3秒差7着に大敗。まったく競馬にならなかった。続く2戦目、盛岡ダート1200mに条件が変わったが、スタートで大きく出遅れ。またもや凡走か、と周囲をガッカリさせたが、直線鋭く突っ込んで3着。ひとまず『素質』の片りんは見せてくれた。
素質と書いた。その理由は母アンダースワロー、そして祖母アンダーカラードと続く母系から活躍馬が続出し、“岩手の華麗なる一族”と言われているからだ。
祖母から流れるスピードは母アンダースワローで大きく開花。現役時代、当時、無敗を誇っていた“怪物”スイフトセイダイに初めて土をつけたのが他でもないアンダースワローだった。そして岩手で活躍後、中央へ移籍した初戦、オープン・アメジストステークスでも見事な逃げ切りを決めるなどした。
またアンダースワローの妹アンダーノーザン、アンダープリンスもいくつかの重賞を制し、アンダースワロー自身の子供アンダーライデンもオープンまで上り詰めている。
アンダーボナンザはアンダースワローの最後の産駒で、均整の取れた馬体は特筆できるものがあった。その素質をようやく披露してくれたのが3戦目の水沢1300m戦以降だった。珍しく?好スタートを切ったアンダーボナンザはスイスイ逃げ切って2着に1秒差の圧勝劇を演じ、続く4戦目は出遅れながらも小回り水沢で豪快なマクリを決めて2連勝を飾った。
前走、若松賞は前記ネバーオブライト、パチョリ(今回、登録あったが、連闘のため回避)という強力2頭には先着を許したが、3着を確保。マークした盛岡ダート1400m1分27秒7は例年ならばアッサリ勝って不思議なしのタイムだった。
ただ今回、絶対の自信がある訳ではない。これもアンダー一族の血なのだが、激しい気性ゆえ、デビュー戦のように気が走るほうに向かなければ大敗のケースがあるからだ。いわゆる紙一重ということだが、あえて秘めた素質に託してみたいのだ。
相手にはオペラダンディを指名する。父は岩手が生んだ最大のヒーロー、メイセイオペラ。デビュー戦は父が不得手とした芝が舞台だったが、アッサリ逃げ切って快勝(2着はパチョリ)。続く2戦目、特別・りんどう賞(水沢1400m)では逃げたフジリバティー、外パチョリの間に入って2歳馬には苦しい展開となりながら、それをはねのけて1着。メイセイオペラ産駒にしては非常に器用なところを見せ、なおかつ勝負根性もなかなかと大向こうを唸らせた。
3戦目のテシオ杯ジュニアグランプリ(盛岡芝1600m)は中団のまま6着に敗れたが、今回はダート1600m戦に替わって真価が問われる一戦となった。
セイントセーリング(父キングヘイロー)はデビュー5戦目にして初めてダート競馬を経験することになった。2走前、若鮎賞(盛岡芝1600m)はパラダイスフラワーのタイム差なし2着。前回・ジュニアグランプリはもう一つ伸び切れず4着だったが、ハイレベルのメンバーだっただけに仕方なし。
カギは初のダートに尽きるが、父キングヘイローはともかく、母父ダマスカスはアメリカ二冠を制し、年度代表馬にも選ばれた強豪。血統背景からはまず問題ないと判断していいだろう。
北海道から参戦グローリーソング(父カコイーシーズ)は強烈なマクリを武器とし、4戦目から2連勝を飾った。前回ウィナーズチャレンジは6着と末脚が不発に終わったが、これは追い込み馬によく見られるケース。コーナー2つの盛岡ダート1600m戦だし、直線350mあれば一気を決めても何ら不思議はない。
他では岩手のファンには母サクラスギで馴染み深いプリムラジュリアン(父ティンバーカントリー)も前回快勝で波に乗っている。
◎ ?アンダーボナンザ
○ ?オペラダンディ
▲ ?セイントセーリング
△ ?グローリーソング
△ ?プリムラジュリアン
3連単は4、1、3のボックス買いに2、10を3着押さえ
馬複は1−4、3−4、2−4、1−3、4−10
<お奨めの1頭>
9レース エイシンガッサン
前走・ハーベストカップでは盛岡の鬼ぶりを存分に発揮。今回もB1据え置きで55キロのハンデにも恵まれた
14日(土)メインはB1級馬による芝1600m戦「第7回オクトーバーカップ」、12頭立て。実力比較なら岩手7戦4勝、既に器はオープン級のお墨付きをもらっているインターサウンドで断然なのだが、今回は盛岡芝が舞台。
生涯初めての芝で適性未知数に加え、爪に爆弾を抱えているインターサウンドにとって、速い時計で決着する芝は客観的に見てもマイナス材料。血統的にはエンドスウィープ、母キョウエイコロナ(母父ノーパスノーセール)なら芝は問題なしかもしれないが、体型はいかにもダート向きのそれ。ここは一戦様子を見たいところだ。
このレースの取捨のカギはやはり芝適性があるか、ないか。それに尽き、主軸はラブラブサンヒコ(父ダイタクサージャン)に落ち着く。同馬は今シーズン、3勝をマークしているが、すべて白星は盛岡芝。前走、B2・区界特別(芝1700m)でも中団キープから、逃げたタイキミスティをゴール前でキッチリ捕らえて快勝した。
しかも今回は4戦3勝と、最も得意とする盛岡芝1600m。同条件での持ちタイム1分38秒1もこのメンバーでは抜けており、ここも期待に応えてくれるに違いない。
相手筆頭はユウワンテイオー(父トニービン)だろう。中央3勝はダート戦でマークしたもので、芝は3度使われたが、いずれも着外に沈んでいる。しかし盛岡芝では過去3、5、2着。これだけでは適性面で強調できるものではないが、前回・八幡平特別(B1 芝1700m)戦で後方待機策に徹し、直線勝負に賭けた戦法がズバリ。前半、スローペースだったにもかかわらず、直線大外を回って上がり35秒6の末脚を披露。キタノソナタにクビ差2着まで肉薄した。この切れ味こそ父トニービン譲り。おそらくレディラック、インターサウンド2頭の逃げ馬が作るペースが、スローになるとはまず考えられず、一気突き抜けるシーンまで考えられる。
ロストプロパティー(父スペシャルウィーク)は芝になると動きが一変するタイプだ。中央時代から現在まで未勝利が続いているが、盛岡芝は<0.2.2.1>。非常に安定した取り口が目につく。前々走・八幡平特別は1番人気に支持され、中団キープから伸び切れなかったが、これは本命馬ゆえ思い切ったレースができなかったため。19戦目にして待望の初勝利をゲットできるか、注目してみたい。
マチカネダイキチ(父マチカネフクキタル)は依然、底を見せていない。中央3戦0勝から昨年12月に転入し、着外に沈んだのは4走前の6着一度のみ。ほかはすべて3着以上にまとめ、芝でもC1級以下だが、きっちり2着に食い込んでいる。ここも突破ならば、B級卒業もいずれ時間の問題だろう。
転入初戦(盛岡ダート1600m)を5着と無難なスタートを切ったヒカルダイチ(父ダンスインザダーク)は、芝で全開のタイプと見ていい。中央時代の2着2回はそれぞれ東京芝1600m、福島芝1800mでマークしたもの。ダートは中山1800mで一度使われ、その時は11頭立て8着(タイム差1・8秒)に沈み、見せ場も作れなかった。
今回、このメンバーで好勝負に持ち込めれば3歳の若さからも将来の展望が非常に明るくなり、その意味でも重要な一戦となった。
他ではスンナリ逃げればうるさいレディラック(父タイキシャトル)、8歳馬ながら芝でレース巧者ぶりを発揮するエメラルスター(父エルハーブ)も軽視できない。
◎ ?ラブラブサンヒコ
○ ?ユウワンテイオー
▲ ?ロストプロパティー
△ ?マチカネダイキチ
△ ?ヒカルダイチ
△ ?レディラック
3連単は9を1着固定に2、3着は4、7、3、5と手広く
馬複は4−9、7−9、3−9、5−9
<お奨めの1頭>
11レース モエレスコーピオン
一戦ごとに成長著しく、目下2連勝中。このタイプは追いかけて損なし