4日(日)メインはA1級・エクセレント競走、1800m戦。翌日に重賞・北上川大賞典を控え、普通ならば手薄なオープン戦になるのだが、長距離2500mに適性ないと見た有力馬がこぞってこちらへ登録。非常に興味深いメンバーが顔をそろえた。
その中でも注目はダービーグランプリ(9月18日)以来、久々に戦列復帰を果たしたオウシュウクラウンだろう。
(写真は不来方賞ゴール 優勝オウシュウクラウン 佐藤到)
今年5月、南関東から再転入後、破竹の4連勝を飾ってG?・ジャパンダートダービー(大井)へ挑戦。そこでフレンドシップの3着に善戦し、一躍話題の馬へ。岩手帰郷後も伝統の3歳重賞・不来方賞を貫禄で制し、いよいよ決戦の舞台・ダービーグランプリへと駒を進めた。
オウシュウクラウンは実績、臨戦過程、仕上がりなどあらゆる面で強豪JRA勢に見劣りせず、地の利も後押しして当日はナイキアースワークの2番人気に支持された。
ところがいつもの反応の良さが見られず、3コーナーで早くも手応えが怪しくなり、マンオブパーサーから1・8秒差7着に惨敗。悲願の岩手勢ダービーグランプリ制覇はもろくも夢に終わった。オウシュウクラウン陣営もこれにはショックを隠せなかったが、上がりで脚をかばう仕草を発見。レース中、蹄叉に外傷を負うアクシデントがあった。
そのため次走に南部杯への出走予定も考えていたが、すべて白紙。まずは治療と回復に専念させることになった。そしてダービーグランプリから1ヵ月半後の今回、ついに再始動するに到った。
もちろんハイレベルを誇る現3歳世代でもトップに君臨する実力馬だから、この古馬オープンなら当然の主軸となるが、不安材料がない訳ではない。出走に際し、中間に2本の追い切りを消化したが、最終追いではラスト14秒0で一杯。元々、気のいいタイプでテンからガンガン飛ばして終いが一杯になってしまうパターンが多いが、今回は半マイルも52秒0と明らかに平凡なタイム。
当然だが、ここをピークに仕上げてしまっては以降が続かないので、おそらく6分か7分程度の状態での出走。このレースに限って言えば絶対の本命とは言えないだろう。
逆転筆頭はベルモントシーザーだ。前回・赤松杯で1番人気に推されたが、しんがり10着に沈んだ。敗因は戦前の予想どおり逃げの手に出たが、ミサキノハンターの執拗なマークにあい、息のつけない流れとなって直線失速したもの。ラップ以上に厳しい展開となってしまった。
この影響がどう出るかだが、過去、盛岡ダート1800m戦は3戦3勝とパーフェクトの成績を収めているように、条件はベスト。前回のうっ憤を晴らしたいところだ。
無類のタフさと抜群の安定度を誇っているのがマツリダブロッコ。今シーズンもすでに14戦を消化し、6勝2着3回3着2回。前回・赤松杯でも直線ジワジワ伸びて0・2秒差3着と気を吐いた。着外に沈んだのはあすなろ賞6着の一度のみで、あとはすべて電光掲示板に載っている馬主孝行の典型だ。
シンボリスナイパーは9月24日、OROカップ以来だが、そのレースで後方待機策から大外一気を決め、待望の重賞タイトルを手に入れた。その前のすずらん賞では人気の一角を形成したが、折り合いを欠いて8頭立て8着。そのためOROカップでは評価を下げていたが、見事に覆した。今回は芝からダートへ替わったが、岩手転入初戦(盛岡ダート1600m)をハイタイムで快勝し、適性はまったく不安なし。久々だけがネックとなるだろう。
他では牡馬とも互角の競馬を披露するタカエイチフジ、9歳ながら徐々に状態アップしている格上馬カシマハヤトも軽視できない。
◎ ?オウシュウクラウン
○ ?ベルモントシーザー
▲ ?マツリダブロッコ
△ ?シンボリスナイパー
△ ?タカエイチフジ
△ ?カシマハヤト
3連単は7、2、5のボックス。そして12、11、3を3着押さえに
馬複は2−7、5−7、7−12、7−11、2−5
<お奨めの1頭>
9レース ロイヤルアリダー
前走は豪快に直線一気を決めて岩手初勝利をマーク。馬場の広い盛岡でもう一丁いきたい
今週は11月3日(金)から5日(日)までの変則開催となり、今シーズンの盛岡競馬もこれですべて終了する(次週から水沢競馬)。3日メインはA2級馬によるマイル特別「第7回秋嶺賞」(盛岡ダート1600m)、11頭立て。このレースの1着馬には12月3日、水沢1600mを舞台に行われるオープン特別・第16回白嶺賞への優先出走権が与えられる。
主軸はゲイリーエクシードで動かないだろう。昨年10月、中央ダート5勝オープンから転入して2勝マークし、重賞・北上川大賞典でも4着。冬期間は佐賀で4戦使って4月から再び岩手入り。格付け賞金の関係でA2級へ編入と恵まれたスタートを切り、これまで10戦5勝2着4回3着1回と抜群の連対率を誇っている。
前回・赤松杯ではA2格下からの挑戦だったが、岩手オープン馬を相手にブラーボウッズの0・1秒差2着。自慢の末脚が冴え渡った一戦となった。
このゲイリーエクシードは芦毛といっても白馬に近く、一際目立つ白い馬体の持ち主で遠目にもどこを走っているのかがはっきり。おそらく今回も後方待機策から3コーナースパートをかけると思うが、生でも画面越しでも躍動する白い馬体に注目して欲しい。
相手筆頭格にサンシャインヘイロを指名する。前走・白神賞は久々の短距離戦(盛岡ダート1200m)で追走にてこずり5着確保するので一杯。持ち前の破壊力を発揮できずに終わった。しかし今回は守備範囲のマイル戦に加え、盛岡ダート1600mは2戦1勝2着1回と連対パーフェクトの実績。
白神賞以前のレースでも前がふさがる不利が多々見られたし、スタートで後手を踏んで取りこぼすケースが多かったが、今度こそこれまでのうっ憤を一気に晴らして欲しいところだ。
サージェリーも首位圏内に位置する。前回はゲイリーエクシードと同様、A2から赤松杯に挑戦。さすがにメンバーが強く、いつものまくり脚が見られず8着だったが、タイム差は0・7秒と勝ち馬から1秒以内にはまとめた。
3走前の岩手日報杯では、今回も人気の中心となるゲイリーエクシードを切って捨てて見事1着。また、続くM&Kジョッキーシリーズ第一戦では出遅れを喫しながら、前記ゲイリーエクシードに0・1秒差2着と一進一退の攻防を演じており、前走の雪辱を期待したいところだ。
逃げの手に出るのは快速チェリーフォティだが、すんなり2番手の競馬ができるのがメタモルキングだろう。前走は鮮やかな逃げ切りを決めて快勝し、前々走も逃げ粘って3着と充実ぶりが目を引く。もちろん控えるレースも可能で、有力馬に差しタイプが多い今回、カギを握る1頭となりそうだ。
他では3歳牝馬ゴールデンパンジーも前回・白神賞(ダート1200m)で0・3秒差4着に食い込み、ここも軽視はできない。
3連単は7を1着固定に8、5を2、3着折り返しと3頭ボックス。そして4、2を3着押さえ
馬複は7−8、5−7、4−8、5−8
<お奨めの1頭>
5レース トミケンアプローズ
前回は2ヶ月ぶりの実戦で最後は伸びきれず3着に敗れたが、一度叩かれた今回はきっちり白星飾る
先週の続報になりますが、トーホウエンペラー産駒の岩手2つめの白星が記録されました。10月30日JRA認定ホープフル競走で、陶文峰騎手が乗ったナイトタイムが序盤の先行争いから抜群の手応えを見せ、直線抜け出して1着。さらに、4馬身離れて外目を追い込んだ沢田盛夫利騎手騎乗のトーホウバルカンが2着に入りました。
カメラマンの私は、ゴールの瞬間はファインダーの視界しか見えなくなるので、トーホウバルカンがどこまで浮上したかわからなかったのですが、ゴール後、カメラから目を離して2着と知りました。なんとエンペラー産駒ワンツーフィニッシュ!拍手!! ちなみにナイトタイムが6番人気、バルカンは12番人気でした。これにとどまらず、今後もどんどん強くなっていって欲しいですね。
ファインダーの話が出たついでに。
私がゴール写真を撮るとき、ゴール前数十mからファインダーに勝馬を捉えシャッターを切り始めるわけですが、このとき2頭、またはそれ以上の馬が内外離れて接戦状態のときは非常に悩みます。馬体を併せて追い比べというときと違ってもう一方の馬は完全に視界から外れてしまうので、カメラを構えたあとは脚が止まっているか伸びているか全くわかりません。結果、時には撮っていた馬が負けていたということも…これって、カメラマンとして非常にショックで悔しいことです。
横方向からゴールの瞬間までを見ているスタンドの方には、「1馬身も差があったじゃん」とか「完全に脚色が上回ってたよ」などとよく言われるのですが、コース脇で、走り来る馬群の正面に近い位置から見ていると、近くに来ないとなかなか分からないものなのです。特にコース幅が狭い水沢はより真正面から見ることになり、モニター画面もゴール位置からは見えないので難しいです。直感的に「こっちだ!」と決めて撮るという、一種の“ギャンブル”をしなければならないのも、二度とない瞬間を撮影するカメラマンの宿命と言えるでしょう。
…これ↑ちょっと美化しすぎですな。まぁ、以上はいちカメラマンの“言い訳”なのですけれど、以前このブログで紹介した記念写真屋のOさんの場合はもっと大変だそうです。彼の写真を注文するのは優勝馬の馬主さんですが、人によって「ゴール板を通過する瞬間がいい」とか「負かした馬も後ろに写っているように」とか希望がまちまちなのだそうです。しかし1人のカメラマンが1台のカメラで撮っている限り誰もが満足というのは無理な話。さらにはハナ差でゴールした2頭の外の馬が勝った場合、斜め方向から撮影しているため2着馬の鼻の方が前に出て写りますが(下写真参照)、「これじゃ負けてるようだ」と不満に思う方もいるとか。
そう思うと、ある程度は自己満足でいける雑誌カメラマンのほうが気が楽だなぁと思いました。
この写真は状態の一例です
<次走へのメモ>
10月28日 第22回プリンセスカップ(2歳牝馬 盛岡ダート1400m)
(写真・佐藤到)
1着 パチョリ
相変わらずスタートセンスが素晴らしく、楽に馬なりで先手を奪う。あとは12秒台の正確なラップを刻み、直線を向くと後続を突き放す一方で、2着に6馬身差をつける圧勝劇を演じた。
前走・若松賞でも逃げたが、ネバーオブライトに交わされて2着。しかしネバーオブライトは2歳馬としては出色の1分26秒6(盛岡ダート1400m)をマーク。パチョリはそれから0・3秒離されたが、1分26秒9は例年ならば勝ち馬に相当、もしくははるかに上回る好時計。今回も自身がラップを作って1分27秒5を出しており、ここでは能力が違ったという他はない。
パチョリはイギリスで生まれ、父ジェイドロバリー、母マルビウム、母父ディキシーランドバンド。所有はご存知、ダーレージャパン。
「1枠(ローランメモリー)が逃げると思っていたが、躓いたみたいなので馬なりで逃げることになった。パドックでいつになくイレ込んでいたが、レースではそんな素振りを見せなかったし、力をつけていますね。実際、デビュー当時に比べて全体も大きくなっています」と小林騎手。
次走に中央挑戦を予定していたが、それは自重。東京2歳優駿牝馬(大井)に出したいため、移籍する可能性。その前に地元重賞・南部駒賞か白菊賞(牝馬)を使う予定もある。
2着 シーキャンフライ
終始中団をキープして直線は大外へ持ち出す。先行2頭パチョリ、クールビズの行ったきりかに見えたが、最後の伸びがすばらしく2着に食い込む。盛岡ダートは今回は初めてだったが、ためる競馬が功を奏した。
3着 クールビズ
前回、札幌遠征(芝1200m 500万下)の疲れを考慮し、緩めの馬体作り。それでプラス10キロでの出走となり、最後でその影響が出たが、あくまでも再度、JRA挑戦をにらんだもの。決して力負けではなかった。
10月29日 第6回黄菊賞(2歳 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
大外からワイエスロードが逃げを譲らない構えを見せたので、無理をせず2番手外につける。2ハロンまではピッチが速かったが、以降はペースが落ち着いて3コーナー過ぎにワイエスロードが失速。自然、そのまま先頭に立って底力の差を見せつけてゴールまで押し切る。
デビュー戦を派手なパフォーマンスで快勝したが、以降はひと息のレースが続く。しかし今回はメンバーにも恵まれたのに加え、本来の先行力と反応の良さを発揮して待望の2勝目をマーク。これまでのうっ憤を一気に晴らした。
「テン乗りで外にもたれ気味と聞いていたが、そんなクセも出さずに楽に追走できた。ポジションはあまり考えず出たなりだったら2番手に。今回はメンバーにも恵まれたが、道中の手ごたえもいいし、追ってからの反応も良く楽な競馬ができました」と板垣騎手。
今後は水沢ダート戦となるが、前回、初ダートの若駒賞は発汗が激しかったもので基準外。慣れればダートも問題ないでしょう、と鈴木七郎調教師。
2着 カネショウエリート
好スタートを切り、セイントセーリング(1枠)と枠差もあって3番手外につける。3コーナーまでそこをキープしてセイントセーリングとの差を詰めにかかったが、現時点のキャリアを考えれば2着でも上々。
水沢デビュー戦(850m)で2着に入り、未勝利脱出は時間の問題かと見られていたが、案外時間がかかって前走6戦目、芝1000mで初勝利をマークした。
父がメイセイオペラで母父がパークリージェントでダート向きかと陣営も思っていたが、芝を快勝し、そして今回も芝1700mで2着に健闘と器用さを兼ね備えている。今後も楽しみな1頭に加わった。
3着 ゴッデスフラワー
5番手につけたが、2コーナーでやや折り合いを欠く。4コーナー手前からインをついて抜け出しを図ったが、クビ差届かず3着。芝2戦で切れる脚を披露していたが、今回はいきなり1700mでその脚を使えず。しかし牝馬ながら500キロ前後の好馬体を誇り、父がウェイオブライトならダートで巻き返しできるはず。
この24日、園田競馬場で行われたWSJS地方競馬代表騎手選定競走の後半戦に行ってきました。
岩手代表の菅原勲騎手逆転優勝なるか?という期待も込めて見ていたのですが、皆さんご存じの通り、前半戦上位3名が第3戦で1〜3着となってこの時点で優勝チャンスは濱口楠彦・内田博幸・山口竜一の3名にしぼられ、そして第4戦、濱口騎手が山口騎手の半馬身前に出ていて、わずか1ポイント差というドラマチックな決着で濱口騎手の優勝が決まりました。
笠松競馬のファンの方には申し訳ないですが、濱口騎手の全国的な知名度はまだまだ低かったと思うんですよね。それがすでにこの予選4レースでかなりのアップ。わが岩手でも濱ちゃんファンが相当増えたようですが、これでWSJSで活躍しようものなら、これはもう凄い事になるんじゃないかと。
ご本人は「ワシ、そんな人の多いところに急に行っても、何やってええか分からんわ〜」といたっていつも通りのようですが、もう周りが放っておかないでしょう。濱ちゃんフィーバー、起こらないかなあ。
月曜日のメインレースはC3級の芝の特別、中津川特別です。C3級の特別戦はそもそも1年に2つしかない貴重な条件で、さらに芝となるとこのレースだけ。JRAからの転入組も少なくないC3級ですのでこの条件を待ちかねた馬も多いのかな、と思っていたら、意外にも初芝かほとんどそれに近い馬が多くなりました。
考えてみれば、岩手の芝戦は特別戦・平場とも格上挑戦可能ですから、C3でも芝で目があると思っている馬は早い段階でC2級の芝に出ているんですよね。
なので、この中津川特別のメンバーにも“バリバリの芝馬”っぽいのはちょっと見あたりません。今回はあまり芝適性云々にはこだわらず、ダートでの力関係を基準にして考えてよさそうに思います。
本命は、その初芝の馬・マイネルヘルシャーです。岩手に移籍してきて6戦5勝、転入初戦こそ敗れましたが、以降の5戦はいずれもワンサイドといっていい内容で5連勝中の馬。力はC3級で留まる馬ではありません。
ダートでの持ち時計比較なら間違いなく頭ひとつ抜けているのですが、こと芝となるとJRA時代を通じて初めてなので確かに未知数ではあります。ただ、素軽い走りをするタイプですし血統的にも芝はこなせるはず。また、万一芝がダメなタイプとしても、“からっきしダメ”という事でない限りは能力差で勝ち負けを演じてしまうと思います。ここは5連勝の勢いを素直に信用。
対抗はちょっとひねってラファーガでいかがでしょう。芝は2歳時の一戦のみ、2着とはいえ盛岡1000mで1分2秒台のタイムですからあまり強気にはなれません。しかし古馬編入されたばかりの3歳馬で勢いがありますし、前走や前々走を見るとこの辺りなら力が上と判断できそうなレースぶり。展開がはまるかどうかの点もあるのでしょうが、ここで狙ってみたいですね。
マルケイゴールドは岩手で芝を3戦してそこそこの成績。父ステイゴールドの血統だけに芝は大丈夫そうです。あまりペースが速いとついて回れなくなる時がありますが、今回はそれほどにはならなさそうで、差し切りチャンスまで。
以下、スローで前残りの際のファニーチック、逆にマイネルヘルシャーが早めに動いて先行馬が潰された場合のヤクモコンドル。特に後者は芝が合いそうで、一度芝の走りが見てみたかった馬。
買い目は4枠4番マイネルヘルシャーを頭で2、5、8、10。4の頭で単を狙っていきましょう。