3日(日)メインはオープン馬による水沢1600m戦「第16回白嶺賞」、10頭立て。このレースの1、2着馬には年が明けた1月8日、同じ条件で実施される重賞・トウケイニセイ記念への優先出走権が与えられる。
主軸は3歳馬オウシュウクラウンで絶対だろう。前走は3歳馬限定重賞・阿久利黒賞に出走して余裕の直線抜け出しを決めて快勝。2着テンショウボスに0・4秒差をつけ、同世代なら役者が違いすぎることをマザマザと見せつけた。
(写真は阿久利賞ゴール 優勝オウシュウクラウン by 佐藤到)
小林騎手が「レース後、息が上がっていたが、これは前回(11月4日、A級・盛岡ダート1800m)、一生懸命に走りすぎたから。それでも3歳馬同士なので貫禄の違いでアッサリ勝ってくれた」と語っていたとおり、元々が気のいいタイプで一戦一戦が全力投球。それゆえ、このコメントも十分に納得できる。
今回の舞台も同じ水沢マイル。盛岡も2000mの距離も無難にこなすが、やはりベストの条件は折り合いをあまり気にしなくていい右回り1600〜1800m。ここ2戦に比べてメンバーは大幅に強化されたが、自他ともに認める全国でも有数の実力馬。この白嶺賞は単なる通過点にしか過ぎないし、当然ながらオウシュウクラウンにはそれを期待したい。
相手はミサキノハンターが演じる。今シーズンの充実ぶりは目を見張るものがあるが、そのきっかけとなったのが同じ水沢マイルを舞台にした特別・すずらん賞だった。この時はA2からの格下挑戦に加え、フレッシュジョッキー・高松亮騎手とは初コンビ。上位人気はエアウィード、シンボリスナイパー、ローランボスコが集めたが、その有力馬を尻目にスイスイ逃げてマイペース。さすがに直線では一杯となっていたが、高松騎手の叱咤激励に応えて見事優勝。ついにオープンタイトルを手に入れた。
続いて重賞・青藍賞にも駒を進め、ハナに立てずに中団からの競馬を余儀なくされたが、直線でジワジワ伸びて0・1秒差3着。それまではハイペースでも逃げて渋太さを発揮するタイプだったが、控えても能力を発揮。このレースを機にひと皮もふた皮もむけたとアピールした。
G?・南部杯はさすがにメンバーが強すぎて中団から退いて12着に沈んだが、赤松杯でも積極的なレース運びから4着。前が総崩れの展開となったが、4角で一旦先頭に立って見せ場を十分に作った。
そして前走・北上川大賞典でも守備範囲を大きく超える盛岡ダート2500m戦だったが、果敢に逃げてコアレスハンターの3着を死守し、苦手盛岡でも勝ち負けを演じるまで成長した。
その後はご褒美も兼ねて1開催を休養。今回は岩手での勝ち星がすべて水沢と待ちに待った一戦を迎えた。しかもマイルは<3.1.1.1>と絶対の自信を持っている条件。
一方、エアウィードは昨年ほどの勢いがなく、チグハグなレースを繰り返しているが、それでも青藍賞、北上川大賞典のいずれのレースでもミサキノハンターに先着し2着を確保している。その実績比較を考えればミサキノハンターよりエアウィードを上位に採るのが妥当かもしれないが、今回はミサキノハンターの勢い、充実度をあえて重視した。
他にも赤松杯優勝、すずらん賞3着、そして前走・北上川大賞典4着と実績劣らないブラーボウッズ、水沢マイルの鬼ローランボスコ、前回快勝ニッショウウララと個性派もずらり顔をそろえ、レイティングの高いレースを観ることができそうだ。
◎ ?オウシュウクラウン
○ ?ミサキノハンター
▲ ?エアウィード
△ ?ブラーボウッズ
△ ?ローランボスコ
△ ?ニッショウウララ
3連単は6を1着固定に5、2を折り返し厚めに、9、8、3は3着押さえ
馬複は5−6、2−6、6−9、6−8、3−6
<お奨めの1頭>
11レース マイネルヘルシャー
転入初戦こそ5着に沈んだが、芝2着をはさんで盛岡、水沢で6勝を荒稼ぎ。B3昇級戦も関係なし
2日(土)は珍しく特別レースは組まれておらず、メインはA級馬による1800m戦・エクセレント競走、10頭立て。主軸はベルモントシーザーで動かないだろう。
ここ2戦は3着止まりに終わっているが、前々走は3歳トップ、そして現在の岩手古馬オープンを含めても断然の存在であるオウシュウクラウンが相手。この時、2着に粘ったのはカシマハヤトだったが、これは絶妙のマイペースに持ち込んでベルモントシーザーの猛追をぎりぎりハナ差抑えたもの。ベルモントシーザーは珍しく中団に控える競馬に徹し、直線勝負に賭けた。
それまでの同馬は気風のいい先行力と強靭な粘り強さを武器とし、特別・あすなろ賞優勝、重賞・みちのく大賞典3着。またG?・マーキュリーカップでも岩手最先着の4着に気を吐いていたが、その一戦でどんな展開にも対応できることを証明した。
また前走・駒ケ岳賞でも短距離(水沢1400m)戦でハイペースを見込んで中団6番手でじっくり待機し、直線鋭く伸びて3着に食い込んだ。
その2戦はひとまず評価できるが、半面、最後の爆発力にやや欠けていたのも事実。やはり持ち味は先行してこその印象で、今回は悪くても2、3番手をキープできるメンバー構成。加えて前回のように忙しい競馬より、ゆったりとした流れとなる1800m戦がベストの舞台。ここでは実績でも群を抜き、キッチリ白星をマークする。
中心はベルモントシーザーで動かないが、各馬が一長一短で相手捜しがちょっと難しい。ひとまずシンボリスナイパーを相手筆頭に採ってみた。今年7月、中央3勝1600万下から転入し、初戦の盛岡1800m戦を豪快に抜け出して圧勝。このレースぶりから特別・すずらん賞で3番人気に支持されたが、折り合いを欠いてしんがり8着。周囲をガッカリさせたが、続く芝重賞・OROカップでは後方待機策から大外一気を決めて快勝。待望の重賞タイトルを手に入れた。
ところが、前々走A1級戦、前走・駒ケ岳賞では後方から差を詰めただけに終わって7、6着と気難しい面を覗かせた。それでも実力の高さは誰もが認めており、少なくても2着は確保したい。
ジェーピーバトルは今季、芝を舞台に大活躍。重賞・せきれい賞、特別・桂樹杯制覇で岩手競馬の最優秀ターフホースの座を確定させた。対してダート戦ではやや評価は下がるが、前走・北上川大賞典で5着入線。その他に3走前のA1級盛岡ダート1800m戦でも2着に入り、オープンでも通用することを証明した。
相手なりに駆ける堅実派タカエイチフジも軽視できない。今年6月、岩手へ里戻りして牝馬特別・エレガンスカップを見事優勝。その他にも2着6回と無類の安定感を誇っていた。重賞・Bドリーマーカップ2着後は足踏み状態が続いたが、今回は<1.4.0.1>と高連対率を誇る地元水沢。加えて同条件3戦2着3回の実績も見逃せず、シンボリスナイパー、ジェーピーバトルに死角ありなら大勢逆 転の可能性は十分にある。
他では大好きな冬場を迎えて立ち直り気配マツリダパレス。昨年の年度代表馬の意地を見せるか注目が集まるし、すんなりマイペースならトキオパーフェクトも古豪健在をアピールする場面があるかもしれない。
◎ ?ベルモントシーザー
○ ?シンボリスナイパー
▲ ?ジェーピーバトル
△ ?タカエイチフジ
△ ?マツリダパレス
△ ?トキオパーフェクト
3連単は5を1着固定に10、4、3を2、3着折り返し。7、6を3着押さえ
馬複は5−10、4−5、3−5、5−7、6−7
<お奨めの1頭>
9レース キタノソナタ
岩手でも雪がチラホラ降り始め、冬の…もといキタノソナタの季節が到来しました
11月27日に伝えられたニュースで、ばんえい競馬の廃止が決定的となってしまいました。我らが岩手競馬も岩手のアイデンティティーのひとつだと私は思っているのですが、ばんえい競馬が無くなるということは、日本全体にとっても重大な損失と言えるでしょう。なにしろ開拓の歴史に根ざすこの競走形態は、世界にひとつしかないというのですから。
人間という生き物は、速い乗り物を手に入れるとどうしても競走してみたくなるらしく、馬にしろ自転車・自動車にしろ、世界中のどんな地域に行ってもその乗り物さえあれば必ずレースをやっています。しかしどういうわけか馬の『ちからくらべ』はあまり流行っておらず、プロフェッショナル競技として成立しているのは北海道のばんえいが世界唯一とのこと。人間だったら重量挙げやアームレスリング大会などは世界中で行われているのに、不思議ですね。
と、こんなことを書いている私ですが、実際にばんえい競馬を見に行ったことは一度もありません。オッズパークの動画配信でレースの模様は見ることが出来ますけれども、あの画面は競走の流れを見るのにはいいのですが重種馬の迫力は残念ながら伝わって来ませんね。やはり現地に行って馬の息づかいを感じないと、ばんえいの魅力を味わうことは難しいのかもしれません。オーロパークでも行われている輓馬の草レースなら馬たちの必死な目つきや、そりを馬体に繋いでいる金具が発するガッシャンという音を間近で見聞き出来てすごい迫力ですよ。アマチュアの大会であんなにスゴイのですから、ばんえいの馬たちはどれほどなのでしょうか。もしばんえい競馬が、岩手がオフシーズンとなる1月下旬過ぎにもやっているのなら、一度は必ず見に行きたいと思います。
帯広は企業スポンサーなどの支援に一縷の望みを託しているようです。世界に名だたる大企業がいくつもあるこの国で、手を挙げてくれるところはないのでしょうか。世界遺産にでもなれば官民あげての保存運動となるのでしょうか。なんとか存続への逆転サヨナラホームランを期待したいところです。
今年8月27日に行われた、東北輓馬競技盛岡競馬場大会の様子
話は変わりますがここで宣伝とお詫びをさせて下さい。大変お待たせ致しましたが、「岩手競馬マガジン『テシオ』vol.42冬の岩手競馬特集号」が明日発売になります。前号で予告した発売日から大幅遅れとなってしまいましたが、これは先日発表された岩手県競馬組合の改革計画案関係記事を掲載するため。いま目を逸らすことの出来ない重要な問題ですから、どうしても今号に入れなければと判断させていただきました。読者の皆様には大変ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでしたが、最新号をよろしくお願いします。
(文/写真・佐藤 到)
11月26日 第32回白菊賞(2歳牝馬オープン 水沢1400m)
(写真・佐藤到)
1着 オーナーズスキャン
スタートがすばらしくスタンド前で一旦先頭に立ったが、内からマツリダレディが何が何でもハナを譲らない構えを見せたので2番手に控える。
道中は淀みのない流れで進み、3コーナーでマツリダレディを交わしてあとはセーフティリードを取り、直線でクールビズが外から追い込んできたが、その差は詰まらずそのままゴールへ。
デビュー5戦目、水沢1300m戦で初勝利をマークしたが、その後の4戦を凡走。これはメンバー強化というより盛岡コースが合わなかったためで前走、地元水沢に戻って2勝目でもそれを裏付けた。
「先行できれば勝負に持ち込めると思って臨んだ。元々、動きのいい馬だったのでひそかに期待していたが、結果を出せてよかった。これからもっと成長していくと思う」と菅原勲騎手。
2着 クールビズ
プリンセスカップ(10月28日 盛岡)から直行し、レース間隔が開いたのと輸送のない地元での競馬の影響か前走比プラス14キロ。デビュー戦が470キロだったので、この位がいいのかも知れないが、個人的には太めの印象。
「我慢していくつもりだった」(村松騎手)のコメントどおり3番手外につけ、オーナーズスキャンをマークする形で道中を進め、3コーナー過ぎからスパートをかけたが、伸び切れず2着。
デビュー戦の派手なレース内容が印象強く、それ以降はひと息のレース続き。今回はプリンセスカップに比べ、大幅に相手が甘くなって断然の1番人気に支持されたが、もうひと絞りが欲しかったのでは…。
3着 マツリダワルツ
前半はじっくり貯める競馬に徹して直線で鋭く伸びてきたが、1、2着は前にいた組。地力で抜け出せるまでの脚はなかった。それでも今回の3着は今後に明るい見通しが立ったかも。
もうすぐ11月も終わりで、今年も残すところあと1ヶ月。早いものですねえ。そろそろ年賀状の用意を・・・なんて考える時期なんですが、岩手競馬はこの12月が遠征ラッシュになりそうで、残る1ヶ月もあっという間に過ぎてしまいそうです。
そのトップバッターになるのが12月6日のクイーン賞に出走するサイレントエクセル。岩手史上最強牝馬の呼び声も高い同馬がグレード獲りに向かうわけですが、このクイーン賞、ダートグレードレースでは初めてハンデ戦で行われるという事で、先日、出走登録馬のハンデが発表になりました(こちら)。
ここでサイレントエクセルは54kgのハンデを与えられましたのですが、このハンデ、私はけっこう見込まれたな、と感じました。
地方最高は船橋所属のトーセンジョウオーなんですが、同馬はJRAから移籍した後まだ出走しておらず、これはJRA所属時代に挙げた牝馬G33勝でのハンデ。それ以外で見れば大井・アウスレーゼ、川崎・テンセイフジ、愛知レイナワルツ、そしてサイレントエクセルの4頭の54kgが実質的に最高ハンデと言えます。
そして、例えばレイナワルツは昨年のJBCクラシック3着をはじめダートグレード入着7回を数える強豪、テンセイフジは昨年の関東オークスG3勝ち馬、アウスレーゼはここに来て地元重賞連勝中。
それらに比べれば、重賞4勝とはいえ地元馬相手がほとんど、グレードレースではダービーグランプリ3着が目立つだけのサイレントエクセルが同斤量というのは、つまり彼女の力がかなり高く評価されているという事なのかな、と。私は53か53.5kgだと想像していたんですけどねえ。
まあ、JRAのグレード勝ち馬たちから−3.5〜−1kgなら、これは十分いい勝負ができると思います。ハンデ戦は「ゴールで横一線になる様にハンデを決める」と言われますが、できればその中からサイレントエクセルが抜けだしていて欲しいな。
月曜メインはB2級特別の寒風山特別です。どこからでも狙えそうな好メンバーですが、私は前走快勝のブラックオーメンの勢いに乗ろうと思います。
ちょうど2週前の楓賞、中団からひと捲りに捲って突き抜けてしまったブラックオーメン。これでここ10戦は5勝2着2回、完全に波に乗ったと見ていいでしょう。各馬の対戦成績でも、前走の勝利をもって今回の出走馬ほとんどを負かしてしまったと見て可。確かに前走はこの馬向きのコース状態でもあり、それゆえ余計に強さが目立ったとは感じますが、元々戦法に幅がある馬ですから、少々の混戦は問題ないと思います。2連勝の勢いに乗る!
対抗はワラッテオクレヨ。前走はブラックオーメンにしてやられたうえに連勝も4でストップしたわけですが、前走を見た感じ、B2級の流れに戸惑っていたように思えます。昇級2戦目のここは慣れが見込め、前走の轍は踏まないだろうと期待。
もう一頭も楓賞組からマルカスティンガー。自力勝負で勝ちにいっての2着は仕方のないところですが、マイル戦なら前走以上に自力で動いても大丈夫そう。こちらも2度同じ負け方はしないと見ます。
以下となるとかなり悩むのですが、まず先行できそうなヤマニンシンバルを押さえておきましょう。7歳牝馬だけに以前ほどのスピードはなくなっていますが、戦法自在、B1級ならまだまだやれる馬。ここに来て調子も上向きに感じます。もう一頭は穴でブラインドタッチ。
買い目は6枠7番ブラックオーメンから2、4、9、10へ。1頭軸の相手はBOXでガツンと行ってみましょう。