17日メインはオープン馬による短距離重賞「第32回早池峰賞」(水沢1400m)、11頭立て。当初、3歳トップ・オウシュウクラウンの登録もあったが、白嶺賞(2着)からレース間隔がなく、大事をとって自重。暮の岩手版グランプリ・桐花賞(12月31日)へ直行すると陣営は決断した。
さて本題。このレースに直結するのは同条件で行われたトライアル・駒ケ岳賞(11月18日)。オリエントボスが4コーナーで先頭に立ったのもつかの間、ヤマニンエグザルトが豪快なマクリを決めて完勝。自身初のオープンタイトルを手に入れた。常識的に考えればトライアルを制したヤマニンエグザルトを中心視するのが妥当だろうが、もう一度、オリエントボスを主軸に抜擢してみたい。
(写真は栗駒賞ゴール 1着オリエントボス 写真・佐藤到)
同馬は7月に行われた重賞・栗駒賞では鮮やかな抜け出しを決めて快勝。バンチャンプの持つ水沢1400mレコードをコンマ7秒も更新、1分25秒3のコースレコードを樹立した。その後は適鞍に恵まれず、チグハグなレースを繰り返していたが、南部杯10着後、月1回のローテーションを守り、ベストの条件・駒ケ岳賞で2着。これで復活のメドがようやく立った。
ただ、オリエントボスは元々が気難しいタイプ。無理に抑えていくと走る気をなくし、逆にそのまま行かせると暴走気味に走ってしまって末をなくするケースがままある。それゆえ仕掛けるタイミングが非常に難しいのだが、能力の高さは先に記したレコード更新でも証明済み。いい脚をどこで使うかが重要なポイントとなる。
ヤマニンエグザルトの充実ぶりは目を見張るものがある。昨シーズン(今年3月も含む)は通算13勝を荒稼ぎし、最下級C3から一気にオープン入りを果たしたつわもの。しかし今季前半はオープンで頭打ちのレースを繰り返し、上限が見えたかに思えたが、ここにきて目下2連勝中。とりわけ前走・駒ケ岳賞の強さは際立っていた。
父プレザントタップといえばタップダンスシチーを思い出し、長い間にわたって活躍するのが特長。また好調時には自身の壁をアッサリ乗り越える強さを見せてくれる。
3歳馬ダンディキングが、このオープン馬相手にどのようなレースを披露するか楽しみだ。今春、七時雨賞、スプリングカップを連勝。3歳特別路線を独走するかに見えたが、その後は一戦ごとに体重を減らし、7月、ガーベラ賞ではスプリングC出走時から20キロも馬体重を減っていた。それを見て陣営は夏場を思い切って休養にあて、4か月ぶりに阿久利賞で復帰した。
その阿久利黒賞では2番手に控える競馬でオウシュウクラウンの4着に敗れたが、一度叩かれて気配が一変。前回、A2戦では本来のスピードを生かし、鮮やかな逃げ切りを決めた。
今回はいきなりオープン馬相手だが、ダンディキングのベストの条件はこの水沢1400m戦。アッサリ逃げ切りまで考えたい。
他では白嶺賞で渋太く4着に食い込んだマロンテースト、古豪ハタノアドニス、そして近走不振でも重賞・OROカップ快勝が忘れられないシンボリスナイパーもマークが欠かせない。
◎ ?オリエントボス
○ ?ヤマニンエグザルト
▲ ?ダンディキング
△ ?ハタノアドニス
△ ?マロンテースト
△ ?シンボリスナイパー
3連単は9、5、8をボックス。あとは9、5を1、2着折り返しに8、3、2、7を押さえ
馬複は5−9、8−9、5−8、3−9、2−9
<お奨めの1頭>
9レース サンシャインヘイロ
ここ2戦の強さはけた違いだが、これが本来の実力。オープン入りが楽しみで仕方がない
16日(土)メインはB3級馬による水沢1600m戦「第15回銀嶺特別」、12頭立て。当初、3歳馬マイネルヘルシャーが登録していたので、目をつぶっても不動の本命馬となるはずだった。
マイネルヘルシャーは中央2戦未勝利から今年8月に転入し、初戦こそ2ヶ月ぶり、初コースの影響もあって5着に沈んだが、その後は破竹の進撃。ほとんど追ったところなしで圧巻の5連勝をマークした。
10月30日、中津川特別で連勝がストップして2着に敗れたが、これは初の芝(盛岡芝1600m)にとまどったため。それでもヤクモコンドルにタイム差なし2着にまとめ、以降はダートに戻って目下2連勝中。岩手9戦7勝2着1回と抜群の勝率を誇り、順調に行けばオープンに上り詰めること間違いなしの器と断言できる。
しかし、今回は馬場状態を考慮して自重した。現在の水沢は非常にぬかるんでいて、いわゆる泥んこ馬場。マイネルヘルシャーは脚元に若干不安を抱えているため、陣営は無理に使わないほうがいいと判断した。
これで銀嶺特別は単不動から一転、上位伯仲のレースとなったが、ひとまずエプソムブリッジを中心に置くのが妥当だろう。中央未勝利から東海で2勝をマークし、再び中央入りしたが、結果を出せず今年9月に岩手へ転入。最下級C3スタートでメンバーにも恵まれ、ポンポンと4連勝。3戦前、C2からB3級へジャンプアップしたため、白星には恵まれないものの3、2、2着と安定して取り口を披露している。しかも強豪マイネルヘルシャーが不在とあれば、一連の堅実ぶりから主軸一番手に浮上した。
相手はチェレットが演じる。中央未勝利から昨年10月に転入し、C3で4勝をマーク。ところが昇級後は頭打ちのレースを繰り返し、今年1月8日以降はずっと白星から見放されていた。
それがようやく吹っ切れたのが前回・B3級水沢1600m戦。道中は3番手の好位につけ、早めに仕掛けて4角先頭から押し切り、久々の美酒を味わった。その時、チェレットは3番人気だったが、2着に10番人気リンリンランラン、3着に11番人気コスタデルソルが入り、3連単225万円の超万馬券を演出した。
しかし前回の1着は決してフロックではない。前々走、同条件のB3でも2着に食い込み、復活の気配をうかがわせていた。ここも水沢マイル適性を重視したい。
グリーンヒルガールは今夏に入って本格化を迎えた。メイセイオペラの初年度産駒で初勝利まで12戦を要した遅咲きで、時に凡走をはさみながらも今季4勝をマーク。前回はペースにも恵まれたが、エプソムブリッジを豪快に交わして快勝している。セールスポイントは自在の脚。どんな流れにも対応できるようになり、それに伴って頭角を現してきた。前回同様、マイル1分43秒台の決着になれば好勝負に持ち込んで何ら不思議はない。
以下は先陣渋太いマジックルーラ、芝で好成績を残し、今の水沢の馬場が合うノースポリシー、同じく重の鬼ダイタクルーキーも軽視はできないだろう。
◎ ?エプソムブリッジ
○ ?チェレット
▲ ?グリーンヒルガール
△ ?マジックルーラ
△ ?ノースポリシー
△ ?ダイタクルーキー
3連単は6を1着固定に2、3着7、9。3着押さえで1、5、2
馬複は6−7、6−9、1−6、5−6、2−6
<お奨めの1頭>
11レース コスモシュプール
前回はダイタクルーキーの大駆けにあって2着に敗れたが、これは展開のアヤ。ここでは安定度で群を抜く
サイレントエクセル残念でした。満を持して挑戦の船橋・クイーン賞GIIIでしたが、手応え無く結果10着。どうやら輸送が堪えたようで、前日入厩してからもカイバをほとんど食べなかったそうです。逆に言えば実力で劣っていた訳ではありませんから、今後、環境の変化に耐性ができれば、とも考えられる結果でした。
それにしても遠征ってやつは難しいですね。サイレントエクセル自身、2歳のときには新潟や門別への遠征を平気でこなしていたのですが、成長と共に賢い馬になって、地元のレースでは力を発揮できるようになった代わりに、周囲の状況にはちょっと神経質になってしまったのかもしれません。今後、牝馬グレードに再挑戦するにしても、舞台はいずれも南関の競馬場。板垣騎手も「大井はモノレールの音がうるさいからなぁ…」と気にしていました。サイレントエクセルには精神的な強さを身につけ、全国の競馬ファンにその実力を見せつけて欲しいと思います。
私のような田舎生まれの田舎育ち生粋の田舎者にとって、東京は仕事や遊びで訪れることはあっても、決して長く住めるところではありません。今回も船橋の行き帰りに都内を少し歩きましたが、交差点や駅で他人の動きを予測し、ぶつからないように神経を張り巡らして行動するということが負担なんですよね。2〜3日間だから平気で歩き回っていますが、もしこれが毎日となったら神経が参ってしまうのではないでしょうか。このような人間を「田舎モン」と見下す人種もいるでしょうが、最近は田舎暮らしに憧れる「都会人」の方も多いそうですね。もし仕事や子供の通学のしがらみがなければ、今すぐにでも田舎に引っ越したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
以前、東京の雑誌社の方と宮城の田園地域で撮影をしたときのことですが、田んぼの中で車を降りたときその方は、「すげぇ〜静かだ。全然音が聞こえない」と感動していました。それほど遠くないところで耕耘機のエンジン音やカラスの鳴き声がしているのに、です。よほど普段の騒音に包まれた世界とのギャップがあったのでしょう。やはりどっちを向いても人、どこまで行っても人工物という環境は、人間という動物にとって根本的に負担なのではないでしょうか。そして競走馬も、それを敏感に感じ取ってしまうのかもしれません。
そういえば某TV番組のアイドルグループが農村生活を営む企画や、某局のお金をかけずに田舎暮らしをしている「貧乏さん」を紹介する番組は毎回高視聴率を獲得しているそうですね。実は私も毎週見ています。都会と田舎、果たしてどちらが「豊かな暮らし」なのか…その基準は確実に変化しているようです。
(文/写真・佐藤 到)
12月10日 第5回寒菊賞(2歳オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 カネショウエリート
逃げたい馬が絶好の1枠を引き当てる。スタート直後はハナ争いが若干激しくなったが、枠差もあって予想どおり先手を取り、あとはマイペースに持ち込む。向正面では後続を2馬身ほど引き離し、セーフティリードから直線を向いても余力十分。後続の有力馬がもたついているのを尻目に、まんまと逃げ切り勝ちを決め、自身の初特別制覇となった。また現在、韓国で第二の種牡馬生活に入った父メイセイオペラにもうれしい特別タイトルをプレゼントした。
「行けたら行こうと思っていた。1〜2コーナーでハミを抜くことができたので、いい感じでレースが運べたし、最後まで気を抜かないで走ってくれた」(関本淳騎手)
カネショウエリートの初勝利は盛岡芝1000m戦で、続いて黄菊賞でもセイントセーリングの2着とメイセイオペラ産駒では珍しく芝適性ぶりを発揮。ダートでは前回2着(1着ダンストンリアル)も含めて水沢で2度連対していたが、いずれも完敗。
今回はダート実績が薄いため5番人気と低評価だったが、それを見事に覆した。「芝と融雪剤をまいている今の泥んこ馬場が合ったかも」と畠山調教師がレース後に語っていたが、これは過去の傾向にも出ており、今後も冬期間の水沢コースでは、芝適性馬に注目の価値がありそうだ。
2着 マツリダワルツ
前走・白菊賞(2歳牝馬重賞)と同様、後方でじっくり待機する戦法を取る。セイントセーリングが先に動いてからワンテンポ遅れてスパートし、直線で2番手まで進出したダンストンリアルが粘るところ、ゴール寸前で交わした。白菊賞でも9番人気ながら3着に食い込み、そして今回は2着。400キロそこそこの小柄な牝馬で、パドックでは冬毛も目について軽視してしまったが、2戦連続の好走には正直ビックリした。
この馬も初勝利が盛岡芝1000m戦で、59秒5の好タイムをマークしており、カネショウエリートと同じく今の水沢の馬場が合ったのかもしれない。
3着 ダンストンリアル
前回、2歳A2戦で初白星を飾って挑戦。カネショウエリートの2馬身後ろにクールビズ、そこから2馬身離れた3番手外をキープし、内のクールビズを捕らえたのもつかの間、マツリダワルツの強襲に遭う。
なかなか勝てなかったが、デビューから堅実に入着。一戦ごとにレース勘を身につけていたのは明らかで、今回の好走にもつながった。
4着 アンダーボナンザ
レース展望でも報告したが、道中真っ直ぐ走らないため「コーナーでは危ないので内に突っ込むことができなかった。直線に入るまでどうしても加減して走らなければならないので、今回のような流れになると苦しい」の沢田騎手コメントがすべてを物語っていた。
5着 クールビズ
レース後の村松騎手コメントは「前回(白菊賞)からマイナス13キロの体重減が影響した」だったが、小生の見た印象では、むしろ体重が絞れた今回の状態のほうがいいと判断したのだが…。
6着 セイントセーリング
前半は中団8番手をキープし、先行競馬と見るや向正面から早めにスパート。3コーナーで見せた伸び、反応も鋭かったのだが、直線では案外だった。ダートが合わないのか、それともこのままで終わってしまうのか。デビュー戦でパラダイスフラワーをアッサリ切って捨てたほどの実力馬だけに、今後の巻き返しに期待したい。
この土曜日、高知競馬場で行われた「レディースジョッキーズシリーズ」第2戦・高知ラウンドで、岩手から出場している皆川麻由美騎手がなかなかの健闘をみせています。
高知ラウンドの初戦・「南国土佐はちきん特別」は7着だったものの、2戦目の「土佐二十四万石乙女特別」では7番人気の馬を2着に持ってきて小波乱を巻き起こし、シリーズ総合ポイントでも3位に浮上しました。
先週の月曜メイン・シルバーステッキ賞を勝って勢いに乗る皆川騎手、高知行きをやたらと楽しみにしていましたが、勝ちこそ無かったもののまずまずの結果。これでさらに調子に乗って(?)帰ってくる事でしょう。
皆川騎手って騎乗数が少ないのであまり目立ちませんが、スタートは上手だし、先行させると結構いいレースをします。彼女が穴を開ける時はだいたい“人気薄の先行馬を気持ちよく行かせた”というパターンなんですよね。皆川騎手の馬券を買う時はそういう時を狙ってみて下さい。
そして、レディースジョッキーズシリーズの方ですが、皆川騎手は3位とはいえポイント的には1位・2位にやや離されているんですけど、最終の名古屋シリーズは上位のポイントがこれまでの1.5倍ほどになるそうで、上手く上位に入る事ができれば総合優勝のチャンスもあり。どうせここまで来たんだからもっと上を狙ってもらいましょう。
以下、前走の逃げ切りがなかなか好内容だったイッシュンと、展開の助けがあれば突っ込んでくるヤクモコンドル。菅原勲騎手騎乗で人気になりそうなゴールデンアローですが、ここまで重・不良ではいいレースをした事がないんですよね。月曜日にいきなりコース状態が良化するとも思えず、ここはあまり強気には。
全体的には、どうせ1800mという距離はほとんどの馬にとって未だ結果の出ていない距離なのですから、距離の事はあまり難しく考えずに近走の勢い重視で。ただ、どうしてもクセのある今のコース状態だけに、重・不良の適性だけは気にしておきたいと思います。
ということで買い目は6枠6番マイボーイから4、7、9、10。4はちょっと穴目として、外目の方を厚く。
◇お奨めこの1頭:6R/トーセンオマージュ
前走は勝ち馬に上手くしてやられました。前走・前々走のタイムがメンバー中最上位であるように、例えC3→C2の昇級の形でもこの辺の相手となら力上位。ここはあっさり巻き返し濃厚です。