既にご存じの方も多いと思いますが、メイセイオペラが韓国済州島での種牡馬生活を始めることになりました。これについて、ややもすると馬産地日高からの“都落ち”のように感じる人もいることでしょうが、私はそうは思いません。日本で生産する競走馬の配合を考えるとき、最大最高の目標は日本ダービーをはじめとする中央GIと誰もが考えるでしょう。日本の競馬は良くも悪くもJRAが中心。一方、ダートで行われている韓国競馬では、既に日本から輸入されたメイセイオペラ産駒が好成績をあげており、種牡馬としての評価が高まっているそうです。それに、盛岡競馬場でオーナーの小野寺さんとレンタル先のキム氏が対面した際、私もカメラマンとして同席させていただいたのですが、キム氏は、メイセイオペラが岩手の、そして地方競馬のヒーローであることをとても良く理解しようとしていると感じました。
望まれて赴くなら、それは種牡馬としての花道。これは嬉しいニュースです。
さてもうひとつ、岩手にとって嬉しいニュース。もう一頭の“岩手の雄”トーホウエンペラーが、地方競馬のファーストシーズンサイヤーでリーディング1位になりました!(8月29日現在・日本軽種牡馬協会調べ)これは同じく今年、初年度産駒がデビューしたナリタトップロードらを抑え、種牡馬全体でも14位に入る立派なもの。エンペラー自身が血統に裏打ちされたブライアンズタイム産駒ですから、走る仔が出るぞとは引退時から言われていましたが、期待以上の好成績です。
岩手ではこれまで4頭のトーホウエンペラー産駒がデビューを果たしており、残念ながら未だ勝ち星は上げていませんが、今後の活躍に期待して良いでしょう。この4頭、間もなく発売される「テシオ」でも取り上げていますが、こちらでも彼らの写真をご覧に入れたいと思います。応援の意味を込めて、いつもよりちょっと大きめのサイズでどうぞ!
時のたつのは早いもので、もう9月になってしまいました。岩手はすっかり秋の空、日差しはまだ少し強いですけどね。
涼しくなってきたおかげか、先日までの暑さにへばっていた馬たちも徐々に元気さを取り戻してきた気がします。パドックを見ていても明らかにぐったりした馬が(曳いている厩務員さんも)減ってきた感じ。土・日と荒れ模様だったのは、ここ最近暑さで力を出せなかった馬が復活してきたせいなのかもしれません。
水沢開催は次週9〜11日の3日でいったん終了、舞台を盛岡に移して早速GI・ダービーグランプリが行われます。その頃には、夜なんか寒くなっているような気がしますねえ・・・。
月曜のメインレースはC2級のダート中距離線・猿ヶ石川特別です。メンバーをざっと見て感じるのは力比較の難解さ。ダート1800mという条件で実績がある馬がほとんどおらず、むしろ走った事すらないという馬の方がよほど多いのですから、基準をどこに置くか非常に悩まされます。勢いか距離適性か実績か。ということで今回は、比較的それらが並立しそうなレッドチェイサーを本命に推す事にしました。
レッドチェイサーは昨年9月に岩手に転入し、C3級の短距離で勝ち負けを演じていました。昇級して迎えた今シーズンは当初クラスの壁に戸惑ったかの感がありましたが、ここに来て2連勝といよいよ勢いに乗ってきました。正直この距離に関してはあまり強気になれませんが、その点では他のメンバーも似たり寄ったり。であれば2連勝の勢いを買いましょう。
対抗はちょっとひねってドーリーゴンザレスでいかが?差し脚質で最内枠というのがちょっと不安、1800mも初めてですが、距離が長いのは苦にしないタイプ。能力も見劣らないはずです。
そしてエイシンウルフオー。最近は安定度上昇、距離が伸びての対応力も増してきた印象。やや勝ち味に遅いですが、つねに上位争いには参加してくるので警戒を怠れません。
次に上がってくるのはラックオンデマンドでしょう。短い距離ではどうもズブく差し届かない馬ですから、距離が長くなるのは好都合。ハマッた時の伸び脚は魅力度大です。
ユウワンプレストンなんかも挙げておきたいんですけど、どうも近走がピリッとせず一変までは期待薄。だったら距離には目をつぶって逃げられるページェントルイはどうでしょう。右回りの方がいいタイプで開催替わりを前に狙っておきたいし、鞍上も今週は騎乗ぶりがキレている印象です。
買い目は8枠10番レッドチェイサーを含むBOXで1、3、6、9、10。展開ひとつでガラッと変わりそうなだけに裏表までしっかり。
なお、当日の水沢競馬は全12Rで行われますので、猿ヶ石川特別は15:50分発走といつもよりやや早めのスタートとなっております。お間違えなきよう。
3日メインはB1級「第22回セプテンバーカップ」。距離は前日、ムーンライトカップ(B2級)と同じ1800mで枠順が微妙に影響するし、しかも今回は各馬が一長一短。非常に難解な一戦となった。
カギはオーガストカップ出走組と平場戦で好成績を残している組との力量比較。常識的には特別組を上位に採るのが妥当だろうが、ここはカヌマビートを主軸に抜擢してみたい。
3回水沢(6月11日)B1級戦で逃げ切り圧勝を決めたが、続くレースでは脚部不安のために出走を取り消し。前走8月20日、B1級戦は約2ヵ月半ぶりの実戦となったが、逃げて2着を死守した。その時、勝ったインターサウンドは間違いなくA級でも勝ち負けの実力馬。それを考えれば0・4秒差だったとは言え、2着入線を素直に評価したい。
ただ、気になるのは水沢1800m戦の9番枠。先行して持ち味を発揮するタイプだけに、この外枠はちょっと微妙なところ。競り合いに持ち込まれ、ハイペース模様になった場合は大敗の可能性もある。
逆転筆頭格はエイシンアザレアか。元々は盛岡で好成績を収めているが、前回・オーガストカップでは大器ハセノコンドルの2着。しかも道中ずっと後方に待機し、直線一気に突っ込んできた。エイシンアザレアが見せた上がり3ハロンが38秒9、水沢の馬場でこの末脚は見事という他はなかった。しかし決して差し一辺倒ではなく先に生ける脚もあり、今回は絶好の1枠。勝ち負け必至と見るべきだろう。
セキトシャンハイは前回、味なレースを披露した。これまで父シャンハイ譲りのスピードで押し切るのが勝ちパターンだったが、中団に控える競馬。しかも馬群に入って砂を被る楽な展開ではなかったが、それをしのいで0・3秒差4着。この芸当ができれば前回より1ハロン延びた1800mでもおそらく問題なし。うまく脚質転換に成功すれば、B級も軽く突破できる器だ。
元A1級馬ゲンパチコジーンはアッサリの可能性十分。中央3勝から昨年、岩手に転入してオープンでも入着。冬期間に佐賀で2度使って再度、岩手へ帰郷し、格付けがB2と恵まれた。その割に2勝はやや物足りないが、芝レース以外は堅実に走っている。これまで水沢では3着が最高だったが、中央時の2勝はダート1800m。ベストの条件でまとめての局面を迎えた。
以下、前回快勝で波に乗っているヒメツバキ、スタートさえ互角なら能力ヒケ取らないタケアジュリーもマークが必要だろう。
◎ ?カヌマビート
○ ?エイシンアザレア
▲ ?セキトシャンハイ
△ ?ゲンパチコジーン
△ ?ヒメツバキ
△ ?タケアジュリー
3連単は9、1を1、2着折り返しに3、6を厚めに。2、8を押さえ少々
馬複は1−9、3−9、6−9、2−9
<お奨めの1頭>
9レース テンショウボス
回りは盛岡の方が合うが、不来方賞2着馬。総合力で水沢コースもこなす。ここはトミケンソリッドとの一騎打ち濃厚
月が替わり、岩手では次第に秋の気配を感じ始めてきた昨今だが、暑さが苦手の競走馬には大助かり。例年にも増して猛暑が続いていただけに、厩舎関係者もホッと一息ついているところ。そしていよいよG?・ダービーグランプリ(9月18日、盛岡ダート2000m)の季節が到来し、岩手期待のオウシュウクラウンも順調に乗り込まれている。まずはそのオウシュウクラウンの近況報告から。
8月7日、不来方賞圧勝後、ご褒美と暑さ対策のため1週間ほど攻め馬をお休み。それでオウシュウクラウンは気分リフレッシュできた模様で馬体もふっくら。連闘の疲れも完全に取れ、さらに力強さを増してきた。先週土曜日(26日)から追い切りを開始し、決戦の日に向けて着々と準備を進めている。
さて本題。9月2日(土)メインはB2級馬による水沢1800m戦「第6回ムーンライトカップ」、10頭立て。主軸はキーネで大丈夫だろう。
中央未勝利から昨年11月に転入。C3最下級からのスタートでメンバーにも恵まれて5戦4勝2着1回の好成績を収めてシーズンを終了。ところが、今シーズンはC2からいきなりB2級へジャンプアップ。相手が大幅に強化され、初戦こそ2着にまとめたが、以降は泣かず飛ばずの状態が続き、頭打ちかの印象を与えていた。
しかし4歳の若さは次第にそれを克服。前々走、そして前走と連続2着にまとめ、ようやく通用のメドが立った。加えて水沢は<4.4.0.2>と8割の連対率を誇る自信のコースで、今季初勝利が特別制覇の線が大きく出てきた。
逆転筆頭格はタイキブリッツ。今季も順調に白星を積み重ね、前走・はづき賞でも1番人気に支持されたが、追い込み届かず1・1秒差の5着。これでちょっとミソをつけた感じだが、距離1600mに泣いたとも解釈できる。今回は距離1800mが舞台となり、自慢の末脚が爆発するシーンも十分に考えられるだろう。
レオハヤテは相変わらずいい仕事をやっている。今季1勝のみだが、C2からB2へ昇格しながら着外に沈んだのはわずか1回(3月にも着外1度あり)。その他は本来の堅実さを披露して常に上位争いを演じている。あと欲しいのは最後の爆発力だが、ペース次第で一気に突き抜ける可能性もある。
好、凡走の落差が激しいが、それだけに怖さタップリなのがアリアンロッドだ。6ヶ月ぶりの実戦となった4月8日のB2戦でいきなり2着に入り、高配当を演出。続くレースは10着に沈んだが、5月15日、芝1600m・岩洞湖特別でもハセノハンターの2着に食い込み(3着はエイシンミランダ)、3連単128万円の百万馬券の片棒を担いだ。以降は鳴りを潜め、ここ2戦は4着止まりだが、いつ大駆けがあっても不思議ない存在。ここでもマークは欠かせない。
他ではマイディザートの差し、1800mの1枠に入ったスタートウショウの逃げも軽視できないところ。
◎ ?キーネ
○ ?タイキブリッツ
▲ ?レオハヤテ
△ ?アリアンロッド
△ ?マイディザート
△ ?スタートウショウ
3連単はフォーメーションで8、10の2頭軸から9、2を厚めに。6、1が押さえ
馬複は8−10、8−9、2−8、6−8、1−8
<お奨めの1頭>
3レース ニシノイマジン
前回はハイペースを自ら形成しながら、逃げ切り圧勝を決めた。今度も絶好の3枠を引き当て、再現濃厚だ
先の日曜日、盛岡競馬場において「東北輓馬競技盛岡競馬場大会」が行われました。これは昨年、競馬場の芝コース内側にある補助走路を利用して輓馬のコースを造成し、岩手県競馬組合の主催で開催したもので、去年は2回行われましたが今年は初めての実施になります。
東北には、まだ個人で馬を飼っている方が少なからずいらっしゃいまして、なかでも輓馬を持っている人たちは、各地の草大会に積極的に参戦しています。みなさん日曜日の早朝、馬運車に馬と家族と食事の用意を乗せて東北各地どこへでも行くんですね。
輓馬競技・馬力大会は青森・岩手・秋田・宮城・山形などで行われていて、コースは北海道のばんえい競馬同様、直線200mの馬場に障害と呼ばれる山が作られます。他の会場は河川敷などで行われているところが多いので、砂や泥が深くなることがありますが、オーロパークのコースは本走路と同じ堅い路盤の上に浅く砂が敷いてあり、また障害もひとつなので、タイムの出る高速コースのようです。しかしそれでも最大1t近い重荷を曳く馬たちは、3mほどの高さの山を苦しみながら、引き手の掛け声に励まされ、鞭に気合いを入れられながら越えていきます。その時の馬の形相といったらホントに必死な顔で、見ているとこちらも自然と力が入ってしまいますよ。
今回の大会には、岩手、青森、宮城から合計39頭が参加しました。これは昨年に比べちょっと少なめですが、同日に青森県のつがる市でも大会があって分散したことを考えれば、たくさん集まったのではないでしょうか。また今回は初の試みとして、「人間馬力大会」が同時開催されました!人間馬力大会とは男性が4tトラックのタイヤ、女性は軽自動車用のタイヤを曳いてコースを走るというもので、お昼休みのアトラクションとして行われ、当日飛び入りで募った参加者21名が障害に挑みました。これには観客も大ウケ…だったようです。
「ようです」と書いたのは、筆者が見てはいないから。この日は日曜日で、水沢競馬場では通常通り競馬を開催しているため、私はオーロで輓馬のはじめ3レースだけを見たら、急いで水沢に移動しなければなりませんでした。う〜む、残念。
もちろん競走馬が走る隣で輓馬をやるわけにはいきませんし、仮にやるとすれば観客はスタンドから輓馬を見ることになってしまいます。盛岡競馬場大会では、お客さんは開放された芝コースから間近で観戦することが出来ましたが、スタンドからでは輓馬の魅力である障害を越えるときの馬の息づかいを感じられません。当然、防疫の問題等もありますし、仕方のないことなのでしょうね。
このようなイベントを開催することによって競馬の売り上げも、少々でも確実に伸びるそうなので、これからも毎年、輓馬競技が開催されると良いですね。もちろん通常業務の傍ら輓馬の準備をする職員は大変だと思います。しかし、実はスタッフの中心となっているのは、自らも輓馬を持ち各地の大会にも参加しているSさん。熱心なSさんならきっとやってくれることでしょう。