16日(土)は重賞・ばんえいグランプリ(3歳以上オープン)が行われ、8番人気の伏兵ニシキダイジンが優勝。2着に最低人気のスターエンジェルが入り、馬連単は10万を超す大波乱となりました。
馬場水分は2.9%と、一時期に比べるとやや高めでしたが、第1障害で脚が止まる馬もおり、数字以上の重馬場。スターエンジェルとニシキダイジンが引っ張った道中も、非常にゆったりとしたペースに落ち着きました。
第2障害は各馬がまだ揃いきらないうちにニシキダイジンが仕掛け、やや遅れてナリタボブサップ、スターエンジェルらが登坂開始。しかし先頭で障害を下りたのはナリタボブサップで、ニシキダイジンは2番手からの展開となりました。以下は離れて、ホシマツリ、スターエンジェル、フクイズミ、タケタカラニシキなど4頭が差なく追走集団。
ナリタボブサップの逃げ脚は例によって快調で、藤本匠騎手も持ったまま。2馬身ほどのリードを保って残り20メートルを通過しました。ところが一気に脚いろが鈍り、残り10メートル付近でストップ。しかしなんとか立て直し、一杯になりながらも先頭をキープしたまま馬体がゴールラインを通過。もう大丈夫だろうと思われた時、ソリの後端を残した状態で脚が止まってしまいました。その間にニシキダイジンが先頭で荷物を運びきり、3/4馬身程度の差でスターエンジェル、いつもの豪脚でフクイズミもゴールイン。ナリタボブサップは、結局4着でのゴールとなりました。
大逆転勝利を飾ったニシキダイジンは、06年のポプラ賞に続く重賞2勝目。オープンでも苦戦が続いた近況でしたが、先行力にはもともと定評があり、今回もそれを生かし切っての勝利となりました。しかし、ナリタボブサップが失速したことを考えれば極端なスローペースだったとは考えにくく、これまで先行して粘るレースを根気よく続けてきた経験が生きたと言えるでしょう。
2着のスターエンジェルも、前々で積極的にレースを進めるいつもの競馬。帯広記念2着やばんえい記念3着があるように時計のかかるレースでは好成績で、今回は見た目以上の重馬場が味方したと言えるでしょう。そういった場面では、今後も軽視は禁物です。
ナリタボブサップの失速については、ある意味で仕方ないとも言えるでしょう。卓越した障害力に加え、しまいの粘りが出てきたことが最近の好成績につながっていたわけですが、あくまで“粘りが出てきた”わけであって、しまいが確かになったとは言い切れませんでした。従って今回のレースぶりも悪くなかったと言え、あえて敗因を挙げるなら、10キロの斤量差がゴール前の50センチに出た、というところでしょう。
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藤野俊一騎手「久々の重賞勝ちで嬉しいですね。馬の調子がよかったので、障害さえうまく越えたらなんとかなると思っていました。(ナリタボブサップが)先に1度止まったので、逆転は無理かと思いましたが余計にもう1回止まったので、なんとか我慢してゴールに入れました。若いころから実力があった馬なので、まだまだ活躍できると思います」