ばんえい競馬情報局とは?

ばんえい競馬の最新情報を提供します。重賞を中心に予想や回顧のほか、ばんえい競馬に関するコラムなどもご覧いただけます。
カレンダー
リンク
おすすめコンテンツ

« 2007年12月 | メイン | 2008年2月 »

2008年1月 アーカイブ

<<前へ 1234

やっぱり馬が好き(第44回) 旋丸 巴

2008年1月17日(木)

名手の引退

 名手・坂本東一騎手が本気で恐怖の表情を浮かべたのは、12月30日、「坂本東一騎手・千葉均騎手引退セレモニー」でのことである。

 千葉騎手は病気療養中で欠席されたものの、坂本騎手の登場に観客は大興奮。花束を持って駆けつけたファンで表彰サークルは満杯。柵の回りも観客が鈴なり。と熱気に包まれたセレモニーで、しかし、若手騎手達が「胴上げしましょう」と言った瞬間、坂本騎手の表情がこわばった。

 「いいよ、やらなくて! このメンバー、本当に危険だってばぁ!」

 抵抗する坂本さん。しかし、そこは、日頃、巨漢馬を自在に操る豪腕騎手さん達。坂本さんを、ひょいと持ち上げると、そのスリムな体躯を中空高く舞い上がらせた。

 帯広競馬場に響く、坂本騎手の悲鳴!

 「わ~! やめれ~!」

華麗なる「坂本ジャンプ」
坂本 東一

 蝶のように舞い、蜂の様に刺す。正に坂本騎手のレース振りは、この通り。直線、ここぞという勝負どころで見せる華麗な「坂本ジャンプ」は美技中の美技。現役最年長ながら、昨年度ばんえい記念を制覇するなど、まだまだ華麗なる坂本ジャンプは健在。2600勝を達成し、現役最多勝記録を更新中。

 これは、以前、某団体に頼まれて書いた騎手紹介だけど、かほど華やかな坂本東一騎手が昨年末をもって引退されてしまった。調教師試験に合格されての勇退だけれど、寂しいのである、心底。

 坂本さんについては、拙欄でも何回かご紹介したけれど、生涯勝利数2681勝は現役最多勝。歴代ランキングでも、「ミスターばんえい=金山騎手」に次ぐ史上2位の堂々たる成績なのである。

 いや、しかし、勝利数は、この偉大な騎手さんの魅力のほんの一部でしかない。前述「坂本ジャンプ」など、大きなアクションで馬を追う、その姿は、ばんえいファンは勿論、ばんえいを知らない人々にも強いインパクトを与えた。しかも、そうした果敢な勝負師である反面、勝負が終われば、にこやかな笑顔で観客の心を魅了。殊に子供に対する優しさは格別で、色白、面長、切れ長の目、という精悍な面立ちが、しかし、幼い子を見ると一瞬にして柔和な笑顔に変貌する。

 バックヤードツアーに参加した子供に、坂本さんが、わざわざ歩み寄って「応援してね」と握手しているところを間近で目撃したことがあるけれど、この名手から滲み出る自然な温かさは、一種独特の雰囲気を醸して、余人の真似できるものではなかった。

 昨年、念願のばんえい記念制覇を果たした坂本騎手。その時の勝利馬トモエパワーが、今季に入って長らくのスランプの後、9月30日、ようやく岩見沢記念を勝った時には、勝利騎手インタビューで曰く

 「いや、調教師が『いつ勝つんだ、いつ勝つんだ』って、うるさくてね」

 かような、お茶目なコメントでファンを爆笑させた。

 共に引退した千葉均騎手も、馬に頭部を蹴られるなどの大事故に遭い、近年は体調を崩しがちであったにも関わらず、通算2106勝を挙げた名手。派手ではなかったけれど、その職人芸とも言うべき騎乗は、正に「いぶし銀」の技であった。

 そんな、格好いい、優しい、時に、お茶目な坂本さんと、いぶし銀の職人=千葉さんが引退してしまうなんて……。
 
 明けてお正月、競馬場で出会った友人がポツリと一言。

 「本当に、坂本さんも千葉さんもいないんだね」

 そんなこと言われて、思わず目の奥が熱くなってしまったけれど、いやいや、リーディングジョッキー鈴木勝堤さんを初め、百戦錬磨の名手が居並び、NAR新人賞獲得の西謙一騎手など未来のスターも登場した、ばんえい界。坂本さんの華麗さを、千葉さんの渋さを、それぞれに継承してくれるだろう。

 だから、寂しくったって、悲しくったって、私は……、私は……、泣かないぞ~! ひっくひっく。

080117%E5%9D%82%E6%9C%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B91.jpg
坂本東一騎手引退記念レース

レース回顧(1/12~1/14)

2008年1月15日(火)

 12日(土)は霧氷特別(4歳以上オープン)が行われ、カネサブラックが優勝。ここまで5戦連続2着のうっぷんを晴らし、8月以来久々の勝利を挙げました。
 第2障害は大方の予想どおり、ニシキダイジンが先頭でクリア。しかし差なくカネサブラック、シンエイキンカイ、タケタカラニシキ、エビスオウジャの4頭も続きました。残り30メートルまで到達する前に、カネサブラックが先頭へ。そのまま脚を伸ばしてセーフティーリードを保つと、楽な手ごたえのままゴールを迎えました。じわ脚を伸ばしたタケタカラニシキでしたが、差はいっこうに縮まらず2着まで。障害で詰まったものの、ゴール寸前で追い込んできたトモエパワーが3着を確保。

 13日(日)のメインレースはポプラ賞(4・5歳オープン)。ここは2番人気のツジノコウフクが制し、銀河賞勝ちの実力を存分に見せつけました。
 ツジノコウフクとヒロノドラゴンが真っ先に第2障害に挑み、この2頭が並ぶようにして先頭クリア。これにニシキセンプーも加わり、三つどもえの様相を呈しました。残り30メートルでは3頭が横一線、残り20メートルでツジノコウフクがわずかに先頭へ。そして残り10メートルからは完全に底力だけで勝負しているようなサバイバル戦となりました。それでも力を振り絞って先着したのはツジノコウフク。1馬身ほど遅れてヒロノドラゴンが入り、ニシキセンプーが世代限定戦では久々となる3着好走。1番人気のホクショウダイヤは課題の障害で詰まってしまい、よく追い込んだものの4着まで。

 この日の第10レースはジャニュアリー特別(3歳オープン)が行われ、8番人気のウメノタイショウが勝利。世代トップクラスにあることを証明しました。
 ひと息入れて第2障害に挑んだウメノタイショウは、これを難なくクリアすると一気に差を広げて逃げ込み態勢へ。残り10メートルを切ってからは脚いろが鈍りましたが、あらかじめ築いたセーフティーリードが生き、後続の追撃を振り切りました。2番手争いでわずかに優位に立っていたマルモスペシャルが、ゴール線上で痛恨のストップ。ニシキエースが2着入線を果たし、3着にリードムサシ。立て直したマルモスペシャルは4着まで。

 14日(祝・月)のメインレースは、重賞のヒロインズカップ(4歳以上8歳以下牝馬オープン)。ここはトカチプリティーが久々の重賞タイトルをゲットしました。詳細は別掲のヒロインズカップ回顧をご覧ください。

 この日の第10レースは樹氷特別(4歳以上430万円未満)が行われ、タカラオーシャンが優勝。3連勝後の前走7着から、見事に巻き返しました。
 第2障害はシンエイスターが先頭で越えましたが、後続は大苦戦。そこからようやくコトブキライアン、タカラオーシャン、カネミセンショーがクリアしていきました。大きくリードを広げていたシンエイスターですが、脚取りは重く後続がグングン差を詰める展開。残り20メートル付近で4頭が一団となる大混戦となりました。そこから抜け出したのがタカラオーシャンで、最後は2着に1馬身ほどの差をつけて快勝。沈みそうだったシンエイスターはなんとか踏ん張って2着を確保。カネミセンショーはわずかの差で3着に敗れました。

映像はこちら。またこれらを含め2カ月前までの映像は、すべてオッズパークにてご覧いただけます。

1/14ヒロインズカップ回顧

トカチプリティー久々の重賞4勝目 

 14日(祝・月)は重賞・ヒロインズカップ(4歳以上8歳以下牝馬オープン)が行われ、1番人気のトカチプリティーが優勝。03年ばんえい大賞典、04年クインカップ、ヒロインズカップ以来となる重賞4勝目を挙げました。

 道中はサダエリコがペースを握り、ゆったりとした展開。これを追走するかたちでスターエンジェルやトカチプリティー、エメラルドといったあたりも続いて第2障害を迎えました。
 真っ先に動いたのは外枠の2頭、スターエンジェルとトカチプリティー。やや遅れて仕掛けたニシキユウも抜群の登坂力を見せて天板に脚を掛けました。しかし先頭で越えたのはトカチプリティーで、少し遅れてニシキユウ、タケトップクインとギャンブラークインが続きました。
 トカチプリティーの逃げ脚は快調で、後続も必死の追撃を見せますが、なかなか差が詰まりません。しかし、ここで一気に伸びてきたのがフクイズミ。障害5、6番手クリアのいつもの位置から末脚を伸ばし、残り20メートル付近で2番手に浮上。トカチプリティーの脚いろが鈍ったこともあって、残り10メートルを切ってからさらに猛追しました。しかし、ここまで。ソリ半分くらいのリードを保ってトカチプリティーが荷物を運び切り、久々の重賞初制覇。追い込み届かずフクイズミが2着で、障害2番手からしっかり歩き切ったニシキユウが3着を確保しました。

 トカチプリティーの重賞制覇は、04年12月以来のこと。これまではオープン戦線で堅実なレースを見せており、その活躍ぶりからいって、これだけの長い期間重賞タイトルから離れていたのには少し驚かされました。今季は春先こそこの馬らしくない競馬が続いていましたが、旭川記念後は【6、4、4、2】。2度の着外はともに4着と抜群の安定度。早めに障害を越えられる登坂力がなによりの武器で、それがこの好成績をもたらしています。
 フクイズミはこの馬らしい豪脚を見せてくれたものの、今回は届かず2着。しかし絶望的な位置から飛んでくる末脚は魅力十分で、今回も0秒5差までトカチプリティーを追い詰めました。確かに障害次第の面があり、軸とするには不安も同居しますが、やはりその実力は信頼に足るもの。今後ビッグタイトルの獲得も十分に期待できます。
 ニシキユウは歴戦のオープン馬を相手にしての3着だけに、上々の結果。今後ハンデを課せられてどうか、というのが気になるところですが、ばんえい大賞典制覇、ダービー2着の実績の持ち主だけに、克服は十分可能でしょう。今後のばんえい牝馬戦線を盛り上げる1頭であることは間違いありません。

成績はこちら
映像はこちら

1/14ヒロインズカップ予想 矢野吉彦

2008年1月13日(日)

安定感抜群のトカチプリティー

 年末年始の連続開催、ファンのみなさんも関係者の方々も、どうもお疲れ様でした。これから寒さが一番厳しい季節になりますが、この時期のばんえい競馬も真冬の風物詩。冷たい空気を吹き飛ばすような、熱いレースを期待しましょう。

 さて、14日はヒロインズカップ。フクイズミをはじめ、各世代の女王様たちが集結しました。ハンデ差は上下50キロ。これを考えるかがポイントですね。去年のこのレースでは、アンローズが790キロのトップハンデで9着。勝ったフクイズミは、トカチプリティー(3着)、スターエンジェル(8着)とともに770キロの荷物を引きました。最軽量馬の重量は750キロでフクイズミらとの差はわずか20キロしかなかったんです。
 それが今回は、フクイズミがトップハンデの780キロで、トカチプリティー、スターエンジェルが770キロ。ここに10キロの差がつきました。さらに、最軽量馬の荷物は730キロですから、フクイズミは50キロも軽い馬を相手にしなきゃいけなくなったわけです。これまでのレースでも、軽量馬にスイスイ行かれてペースが上がると、障害の切れ味が今イチになることが多かった同馬。今回もそういうことになるのではないかと思うのですが。
 そうなると、ここはやっぱり安定感抜群のトカチプリティーを狙いたくなりますね。760キロ以上の荷物ではあまり実績のない馬ですが、去年のこのレースで今年と同じ荷物を引いて3着に来ていますから、全くダメということもないでしょう。このところの成績は好調の証し。この馬中心で馬券を買います。
 相手は、軽ハンデのニシキユウとエメラルド。それに前年優勝馬に敬意を表してフクイズミ。あとはスターエンジェル、ギャンブラークインに、前走の帯広記念でそこそこ頑張ったサダエリコも押さえておきます。まずはトカチプリティーを頭に馬単流し。同馬が負けるとすれば、軽ハンデの馬か実力上位のフクイズミと見て、この3頭が頭でトカチプリティー2着の馬単が押さえ。こんなに買うと当たっても損、なんていうこともありそうなので、オッズとはよく相談して金額を配分します。
 実は、密かに楽しみにしているのはサダエリコの復活なんですけど、それを狙うと、アンローズを狙った帯広記念の二の舞になりそうなのでやめときます。では、今回はこのへんで。

1/14ヒロインズカップ予想 斎藤修

重量有利な5歳馬エメラルド

 牝馬によるヒロインズカップ。オープン馬が770キロで、格付けがひとつ下がるごとに10キロ減、オープン馬については今シーズンの賞金150万円につき10キロ増という別定重量戦。ニシキユウとエメラルドは500万クラスでも4歳(明け5歳)でさらに10キロ減。オープンで今季賞金150万円のプラス10キロが加算されるフクイズミとは上下50キロもの差がついた。
 今回は、その重量差をフクイズミが克服できるかが焦点となるだろう。
 参考になるのは11月11日のレディースカップ。そのときの勝ち馬フクイズミと、3着ギャンブラークイン、4着エメラルド、6着ニシキユウ、10着トミサトクイーンとは、今回重量差がさらに10キロ広がった。勝ったフクイズミから6着のニシキユウまでは10秒以内の入線でそれほど離れていないことから、このあたりまでが逆転候補となりそうだ。
 ここは500万クラスで2勝を挙げているエメラルドに有利と見て、この馬を中心にする。
 大崩れがなく好調持続のトカチプリティーが相手、あとは前述の重量差で有利になったギャンブラークイン、ニシキユウを狙う。
 フクイズミは、さすがに下と50キロ差がついては厳しいのではないかと見て軽視。これで勝ったら恐れ入りましたと言うしかないが。
 フクイズミに人気がかぶるようなら、それ以外の4頭をボックスで買ってみようかと。
 ◎エメラルド
 ○トカチプリティー
 ▲ギャンブラークイン
 △ニシキユウ
 △フクイズミ

<<前へ 1234
Copyright (C) OddsPark Banei Management Corp. All Rights Reserved.