ばんえい競馬情報局とは?

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2006年5月 アーカイブ

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レース回顧(5/27~5/29)

2006年5月29日(月)

 27日(土)に行われたレーシングカップ(3歳以上混合オープン)は、2番人気のホクショウファイトが優勝。今季初出走を見事勝利で飾りました。積極的に第2障害へ挑んだホクショウファイトは、ひと腰でこれをクリア。その後もゴールまでグイグイ脚を伸ばし、他馬を寄せ付けない圧勝を飾りました。昨季終盤は不調でしたが、そうしたなかでも800万クラスで勝利を挙げるなど実力の片鱗を見せていました。最高のスタートを切ったことで、昨季前半の快進撃のような活躍を期待することができそうです。2着のニシキダイジンは久しぶりの連対。チャンピオンカップ3着以後、精彩を欠いていましたが、持ち前の先行力は健在で、今後も期待できそうです。
 この日の第10レース、勝入別定270万円未満で、昨季の2歳戦を盛り上げたホクショウダイヤが勝利。これで5連勝を果たしています。
 また、この日の第5レース、3歳以上120万円未満で、千葉均騎手がヒメカワキタに騎乗して勝利。ばんえい競馬史上8人目、現役では5人目の快挙となる通算2000勝を達成しています。
 28日(日)のメインレースは、ポテト特別(3歳以上オープン)ミサイルテンリュウが好メンバーの一戦を制し、今季も好調ぶりをアピールしています。障害こそ3番手でクリアしましたが、その後、前を行くタケタカラニシキ、トカチプリティーを次第に追いつめ、ゴール直前で2頭を捉えきりました。ばんえい記念出走のダメージもなく、今季2連勝と絶好調。今年の重量路線で、間違いなく主役を演じることになるでしょう。2頭が争った2着争いはトカチプリティーに軍配。今季は障害が安定しており、毎回トップクリアを果たしているような印象があります。軽馬場もあるとは思いますが、なにより馬自身がいい状態をキープできているのでしょう。ほか、障害9番手から4着まで巻き返したサダエリコは非常に目立った脚を使っており、徐々に上向いている印象。夏ごろには完全復活できるのではないかと思われる好内容でした。
 なおこの日の第4レースに行われた2歳戦は、7番人気のアローファイターが優勝。単勝1.5倍の断然人気に推されたシベチャタイガーは勝ち馬の末脚に屈し、2着に敗れています。
 29日(月)は天塩岳特別(3歳以上470万円未満)が行われました。圧倒的人気に推されたスギノフィリオが優勝し、これで5連勝を達成しています。障害を先頭で越えたスギノフィリオは、その後ユウセイマーチ、キョウエイボーイなどの激しい追撃に遭遇。しかしここからの粘り腰が素晴らしく、突き放しもしないかわりに迫られることもない力闘を演じ、結局最後まで粘りきりました。ユウセイマーチはいい伸びを見せましたが、2着まで。キョウエイボーイは前走10着から巻き返し、本来の動きを見せた印象でした。

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やっぱり馬が好き(第19回)  旋丸 巴

2006年5月26日(金)

頑張れ希世ちゃん

 今月3日、佐藤希世子騎手が100勝を達成した。02年1月のデビューから1,204戦目での記録達成。地方競馬の女性騎手としては11人目、現役では3人目の快挙とのこと。もっとも、「地方競馬では」と言っても他の競馬場でのレースは、みんな平地競走。単純に他場の騎手の記録とは比較できないけれど、ばんえい競馬史上2人目の女性騎手がデビュー6年目で100勝というのは「堂々たる戦績」と言って良いはず。何はともあれ、希世ちゃん、おめでとう!

Kiyo  と、今、私は馴れ馴れしく「希世ちゃん」なんて呼びかけてみたけれど、実のところ、私は、この人と面識がないのである。競馬場のパドックで、出走馬にまたがった精悍な彼女を眩しく仰ぎ見ることは多いけれど、直接、お会いしたことは皆無。当然のことながら、話もしたこともない憧れの存在なのである。

     *   *   *

 数年前まで、ばんえい競馬について、私は極く普通のファンであった。それが、縁あって谷あゆみさんと親しくさせてもらうようになり、以降、色々な馬や人にも会わせてもらったり、取材させてもらったりするようになった。

 スーパーペガサスの調教も見せてもらったし、昨年の「ばんえい記念」では、この英雄の口取りに参加させてもらう栄誉に浴した。映画『雪に願うこと』の試写会パーティーにも出席したし、主演馬マルニシュウカンとも対面させてもらった。

 ……と実に様々な僥倖を得て、幸せ一杯胸一杯。物書きとしての「役得」を実感する日々である。

 けれども、しかし、なのである。生来が「つむじ曲がり」の旋丸。物書きだからといって諸々の特権を得ていると、何だか最近は少しく居心地が悪くなって来た。

 ファンの知りえないこと見られないことを見知って優越感に浸っているジャーナリストは、私の最も軽蔑する人種だけれど、顧みて、自分も、そんな嫌ったらしい種族になりつつあるんじゃないか、と心配になって来たのである。

 佐藤希世子騎手にも、会おうと思えば必ず誰かが快く紹介してくれるに違いない。うまくすれば、親しくお話できる間柄になれるかもしれない。

 けれど、今、私は、一ファンとしてパドックで彼女を見上げることに何とも言われない満足感を感じているのである。口を真一文字に結んで、凛々しく本馬場に向かう彼女に片思いの心持で密かにエールを送る瞬間が好きなのである。

 そんな訳で、今しばらくは、佐藤希世子さんとはお会いしないでおこうと思う。お会いしないで、純粋無垢にファンとして競馬場で声援を送ろうと思う。

 「希世ちゃん頑張れ!」と、フツーのオバサン旋丸は、今日も声援を送るのである。

レース回顧(5/27~5/29)

Takashimaya  この項でお知らせしたとおり、先週は東京都内でばんえいイベントが多数行われました。特に20日(土)の新宿タカシマヤタイムズスクエアのイベントでは、東京の街中にリッキーがドドンと登場(写真)。会場では「大きい」「かわいい」などの声が聞かれたうえ、一般の方との記念撮影では長い列もできて大好評でした。もちろんイベント慣れしているリッキーだからこそできたとも思えますが、本質的におとなしいばん馬ならではの演出。ばんえい競馬を知らない方にも、存分にアピールできたのではないでしょうか。
 さて、27日(土)のメインレースはレーシングカップ(3歳以上混合オープン)。オープン5頭、800万クラス4頭の混合戦です。難解なメンバー構成となりましたが、ここはヨコハマボーイの底力に期待したいと思います。なるほど今季は精彩を欠いていて、特に前走は9頭立ての9着。ばんえい記念3着の実績から、近2走の成績以上に人気になりそうですし、確かに狙いにくいとも言えます。しかし、混戦時にモノをいうのが底力。重賞戦線も視野に入ってくる時期だけに、陣営もきっかけをつかみたいはずです。奮闘を期待したいと思います。あとはホクトキング、ニシキダイジンあたりも争覇圏でしょう。
 28日(日)はポテト特別(3歳以上オープン)が行われます。ここにはスーパーペガサスをはじめ、サダエリコ、ミサキスーパー、エンジュオウカン、ミサイルテンリュウ、シンエイキンカイといった、名だたるオープン馬が出走を予定しています。やはりスーパーペガサスに注目ですが、障害に手間取るようなら、エンジュオウカンミサイルテンリュウといった障害巧者が浮上してくるでしょう。前走のオープンを勝ったサダエリコは、今回のレースが復調へのキーとなりそうです。
 またこの日、第4レースの2歳戦シベチャタイガーが出走予定。ここまで3戦3勝と、能力検査1番時計の実力を見せつけています。ほか2戦2勝のホッカイノリキとマルニゼウス、2戦連続シベチャタイガーの2着に敗れているサムライキングなどが出走を予定しています。
 29日(月)に行われるのは手塩岳特別(3歳以上470万円未満)。注目は今シーズン4連勝中のスギノフィリオ、昨年秋から快進撃を続けているコブライチでしょう。特にスギノフィリオは、ある程度勝負付けが済んだ相手ともいえ、5連勝が期待できそうです。コブライチは昇級直後ということもあり、ここが試金石となるでしょう。ほか好調のユウセイマーチとタカラテンクウ、そしてキタノカイザーの一発にも注目したいところ。

レース回顧(5/20~5/21)

2006年5月22日(月)

 20日(土)に行われたのは愛山渓特別(3歳以上650万円未満)。このレースを制したのはタケノホウシュウでした。3、4番手で第2障害を下りると、手ごたえよく進出。残り30メートル付近で先頭に立つと、そのままゴールまで逃げ切りました。1番人気のエビスオウジャは5番手で第2障害をクリアし、その後グイグイ差を詰めましたが2着まで。先頭で第2障害を越えたイケダガッツが粘って3着を確保しています。
 21日(日)のメインレース、大雪賞(3歳以上800万円未満)は、スミヨシセンショーが優勝しました。1番人気キタノスサノオは、今回は積極的な先行策が実らず6着に敗れています。道中は、予想どおりキタノスサノオがハイペースで飛ばす展開。しかし乾ききった馬場が影響したか大きなリードを取ることができず、第2障害で詰まっている間に、プリンセスサクラコ、スミヨシセンショー、ホクリュウイチがクリア。先頭3頭はそのままゴールまで激戦を展開。残り20メートル付近からスミヨシセンショーがジワジワとリードを取りはじめ、終わってみれば1馬身差以上をつける完勝を飾りました。2番手を追走していたホクリュウイチはゴール線上で止まり、その間にプリンセスサクラコがすべり込んで2着。立て直したホクリュウイチが、キングシャープの追撃を退けて3着。
 22日(月)、550万クラスによる一戦旭岳特別は、ナリタボブサップが優勝。軽馬場を味方に、スイスイ逃げ切りました。各馬が到達しないうちに第2障害を登りはじめたナリタボブサップは、ひと腰で上がって先頭クリア。そのまま後続を突き放すと、ゆうゆうひとり旅でゴールしました。障害を越えてからの脚がキーとなる馬だけに、今回の軽馬場が向いた印象です。2着は障害3番手から脚を伸ばしたバンゼン、3着にミスターセンプーが入線しています。

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馬券おやじは今日も行く(第18回)  古林英一

2006年5月19日(金)

山で働く馬

 みなさん、「BANBA王」観てます? あの番組ほんとうにいいね。初心者からベテランまで楽しめる本格的な番組ですな。

 さて、本題。行ってきました、山仕事。現場は道南上ノ国町にある北大演習林。今ではほぼ絶えてしまった馬を使った森林作業(馬搬という)の技術を伝承・保存しようという企画である。この企画を続けているのは上ノ国町の太田垣茂さんという方である。この方は森林の保全・活用に尽力されている方であるが、その一方で類い希な馬好きオヤジでもある。もちろん競馬も大好きというお方だ。この太田垣さんのパートナーとして愛馬とともに活動に参加しているのが、久末代志市さん。御年75歳。現在オープンで活躍中のスターエンジェルの生産者である。この爺様も馬が好きで好きでたまらないという人である。

 上ノ国で馬搬作業をやっているという話を聞きつけ、見学したいと電話したら、「見学だけ?」と問い返され、思わず「いえ、できることは何でもさせていただきます」と返事してしまったことから、にわか杣夫(そまふ、北海道ではヤマコ=山子という)になった次第である。

060518photo1  GW期間限定・見習い杣夫兼馬方となった小生であるが、見よ、わが勇姿。何でも形からはいる小生である。なかなか似合っているのではなかろうか(写真)。自分でいうのもなんだが、学界広しといえど、ヘルメット姿が似合うということでは、小生の右に出るものはそう多くあるまい。

 格好だけはもっともらしいのだが、なんせ小生はハマチ養殖の論文で博士号をとった農学博士であるからして、漁業と農業については多少知識もあるが、林業についてはドのつく素人である。林業用語もまったくわからない。

 太田垣さんは「馬を使うためには準備が大事なんだ」と繰り返しおっしゃっていた。馬を見たいという人は多いものの、たんに馬を見たいというだけで、森林作業をきちんと理解しようという人は少ないのだそうな。「見学だけ?」とおっしゃったのには、「たんに馬だけ見に来るような真似はするなよ」という意図だったようだ。

 3日間の日程の初日は馬は登場しなかった。馬搬をおこないやすいように木を倒し(木を切り倒すことを伐倒という。小生が覚えた最初の林業用語だ)、馬が作業しやすい環境をつくる必要があるのだ。以前伐採した木の断片(断片といっても直径30センチ、長さ数メートルの丸太もある)がごろごろしているのを、適当に寄せ集めたりして、馬が通りやすいように片付けねばならない。

060518photo2  まずトビという道具(魚市場で使う手かぎの親方みたいなもの)を使って丸太の残骸を寄せ集めて整理する(写真)。これが簡単そうにみえてなかなか難しい。どの立木の間を馬が通ると具合がいいかを判断しながら邪魔物を片付けるのだが、伐採予定の木を倒す方向と、馬がひく方向なんかを判断しながらやらねばならない。しかしまあ、木というのは存外重いものである。でも数時間やってるとトビの扱い方だけは少し上手になったのである。ちょっとうれしい。

060518photo3  林の間に幅1メートル程度の小道がある。この道を通って、伐倒して枝をはらった杉の木をドシャバという集積場に集める。林からこの小さな道に木を搬出することを「藪出し」というのだそうだが、馬を林のなかに入れての藪出しというのはしないことも多いらしい。ではどうするのか。伐倒した木にワイヤーをつなぎ、滑車などを使って馬は道で木を曳くのだという。ただ、今回は、馬の扱いに長けた久末さんの指導で、林のなかにまで馬をいれて藪出しをした(写真)

060518photo4  まずは藪出ししやすいように木を伐倒せねばならない。見習い杣夫である小生はチェーンソーの操作はできないので見ていただけだが、木を思う方向に手際よく倒すというのもなかなか難しいようだ。チェーンソーの操作にそこそこ慣れている人たちでも結構難儀している。3日目に山仕事50年という方も先生として参加したのだが、さすがにこの方のチェーンソーの使い方は見事である。姿勢が美しい。何の仕事でも、熟練の職人の仕事の姿勢はビシッと決まっている(写真:チェーンソーの使い方を指導しているところ)

 2日目。いよいよ馬の登場である。今回、がんばってくれたのは、久末さんが飼養しているニシノサクラ号(雌・5歳)である。昨年秋の作業で初めて山に入った馬だという。ばんえい競馬の競走馬ではないが、久末さんとともに草ばん馬には出場している馬だ。

060518photo5  正直なところ、文弱の輩であり非力な小生は長さ2メートルの丸太を曳くのも難しい。ところが、このニシノサクラちゃん、障害物のない斜面だと、長さ20メートル直径30センチばかりの丸太を3本くらいなら、軽々引っぱりあげてしまう。本物の「馬力」というのはまことにもってえらいものだ。また、急坂をこえるときなんぞは、ちゃんと腰を使う。まさにばんえい競馬の障害越えそのものだ(写真)

060518photo6  手際よく藪出しできるかどうかは、ひとえにそれまでの準備次第だということがつくづくわかる。どの木の間を抜ければうまく丸太を曳けるかを久末さんが瞬時に判断する。馬を御すための人が馬の後につくのだが、別に手綱をとった人が馬を上手に誘導せねばならない。見習い馬方の小生、この誘導役を少しやらせてもらった(写真)のだが、これがなかなかうまくいかない。足場の悪い林のなかで、馬をうまく誘導するどころか、自分の足元が怪しくなる始末だ。太田垣さんもあきれはてていた。小生、本物の馬方には到底なれそうにもない。ちょっと悔しい……。

 3日間作業に混ぜてもらって、馬の動きを見ていると、これがまさにばんえい競馬のルーツだということが実感された。考えてみれば、農耕や平坦な道路で馬が腰を使って障害を越えることなど実際にはなかったろう。急坂を越えて丸太を曳く姿はばんえい競馬の障害越えそのものなのだ。ばんえい競馬が単なる馬ぞりレースではなく、障害を越えるレースとして考案されたのは、まさにこうした山仕事のイメージがベースにあったのだろう。

060518photo7  今でも、ばんえい競馬を「残酷だ」「馬がかわいそう」なんぞという人がいる。そんな人は本当の馬の力を知らない人だ。ばん馬をバカにしてはいけない。ばん馬という偉大な動物は、1日数時間にわたり、急峻な坂や障害を越えて丸太を曳き続ける「馬力」を持っているのだ(写真)。ばん馬たちにとって、そして、愛馬とともに働く男たちにとって、日常の仕事で培った「馬力」を人々に見せつける晴れの舞台がばんえい競馬だったのだろう。

 ここでちょっとお知らせ。

 北海道新聞社からばんえい競馬の写真集が発行された。詳細は後日お知らせするが、これはばんえい競馬ファン必見だ。

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