篠原睦が絶妙なコース取りで逃げ切り!
重走路で始まったダブルチャンピオンシップ5日目は、徐々に走路から水気が引けてきたものの、優勝戦でも完全な良走路にはならなかった。不安定な走路を制したのは飯塚26期篠原睦だった。
好スタートで早々逃げ態勢を作った篠原は、すぐ直後に青山周平がピタリマーク追走していたので、後ろをけん制しながらの走りになった。更に、金子大輔が再三インに飛び込んでくる厳しい展開となった。しかし、勝手知ったる地元走路で、コースをしっかり守り通して記念制覇。嬉しい結果となった。直前の一般開催を重走路で優勝していたのが、気持ちに余裕を持たせる形になったことだろう。
青山は終始仕掛けどころを探っていたが、最後まで先頭に立つことはできなかった。それほど篠原のコース取りが上手かったと言うことだが、まだオートの経験が浅いながらあそこまで走れたのは流石だ。これからの活躍に期待しないではいられない。
エンジン的には一番よさそうだった金子は、回りきれなかったとは言え、果敢に攻めていった姿勢には好感が持てる。車券を持っていたオートファンを納得させる走りができていた。荒尾聡は試走からやや精彩を欠いていたが、最後まで諦めない走りをしていたのが印象的だった。これからもオートレースを盛り上げていってくれることだろう。
力強い走りで中村雅人がゴールデンレース連覇!
昨年のスーパースターの落車から長く苦しい期間が続いた中村だが、ついに本来の姿を取り戻した。
0メートルオープンで行われたゴールデンレースの優勝戦は、スタート巧者の荒尾聡が7枠から先行した。1枠から2番手に出た有吉辰也がすかさず交わして逃げ態勢に入る。マズマズのスタートを切った中村が逃げる有吉のインに入るも、有吉がすぐさまやり返した。しかし、競り合いに強い中村が再度差し込んでゴールとなった。
中村はこのところスタートが切れており、序盤で先頭に立ちながら、後ろからやってきた選手にやられてしまうシーンが多かったが、このレースでは違った。いつもの、誰にもやられず、しかし前を行く選手をしっかり捌くスタイルが戻っていた。強い中村が戻ってきた。
当ブログで本命に推した金子大輔は、スタートで前輪を浮かせて1コーナーで後手を踏み、7番手からのレースになってしまった。そこから諦めず鬼の猛追を見せた。1車ずつ冷静に捌いて行ったが、周回が足りず惜しくも3着。悔しいレースとなったが、悪い事だけではない。近況は、調子が上がらず苦しいレースが続いたが、この優勝戦ではいくらかの光明が見られた。これからの巻き返しに期待したい。
有吉、荒尾はエンジンの仕上がり不足で勝ちきれなかったが、相変わらずのスタート力を見せ付けた形。これからもオープン戦では活躍必至だ。エンジンが完全に仕上がれば優勝も十分ありえるので、今後の動向に注目していきたい。
潜在能力の高さを見せ付け、青山周平が地元記念初優勝!
好メンバーでの対決となった黒潮杯優勝戦。制したのは船橋31期青山周平だ。0メートルオープン戦の3枠から飛び出した青山は、後続をどんどん離して独走でのゴールだった。2番手に出た永井大介は青山を追うどころか高橋貢に差され、更に中村雅人と競り合う形になってしまった。
このレースでは青山の強さだけが目立っていた。3枠で好枠とは言えしっかりトップスタートを決めたのは見事だ。まだデビューして2年も経ってない若手が、実績ある選手達を置き去りにして行くのは並み大抵のことではない。青山の強さの一因はそのスタート力にある。2級車の時からそうなのだが、スタートで大出遅れした事がほとんどない。1級車に乗り替わってからは外枠に置かれても先行するシーンがよく見られるようになった。安定したスタート力は記念を取るのに絶対必要な条件である。
更に凄いのは独走力。今年に入ってからはほとんどのレースで試走1番時計をマークしているし、レースで先頭に立ってからはほとんど抜かれる事がない。スタート力と独走力。この2つは近年のSG等ビックタイトルを取るのには不可欠な能力である。今はまだ、G1を2つに、G2を1つしか取っていないが、この数字はこれからどんどん増えていくことだろう。そして、近いうちにSGを制すのも間違いないと思われる。オート界に彗星のごとく現れた怪物ルーキーから今後も目が離せない。
永井大介がオートレースの厳しさを見せつけオールスター連覇!
最内枠からスタート飛び出した有吉辰也を、2周回1コーナーで永井が交わしてそのまま押し切った。これは近年のSG優勝戦で良くあるパターンだが、今回はひとつだけ違う展開があった。それは怪物ルーキー青山周平の存在。
スタートは両隣に挟まれ、やや厳しい位置取りになったがそこからが凄かった。西原智昭、中村雅人の船橋28期両者をきれいに交わすと、永井をマークしていた有吉のインに切れ込み2番手を奪取。そこからは永井にプレッシャーをかけまくる。エンジン的には明らかに永井に優っていた。しかし、永井の巧みなコース取りに仕掛けるまではいかず惜しくも準優勝。快挙とはならなかったが、負けてなおポテンシャルの高さを見せつけた。
もちろん優勝した永井は素晴らしかった。どの選手でも常にエンジンを最高潮に仕上げた状態を保つのは難しく、不安を抱えながらレースに臨まなければならないことも多々ある。しかし、永井は完調とは言えない車での戦いをよく心得ている。つまり、SGの勝ち方を知っている。勝利に徹してこそ真のオートレーサー。永井のオートレースに対する真摯な姿勢が、SG10Vという輝かしい記録をもたらしたのだ。これからもドラマティックなレースをたくさん見せてくれる事を期待したい。