
潜在能力の高さを見せ付け、青山周平が地元記念初優勝!
好メンバーでの対決となった黒潮杯優勝戦。制したのは船橋31期青山周平だ。0メートルオープン戦の3枠から飛び出した青山は、後続をどんどん離して独走でのゴールだった。2番手に出た永井大介は青山を追うどころか高橋貢に差され、更に中村雅人と競り合う形になってしまった。
このレースでは青山の強さだけが目立っていた。3枠で好枠とは言えしっかりトップスタートを決めたのは見事だ。まだデビューして2年も経ってない若手が、実績ある選手達を置き去りにして行くのは並み大抵のことではない。青山の強さの一因はそのスタート力にある。2級車の時からそうなのだが、スタートで大出遅れした事がほとんどない。1級車に乗り替わってからは外枠に置かれても先行するシーンがよく見られるようになった。安定したスタート力は記念を取るのに絶対必要な条件である。
更に凄いのは独走力。今年に入ってからはほとんどのレースで試走1番時計をマークしているし、レースで先頭に立ってからはほとんど抜かれる事がない。スタート力と独走力。この2つは近年のSG等ビックタイトルを取るのには不可欠な能力である。今はまだ、G1を2つに、G2を1つしか取っていないが、この数字はこれからどんどん増えていくことだろう。そして、近いうちにSGを制すのも間違いないと思われる。オート界に彗星のごとく現れた怪物ルーキーから今後も目が離せない。
永井大介がオートレースの厳しさを見せつけオールスター連覇!
最内枠からスタート飛び出した有吉辰也を、2周回1コーナーで永井が交わしてそのまま押し切った。これは近年のSG優勝戦で良くあるパターンだが、今回はひとつだけ違う展開があった。それは怪物ルーキー青山周平の存在。
スタートは両隣に挟まれ、やや厳しい位置取りになったがそこからが凄かった。西原智昭、中村雅人の船橋28期両者をきれいに交わすと、永井をマークしていた有吉のインに切れ込み2番手を奪取。そこからは永井にプレッシャーをかけまくる。エンジン的には明らかに永井に優っていた。しかし、永井の巧みなコース取りに仕掛けるまではいかず惜しくも準優勝。快挙とはならなかったが、負けてなおポテンシャルの高さを見せつけた。
もちろん優勝した永井は素晴らしかった。どの選手でも常にエンジンを最高潮に仕上げた状態を保つのは難しく、不安を抱えながらレースに臨まなければならないことも多々ある。しかし、永井は完調とは言えない車での戦いをよく心得ている。つまり、SGの勝ち方を知っている。勝利に徹してこそ真のオートレーサー。永井のオートレースに対する真摯な姿勢が、SG10Vという輝かしい記録をもたらしたのだ。これからもドラマティックなレースをたくさん見せてくれる事を期待したい。