
森且行が圧倒的な走りでキューポラ杯を制す!
試走タイムから他を圧倒していた森且行だが、レースの時間までに降雨。非常に難しいコンディションでのレースになったが、森は落ち着いていた。0ハンで先行した吉田幸司を、10線から先行した深谷輝が1周目のバックストレッチで捲るところで、更に外から森が捲った。その後は後続を引き離す一方。2番手に付けた深谷も、3番手に付けた谷津圭治も全く動きなくゴールを迎えた。実力上位の永井大介は5番手から進めずに苦戦。なんとか4番手に立つのが一杯だった。
このレースで森の勝因は2つあると考えられる。
一つは試走タイム。全メンバーでトップのタイムを叩き出した。レースは雨走路になってしまったから、試走タイムは車券を考える際には参考にならないが、やはり一番時計を出した事は本人の自信に繋がる事だろう。
二つ目は地元走路。雨走路はレース場によって特徴が変わってくる。更に言えば、同じ雨走路でもいろんなタイプの雨走路がある。まさに雨が降ってる最中の雨走路。雨は降ってないが十分濡れてる雨走路。だいぶ水気が引けてきた雨走路。乾きかけて一部だけ濡れてる走路。そして、試走では良走路だったが、レース前に雨が降ってきた時の雨走路。それぞれの雨走路で使えるコースなどがレース場によって変わってくるのだが、川口レース場が地元の森は、その点で経験的なアドバンテージがあったと思われる。
しかしながら、それらを生かしてシッカリ勝ちきった森は素晴らしかった。スタートの切れ味も独走での乗りっぷりも一流選手のそれであった。元々、ポテンシャルの高い選手なので、これからも大舞台での活躍が期待される。
浅香潤が約10年振りに記念制覇!
優勝戦はまず10メートルオープンの3枠から飛び出した久門徹を平田雅崇が交わして先頭に立った。しかし、すぐに浅香が差し込み逃げ態勢に入る。そこからは平田が浅香の逃げにピタリマークする展開で、3番手に付けていた高橋貢も仕掛けどころがない状態で周回を重ねていった。先頭の浅香はそのままゴール。動きがあったのは3番手に付けていた高橋が最終周回で平田を交わした事だけ。
浅香にとっては嬉しい記念優勝となった。ここ何年かは記念タイトルから縁がなかったが、元々ポテンシャルは高い選手で、独走に入るとグングンとペースを上げるタイプだった。エンジンの仕上げには徹底的で、整備にはストイックに取り組む。ある程度エンジンが良くなっても、そこで満足することはなく完全に仕上げるまでは整備の手を緩めない。整備の中でも一番手がかかる全バラ(エンジンをパーツごとに1回バラバラにして組み直す事)を労を惜しまず何度でも繰り返せる整備力は全選手の中でも屈指だ。そういった、オートレースに対する姿勢が、今回の記念制覇に繋がったとも言える。これをキッカケにこれからのGⅠやSG戦線でも大いに活躍が期待される。
当ブログの本命、高橋はマズマズのスタートを決め序盤こそ好位置に付けたが、前を走る2車が重なっていたため厳しい展開となった。1車だけなら多少ムリしてでもインに突っ込んで行けるだろうが、2車となると1車抜いてもその前にも1車いるので強引な突っ込みはできなくなる。それでも最終周回に平田を抜いたのは流石と言える。
北渡瀬充、岩沼靖郎はハンデ重化が響いた形でスタートから遅れてしまったが、準決勝で見せた走りはこれからの奮闘を期待させるモノだし、佐藤裕二、若井友和はエンジンの仕上がり不足と序盤の展開作りがうまく行かなかったが、状況がひとつ変わればいくらでも優勝争いに参加できるだろう。また、スランプからは完全に脱出した平田が、これからどういう走りをしていってくれるかが楽しみになったスターライトチャンピオンシップの優勝戦でもあった。
S級優勝戦は浦田信輔が嬉しいプレミアムカップV2! A級戦は佐藤貴也が決めた!!
S級優勝戦はまさかの展開になった。0ハン3枠から有吉辰也が注文どおりのトップスタートを決めたが、2番手に出た藤岡一樹が1周3コーナーで有吉に接触落車。被害を受けた有吉も大きく後退してしまった。3番手に付けていた浦田信輔がその後の周回をしっかり走りきり、追走する荒尾聡を振り切ってゴール。
アクシデントがあっての優勝だが、その位置を保持していた浦田は見事である。独走も全く不安を感じさせなかった。普段からオートに対して真剣に取り組んでる証と言える。どんなレースでも、常に一生懸命で、展開的に勝てなそうな状況に陥っても、少しでも上の着を狙っていく姿勢にファンから大きな支持を受けている。まさにオートレーサの鏡だ。今度の大舞台でも大いに活躍が期待される。
A級優勝戦は最後の最後まで目が離せない展開だった。
今節スタートが切れていた大木光が先行して、2番手に出た久門徹が終始追走する形。常に久門は大木の隙を窺っている状況で、何度か仕掛ける素振りを見せていたが、入れるまではいかなかった。しかし、最終回3コーナーで久門が渾身の突っ込み。大木を交わしたかに見えたが、3番手に付けていた佐藤貴也がゴール前でチョイ差しを決めて見事に優勝。劇的な結末となった。
佐藤は道中で、試走タイムが出ていた岩田とやり合う展開で、そこで競り勝ち、最後のワンチャンスをモノにした。長らくスランプに入っていたが、3~4節前から状態が上向き、以前の良い走りが戻っていたところで今回の結果は本人も嬉しい事だろう。元々、ポテンシャルは高い選手なので、これからいくらでも活躍できそうだ。
篠原睦が絶妙なコース取りで逃げ切り!
重走路で始まったダブルチャンピオンシップ5日目は、徐々に走路から水気が引けてきたものの、優勝戦でも完全な良走路にはならなかった。不安定な走路を制したのは飯塚26期篠原睦だった。
好スタートで早々逃げ態勢を作った篠原は、すぐ直後に青山周平がピタリマーク追走していたので、後ろをけん制しながらの走りになった。更に、金子大輔が再三インに飛び込んでくる厳しい展開となった。しかし、勝手知ったる地元走路で、コースをしっかり守り通して記念制覇。嬉しい結果となった。直前の一般開催を重走路で優勝していたのが、気持ちに余裕を持たせる形になったことだろう。
青山は終始仕掛けどころを探っていたが、最後まで先頭に立つことはできなかった。それほど篠原のコース取りが上手かったと言うことだが、まだオートの経験が浅いながらあそこまで走れたのは流石だ。これからの活躍に期待しないではいられない。
エンジン的には一番よさそうだった金子は、回りきれなかったとは言え、果敢に攻めていった姿勢には好感が持てる。車券を持っていたオートファンを納得させる走りができていた。荒尾聡は試走からやや精彩を欠いていたが、最後まで諦めない走りをしていたのが印象的だった。これからもオートレースを盛り上げていってくれることだろう。
力強い走りで中村雅人がゴールデンレース連覇!
昨年のスーパースターの落車から長く苦しい期間が続いた中村だが、ついに本来の姿を取り戻した。
0メートルオープンで行われたゴールデンレースの優勝戦は、スタート巧者の荒尾聡が7枠から先行した。1枠から2番手に出た有吉辰也がすかさず交わして逃げ態勢に入る。マズマズのスタートを切った中村が逃げる有吉のインに入るも、有吉がすぐさまやり返した。しかし、競り合いに強い中村が再度差し込んでゴールとなった。
中村はこのところスタートが切れており、序盤で先頭に立ちながら、後ろからやってきた選手にやられてしまうシーンが多かったが、このレースでは違った。いつもの、誰にもやられず、しかし前を行く選手をしっかり捌くスタイルが戻っていた。強い中村が戻ってきた。
当ブログで本命に推した金子大輔は、スタートで前輪を浮かせて1コーナーで後手を踏み、7番手からのレースになってしまった。そこから諦めず鬼の猛追を見せた。1車ずつ冷静に捌いて行ったが、周回が足りず惜しくも3着。悔しいレースとなったが、悪い事だけではない。近況は、調子が上がらず苦しいレースが続いたが、この優勝戦ではいくらかの光明が見られた。これからの巻き返しに期待したい。
有吉、荒尾はエンジンの仕上がり不足で勝ちきれなかったが、相変わらずのスタート力を見せ付けた形。これからもオープン戦では活躍必至だ。エンジンが完全に仕上がれば優勝も十分ありえるので、今後の動向に注目していきたい。