
中村雅人が執念の追い込み!
第38回黒潮杯の優勝戦は試走で波乱があった。4日目の準決で上がり一番時計を出していた平塚雅樹がまさかの試走落車。レースをする前に欠車となってしまった。試走一番時計は木村武之の30。次いで、青山周平と中村雅人が31。永井大介と高橋貢が33。岩崎亮一と荒尾聡が34だった。
スタートは最内の青山が先行。それに、大外から荒尾がカマシ気味に切ってきた。その後ろに中村、永井が付けるかたち。青山は序盤は大きなリードを作る。中村、永井が早々、荒尾を交わし2、3番手に付けた。5周目に入ったあたりから青山のペースが落ち始めた。そこへ、中村が捲りを仕掛け、これがきれいに決まった。永井もすかさず青山のインを狙い2番手浮上。残り2周は一騎打ちだったが、中村が永井の攻めを抑えてゴール。木村も青山を交わし3着に食い込んだ。岩崎、高橋は序盤から最後まで、いいところはなかった。
中村のレース運びのうまさが光った。逃げる青山を無理することなく追う。タイヤを使わず、冷静に状況を見ていた。そして、前を走る青山がタレてくると、ここぞとばかりに仕掛けに行く。しかも、決めるところでは一発で交わす。先頭に立ってからも見事だった。チャージをかけてくる永井を華麗に封じ込んだ。大舞台でのレース経験がなせる業。準決から優勝戦にかけて、エンジンを仕上げる整備力も流石の一言だ。中村は意外にもこれが今年の初優勝。これからもナンバー1勝負服の誇りをかけて、各地区のレース場を賑わすだろう。
浦田信輔が気合の突っ込みでオールスター制覇!
SG第34回オールスターオートレースは飯塚の浦田信輔が制した。人気投票1位の期待に応えての優勝。何より嬉しい勝利だったことだろう。
スタート争いは最内の青山周平が飛び出した。そこへ、2番手スタートの永井大介が1周バックストレッチで素早く差し込み首位を奪取。そのままこの両者で逃げ態勢に入るかに見えたが、そこに待ったをかけたのが浦田信輔。青山、永井の両者をまとめ差しして首位浮上。そこからは追いすがる青山を必死に抑え込むレースだった。青山の再三の攻撃を見事抑え切った。
今シリーズの特徴として、レース後半の順位の変動が少ないことは『優勝戦の直前予想』でも提言していた。誰もが序盤で好位を奪いたい気持ちは一緒だった。トップスタートを切った青山はもちろんの事、2番手スタートから一気の差しを見せた永井、課題としているスタートをこなし3番手には出た桝崎陽介。しかし、序盤で先頭に立ちたい気持ちは浦田が上回った。追い込みが効きづらい状況を熟知しているから、前を走る2車を1車ずつ抜く猶予はあえて持たなかった。誰もが思ったまさかの2車狩り。これが勝利を導いた大きな要因と言える。ハートの強さを見せ付けた。
気持ちだけではどうしょうもない。浦田には小さいコース取りでも、うまく回っていける技術がある。インから抜く時に、一回外に車を振らなくても突っ込んで行ける技量がある。今シリーズの状況に、うまく走り方を変えられる順応性がある。
気温が上がったせいなのか、浜松の走路の特性なのか、新型タイヤの特徴なのか。レース後半の仕掛けは決まらない傾向にあるし、前の車を抜く時に懐を取りに行けない現状がある。そういった状況に、対応できる選手がしばらくは活躍できそうだ。
最後に、浦田には最大級の賛辞を送りたい。基本的にファンからの支えによって開催されるオールスター。その檜舞台で一番良い結果を残せるのは、間違いなく一流である証だ。こういった選手がオートレースの人気を持続させていると言っても過言ではない。
好調の若井友和が平チャンを制す!
平成チャンピオンカップの優勝戦は、前日の天気予報通り雨になった。山陽の雨走路、先に通りたいコースを通ったものが有利になると言われているが、はてさて今回はどうなったか。
単独0ハンの竹中は戦前の予想通り厳しい戦いになった。自分のリズムを掴む前に後続にやられてしまった。岩田、岩見が迷いなく襲い掛かって主導権争いに参加。しかし、序盤の競り合いを制したのは若井だった。好枠を活かして好位置に付けた。そこからは間髪置かない攻め。早めに先頭に立てた。残りの5、6周は同期の岩崎亮一や、岩見が競りかけられていたが、それらを突っぱね1着ゴール。
最近の若井には勝利に対する貪欲さが感じられる。ここ最近の記念レースでの成績が証明している。川口のナンバー1は採点する時期によって代わる代わる変動する。それは同地区で切磋琢磨されている結果なのだから当然とも言える結果だが、圧倒的エースがいてもおかしくない。若井にはその素質があるだけに、今後期待したい選手の一人に挙げられる。
佐藤貴也が雨中の決戦を制す!
前日の天気予報通り、GII川口記念の優勝戦は雨走路で行なわれた。制したのは浜松の佐藤貴也。鋭いイン攻めで栄冠を手にした。
試走タイムは金子大輔の51がトップ。次いで、佐藤と若井友和が52。4番手が鈴木清の56で、57が岡部聡と高橋貢。小林瑞季と山際真介は60と厳しい数字。
0ハンの小林がスタートをしっかり残し逃げ態勢に入った。しかし、そこまでペースは上がらない。インコースを主体に佐藤が攻め上げ、早い段階で首位に立った。対して、金子はアウトコースを主体に攻め上げ、先頭に立った佐藤にピタリと続いた。そこからは二人のマッチレース。後ろに付けた金子が佐藤に何度もプレッシャーをかける。抜けそうなタイミングは何度かあったが、佐藤がコースを外さず抑え切った。辛抱の勝利と言える。3着には、若井を逆転し、インコースを我慢して走った鈴木が食い込んだ。岡部はいいところがなく、高橋も1周2コーナーでの滑りが響いたかたち。
このレースの佐藤は、本来の走りができていた。思い切り良く、目一杯に乗っているときの佐藤は、だいたい良い成績を残せる。デビュー直後からそれなりの活躍を見せていたが、ここ1~2年で飛躍的な成長を見せた。記念レースを獲るようになった。あとはSGの大舞台で最高の結果を出すだけだ。
木村武之がプレミアムカップ初制覇!
山陽で行なわれていたプレミアムカップの優勝戦は、浜松の木村武之が見事に逃げ切り優勝。自身にとっても初めてのプレミアムカップ制覇になった。
試走タイムは金子大輔が一番の29。次いで、鈴木圭一郎が31。木村は岩崎亮一と同じで32と、やや劣勢だった。33が中村雅人、田中茂、青山周平で、浦田信輔は35だった。
スタートは最内の木村が先行。それに浦田が乗って行く形。結果として、この2人がそのままゴールした。試走一番時計の金子はスタートで遅れを取り苦しい展開になった。前を走る岩崎と中村がピタリと重なっていたので、3番手に上がるチャンスは少なかった。しかし、最終周でまさかの2車狩り。なんとか3着で入線し、掲示板には載ることができた。田中、青山、鈴木は終始後方のままで、上位争いに参加できる状態ではなかった。
試走タイムが良くなかった木村だが、流石の走りで栄冠を手にした。枠は最内だし、試走も良くないのでスタート先行は絶対条件だった。なんとスタートタイミング01と、フライングぎりぎりの切れだった。勝負に賭ける意気込みが感じられる。大舞台での豊富な経験が、落ち着いてスタート切れた要因の一つと言えよう。その後は、コースを外さず逃げ切った。中盤までは浦田にもチャンスがありそうだったが、完璧な走りでゴールまで押し切れた。