金子大輔が地元GI初制覇!
浜松のGI第57回秋のスピード王決定戦は、木村武之との競り合いを制して金子が優勝。今期からナンバー1勝負服になり、その重責に打ち勝っての価値ある勝利。優勝インタビューでは人目もはばからず号泣した。いつもクールな金子には珍しいシーンだった。
0メートルオープンのスタート争いは、2枠から木村が飛び出した。金子も2番手に出ると、序盤から一騎打ちの状態に。木村は後ろに金子の気配を感じたのか、早々とインを締めて走る作戦に。金子が何度も仕掛ける仕草を見せる。インから入れないとみたのか、今度は車を外に持ち出した。何度目かのアタックでついに捲り切る。その後は後続を離す一方のブッチ切りレース。上がりも3・368と文句のないタイムだった。
人気の一角に推された高橋貢は、スタートで遅れて5番手発進。厳しい展開になったが、そこから巻き返し最後には3着で入線した。久門徹も食らい付いたが4着一杯。西原智昭、笠木美孝、五十嵐一夫、渡辺篤にいたっては見せ場を作れなかった。
金子は今期から全国ランク1位になり、初めての地元記念レース。本当にナンバー1に相応しい選手なのか、ファンの間からの疑念も多少はあっただろう。そのプレッシャーはかなりのモノだったと推測される。下手なレースはできない。2日目までは苦しいレース内容だった。しかし、そこから見事、車を立て直し、優勝戦では最高のパフォーマンスを見せてくれた。ナンバー1である事をもう誰も疑わない。これからも強い「金子」を見せ続けて欲しい。
闇夜の熱戦を浜野淳が制す!
SG第19回オートレースグランプリは良走路で行われた。試走一番時計は5枠の永井大介で3.29。次いで、浜野淳、浦田信輔、鈴木圭一郎が30。青山周平と中村雅人が31。地元の高橋貢は32。荒尾聡が34と、少し数字を落とした。
さて、0メートルオープンのスタート争いだが、飛び出したのは青山。しかし、間髪いれずに高橋が交わして行く。更に、早い段階で浜野が捌いて首位へ。結果的に浜野はそのまま逃げ切りゴール。
2番手以下の争いが熾烈だった。入れ替わり立ち替わりの激戦。早い周回で永井が後退する。そして、高橋や青山を浦田が捌いて2番手に立つ。レース中盤は永井が猛烈に巻き返してくる。浦田をも交わし、浜野と一対一へ。何度となく仕掛けるが、浜野のインに入りきれない。青旗を前にして衝撃の出来事が起こる。2番手を走っていた永井がまさかの落車。浦田が2番手に上がり、青山が3番手へ。そして、ゴール。
浜野は戦前の予想通り素晴らしい走りを見せた。もっとブッチ切りで勝つかと思われたが、さすがにそこはSGの優勝戦。周りの車もしっかり仕上げてきていた。逃げ切った浜野は安心して走れる状態ではなかった。レース後半ではタイヤが滑り出し、軌道を乱すようになる。しかし、永井の攻めに対し冷静に対処。取り乱すことなく走り切った。落ち着いたレース運びは浜野の真骨頂。車を今の状態で保てれば、更にタイトルを積み上げていくと思われる。
執念の走りで浜野淳がタイトル死守!
山陽のGIIライジングカップは、地元の浜野淳が速攻を決め後続を振り切った。ブッチ切りの圧勝とはいかなかったが、巧腕の持ち主らしくクレバーな走りを披露した。
スタートは戦前の予想通り早船歩が先行。早々と逃げ態勢を作るかに見えたが、スタートで2番手に出た佐々木啓が1周3コーナーで早船を差し込む。しかし、その直後の展開が圧巻だった。3番手に付けていた浜野が2周1コーナーで早船、佐々木をまとめ差し。一気に先頭に踊り出た。そこからは7周回を先頭で走りきってゴール。その間、ずっと佐々木が隙を窺っていた。更に3番手では浦田が浮上の機会を窺っていた。しかし、浜野はミスなく乗り切った。
4番手以下は大きな動きがなかった。実力者・永井大介も序盤で好位を奪えず苦しい戦いになった。山崎進や西村龍太郎はスタート行けずに苦戦。谷津圭治は道中で踏ん張りを見せ、4着に食い込んだ。
このレースでは改めて浜野の勝負強さを思い知らされた。大勝負では、そのレースのカギとなるポイントがある。今回は2周1コーナーだった。前を走る2車のインに入れると見るや否や、浜野は迷わず突っ込んで行った。この状況判断能力と思い切りの良さが浜野の持ち味。勝負強さがあると言われる所以だ。2001年、2002年あたりが浜野のピークだった。そこから雌伏の時を経て、今再び立ち上がろうとしている。第2のピークが訪れかけている。次のSGオートレースグランプリで、それを証明して欲しい。
高橋貢がブッチ切りのゴール!
懸念されていた優勝戦の天候は、不安的中とばかりに雨走路になってしまった。試走タイムは永井大介が一番時計の3・53。次いで、高橋貢と鈴木圭一郎が55。早川清太郎が57。荒尾聡が58。前田淳と佐藤貴也が62。渋沢憲司が69と、雨走路とは言え試走タイムに大きな開きがあった。
0メートルオープンのスタートは鈴木が行きかけた。しかし、コーナーでは最内の高橋が突っぱねて逃げ態勢を作る。鈴木は永井に競りかけられ厳しい展開に。そして、永井が鈴木を交わし2番手に上がる。この時、高橋は大きなリードを作っている。そこからも後続に付け入る隙を全く与えない完璧な走りを披露。結果としてブッチ切りの圧勝だった。残りの周回は全く入れ替わりのないレース内容。淡々とレースが運ばれていった。
オートレース業界に身を置いていると各方面から声が聞こてくえる。「高橋貢はもう終わった」。「貢は衰えた」。「もう歳でしょ」。確かに、ここ1、2年の成績を見るとやや低調と思われる節もある。圧倒的な走りで勝つレースが少なくなってはいる。
高橋はこれまで軽いスランプはいくらでもあった。その度に、「いよいろ貢も...」とファンの間では、これまでオート界で頂点を極めた選手の凋落ぶりと重ねて見る傾向があった。しかし、その度に高橋は立ち上がった。何度でも蘇った。今回のムーンライトがいいケース。持てる技術、培ってきた経験、レース直前まで調整を繰り返す惜しみない努力。その全てを出し、己の存在感を示し切れた。
中村雅人がダイヤモンドレースを制す!
GI第58回ダイヤモンドレースの優勝戦は濡れ走路で行われた。制したのは船橋の中村雅人。早い段階で抜け出し、そのまま押し切った。
スタート争いは、2枠から荒尾聡が先行するかに見えたが3枠の久門徹がトップスタートを切った。スタートは3番手に出た中村が早々とマークする形。そして、2周回に中村が久門を差すと、そこからは落ち着いた走りで見事に逃げ切った。
インコースでは荒尾と田中茂が競り合う。外のコースでは浦田信輔が久門を交わす動き。浦田は中村を追いかけたが、差は縮まらなかった。それでも雨走路で準優勝なら、浦田にとって今後に繋がる走り。苦手意識も多少は克服されただろう。試走一番時計の金子大輔は序盤の展開が響いた。8番手スタートでは苦しくなる。しかし、そこから諦めずに追い上げ、3着に食い込んだあたりは評価できる。次期全国ランク1位の意地を見せた。篠原睦と早川清太郎は見せ場なく終わってしまった。篠原はここ最近、雨走路で以前のような走りができていない。原因は不明だが、今後も気がかりだ。
中村は数年前から完全に雨巧者になっている。もちろん晴れでも強烈な走りはできる。しかし、雨でこれだけの連対率を挙げているのだから、雨巧者の部類にも位置されるだろう。ちょっと前は15連勝の新記録を樹立。今回はGI制覇。今のオート界の流れは中村に来ている。ここ一番ではスタートも切れるので、総合戦力は大幅に上昇している。オートレースの醍醐味を体現してくれる中村の走りは、人気低迷のオートレース復活のカギになるハズ。