
青山周平が年内同一GI連覇達成!
飯塚の第60回GI開設記念レースは、伊勢崎の青山周平が制した。これで今年は飯塚でGI3つ、SG1つを制し、青山にとってはまさにドル箱バンクとなった。
優勝戦の日は朝から走路が不安定だった。1Rは斑走路で始まり、途中の降雨で一度は重走路になったが、11Rぐらいからは再び走路の一部が乾き、優勝戦の時間帯は難しいコンディションでの戦いになった。
スタート先行したのは最内の桝崎陽介。これに2枠の西原智昭、3枠の松尾啓史が続き上位集団を形成。青山は金子大輔の突破に多少時間がかかったが、4番手に 立ってからは冷静な追いアシを見せた。試走一番時計の松尾が西原を交わし2番手に立つ。その後、松尾は桝崎の攻略にかかっていたが、先に青山が割り込んで行き、そのままゴール。松尾は最終的に桝崎を抜けず3着入線。鐘ヶ江将平、池田政和、永井大介、金子大輔は見せ場を作れなかった。
それにしても青山は強かった。どこのコースを通るのが良いか分かりにくい走路状況で、青山の車だけが確実に進んでいた。内枠の利とスタート力で作った桝崎の好展開を追って行けたのは青山だけだった。今回は青山の臨機応変さ、柔軟性の高さ、その実行力を見せ付けられた。1流レーサーとしての資質を一つずつ身に付けている青山。これからもレースごとに、ひと回り大きくなっていく青山が見られそうだ。
鈴木圭一郎がSG日本選手権で完全優勝を達成!
SG第48回日本選手権オートレースは浜松の新鋭・鈴木圭一郎が制した。鈴木は10月の全日本選抜に続くSG連覇。更に、今シリーズ全て1着の完全V。優勝戦でも落ち着いた走りを見せていた。
スタートは青山周平が先行で逃げ態勢に入った。鈴木は2番手に出ると、序盤で青山のインに切り込む。コーナーで流れることもなく綺麗に回りきった。その後は、徐々に後続を引き離しにかかり、そのままゴール。上がり3・355の好タイムで快勝した。
後続は2番手で粘っていた青山を高橋貢が少しずつ差を詰め、青旗過ぎにイン突っ込む。これ が功を奏し2着をもぎ取った。青山は最終3コーナーで逆転を狙いかけたが、入るまではいかず3着入線。4番手以下は、ほとんど動きがなく浦田信輔、金子大輔、中村雅人、早川清太郎、木村武之の順でゴールした。
鈴木は今年に入り、大きな進化を遂げた。デビュー時からセンスの高い走りを披露していたが、記念タイトルには縁がなかった。1級車に乗り替わってからの1年間も、記念の優出はあるものの優勝までは行かなかった。それが今年に入り、3月に川口のGI開設記念グランプリを制すると、その後も浜松のゴールデンレース、伊勢崎のムーンライトとGIをポンポンと獲るようになり、10月にはSGも初制覇。まさに 飛ぶ鳥を落とす勢いで臨んだ今大会。周りからの重圧にも耐えて、完全優勝という最高の結果を残した。
今シリーズは優勝戦の2番手スタート以外は全て先行。スタート力の高さを見せ付けた。スピードの面でも驚異的なタイムが示すとおり一流の数字を残している。優勝戦では青山を綺麗に捌くなど、人を抜く腕も申し分ない。ここにオートレース界の勢力図を一変させる男が誕生した。
新井恵匠が2度目のGII制覇!
山陽オートで行われた第27回GII若獅子杯争奪戦は、伊勢崎の新井恵匠が猛烈な追い込みを見せて勝利。これで一昨年の同大会に続き2度目の制覇となった。
優勝戦は、0ハンの山本智大がスタートを残し逃げ態勢に入った。10線からは大外の緒方浩一がカマシを決める。逃げる山本を早い段階で緒方が捕え、ペース上げての独走態勢を築いた。このまま逃げ切るかに思われたが、この緒方を追ってくる選手が一人。新井恵匠だった。新井は序盤で好位を奪うと、栗原俊介と森本優佑を落ち着いて捌き、緒方を追って2番手に付けた時には残り4周。ここから徐々に差を詰めて行き、青旗過ぎでインに突っ込む。これが綺麗に決まり、そのままゴール。
2着には緒方が残り、3着は森本を交わした栗原が山本も交わして粘り込んだ。実力者・早川清太郎はスタートこそマズマズ良かったが、道中の伸びを欠いて後退。最終的には8着となってしまった。新鋭・吉原恭佑とインファイター・岩科鮮太は見せ場を作ることができなかった。
新井は今年4月、船橋から伊勢崎の所属になった。船橋時代から整備、練習ともに熱心で、常に高い向上心を持ってオートレースに取り組んでいた。伊勢崎に移籍になってからも、それまでと変わらずポジティブな姿勢でオートレースと向き合っている。そして、何よりもファンを大切にする気持ちを強く持っている。これからのオート界に必要不可欠な選手の一人だ。更なる飛躍に期待したい。
ニューヒーロー誕生!
川口で行われた第30回SG全日本選抜オートレースは、浜松の32期・鈴木圭一郎が制した。鈴木はこれがSG初制覇。更に、オートレース界の記録を2つ塗り替えた。SG最年少優勝と、デビュー最速SG制覇。まさに規格外のレーサーが、ここに現れた。
優勝戦は3枠の青山周平がトップスタート。鈴木は2番手に出て、青山をマーク追走。3番手は永井大介、4番手に中村雅人が続く形。序盤から中盤にかけては逃げる青山に鈴木が食らい付いていく態勢。3番手以下は徐々に離されていった。先頭を走っていた青山だが、それほどペースは上がらず、すぐ後ろでプレッシャーをかける鈴木に対しコースを守るのが精一杯。しかし、鈴木も青山のインに仕掛けるタイミングがなかなか見つからない。そして、最後にドラマが待っていた。最終周回の4コーナーで鈴木が青山のナカに車を向ける。これが功を奏し、ゴール線の前でチョイ差しが決まった。
3番手を走っていた永井は、レース後半にかけて前2車との差を詰めていけたが、最終的には4着入線。3着には、スタート8番手からのレースになった高橋貢が猛追を見せて食い込んだ。中村は4番手スタートから一つ着順を落とし5着。早川清太郎、高橋義弘、松尾啓史は見せ場を作ることができなかった。
それにしても鈴木は強かった。今年に入り、これまでGIを3つ制している。当然、SGでも通用する走りを見せていたが、タイトル奪取までには至ってなかった。今回、初制覇できた要因は自信の増幅。記念レースの優勝戦の出走回数が増えるごとに落ち着いて乗れるようになってきた。今回の優勝戦も、最後まで焦ることなく、交わすタイミングを誤らなかった。また、鈴木はトップスタートからの逃げ切りタイプではなく、道中も冷静に追い込めるオートレースの醍醐味を味わわせてくれるタイプ。これからもファンの心を熱くさせるレースをたくさん見せてもらいたい。
32期の新人・吉原恭佑が大金星!
飯塚で行われたGIプレミアムカップの優勝戦は、伊勢崎の新鋭・吉原恭佑が制した。重走路の難コンディションを、吉原が我慢のレースで乗り切った。これで吉原はタイトルホルダーの仲間入り。
優勝戦は、事前の予報通り重走路で行われた。スタートを決めたのは地元の荒尾聡。最初の2周は各選手がコース取りに迷う形で、入れ替わりが激しかった。そこから、だんだんと、各々のコース取りが決まり、吉原はインコース徹底。荒尾と高橋貢は真ん中から外めのコース取りで競り合っていた。4番手以下は大きく離されて、早々と優勝争いからは離脱していった。
高橋と荒尾の競り合いは、最終的に高橋の勝ち。マイペースで走る荒尾の一瞬の隙を突いてインに飛び込んだ高橋に軍配が上がった。ここからは、高橋と吉原のマッチレース。直線の後半で伸び返す高橋に対し、吉原は突っ込みで差を詰めていく。最終周回までどちらが勝つのかは分からなかった。結果としては吉原が真っ先にゴール線を切った。
これで吉原は嬉しい記念初優勝。しかし、たまたま今回は優勝できたわけではない。ここに来るまでにはしっかりとした過程があった。吉原は常に勝利を目指して精進している。走法、乗る方に関してはかなりストイックに取り組んでいる感じが受けられる。どんなレースも負けたくはない気持ちで臨んでいる。この向上心は一流オートレーサーに不可欠な資質。まだまだ成長の余地はある。あると言うかありすぎる。この優勝戦のレースで、今後のオートレース業界に楽しみを与えてくれる選手になった。