浜野淳が圧倒的な走りでキューポラV!
川口のGI 第39回キューポラ杯は山陽の浜野淳が制した。序盤の展開は良くなかったが、道中はまるで異次元の走り。終わってみればブッチ切りの優勝だった。
試走タイムも一番時計の36。次いで永井大介が38、池田政和が39、高橋義弘が40、佐藤裕二と木村武之が41、中野憲人が42、岡部聡が43だった。スタートは高橋の先行。それに永井が乗って出る形。しかし、すぐに木村が永井を交わし2番手に付けた。浜野は6番手くらいからのレースになった。
序盤から高橋がマイペースで逃げていた。木村や永井が中団争いをしていたが、一人だけ気持ち良さそうに追い上げて行く車は浜野。自信を持って1車ずつ交わし、番手を上げていく。2番手に立ってからも余裕はたっぷり。落ち着いて高橋を交わすと、そこからは一人旅。周回ごとに後ろとの差を広げて行き、ゴールする頃にはブッチ切り状態になっていた。まさに圧倒的な内容。
ここ一番での勝負強さが発揮された。スタートで好展開を作れなかった瞬間は、多少なりとも焦るものだが浜野は落ち着いていた。冷静に攻めることができた。エンジンの手応えに自信があったのだろう。また、その状態の車を落ち着いて操縦できる技術も流石の一言。センスは全く衰えていない。これからの大舞台でも、今回と同じくらい車が仕上れば、記念タイトルを積み重ねていくことも十分考えられる。
高橋も見せ場を作った。初日からずっと良かったエンジンを優勝戦でも保てていた。そうそうたるメンバーを相手にトップスタートも切れた。猛追してきた永井を微差で振り切ることもできた。今後に楽しみを残してくれた。
高橋貢・捲土重来!
伊勢崎ナイターGII・稲妻賞は地元の高橋貢が制した。スタート速攻からの押し切り。その存在感を見せ付けた。
0ハン鈴木幸治はしっかりスタートを切ったものの、自分のリズムを掴む前に後続にやられてしまった。10線のスタートは最内の桝崎陽介が外枠勢を張り込み先行。しかし、10線から2番手に出た高橋が早々と交わす。いきなり先頭に立った高橋の逃走劇が始まる。いつもの展開ならブッチきりでのゴールとなるところ。今回は久しぶりのレースだったせいかペースはそこまで上がらない。むしろ、離されず追走していた桝崎の方がエンジン的には強めだった。再三にわたりイン差しを試みるが、入りきれず。高橋が腕一本で抑え込んだ。
高橋のレース運びは流石の一言。勝ち方を知っている王者の走りだ。状況に合わせてコース取りを選んでくる。エンジンが良ければ、大きなコース取りでペースを上げる。逆に、手応えが悪ければ抜かれない走りをするだけ。これは経験のなせる業。貫禄勝ちと言っていいだろう。
見せ場を作ったのは平田。序盤の位置取りは決して良くなかった。しかし、そこから追い込みを見せ、3着に食い込む健闘っぷり。展開が良ければ優勝争いに参加できる走りだった。これから動向に注目したい。
荒尾聡が地元タイトルを死守!
GIIオーバルチャンピオンカップの優勝戦は、地元27期荒尾聡が制した。試走一番時計に応える堂々たる走り。久しぶりに存在感を示してくれた。
先述の通り試走は荒尾が一番時計の30だった。次いで、永井大介と鈴木圭一郎が31。桝崎陽介と大木光が32。中尾貴志が34。森本優佑が35。平塚雅樹が36だった。
レース展開は極めて簡潔。と言うより1周目に集約されていた。まず0ハンの森本はしっかり残した。10線からは中尾がややへこみ、平塚が先行した。1周バックストレッチでは森本と平塚が重なる形。そこを、鈴木がまとめ差し敢行。2車を抜き去ったが、立ち上がりで少し流れてしまう。その隙を見逃さなかったのがスタートで好位に付けていた荒尾だ。ハラんだ鈴木のインに入り首位を奪取。そこからは一人旅だった。中盤までは鈴木も食らいついていたが、終盤になると差が広がってきた。最後はセーフティリードを保ったままゴール。2着には鈴木。3着は早い段階で3番手に付けていたものの、そこから差を詰められなかった永井が入った。中団から後ろの方もあまり変動のない展開だった。
荒尾は久々の記念V。去年くらいから急激に成績が悪くなっていた。それでも一般開催では優勝できる動きはあった。それが今回、地元の記念で優勝。本人にとっても嬉しかったことだろう。勝ち方はまさに荒尾らしかった。武器のスタートで好位置に付けると、チャンスどころでは迷いなく突っ込み首位に浮上。そこからは独走でペースを上げる展開。しかし、去年の荒尾はこれができていなかった。スタートも行ききれず、先頭に行ったとしてもペースが上がらずイン抑えるだけのレース。これでは記念で勝つのは難しい。ところが今回の荒尾は違った。先頭に立ってからペースを上げる走りができていた。
デビューしてすぐトップクラスにのし上がり、常に最前線で活躍していた荒尾。軽いスランプはあったが、これを機に再び快進撃を見せてもらいたい。
金子大輔がプレミアムカップ初制覇!
山陽で行われたプレミアムカップの優勝戦は、浜松の金子大輔が制した。意外にも金子にとってこれが初めてのプレミアムV。だが近年、更なる成長を見せており、次々と結果を残している。
試走タイムは田村治郎が一番時計の31。次いで、金子と青山周平が32。木村武之と前田淳、新井恵匠が34。伊藤信夫と岡部聡が38とだいぶ劣勢。スタートは最内の金子の出だしが良かったが、1コーナーを先に回ったのは青山だった。
そこからは青山がペースを上げるかに見えた。しかし、3番手に付けた木村の攻めを抑えた金子が、早い段階で仕掛けていく。これが綺麗に決まり首位を奪取。その後は青山に全く隙を見せず、ブッチ切りの1着ゴール。持っている能力を全て出し切っての会心の走り。今後、オート界の勢力図を変えるかのような内容だった。金子の強みは、レース運びの巧さ。状況判断力が高いのだろう。レース前、スタート後にかけてどのような行動が好成績に結びつくかを知っている。そして、それに最適な動作が取れる。気合タイプとはまた違ったレーサーだ。これからどのようなレースを見せてくれるのか楽しみだ。
2着の青山は悔しかっただろうが、一時期のスランプを考えれば今後に繋がる走りだった。プレミアム準優勝は誇れない結果ではない。もう少し細かいところの修正ができれば、再び快進撃が始まるだろう。また、3着だった田村も今後が楽しみ。ここ最近の大きなレースで、他を圧倒するエンジンを作ってきている。レース経験を積んでくれば、大化けする可能性を感じさせる。
青山周平が今年初の記念V!
船橋のGIIチャレンジカップの優勝戦は青山周平が制した。3枠からトップスタートを決めると、そのまま後続を振り切りゴール。その快速ぶりを見せ付けた。
試走は3・28の一番時計。この時期にしてはかなりの好タイムだ。次いで、一つずつタイムが悪くなっていき浜野淳、浦田信輔、新井恵匠、中村雅人、金子大輔、永井大介、西村龍太郎と続いた。注目のスタートは青山周平の先行。それに浦田が続いて行った。
青山は逃げ切り。後ろでは浦田を浜野が捌いて2番手奪取。その後は浜野が青山に猛プレッシャーをかけていった。何度かイン覗きかけるが入り切れず、最後まで先頭に立つことはなかった。注目の中村や永井はエンジン不足の上、スタートも行ききれず終始、中団から後方のままだった。むしろ、8枠ながら新井の健闘が目立った。
ひと頃の快進撃の時期を考えると、これが青山の今年記念初Vなのは意外とも思える。確かに、ここ数ヶ月は軽いスランプに入っていた。スタートが行けない。行っても後半タレてくる。など、以前からしたら考えられない走りが続いていた。ただ、数節前からだいぶ結果が出るようにはなっていた。今回の優勝も、後半の周回では浜野の攻めに脅かされていたし、完調時の走りではないかも知れないが、これを機にGI、SGでも再び快進撃を見せてもらいたい。この優勝が復活の狼煙になることを祈っている。
最後に、今のオート界を引っ張っていっている選手でも、エンジンが仕上らないと記念の優勝戦などでは厳しい戦いを強いられる。今回は、1着から4着までは試走タイム順で入線した。やはり、試走タイムの重要性を認識させらた優勝戦でもあった。