荒尾聡が速攻を決めスピード王の座に!
山陽の第50回GIスピード王決定戦の優勝戦は、荒尾聡が鮮やかな速攻を決めて制した。試走は荒尾が一番時計の3・28。次いで、金子大輔と池田政和、岡部聡が30。西村龍太郎と佐藤貴也が32。竹谷隆が34。藤岡一樹が35だった。
スタート争いは最内の藤岡がダッシュを決め飛び出したかに見えた。しかし、1周1から2コーナーで、すぐさま荒尾が捲って行く。金子も荒尾のスタートに乗って出て、悪くない序盤戦の位置取り。金子も早々と藤岡を交わした。荒尾は先頭に立ってから快速を発揮。2番手に位置した金子を寄せ付けないどころか、引き離す走りを見せた。結果的に、荒尾が速攻を決め、独走でのブッチ切り。藤岡は金子に食らい付き、逆転しそうな動きはあったが、最後まで抜ききれず3着入線。当ブログ本命の池田は、スタートで好位置を奪えず終始後方のままだった。佐藤も見せ場を作るまで至らなかった。
一時期の勢いを欠いている荒尾だが、ここにきてまた存在感を示した。このメンバーを相手に、10メートルオープンの7枠から見せたスタートは流石の一言。0メートルオープンなら更に大きな武器になる。年末には川口でスーパースターが待っている。今回の優勝は大いに弾みになるハズ。トライアル戦の初日から、その動向には目が離せない。
久門徹が4年振りにGI制覇!
伊勢崎で行われた第39回シルクカップ争奪戦は、飯塚の久門徹が魂の走りで制した。毎レース善戦は多いが、最終的な結果に結びつきにくかった久門。久しぶりにタイトルを奪取し、本人も思うところがあっただろう。
良走路で行われた優勝戦。試走タイム一番時計は、久門と岡部聡、早川清太郎、篠原睦の30。次いで、三浦康平、池田政和の31。永井大介は32。岡松忠が34とやや大きい数字。
スタートは最内から岡松が飛び出す。しかし、1周バックストレッチで三浦が早々と交わす。独走力ある三浦が逃げ態勢を築くかと思われたが、久門が早い段階で差し込む。そこからの久門は神経をすり減らすレース。タイヤを滑らせないようにしながら、抜かれないコースを走り切る。すぐ後ろでは池田がピタリ追走。そして、再三にわたる果敢なアタック。その全てを久門が封じ切り、先頭を守ってのゴール。ゴール直前ではチョイ差しを警戒して周りを確認。池田がそのまま2着入線。岡部が3着に食い込み、実力者・永井は序盤で好位を奪えず後方のまま。篠原や早川もいいところがなかった。
選手としてはかなり早熟と言われた久門。デビュー翌年にはGIIを制し、その2年後に再びGIIを制す。そして、デビューして4年後には最高グレードであるSGを制覇。この時はまさに破竹の勢いだった。その2年後には、再びSGを獲った。しかし、その後はスランプ。記念レースで優勝戦まで駒を進めることはあっても、優勝争いにまで参加することは少なくなった。2011年に浜松のゴールデンを制した時は、復活を予感させたが再び低迷。そして、ここにきてまた結果を残した。
久門は早熟ではあったが、それだけで終わるわけではない。むしろ、不死鳥に近いイメージ。調子の悪い期間が長くなろうとも、何度でもよみがえる。何度でも立ち上がる。何度でも魅せ続ける。
田村治郎が記念タイトル初制覇!
15日に行われた山陽GII若獅子杯の優勝戦は、伊勢崎の田村治郎が制した。走りにくそうな走路で、落ち着いた走りを見せた。試走タイムからしてエンジンは良さそうだったが、それを100パーセント活かした冷静な乗りっぷりだった。
ハンデ戦のレース展開は、序盤に大月渉を交わした広瀬勝光が逃げ態勢に入る。20線からは好スタートを切った松本やすしだったが、1周3コーナーで流れてしまう。広瀬の後ろでは平塚雅樹が隙を窺いながら追走。その後ろでは青木治親が控えていた。田村は慌てることなく、青木と平塚を攻略。2番手に立つと、最終周で広瀬のインに突っ込み首位を奪取。そのままゴールとなった。青山周平は5番手で厳しい戦いを強いられていた。最終周に青木、平塚を突破すると広瀬を交わす余裕まではなく3着一杯。
田村はここ一年で大きな成長を見せた。SGの大舞台でも優勝戦まで駒を進めるようになった。その優勝戦でも上位着を取れるようになった。元々、スピードにはソコソコの定評があった。それに加えてスタートが良くなってきた。更に、道中での捌きも良くなってきている。年末にはSS王座トライアルに出場する。SG未冠組の中で、SG初制覇に最も近いのは青山だと思っていた。そこに鈴木圭一郎が加わってきた。ところが、ここへきて田村が堂々と名乗りを挙げてきた。オートレースの楽しみがまた一つ増えた。
例年、若獅子杯は通常のレースとは違うアグレッシブさを感じさせてくれる。GIやSGなど、優勝戦に進出する顔ぶれがいつも同じな記念より多くの魅力がある。GIIは企画の面で変化を加えることができる大会。若手重視の若獅子杯もいい。それ以外の柔軟性に富んだ大会が増えると、もっとオートレースの将来性が広がるのではないかと思っている。
永井大介が日本選手権4度目のV!
川口で行われたSG日本選手権は、船橋所属の永井大介がパワーのある走りでブッチ切った。永井にとっては今年初めてのSGV。胸にこみ上げてくるモノもあっただろう。
最内の荒尾聡が注文通りのスタートを決め主導権を握る。マズマズのスタートを切った鈴木圭一郎が、1周バックストレッチで中団をすり抜け2番手に立つ。しかし、永井がすかさず捌き、鈴木に代わり2番手に。鈴木はその後、すぐに永井を差し返す動きを見せるが入りきれず。むしろ、後ろを走っていた高橋貢に交わされてしまう。
逃げる荒尾を永井が追う展開。少しずつ差が詰まって行く。5周回2コーナーで、荒尾が軌道を乱す。立ち上がりでやや流れてしまう。そこを永井が見逃さずイン入り込む。これが功を奏し永井は先頭に立つ。ここからは独壇場。永井が2番手以下を引き離す一方の横綱相撲。脅威の上がりタイムで圧勝した。2着には、高橋の猛追を振り切った荒尾が残り、4着には鈴木が粘った。佐藤貴也、中村雅人、若井友和は見せ場もなく終始後方のままだった。
今節は永井の走りが光っていた。予選中から気合の入ったレース運びを見せていた。エンジンも納得いく状態になっていたのだろう。永井らしい力強い走りができていた。
永井は船橋支部長として、レース以外にもいろいろと仕事がある。時間を割かれ、体力を削がれ、精神力を擦り減らされる。そのような厳しい状況にも打ち負けず、SG最高峰の舞台で結果を残すのは流石の一言。レースを含め、これからもオートレースを引っ張って行く存在であり続けてもらいたい。
岩見貴史が押し切りゴール!
やや強い風が吹いていた優勝戦の時間帯。試走タイム一番は鈴木圭一郎と永井大介の29。次いで、青山周平と伊藤信夫が30。金子大輔が31。岩見貴史が33。谷津圭治が再試走で36。最後に西川頼臣が38。
さて、スタート争い。3号車の岩見が西川を叩いて逃げ態勢。谷津はややへこんで、伊藤が続く。青山が鈴木を抑えて出て、永井と金子は7、8番手からのレース。
その後は、逃げてインを抑える岩見に伊藤が再三にわたりプレッシャーをかける。何度もイン覗いたが、岩見が好ブロックで封じ込む。結果的にはそのままゴール。3番手には青山が付けていたが永井が捌く。更に、鈴木も青山を交わして4番手へ。後ろの方ではあまり態勢の変化がなかった。
岩見は上がり3・363の好タイム。地元の一般開催に続いて連続優勝。武器のスタート力をしっかり発揮し、好展開に持ち込むあたりは流石。更に、特筆すべきは岩見のブロック力。インを狙われかけても抑え込める技術がある。強豪を相手にしても内枠に置かれることが多いだろうから、これからも記念レースでは注目したい存在。
伊藤にとっては悔しいレースだっただろう。エンジン的には岩見より少し強めに見えた。あと少し強引さがあれば突っ込み切れていたかもしれない。それでも永井に付け入る隙を与えぬスピードを証明することができた。上がりタイム歴代ナンバー1の存在感は示した。優勝争いに参加できなかった永井、鈴木、青山も3番手争いで良い走りを見せることができた。レースとしては見応えあるモノだった。