10月10日、「南部杯」と「絆カップ」のコラボレーションは大盛況で幕が閉じた。岩手競馬のGⅠファンファーレが流れた瞬間、ゾクッと心振るえた。そして最終レース「絆カップ」がターフビジョンでレースを観戦。大きな声を上げて"イサオッ"(マイネルプロートス)と叫び、残念ながら沈没してしまったが、歴史的なときに立ち会えて光栄に思う。しかし、つらい出来事もあった。
"岩手期待の☆"ロックハンドスターは芝とダートの切れ目でジャンプ。バランスを崩して上腕骨骨折。あとからパトロールフィルムを見たら、3本脚で3コーナー近くまで走り続けていた。これがロックハンドスターのロックハンドスターたるゆえん。冥福を祈るほかはない。
15日メイン(発走15時40分)は「高野長英記念館レース」(B1二組・B2一組混合 盛岡ダート1600m)。有力馬はストリートダンス、バラディー、バルク、クォークの4頭に絞ることができるが、序列が難しい。ほぼ実力互角のメンバーだが、ハンデ差4キロが勝敗に影響しそうだからだ。
主軸はバルク。今開催、格付け変動があり、バルク、クォークはB2へ降格。一方、ストリートダンスはB1のまま。バラディーはB2からB1へ昇級し、バルク、クォーク53キロに対し、ストリートダンス、バラディーは57キロ。さすがにこれは大きく、主軸はバルクに落ち着く。
バルクは今年8歳牝馬だが、年齢をまったく感じさせず元気一杯。今季<5.4.0.3>と、むしろ最も充実した年と断言して差し支えない。
過去3回の敗因はジューンカップ、1000mの忙しい競馬が合わず8着。JRA交流・アンタレス賞は相手が強すぎて自分の競馬ができず終いで9着。そして前走は4着に敗れたが、先行3頭が総崩れの展開。その中にあって最先着4着に粘った点を評価するべきだろう。
しかも今回は53キロの軽ハンデに加え、流れも落ち着いて自分のペースで競馬ができるのが強み。前走、ストリートダンスに0秒8差つけられたが、主役奪回はかなり高い。
ストリートダンスは前走、4番手キープから直線で力強く抜け出して圧勝。3戦連続で足踏み続けたうっ憤を一気に晴らした。引き続き好気配を保ち、57キロのトップハンデをどう克服するかがカギ。
クォークはスピードと粘りを身上とする。今季は見せ場を毎回作りながらラスト50mで失速して入着止まり。これは展開に恵まれなかった面も大きかった。今度は先に行くのはバルク1頭。出鼻を叩くこともできるし、スッと2番手につける競馬も可能。ようやく絶好の展開に持ち込めそうだ。
バラディーは前走、バルク、ストリートダンス相手に豪快なマクリを決めて快勝。周囲をアッと言わせ、シーズン初戦以来の白星を飾った。しかし、バラディーもネックは57キロの負担重量。前走より2キロ斤量が増え、自慢の切れが鈍る可能性もある。よって△止まり。
タカラムーンは相変わらず詰めの甘さを露呈しているが、前記4頭がけん制しあって漁夫の利を得るかもしれず連下押さえは必要だろう。
◎(3)バルク
○(2)ストリートダンス
▲(8)クォーク
△(1)バラディー
△(6)タカラムーン
3連単は3、2、8の3頭を1、2着固定に1、6、4を3着押さえ
馬複は 2-3、3-8、1-3、3-6
<お奨めの1頭>
11R ピカソ
父がディープインパクト、母があのスカーレットブーケ。いずれ2勝したら中央再転入だが、まずはお手並み拝見
いよいよ今日は絆カップ、そして南部杯の当日。いろいろ書きたい事もありますが、今日は全国各地の競馬場で岩手競馬の場外発売が行われております。8R以降4Rという所が多いようですので、今回は8Rから11Rまでの予想を掲載しましょう。
●9Rの買い目
馬単(3)=(5)、(3)=(12)、(5)=(12)、(3)→(6)、(3)→(7)
明日10日(月祝)、盛岡ダート1400mを舞台に行われる「東日本大震災復興祈念 第1回絆カップ」の枠順が確定した。
テイエムカゲムシャ(船橋) 57 江川伸幸
ベルモントノエル(水沢) 55 山本聡哉
トウホクビジン(笠松) 55 内田利雄
タイセイアドミラル(北海道)57 岩橋勇二
ファーストメジャー(水沢) 57 阿部英俊
マイネルビスタ(水沢) 57 関本淳
サンキンスピーチ(水沢) 57 木村暁
マイネルプロートス(盛岡) 57 菅原勲
コアレスバトラー(水沢) 55 菅原辰徳
ディスパーロ(水沢) 57 戸部尚実
リュウノボーイ(船橋) 57 村上忍
ダイメイジュエリー(水沢) 55 高松亮
リリーレインボー(水沢) 57 小林俊彦
人気は地元の期待を一身に集めるマイネルプロートス、船橋リュウノボーイ、そして北海道タイセイアドミラルあたりだが、ポイントは1400m。すでにマイネルプロートスは同条件の重賞・岩鷲賞を優勝しているが、折り合いが最大の課題。
またリュウノボーイには距離が気持ち短く、タイセイアドミラルは門別1200mを専門に使われ、1400m対応がネック。よって他の陣営にもつけ入る余地は十分にある。ファンが元気になるような熱戦を期待したい。
9日メインは9レース(発走15時20分)はC1級馬による芝1000m戦「区界賞」。笠松からテイエムラベンダーが参戦し、迎え撃つ岩手9頭の計10頭で覇を競う。
今回のメンバーは芝1000m適性が把握しづらく、どの専門紙の予想がバラバラ。混戦ムードが漂い、高配当必至のメンバー構成となった。
主軸にエーシンビーエルを抜擢する。昨年までA級へ在籍し、冬場に佐賀3戦を使って再転入。最下級C2へ一気に降格し、相手が大幅に弱化。それでも勝ち切れないレースが続き、シーズン3戦目にようやく初勝利を飾って、続く一戦も快勝。これで弾みついたかと思ったが、再び沈黙を強いられている。
しかし今回は芝1000mが舞台。中央時代に3勝マークし、すべて芝1200m戦。マイル以下の重賞路線にも乗ったことがあり、ここでは断然のキャリア。年々、ズブくはなっているが、それでもかつての格、適性は見逃せない。
リュウノツバサは岩手デビューで岩手クラシック一冠目(当時)・阿久利黒賞を優勝。他に特別4勝をマークし、三強の一角を形成した。その後、園田へ転籍し、今年岩手へ再転入。C2で再スタートを切った。これまで2勝2着4回。もう一つ軌道に乗れないでいるが、理由の一つは折り合い面に課題を抱えているから。
それならば芝1000mは歓迎のはずだし、古い話になるが、2歳時に芝1000mを快勝している。
ヒドゥンアジェンダはここに来て上昇ムード。ようやく本来のシャープさを取り戻した。芝1000mも昨年、B1・FM岩手杯0・3秒差3着、ハーベストカップ0・7秒差7着。持ちタイム59秒0もここでは光る。
スターダンスは距離関係なく、逃げてこその馬。それが絶好の1枠を引き当てれば鬼に金棒。一躍、伏兵に浮かび上がった。
あとは芝1000m経験ないが、5戦2勝2着1回と芝適性が高いコスモクルトゥーラ、好調ブリッジポートも軽視できず、各馬にチャンスは十分ある。
◎(9)エーシンビーエル
○(7)リュウノツバサ
▲(5)ヒドゥンアジェンダ
△(1)スターダンス
△(6)コスモクルトゥーラ
△(2)ブリッジポート
3連単は5,7、9を1、2着固定から1、6、2へ3着流し
馬複は 7-9、5-9、1-9、6-9、2-9
<お奨めの1頭>
3R クールダンス
転入初戦は3着を大きく離してマッチレースからクビ差制して快勝。タイムも優秀で2連勝を飾る
今年、JRAが岩手競馬の支援策の一環で10月10日(月祝)、東京競馬場で南部杯を開催。このままでいけばグレードウィナーが10頭も出走。非常に豪華な顔ぶれとなりそうだ。岩手競馬の看板レース・南部杯が、東京競馬場でどんなレースになるのか。今から心ときめかせている。
一方、岩手では東日本大震災の復興を祈念して「第1回絆カップ」(盛岡ダート1400m)、そして東北出身のジョッキーが集結して「東北ジョッキーズカップ」(2戦 盛岡ダート1400m)を開催する。10月10日、自分も"心ひとつ"になって競馬を盛り上げ、盛り上がろうと思っている。
8日メインはA級三組・B1一組による「保呂羽山霜月神楽レース」(盛岡ダート1600m)。A級馬はアルマダの1頭のみ。実質、B1級のメンバー構成となった。断然の主役を演じるのはオウシュウサンクス。仮にA級馬がさらに増えても迷わず大本命となっただろう。
今季スタート2戦は僅差2着に敗れたが、そのうっ憤を晴らして圧勝で2連勝。JRA交流・アンタレス賞8着、前々走3着だったが、これは展開も合わなかった。それ以外の2勝は非の打ちどころのないレースぶり。特に前走は2着に10馬身の大差をつけて圧勝した。
1800m1分55秒6はオープンでも勝ち負けする破格の走破タイム。展開もアルマダが逃げ、前回同様、絶好の2番手を楽々とキープできそう。今度もほぼ死角なしと見て間違いない。
焦点は2着争いとなるが、ファンタジックキーが相手筆頭。このラインはかなり強力と見ていい。中央1勝(ダ1800m)500万下から今年7月に転入。初戦は4ヶ月ぶりの実戦がこたえたが、それでも好位キープから4着に粘り、「今後のメドが立った」(櫻田康二調教師。
そのとおり2戦目の牝馬特別・フェアリーカップで2着に善戦。続く牝馬交流重賞・ビューチフル・ドリーマーカップは相手が強すぎて6着。前走・ハーベストカップは久々の芝1000m戦で前半追走に手こずって4着に敗れたが、これは仕方なし。今回、適距離の1600mに戻り、本来の実力を発揮できる。
アルマダは逃げ一辺倒の脚質だったが、前走は4番手から我慢して5着。着順はともかく収穫の多い一戦となった。今回は強力な逃げ馬が不在で楽にハナに立てるメンバー構成。オウシュウサンクスがどこで仕掛けるかによるが、4コーナーまでマイペースでいければ逃げ残りの可能性もある。
ジャングルゼットは南関東C1から転入だが、その前は佐賀B1へ在籍し、ソコソコの成績を収めていた。初戦は伸びを欠いて6着だったが、勝ち星すべてが1400m~1600m。前走は距離の壁とも解釈でき、しかもコース2度目。好走する素地はそろった。
ケイジーウォリアは前走が4ヶ月ぶりの実戦だったため3秒5も離された4着だったが、久々を叩かれた分の上積みは見込めるはず。しかも鞍上に内田利雄騎手を指名し、桐花賞5着の底力からも軽視できなくなった。
◎(5)オウシュウサンクス
○(2)ファンタジックキー
▲(8)アルマダ
△(10)ジャングルゼット
△(3)ケイジーウォリア
△(4)サクラアーバン
3連単は5を1着固定で2、8、10、3が2着争い。あとは4を3着押さえ少々
馬複 2-5、5-8、5-10、3-5
<お奨めの1頭>
7R シャインリーオウ
前走は頭を上げたりしながらも2着確保。叩かれてさらに気配アップするはず
10月になりました。カレンダーの数字が二ケタになると"年末"の感じが強くなってきますよね。岩手山もこの日曜の早朝に初冠雪が観測されました。競馬場から帰る夕方には息が白くなりましたよ。秋どころか冬へまっしぐらですね。
そんな今週は南部杯ウィーク、いや絆カップウィークと言うべきか。来週の月曜日・10日には、JRA東京競馬場で南部杯と関連するイベントが、盛岡競馬場では重賞絆カップ、東北ジョッキーズカップを中心にこちらでも様々なイベントが行われます。また同日は「岩手競馬を応援する日」として、全国の競馬場・場外発売所等でもイベントが行われる予定です。
東日本大震災から約7ヶ月。間違いなく歴史に残る大災害は、いろいろな物事を力ずくで変えてしまいました。このブログでも何度か触れてきたように岩手競馬が受けた被害は大きなものでしたし、もちろん、岩手競馬に関わりがあった宮古・釜石は言うまでもなく、沿岸市町村はみな非常に大きな被害を受けました。半年以上が経った今でもまだ、復旧への端緒すら掴めていない・・・というのが現状です。
きたる10日のイベントは『岩手競馬を支援する日』と銘打たれていますが、私は岩手競馬「だけ」を支援する、応援するためのイベントではないと思っています。岩手競馬を通して岩手の、宮城の、そして福島の、競馬ファンの皆さんであり被災者の皆さんに心を届けるイベントだと思います。
10月10日、全国の競馬ファンがひとつのレースを通してひとつになる想いや気持ち。それが届けば。届いて欲しいし、ぜひ届けたいですね。