28日メイン「田瀬湖賞」(C1)の舞台は盛岡ダート1000m。通常、C1クラスは芝レースをのぞくと1400mか1600mのみ。必然的に結果も好調度、実力どおりに決まるケースも多いが、1000m戦になると話は別。好調度、実力に加え、距離適性が勝敗を大きく分けるファクターとなり、一転してどの馬が勝ってもおかしくない一戦に変身する。
それを象徴したのが芝1000mだったが、7月9日のB1級・FM岩手杯。優勝ビュレットライナーから9着リキアイタイリンまで0秒3差という大接戦。ハナ、クビ、そして同着とまさに横一線でゴールし、ファンはスピード満点、迫力満点のレースに興奮した。
個人的な意見だが、1000m戦は芝ダートを問わず各クラスともまんべんなく、もっともっと増やして欲しい。できれば月1回ぐらいの頻度で実施してくれれば番組のヴァリエーションも広がる。1000m戦を生観戦したファンも異口同音に最高におもしろかったと感想を語っていた。
さて本題。先に記したFM岩手杯にナイトストーカーズがC1から強気に挑戦。菅原辰徳騎手を背に、果敢に逃げて結果6着ながら、わずか0秒2差。持ち味のスピードを存分に発揮し、見せ場をたっぷり作った。
続く姫神賞(B2 芝1000m)で2着に逃げ粘り、このメンバーでは適性一番だが、この2戦の反動もあって前走13着に大敗。確かに距離も長かったが、何ら抵抗することなく早めに馬群に沈んでしまった。
しかし、逃げたい馬が絶好の1枠を引き当てたのは強運。アッサリ逃げ切るか、はたまた凡走するのか。非常に迷うところだ。
◎はフレンズフェアリー。おそらく人気は低いと思うが、あえて主軸に抜擢する。一貫して北海道で走り、そのほとんどが短距離戦に集中。特に1000m戦は18戦2勝2着2回3着4回。いかに下級線だったとは言え、このキャリアは見逃せない。門別1000mの持ちタイム1分00秒7。コースは違ってもC1なら勝ち負けに持ち込めるタイムだ。
オメガユーロスターは今季1勝2着2回。ここ2戦は8、11着と振るわず、それで短距離に活路を求めてきた。2年前、姫神賞(芝1000m)へ駒を進めてウメノレイメイの0秒6差3着。ウメノレイメイといえば1000mのスペシャリストで名を馳せ、オープンタイトルも獲得。それを考えればダートでも適性を発揮する可能性も十分ある。
アポロパトリオットは前走・JRAvs岩手競馬第2戦で見事1着。鞍上・菅原俊吏騎手がインからスルスル抜け出し、JRAジョッキーをアッと言わせた。近走2、1着にまとめ、調子もグングン上り調子であるのは間違いない。
残るは1000m適性。岩手転入後はほとんど1600~1800m戦を使われ、最短でも1400m戦の一度のみ。B1特別・白神賞だったが、10頭立て7着。強調できる内容ではなかった。
ところがJRA時代の1勝はダート1200m戦。走破タイム1分14秒1はともかく、厩舎サイドでは短距離に適性ありと踏んでいたようだ。久々の短距離戦にとまどわなければ好勝負になるかもしれない。
セイントネイティブもjRA・岩手騎手交流戦で吉田豊騎手とのコンビで快勝。なんと39戦目にしてようやく両目を開けた。元々、3歳時にはA級で走っていた実績があり、2勝目が遅すぎただけ。
1000m適性は未知数だが、ずっと道中で脚を貯める競馬に徹しており、逆にそれを考えなくていい短距離戦は向く可能性も秘めている。
いずれにせよ様々なファクターが入り混じり、改めて1000m戦はおもしろいと思った。あとは結果がついてくれれば最高だが...。
◎(11)フレンズフェアリー
○(8)オメガユーロスター
▲(1)ナイトストーカーズ
△(9)アポロパトリオット
△(5)セイントネイティブ
3連単は11、8、1の3頭軸から9、5を3着押さえ。計22点
馬複は 8-11、1-11、9-11、5-11、1-8
<お奨めの1頭>
11R ブラストクロノス
前走はマイネベリンダには離されたが、サクラマジェスティの追撃を封じて2着。平場の鬼は今年も健在だ
27日メインはA級二組「長者伝説の里かねがさきレース」、盛岡ダート1600m戦。当初、スクリームイーグル、マルブツコンバット、クリスティラビットらの登録があり、いずれも人気を集めたが、相次いで回避。俄然、ツルマルヤマトには有利な材料がそろった。
『三つ子の魂百まで』とはよく言ったものでツルマルヤマトはその典型。中央時代、2着3回3着3回と成績安定し、一度はタイム差なし2着もあったが、最後の詰めが甘く未勝利。
その後、名古屋、園田と転籍したが、それぞれ3着、2着が一度あったが、ついに勝つことができなかった。
岩手転入は今年6月。A級二組・B1混合戦で相手にも恵まれたが、豪快なマクリを決めて快勝。待望の初勝利を飾り、これで弾みがついたと解釈されて3戦連続で1番人気。ひとまず期待に応えることはできたが、2着3回3着1回。あと一押しが足りず、いまだ両目を開けることができない。
しかし今回は相手が大幅に弱化。一連の走破タイムでも一丁も二丁も抜けており、絶好の勝機。今度こそスッキリ勝って以降の活躍につなげたいところだ。
本命は迷わなかったが、2着争いが混戦。各馬が一長一短に加え、順調さを欠くメンバーも多いが、アルマダが相手候補に落ち着く。
アルマダの一長は持ち前のスピード。中央1勝(ダート1000m)から転入し、初戦を逃げて3着に粘った。逆に一短は脆い面。マイペースに逃げた初戦3着に対し、前走はスクリームイーグルに早めに交わされて失速。直線で馬群に飲み込まれて3秒6差しんがり8着に沈んだ。
ただ、今回は板垣厩舎はツルマルヤマト、アルマダ、ウメノレイメイの3頭出し。ツルマルヤマトがアルマダを突付くことはまず考えられないし、仮に他の陣営が絡んでも後ろにツルマルヤマトが控えて無理しないに違いない。
そうなるとアルマダはマイペースの逃げが打て、本質的には短距離向きだろうが、気分良く4コーナーを回ったら押し切るシーンも十分にありえる。
この板垣ラインに割って入るのがユメユメユメ。父アザムールはキングジョージを含めてGⅠを4勝。母父ヌレイエフで期待も高かったが、東京芝2000mの1勝にとどまり、障害1戦を経て転入した。
中央時代は芝をメインに使われてきたが、ダートでも3着の実績。このタイプは岩手で成功を収めるケースも多く、初戦から注目してみたい。
マルブツコンバットは奥手が昨年開花。B1から強気の挑戦・桂樹杯(盛岡芝1600m)を快勝し、A級ダート戦でも1勝をマークした。
今年はその反動と、まだ本調子を欠いて5戦とも着外。得意の芝でもここ2戦・せきれい賞7着、桂樹杯8着を伸びがひと息だった。とは言っても桂樹杯は1秒差。今回は大幅にメンバーが甘くなっただけに成績度外視で狙ってみたくなる。
ウメノレイメイはアルマダ、ツルマルヤマトと同厩。アルマダ、ツルマルヤマトのラインに乗り、スンナリの流れになりそう。距離が長くても残り目があるかもしれない。
◎(1)ツルマルヤマト
○(8)アルマダ
▲(7)ユメユメユメ
△(6)マルブツコンバット
△(2)ウメノレイメイ
3連単は1、8、7の3頭軸から6、2を3着押さえ
馬複は 1-8、1-7、1-6
<お奨めの1頭>
7R タグライディーン
今季2戦後、2ヶ月近くの休養があったが、復帰して近走は連続2着。本来の動きを取り戻し、今度は勝つ
この月曜日はJRA交流フレンドリー競走が二鞍行われます。今回の予想はこの2つのレースを中心にお伝えします。
なお、条件はいずれも「岩手3歳3勝以下・JRA未勝利」で、8Rが芝の1700m、10Rがダートの1600mとなっています。
21日メインは今シーズン第一弾の2歳特別「若鮎賞」、舞台は全馬初の盛岡芝1600m。当初の登録が8頭だったが、ウインハーモニー、リアルサンボーイ、エムオーミスターがキャンセル。
ウインハーモニー、リアルサンボーイはトレーニングセール出身馬でデビュー戦を快勝。仮に出走すれば人気の一角を形成したが、ウインハーモニーは馬房内で軽くぶつけて自重。リアルサンボーイは熱発のため。そしてエムオーミスターは14日の新馬戦を使ったばかりで、それぞれ回避した。
結果、5頭立ての少頭数となったが、今年の2歳戦線を占える好メンバーがそろった。その上、全馬が初のマイル戦で未知の部分が多く、波乱も十分に考えられる。
主軸はエスプレッソ。デビュー戦の芝1000m戦を4番人気で出走。スタートで出遅れながらも4角先頭で圧勝したが、1番人気エトセトラが外方逸走のアクシデントがあり、その被害をこうむった馬も少なくなかった。
それゆえフロック勝ちと見られる向きがあり、2戦目も3番人気にとどまっていた。しかし逃げたハルトリーゲルを子供扱い。何と2秒差の大差をつけて圧勝し、一気に頭角を現した。
前走は連闘で臨み、若干疲れも残ってタイムは平凡だったが、2着に0秒4差をつけ、無敗3連勝を飾った。この成績から1番人気も当然だが、不安点がない訳ではない。3開催連続で出走し、いくぶん気合い不足と盛岡トラックマン。それとデビュー戦の勝ちタイム1分0秒7はここに入ると見劣るからだ。
ある意味で試金石の一戦となるが、母パラダイスフラワーはデビュー2戦目から連戦連勝。若鮎賞も制し、旭川で行われたエーデルワイス賞(当時:GⅢ)も優勝。2歳頂点を極めた強豪牝馬。おそらくエスプレッソも母と同じ道を歩みそうで、抱えている不安をアッサリ一蹴するに違いない。
ハルトリーゲルは2歳新馬戦の勝ち馬第一号。能力検査でアスペクトに大差ぶっち切られ、7番人気の低評価だったが、2番手から鮮やかに抜け出して快勝。2歳戦に強いファリスエフ産駒らしい勝ちっぷりだった。
続く2戦はアスペクト、エスプレッソに完敗を喫したが、ダート戦に敗因を求めることができ、今回は舞台が芝。反撃に転じて当然だろう。
マーライオンパークは2戦2着に惜敗したが、3戦目の芝1000mで見事な逃げ切りを決め、待望の白星をマークした。メンバーは大幅に強化されたが、芝1600mで絶好の1枠。ハルトリーゲルの出方次第だろうが、すんなりマイペースに持ち込めば持ち味の粘り強さを発揮できる。
ワタリドラゴンも3戦目に初勝利を飾った。走法を見るとダートよりも芝向きの印象だし、何よりも叩かれながら良化一途をたどっている。マイル延長も母父アンバーシャダイなら望むところ。
キモンパーティーも気にはなったが、デビュー1戦のみのキャリア。ネオユニヴァース×カーリアンの良血牝馬で不気味さたっぷりだが、他の馬が実戦3度に対するとちょっと分が悪そうだ。
◎(4)エスプレッソ
○(2)ハルトリーゲル
▲(1)マーライオンパーク
△(3)ワタリドラゴン
3連単は4、2の1、2着折り返しから1、3へ
馬複は 2-4、1-4、3-4
<お奨めの1頭>
8R コスモティーピー
前走は早めに交わされて最後一杯3着に敗れたが、内から差し返す根性を見せた。敗れてなお強しの一戦
20日メインはB1「ムーンライトカップ」(盛岡ダート1800m)。当初、オウシュウサンクス、タカラムーン、アドマイヤサムライなどの登録もあったが、それぞれ無理をせず自重。結果、7頭立ての少頭数でコアレスランナー、ジャンドゥーヤの一騎打ちムードが濃厚となった。
コアレスランナーは昨年までの勝ち星がすべて水沢。典型的な水沢巧者として定評があったが、今年は東日本大震災の影響で盛岡一場で開催(まだ決定ではないが、11月一杯には水沢競馬場スタンドの修復がひとまず完了。12月第2週から開催の可能性が高い)。
それゆえコアレスランナーの課題は盛岡坂の克服だった。初戦・岩手日報杯は盛岡坂に加え、2000mの距離も長く4着に終わったが、続くB1・1800m戦を快勝。ついに盛岡でも勝ち負けできるようになった。
しかし続くA級昇格初戦で9着凡走。これは相手が強かった以上にスタートで後手を踏み、自分の競馬ができなかっただけ。悲観する結果ではなかった。
案の定、A級B1級混合戦で巻き返して2着確保。1秒も離されたのがクリスティラビットの破壊力が強烈だったもので連対で十分。前々走の盛岡戦1着は決してクロックではないことを証明した。
前走は芝に舞台が替わったが、4角で早め先頭に立ち、そのまま押し切るかと思ったところドリームスナイパーにクビ差交わされて2着。ドリームスナイパーの芝適性には定評があり、敗れてなお強しの一戦だった。
以上が今季コアレスランナーの足跡で今回は相手有利は誰の目にも明白。やはり盛岡では絶対の信頼は置けないし、1800mも気持ち長いが総合力で一歩リードしている。
一方、ジャンドゥーヤは中央0勝から08年に岩手転入。C2から再出発を図って成功。6勝を稼いでB2でも白星をマーク。再び中央入りし、今年6月に岩手へ里戻りしたが、当初は動きが本物ではなく7、8着に凡走。立て直しに時間がかかるかと思ったが、大事に疲れれたのが奏功。前々走2着で復調の兆しをうかがわせ、前回快勝。ついに復調を果たした。
この中間、気配さらにアップは歴然。ここ2戦に比べ、メンバーが強化されたが、コアレスランナーが詰めに課題が残る分、勢いに乗って格上馬を一蹴する可能性も十分ある。
モエレハナオーはまだ本来のシャープさを取り戻せずにいるのは否定できない。それが成績にはっきり現れ、前走も伸びを欠いて5着。好調サイクルに向かうのはもう少し時間がかかりそうだが、今回は確たる逃げ馬が不在。控える競馬もできるが、先行して粘り切るのが身上。
展開予想はモエレハナオーが逃げ、2番手コアレスランナー、それをマークしてジャンドゥーヤの隊列。特に1800m戦はゴール前200mがスタート地点でスローの流れ必至。気分良く逃げることが持ち味を最大限に生かせる展開。人気の2頭がけん制し合えば漁夫の利を得る可能性も高い。
この三つ巴戦と見るのが妥当だが、もし割って入るとすれば転入後、4着が最高だが、A級から降格マンボパートナー。あとは凡走続きでも、いきなり激走を秘めるモンセルバンが連下候補となる。
◎(8)コアレスランナー
○(5)ジャンドゥーヤ
▲(7)モエレハナオー
△(3)マンボパートナー
△(1)モンセルバン
3連単は8、5、7の3頭軸から3着押さえに3、1
馬複は 5-8、7-8、5-7、3-8
<お奨めの1頭>
1R ラッキースマイル
通算6勝2着10回。笠松B級からの転入で実績上位は明らか。近走内容も悪くなく、C2では役者が違いすぎる