先週の若駒賞を勝ったアスペクト。強かったですね。他でも触れたのですが勝ち時計1分38秒8は盛岡ダートマイルで行われた2歳重賞(若駒賞・南部駒賞)の中でのレコードタイム。"旧レコード"は奇しくもアスペクトの母・アプローズフラワーが96年の南部駒賞で叩き出した1分39秒1で、15年の時を超えて母の記録を息子が破ったという非常に競馬らしいドラマともなりました。
お母さんのアプローズフラワーはちょうどメイセイオペラと同じ世代の馬でした。しかし2歳時はまだあまり目立たなかったオペラに対しアプローズフラワーの方は早くから活躍。当時は活躍した2歳馬が3歳に編入される制度があって、よほどの2歳の強豪でもなかなか3歳馬に勝てずに終わるのが通例なんですが、この馬は2回も突破、それも圧勝で勝ち抜いて見せて、凄い馬だなあと思ったものでした。
3歳時はやや陰りを見せ、急激に台頭してきたメイセイオペラの陰に隠れる形になってしまいましたが、2歳時のダートでの能力は間違いなく全国レベル上位のものがあったと、今でも信じています。
現時点のアスペクトはすでに、母の2歳時の盛岡ダート1400m・ダート1600mのタイムを上回る時計で走っています。額面通りに比較するなら「母を超えている」と言う事もできるでしょう。
この後は南部駒賞、そして順調に進めば全日本2歳優駿への挑戦も視界に入っているはず。母が成し得なかった夢、半兄アテストが僅かに及ばなかった夢をかなえて欲しいと、見ている方もちょっと力が入ってしまいますね。(※この部分の表記は新年齢表記にしております)
対抗は(7)ガッテンモントレー。古馬牝馬の重賞でも好走できるくらい力を付けていますし、2000mの経験が豊富なのも有利な材料。前走の敗因は、本番直前の間隔を狭めるか、逆に実戦のあとの間隔を詰めて本番前に余裕を採るか?その二択で後者を選んだのが、やはり重賞の疲れが残っていたのではないか・・・というのが陣営の話。調整はここに向けてあくまで順調との事でした。2000mは実際ちょっと長いと思いますが、それも3歳同士なら。
前走が強烈だった(8)カミノヌヴォーは三番手まで。前走が非常に強い内容だったのは認めるとしても、折り合いに難がないとは言えない馬がキャリア初の2000m挑戦、それも二度の坂越えがある盛岡コース。もちろんこの馬も昨年はベストマイヒーロー・シーグランディと並び2歳3強と言われていた馬、勝っておかしくない能力を持つのは間違いないですが、怖い材料も多くて本命とは言いづらいですね。
以下、立ち回り堅実(1)ヤマトスバルと先行(6)アンダースポットを押さえ。どちらかと言えば(1)を厚めに狙っておきたいところです。
●10Rの買い目
馬単(10)=(7)、(10)=(8)、(10)→(1)、(10)→(6)
芝1000m特別の評判がすばらしい。ただ単に普段のレースに比べて新鮮に映るのは間違いない。しかし、それ以上にレースそのものが迫力満点、スピード満点だからだと断言できる。
極めつけは7月9日、B1・FM岩手杯だった。優勝ビュレットライナーから9着まで0秒3差でゴール。クビ、ハナ、そして同着という大接戦となり、思わず我々も熱くなった。
芝1000m戦は極端に言えば1開催に1レースあってもいい。もっと欲を言えばオープン特別があった方が今回の「第1回OROターフスプリント」が盛り上がったに違いない。来年こそ、さらに進化したレース体系を作ってほしい。切に願っている。
さて本題。オープン重賞らしくA級在籍馬が4頭、B級在籍馬が4頭、そしてC1、C2からもエントリーし、すべてのクラスから挑戦。まさにオールカマーの様相を呈し俄然、興味倍増の一戦となった。
「OROターフスプリント」は短距離1000mだけではなく、芝が大きなポイント。おそらくダートならA級在籍馬が有利だろうが、芝は適性なくして克服できない。
盛岡芝1000m実績を重視するか、格を重視するかで迷ったが、最終決断は格重視。リリーレインボーを本命にした。中央3勝はダート1000m2勝、1150mで1勝。その1000m戦2勝はいずれも中京コース。左回りでマークした点も心強い。
あとは芝適性に尽きるが、中央時代に芝1200mを2度経験済み。結果は1秒3差5着、0秒8差7着と決して適性がない訳ではなかった。父がマイネルラヴなら盛岡芝は大歓迎のはずだし、総合力がすべてをカバーするに違いない。
逆転は盛岡芝1000m実績からディーエスファジー、ビュレットライナー。ディーエスファジーはハーベストC(B1)、神無月賞(B2)と芝1000m特別を2連勝中。
昨年、ウメノレイメイがオープン特別・きんもくせい賞を制したときがB1の身分。A級馬を蹴散らしたことを考えれば主役を演じて当然だろう。何よりも勢いがある。
ビュレットライナーも<2.2.0.1>と抜群の適性を誇る。ハーベストCはディーエスファジーの0秒1差2着に敗れたが、早め先頭に立ったのも痛かった。持ちタイム58秒5はメンバー最速で、陣営もここに照準をピタリと合わせて調整を進めてきた。
ラブミープラチナは盛岡芝で秘めた素質が開花。オープン重賞でも勝ち負けに持ち込み、OROカップ0秒2差4着、桂樹杯0秒1差4着。前走・神無月賞はディーエスファジーに完敗0秒3差2着だったが、初の芝1000mにとまどったのが敗因。条件2度目ならアッサリあっても不思議はない。
リュウノツバサも軽視できない。区界賞はC1特別だったが、上がり35秒3の脚を駆使して2着。元々が折り合いに課題があるタイプで1000m戦はむしろ歓迎。大駆けがあるかもしれない。
◎(5)リリーレインボー
○(4)ディーエスファジー
▲(7)ビュレットライナー
△(9)ラブミープラチナ
△(1)リュウノツバサ
3連単は5、4の2頭軸から2着7、9。3着1、10のフォーメーション(24点)
馬複は 4-5、5-7、5-9、1-5
<お奨めの1頭>
8R ホッコーハルマ
転入後、余裕の逃げ切りを決めて2連勝。C1昇級だが、能力の違いで連勝を伸ばす
今週は23日(日)が新設「OROターフスプリント」、24日(月)が3歳伝統の「不来方賞」と重賞2連発。片や芝1000m、後者は盛岡ダート2000mのクラシックディスタンス。バリエーションに富んだ重賞が組まれて楽しみが一杯。両レースとも不確定要素が多く、馬券的にもおもしろいレース必至だ。
22日(土)メインはA級二組による盛岡ダート1600m戦「後藤新平記念館レース」。上位組と不振組がハッキリしているため、評価はすんなりと決まった。主軸はファンタジックキー。
ファンタジックキーは中央1勝500万下から今年7月に転入。初戦は4ヶ月ぶりの実戦で体も思い印象だったが、好位から粘って4着。A級で通用するか半信半疑だったが、これでメドが立った。
それを裏付けるように2戦目のオープン牝馬特別・フェアリーカップでキャニオンルナの2着確保。いい脚を長く使って好結果を出した。続くビューチフル・ドリーマーカップは出遅れに加え、相手が大幅強化されたが、それでも直線で盛り返して6着。中身は決して悪くなかった。
ハーベストカップは中央時代の1勝はダート1800mだったが、その後は短距離芝がメイン。それで芝1000m戦に適性があるかもと挑戦したが、4着止まり。B・ドリーマーC=2000mからいきなり距離が半分に短縮され、ペースにとまどった感じだった。
ただ1000m戦を叩かれた効果は前走に現れた。誰もが予想しなかった逃げの手に出て3コーナーから再び加速。1番人気に支持されたオウシュウサンクスはなし崩し的に脚を使わされ、まんまと逃げ切り。1分38秒9の好タイムもマークした。
前走が2枠、そして今回は1枠。なおかつ競りかける馬が不在で、楽にハナに立てるメンバー構成。絶好枠から逃げ切り2連勝の確率はかなり高い。
相手筆頭はブライティアピア。今年ついにA級入りを果たし、1600m、1800mを舞台に2勝マーク。この結果から牝馬特別・フェアリーカップで1番人気に推されたが、4角先頭から一杯となって4着。本番ビューチフル・ドリーマーカップを5着にまとめ、ひとまず面目を保ったが、2000mの距離が明らかに長すぎた。
前々走(1800m)も伸び案外で6着。これは距離に加え、歴戦の反動か馬体重7キロ減。夏負けの影響もあったようで1ヶ月休養させたが、それがズバリ。プラス11キロまで回復し、カミノヌヴォーの激走には離されたが、2着確保。再び上昇ムードに乗った。前回同様、得意のマイル戦ならファンタジックキーを破るシーンまで考えたい。
ツルマルヤマトは園田から転入し、着外に沈んだのは重賞・青藍賞7着一度のみ。2勝2着3回と相手なりに駆ける堅実さを身上とする。その半面、破壊力勝負になるとやや見劣り、前走4着がその典型。速いタイム決着になるとちょっと苦戦するが、1分40秒台の競馬になれば上記2頭に割って入る可能性も十分ある。
以上3頭の争いとみるのが妥当だが、ダークライも軽視できない。前走は案外の9着に終わったが、流れに乗れなかったのが痛かった。それ以前を4、3着にまとめ、ひと頃のスランプから立ち直ったのは間違いなく連下マークは欠かせない。あとは自己タイムを更新し続けているイングヴェイまで押さえれば万全か。
◎(1)ファンタジックキー
○(7)ブライティアピア
▲(6)ツルマルヤマト
△(5)ダークライ
△(3)イングヴェイ
3連単は1、7、6の3頭ボックスが本線。あとは5、3を3着押さえ
馬複は 1-7、1-6、1-5、1-3
<お奨めの1頭>
9R ホッカイナシュア
目下2連勝と本格化疑いなし。タイム以上に強さが際立っている
マイルチャンピオンシップ南部杯でゴールドマインに騎乗した齋藤雄一騎手にその時の感想を聞いてみました。レースについては「見たまんまですよ。レベルが高すぎる」という事でひとまず終了。それ以外の所でいくつか。
-府中のスタンドを埋める大観衆、やっぱり凄かった?
齋藤「凄いなんてものじゃなかった。人が人に見えないもの。真っ黒い"壁"でした」
-声援も凄かったでしょ?
「これももう"声"に聞こえないですよ。もの凄い"ノイズ"という感じで」
-コースを走ってみた感想は?
「大きいですよね。コーナーなんかも大きくて緩いから、曲がっているのに一瞬気が付かなくて"あれ?もうコーナーに入ってるの??"みたいな。ビジョンも大きいって聞いてたけど全然大きく感じなかったな」
-いろいろ良い経験ができた?
「初めてだったから段取りどおりに進むので一杯一杯でしたが、一つレースに乗せてもらっていたから本番ではいくらか気が楽でしたよ。あそこで勝ち負けできるような馬に乗ってレースできたら気持ちいいでしょうね・・・」
「東京競馬場のGI」は騎手なら一度は乗ってみたいと、地方競馬の騎手にとっても憧れの的です。菅原勲騎手のようにそんな舞台でGIを勝って、イサオコールまでされたりしたら、それはもう騎手冥利に尽きますよね。
菅原俊吏騎手にも、ゴールまでそんなレースを味わってもらいたかった。残念です。
●10Rの買い目
馬単(1)=(8)、(1)=(4)、(8)=(4)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーステーション」へ
16日メインはB2「オクトーバーカップ」。距離1800mが各馬にどう影響するかが最大焦点となるだろうが、それでもラブルビーの中心は動かない。
中央未勝利から昨年9月に岩手転入。2勝をマークし再び中央入りしたが、壁が厚く今年7月に再転入。最下級C2スタートにも恵まれて連戦連勝。ほぼパーフェクト内容で圧巻の8連勝をマークした。管理するのは今年開業した関本浩司調教師。不安だったのはむしろ前走だったそうで、距離延長とB2昇級が気がかりだった。
しかし、まったくの杞憂に終わった。好位3番手でピッタリと折り合いがつき、直線アッサリ抜け出して4馬身差。B2卒業もいずれ時間の問題となった。それゆえ関本調教師は強気のコメント。ケイジーウィザードと同厩舎1、2を決めたいと語った。
ただ1800mのスタート地点はゴール手前200m。これまで向正面からの発走でコーナーが2つだけ。今回はコーナーを4つ回るとき、掛かってしまうシーンがあるかもしれない。他の陣営がつけ入る余地はそこにあるが、それでもラブルビーの絶対能力が上と見るのが妥当だろう。
相手はケイジーウィザード、モエレアンドロメダにするか迷ったが、ケイジーウィザードを上位に採った。
前走・神無月賞は7着に終わったが、芝1000mの超ハイペースにとまどい、エンジンがかかる前に終わった印象。それでも自身は上がり35秒7の脚を使っており、悲観材料にはまったくならない。
盛岡ダート1800mは2度走って4着が最高と馬券対象になっていないが、A級当時のデータ。B2ならおつりは十分にくる。厩舎どんぶりが濃厚か。
モエレアンドロメダも今季絶好調を誇っている。着外に沈んだのは適性のない芝2戦のみ。ダートではすべて入着を果たし、11戦5勝2着3回3着2回。抜群の安定感を誇っている。
また同条件で1勝2着1回の実績を考えるとケイジーウィザードより上だが、一方で詰めが甘くなることも少なくない。ラブルビーが早めに交わしに行くと厳しい展開を強いられる。
コアレスミューズはマイル3勝マークだが、距離が伸びれば伸びた方が本領を発揮する。前走も調子一息と伝えられていたが、2番手追走から粘って2着確保。バテ知らずがセールスポイントだ。
あとは前走の騎手ハンデ戦で、インの経済コースを回って2着連対したエプソムスタウトも侮れない。今回も同様に内枠を引き当て、うまく流れに乗れればおもしろい。
他にも古豪健在、一戦置きに好、凡走を繰り返しているヤマニンエグザルト、快調教をこなしたエアダーミも怖いが、これだと手を広げすぎか。
◎(10)ラブルビー
○(1)ケイジーウィザード
▲(8)モエレアンドロメダ
△(5)コアレスミューズ
△(4)エプソムスタウト
3連単は10を1着固定に1、8、5を厚めに。あとは4、9を押さえ
馬複は 1-10、8-10、5-10、4-10
<お奨めの1頭>
5R ホッコーレインボー
前走で両目を開けて完全に軌道に乗った。1400mへ距離延長でも追いかける手