5日メインはA級一組「初夏特別」(水沢1600m)。このメンバーで勝ち負けを演じる馬は、重賞路線をにぎわすのは確実。7頭立てだが、興味深い一戦。加えて波乱の要素もたっぷり含んでいる。
本命はワークアンドラブ。中央ダート1800m2勝。JpnII・兵庫チャンピオンシップでテーオーエナジーの4着に入線した。続いて北海道で2勝後、南関東へ転籍。マイルグランプリ、サンタアニタトロフィーと重賞2勝を含めて5勝をマークした。しかし一昨年3月、隅田川オープン1着以降は勝ち星なし。同年5月、川崎マイラーズ2着後は一度も馬券対象を果たせず、北海道移籍後も4着が最高。長らく苦戦を強いられている。
今回のトレードは岩手に新天地を求めてきたもの。近走成績からは狙いづらいが、メンバーが大幅に甘くなっているのは確か。ズブさが出ているということだが、勝ち星が何よりも妙薬。久々の勝利を飾り、復活に期待したい。
グットクレンジングは昨年、門別1勝、高知2勝、大井一戦を経て転入。初戦のスプリングカップはクロールキックに完敗2着だったが、ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)の二冠を制した。舞台が盛岡へ替わった不来方賞は8着に終わり、三冠達成はならなかった。続くダービーグランプリも11着と大敗を喫し、4ヵ月半の休養をはさんで南関東へ移籍。2戦二けた着順に沈み、再び岩手入り。栗駒賞から始動したが、ゴールデンヒーラーの7着。
その後は盛岡開催を完全スキップ。水沢開催まで待機した。中間は意欲的に乗り込まれて態勢は万全。あとは相手関係に尽きるが、仮に通用なら今後にもメド。真価を問われる一戦となった。
マイネルアストリアは昨年、中央3勝クラスから転入。赤松杯、あすなろ賞の重賞2つを制した。好、凡走の落差が激しいのは自分の競馬ができるか否か。砂を被らない外で競馬をできれば本領を発揮し、逆に内に包まれると戦意喪失。その意味で7頭立て6番枠は幸運。5ヵ月ぶりの実戦だが、放牧先で乗り込まれて帰郷。あとは当日の馬体重をチェックしたい。
ウインカムトゥルーは中央ダート1400m1勝から大井0勝、高知6勝・B級から転入。初戦の栗駒賞を4着にまとめ、シアンモア記念9着から前走快勝。鮮やかな直線一気を決めた。コースは水沢に替わるが、高知6勝なら望むところ。あっさり2連勝まで十分。
ジェイケイブラックは休み明けを快勝し、重賞・あすなろ賞5着。今年も健在をアピールした。水沢でも4勝をマークしているが、小回りは若干割り引きが必要。前崩れの展開で連対あるかも。
◎⑤ワークアンドラブ
〇②グットクレンジング
▲⑥マイネルアストリア
△④ウインカムトゥルー
△③ジェイケイブラック
<お奨めの1頭>
7R サッポロゲッカオウ
中央0勝、門別2勝、中央1勝クラスから転入。C2クラス編入は恵まれた格付け。能力検査も叩いて臨戦態勢は整った
4日メインは"スーパースプリントシリーズ2023"「第8回早池峰スーパースプリント」(水沢850m)。早池峰SSの前身は旧盛岡競馬場で行われた早池峰賞。盛岡1100mを舞台にスピード自慢のスピード馬が激突。年に1回(ほぼお盆の時期に実施)、オープン馬の1100m戦は多くのファンから支持された。
早池峰賞は2016年に発展的解消。新たに早池峰SSとして衣替えし、第1回から第5回まで盛岡ダート1000mが舞台。一昨年(2021年)から水沢850mへ移行した。
その水沢2回を制したのがキラットダイヤ。中央2勝クラスから転入し、初戦は3着から早池峰SSを2馬身差で完勝。以降も岩鷲賞、ヴィーナススプリント、絆カップと重賞4連勝を飾り、最優秀短距離馬に選出された。
昨年も同様の路線を歩み、初戦の栗駒賞2着から早池峰SSを7馬身差で圧勝。続いて岩鷲賞、絆カップも圧勝し、盛岡で行われたJBCスプリント(JpnI)へ挑戦。善戦及ばず10着に終わり、休養に入った。
復帰したのは今年4月。船橋へ転籍してA2以下・ルクバースプリントで復帰。逃げの手に出たが、直線失速4着に終わった。敗因はいくつか考えられる。まず久々の実戦。元々、快速馬ながら休み明けは反応ひと息に加え、馬体重がプラス12キロ。太目もこたえた。しかし今回は本領を発揮する休み明け2戦目。ひと叩きされて体も絞れてくれば鬼に金棒。3連覇に自信の登場となった。
カタナは中央ダート1400m3勝、ダート1200m1勝。オープンまで出世し、名古屋を経て岩手入り。3戦目の850mを快勝し、続く一戦3着でシーズンを終了。今季は850m戦で2連勝と幸先のいいスタート。前走は盛岡1000m替わって2着だったが、わずかアタマ差。
当初から目標は早池峰SS。一度叩いて本番に臨みたかったので敗戦も想定内。過去3戦3勝の水沢850mで待望の重賞初制覇を狙う。
アヴェントゥリストは中央1戦0勝、北海道3勝から2020年に転入。通算7勝をマークしたが、うち6勝が水沢850m戦。昨年9月、南関東へ転籍したが、そこでも浦和800m2勝2着4回。川崎900m3着1回と好走した。先行タイプが絶好の3番枠を引き当てたのも強運。好枠を生かして自慢のスピードを発揮する。
エイシントゥランは船橋2戦から再転入。初戦の盛岡1200mは5着だったが、いい脚を使って0秒2差。園田時代に820mを快勝し、ひと叩きされた変わり身も必至。4歳の若さからも軽視できない。
トーセンキャロルは中央芝1200m1勝、南関東1勝から転入。岩手版オークス・ひまわり賞、OROオータムティアラの牝馬2冠を獲得した。以降は苦戦の連続だったが、前走・盛岡1000m戦で4着。上がり35秒2をマークし、短距離に活路を開く可能性が出てきた。
カッチャオは相手なりに駆ける堅実さを身上として水沢850mも5勝2着3回。相手は強化されたが、適性、実績はひけを取らない。
◎④キラットダイヤ
〇⑧カタナ
▲③アヴェントゥリスト
△⑥エイシントゥラン
△⑨トーセンキャロル
△⑤カッチャオ
<お奨めの1頭>
1R ヤマニンライバリー
北海道から休み明けをはさんで転入後3、2着。前走タイム差なし2着に惜敗し、今度こそ首位を奪取する
先週5月28日、3歳重賞「第11回イーハトーブマイル」(水沢1600m)は、1番人気に応えてケープライト(父ジャスタウェイ)が優勝。昨年、若鮎賞に続いて重賞2勝目を飾った。
ケープライトは今シーズン、牝馬重賞・あやめ賞から始動したが、マイナス15キロで出走。休み明けだったにもかかわらず大幅体重減。馬体に張りがなく、結果も7着。前途に暗雲が立ち込めたが、以降は立て直しに専念。続くダイヤモンドカップはプラス8キロ。まだまだ物足りない印象だったが、それでも5着確保で実力の片りんをのぞかせた。
それから1ヵ月後、イーハトーブマイルに照準を合わせて調整。今回は輸送のない地元競馬も要因だったと思うが、プラス14キロの433キロまで回復。パドックでも気合いが乗り、本来の張りも取り戻していた。
パドックは最終チェック場所だと改めて思った。おそらく、あやめ賞と同じ状態だったら勝利することができなかった。みなさん、我々の予想、想定は2日前確定。当時の気配をチェックすることはできない。パドック解説も一部、担当させてもらっているが、あれ?太いな、とか、あれ細くなったな、と思ったケースは多々。同様に気合い、歩様の変化にも気づくことがある。発売締め切り前に必ずパドック気配をチェックしてほしい。
本題に戻りたい。山本聡哉騎手「今日の馬場は内枠が有利。外枠を引きましたからね。強気に行くと外を回らなけばならないので、前半は控えた。マークしたのは逃げたときのリスレツィオ、あとは状態が良く見えたタイセイヴィゴーレを見ながらレースを進めた。前にいたマツリダワールドも成長しているのを感じていたが、渋太く粘っていた。それでも(ケープライトが)きっちり差し切ってくれた。今回はあやめ賞以来、久々にまたがったが、ようやく調子が戻ってきた。きゅう舎スタッフが頑張って立て直してくれました」
続いて佐藤浩一調教師「無理に使わず我慢した甲斐があって、ようやく本来の体を取り戻してくれた。攻め馬でもパワーを感じるようになっていたから、今日はやれると思って臨んだ。次開催に東北優駿がありますが、ローテーションもきついのでスキップすると思う。おそらく昨年のトーセンキャロル(ひまわり賞、OROオータムティアラの牝馬二冠を獲得)と同じステップになるでしょうね」
言うまでもなく牝馬は非常に繊細。調子を維持するのに苦労するし、立て直すのはさらに大変。ケープライトは東北優駿の選択肢もあるが、佐藤浩一調教師のコメントどおり、スキップする可能性が非常に高い。
それにしても山本聡哉騎手の重賞制覇数の多さには舌を巻く。2023年度開幕のスプリングカップ=ミニアチュールを皮切りに、赤松杯=グローリーグローリ、留守杯日高賞=ワイズゴールド、栗駒賞=ゴールデンヒーラー、ダイヤモンドカップ=ミニアチュール、あすなろ賞=グローリーグローリ、そしてイーハトーブマイル=ケープライト。5月21日、シアンモア記念以外は重賞を総なめにしている。5月時点で重賞7勝は間違いなく岩手競馬の新記録。今週の早池峰SSではカタナに騎乗する。3連覇を狙うキラットダイヤは強力だが、果たして結果はどうなるか。
今週の岩手競馬
6月4日(日) 第8回早池峰スーパースプリント(オープン 水沢850m)
6月5日(月) 初夏特別(A級一組 水沢1600m)
6月6日(火) 撫子特別(A級三組 水沢1600m)
5月28日に行われた3歳のマイル重賞『イーハトーブマイル』。この春ここまでの3歳重賞で上位を占めた馬がほとんど不在となったメンバーで争われたこのレースは2番人気に支持されたケープライトが優勝。2歳時には重賞若駒賞を制していた同馬が復活ののろしを上げる勝利を飾りました。
「今日の馬場傾向を考慮して少し控え気味の位置で戦おうと思っていました」とレース後の山本聡哉騎手が語っていたように道中の位置は4~5番手あたりに付けていたケープライト。直線はマツリダワールドとの競り合いになりましたがそれも凌いで半馬身差でゴール。昨年11月以来の白星を手にすると共に若駒賞に続いて二つ目の重賞タイトルを獲得しました。
これで3歳重賞戦線はここまで全て牝馬が勝利。そして山本聡哉騎手は今季7個目の重賞制覇です。
さて岩手競馬は昨年・一昨年とは開催日程が異なり5月~9月は水沢・盛岡の両競馬場を移動する形で行われます。異なりというか、それ以前のカレンダーに戻ったというべきでしょうか。ということで2開催4週間の盛岡競馬を終えて今週からは2開催4週間の初夏の水沢開催。今季はこのようなコース替わりの要素をどれだけ掴めるか・・・が予想のカギになっていくでしょう。
メインレースは12Rです。B1級ダート1600mの特別『紫陽花賞』。本命は(2)ヤマニンエステルを採りました。
今季の成績は前走で確保した2着が最高。しかし3月の春初戦以降はA級で戦っており、そこで徐々に成績を挙げてきていたという点は着順の数字以上に評価していいでしょう。
A級から降級して戦うという点は、ここは直近でB1級で戦っていた馬たちばかりでなく元A級という馬も多くそれほど大きな利点にならないかもしれませんが、そこは自身の良化分も武器にすることができると見ました。
対抗は(5)ストロングフォースを。こちらも春にB1→A級と昇級したりしての今回がB1に戻っての2戦目。この辺ではさすがに昨冬のような連勝こそできないものの、A級でも存在感ある戦いをしていた点は力を付けていると言っていいのでは。4月のB1特別桜並木賞では2番人気4着でしたがこの時は58kgを背負っての厳しい戦い。これもまた、それで大きく崩れなかったという評価になるはずです。
(9)レールガンは単穴三番手に。前走はあくまで展開負け、春の水沢での2着も勝ち馬がマイネルアンファンでしたからここは致し方ないところでした。水沢マイルに変わっても問題ないですし無理に評価を下げる必要は無いのですが、それなりに展開の影響を受けるタイプということでここは▲としました。
以下はまず(4)ベルフラカン。この馬もA級で戦って5着だった前走は展開負けと言っていいでしょう。同型が近い枠に揃っている点、逃げて有利とも言いがたい今週の水沢の馬場傾向からここまでに止めましたが、流れを掴めばの怖さとそれだけの地力があるのは確か。もう一頭は(10)キタノポケット。春先の勢いが薄れた感はあるものの、盛岡のダートは合わないと言い切っても良い成績です。コース替わり分を大きく見込む手はありでしょう。
●12Rの買い目
馬単(2)=(5)、(2)=(9)、(5)=(9)、(2)→(4)、(2)→(10)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
前日28日(日)から舞台が水沢競馬場へ替わった。現在ある地方競馬場で同一県に2ヵ所の競馬場を持っているのは岩手競馬のみ。昨年は3月から6月中旬まで水沢競馬だったが、以降は11月末までぶっ通しで盛岡競馬を実施した。
しかし今年は水沢競馬場に照明施設が設置されるなどの理由により、1ヶ月間の盛岡競馬から水沢競馬場へ移った。改めて言うことではないが、盛岡と水沢は真逆のコース。左回りバンケットコースから右回りフラットコースへと替わる。必然的に盛岡データは一旦クリアー。水沢コース適性も重要なファクターに加わる。
さらに開催替わりはコース傾向をつかむのにも時間がかかる。内が有利か外が有利か。先行有利か差しが届くか。時計はかかるのか、それとも高速決着か。馬場状態もしっかりチェックしてほしい。
29日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」。コース替わりだけではなく、各馬が一長一短。波乱の要素もたっぷりと含んでいる。
主軸はノースリュシオルとした。昨年10月、南関東1勝・C1から転入。格付けにも恵まれて2勝2着1回3着2回。着外一度のみと安定感を披露した。今季は初戦を快勝したが、2戦目7着。強豪がそろったB1特別・桜並木賞で2着に健闘し、続く一戦7着に凡走したが、前回快勝で雪辱。一戦置きの好、凡走で今回は凡走の順番が気になるが、前回パフォーマンスを素直に評価。水沢1400mも2着2回3着1回と問題ない。
ボーンブレジーヌは南関東C2から転入後、5勝2着1回3着1回と依然、底を見せていない。C1特別・駒形賞も鮮やか逃げ切り、前走1200mも完勝。充実一途をたどっている。今回はB2一戦のみでB1へ昇級。相手がかなり強化されたが、一連のタイムから十分通用する。
フェブサンカラは今季未勝利だが、2着2回。差し競馬もできるが、本質的には先行粘りが身上。絶好の1番枠を引き当て、逃げ必至。マイペースに持ち込んで逃げ残りを期待する。
フィナルタは今シーズン3着1回が最高だが、すべてA級戦。今回はB1降格でメンバーが緩和されたのは見逃せない。加えて水沢2勝2着3回3着2回とコース替わりは大歓迎。あっさりの可能性もある。
ミヤコプレジールは中央1勝クラス1戦から再転入。初戦で好位抜け出しを決め、幸先のいいスタートを切った。550キロ台の大型馬で小回り水沢がネックだが、昨年の水沢戦は直線で不利があった点は一考に値。
サンエイウルフは南関東2勝2着5回・B3から転入。ノースリュシオル、ボーンブレジーヌより格は上位だが、3着1回が最高。先行激化が条件で浮上あり。
◎⑥ノースリュシオル
〇③ボーンブレジーヌ
▲①フェブサンカラ
△②フィナルタ
△⑧ミヤコプレジール
△⑤サンエイウルフ
<お奨めの1頭>
1R ノットオンリー
勝ち切れないレースが続くが、毎回のように上位争いを演じている。メンバーが甘くなり、今度こそ首位を奪取する