7月17日に行われた岩手競馬での今季最初のグレードレース『マーキュリーカップ』は1番人気のJRA・ウィルソンテソーロが優勝。前走のかきつばた記念に続いてふたつ目のグレードタイトルを手にしました。
大外枠からハナを奪いに行ったメイショウフンジンをしばらくしてテリオスベルが交わすのは大方の予想通りの展開。先行勢の顔ぶれが入れ替わる中道中5番手あたりで機をうかがっていたウィルソンテソーロは3コーナー過ぎから一気に仕掛けると前の馬を次々と交わして突き抜けてゴール。上がり最速、勝ちタイム2分1秒8もコースレコードにこそ及ばなかったもののマーキュリーカップのレースレコードとなる好タイムでの快勝でした。
7月18日のメインレースは12Rに行われる芝の準重賞『桂樹杯』。上位3頭にはいしがきマイラーズの優先出走権が与えられる戦いです。
メンバーの多くは7月4日のかきつばた賞からの転戦組ですし、JRA時代あるいは盛岡での芝実績が豊富な馬たちばかりですが、今週は雨の影響で馬場状態が悪化しており16日は2歳新馬戦の芝がダート変更、17日の芝特別も重馬場で行われました。当日の馬場状態の変化には十分にご注意ください。
本命は(2)ソロフレーズです。
昨年のこのレースの覇者である同馬は、昨年はかきつばた賞、桂樹杯と制していしがきマイラーズで重賞初制覇。昨年の岩手の最優秀ターフホースにも選ばれているように盛岡芝巧者として最右翼の実力を備えているのは間違いないでしょう。
前走の、今年のかきつばた賞は5着と連覇はならなかったのですが、直線は先頭に立ってそのまま押し切るかという勢いを見せました。そこからちょっと失速したのはやはり3ヶ月の休養明けの分と考えて良いでしょうし、ひと叩きされた今回は今度こその計算をしていいでしょう。
対抗は(5)コスモカルナック。前走が岩手転入後初めての芝、それも初めてのマイル以上の距離。それで勝ち馬には届かなかったとは言えメンバー中最速タイの末脚を見せていたのは高く評価するべきもの。
3番手は(9)キョウヘイを。こちらは前走がB1級の芝特別での2着。あと一歩で勝てなかったのは惜しかったですが、芝で大きく変わってきた点は注目して良いでしょう。転入前はJRAオープンで3歳重賞シンザン記念の勝ち馬ですからね。やはり芝でこそと判断していいはず。あとは馬場状態の影響がどれくらいのものになる?
以下、昨年のオパールカップ2着で盛岡の芝適性は証明している(6)マイジュネス、やはり昨年の3歳芝重賞・サファイア賞を勝ってこちらも芝適性を示している(12)ブローヴェイスが連下。特に前者はダートのA級でも通用の走りを見せていますから芝での変身に注目しておきたいところです。
●12Rの買い目
馬単(2)=(5)、(2)=(9)、(5)=(9)、(2)→(6)、(2)→(12)
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海の日17日メインはJpnIII「第27回マーキュリーカップ(メイセイオペラ記念)」(盛岡ダート2000m)。最高負担重量はサンライズホープ、バーデンヴァイラーの55キロ。過去5年の傾向だが、実績馬よりも秋のビッグレースをにらんだメンバー構成。各陣営とも今後のレースへ出走権を獲得するためにも賞金を加算したい―が本音。予想の組み立てもそれが基本となった。
ウィルソンテソーロは今をときめくキタサンブラック産駒。先日のセレクトセールでも高額落札馬が続々と誕生したが、これまではイクイノックスを筆頭に芝の活躍馬がメインだったが、ダートでも大物誕生を予感させるに十分のパフォーマンスを披露している。
デビュー3戦の芝はいずれも着外だったが、4戦目からダートへシフトして本領発揮。4連勝を飾り、オープン入りを果たした。名古屋城ステークスは5着だったが、続いて名古屋JpnIII・かきつばた記念へ参戦。全日本2歳優駿馬ドライスタウトが1番人気に支持されたが、3~4コーナーからスパートをかけると鋭く反応。2頭の叩き合いに持ち込み、ハナ差で制して快勝。名古屋1500mレコードも更新した。
ウィルソンテソーロ陣営の期待も高く、秋はG/JpnIを目指すとのこと。重賞2連勝を飾り、是が非でもその切符を確実にしたいところだろう。
バーデンヴァイラーは昨年の覇者。テリオスベルが2コーナーからロングスパートをかけ、3コーナーでいっしょに上がるシーンもあったが、福永祐一騎手は無理をせず我慢。その好判断、好騎乗も後押し。直線で一完歩ごとに差を詰め、きっちり差し切った。JRAに戻ってシリウスステークス15着、チャンピオンズカップ14着に大敗したが、佐賀記念で重賞2勝目。名古屋大賞典は外から被せられて3着。目黒記念は芝が合わず18着に終わり、地方ダートへ戻ってマーキュリーカップ2連覇を狙う。
過去の例からも馬群がばらける地方交流向きは明らか。特にコースが広く、ゆったりと流れる盛岡ダート2000mはベスト条件。上がり馬ウィルソンテソーロは強力だが、コース経験と実際に勝っている強みを生かす。
テリオスベルは下総S(3勝クラス)、スレイプニルS(リステッド)2連勝から昨マーキュリーカップへ参戦。2番枠に入ったのが災い。外から続々と被せられて1周目スタンド前では最後方まで下がったが、2コーナーからロングスパートを敢行。逃げたメイショウフンジンを3コーナー過ぎにかわし、あとは独走状態に持ち込んだが、最後の最後でバーデンヴァイラーにつかまった。
以降も同様の戦法に持ち込んでJpnIII・クイーン賞を優勝。ほかのダートグレードでも2着3回3着2回と好走を続けた。前走・平安ステークスが久々のJRAダート。自分の競馬ができず大差しんがり負けを喫したが、これは仕方なしの結果。地方・盛岡で昨年の雪辱に燃える。
メイショウフンジンはダート6勝2着4回3着3回。ばてない先行力と粘りを身上とする。昨年マーキュリーカップは7着だったが、これはテリオスベルの奇襲(当時)に遭ったもので仕方なし。以降は軌道修正に成功し、さらに2勝を積み重ねた。今回は大外13番枠に入ったが、外なら番手の競馬にも対応。展開次第で上位を確保できる。
ヴァケーションは一條記念みちのく大賞典を圧勝。鮮やかな逃げ切りを決めて昨年のシアンモア記念に続いてビッグタイトルを手にし、シアンモア記念7着の雪辱を果たした。昨年はみちのく大賞典3着からマーキュリーカップでも3着に健闘。今年はみちのく大賞典馬の箔をつけ、地元の大将格で臨む。
◎⑨ウィルソンテソーロ
〇⑦バーデンヴァイラー
▲④テリオスベル
△⑬メイショウフンジン
△③ヴァケーション
<お奨めの1頭>
4R ウインルモンド
北海道から転入初戦で豪快なまくりを決めて完勝。メンバー強化感もなく、もう一丁いける
16日メインはオープン馬による盛岡ダート1000m戦「スプリント特別」。短距離向きがずらりと顔をそろえたが、1000m対応は各馬が一長一短。波乱の要素も十分含んでいる。
アップテンペストは笠松から再転入。名古屋在籍時に3歳重賞・梅桜賞、スプリングカップを制し、岩手へ戻って3歳重賞・やまびこ賞を優勝。牝馬クラシック三冠目・OROオータムティアラでも2着確保。自分の競馬ができれば、どんな距離にも対応できるのが強味。
その反面、外から被せられたり、乱ペースになると早々と失速するケースも多々。前走・岩鷲賞9着もその典型だった。好枠を利してハナレイがハナを主張し、アップテンペストは2番手を追走したが、その外にキラットダイヤ。アップテンペストは2頭の間に入り、厳しい競馬を強いられて直線失速した。このタイプは案外、ダメージが少ないのも特徴。我慢が利かず、あっさりレースを投げてしまうから反動があまりない。
今回の盛岡ダート1000m戦は未経験だが、前々走・早池峰スーパースプリントでうまく流れに乗ってキラットダイヤの2着を確保。この時も10頭立ての10番枠。内枠で激しい先行争いに巻き込まれることがなく、内側の動向を見てレースを進めることができる。メンバーも甘くなり、勝機到来した。
カミノコは昨年、中央ダート3勝、南関東A2を経て転入。3勝2着2回、JpnIII・クラスターカップで5着に善戦した。今シーズンは3着1回が最高だが、エンジンがかかったところで競馬が終わっている印象。終いの脚は確実に使っている。
不安材料は1000m対応。1200m4勝に対し、ダート1000mは2着2回。やはり前が止まらない1000m戦では置かれるのが致命傷となる。ただ地力は証明済み。今季初戦の盛岡1000m59秒6のタイムがあれば突破十分。あとは先行激化を期待したいところ。
セイシークエンスは今季も3勝2着1回3着2回。馬券対象から外れたのは休み明け戦の一度のみ。距離、条件を問わずに毎回上位争いを演じている。盛岡1000m戦も3走前、B1級だったが、2番手から抜け出しを決めた。今回はメンバーが骨っぽくなったが、勝ち負けに持ち込める。
カッチャオは盛岡1000m5戦1勝2着2回3着1回。近3走は着外続きだったが、条件が合わなかった。得意の1000m戦で巻き返しを狙う。
コパノラクラクは4走前、カッチャオの0秒1差2着。こちらも1000m戦は歓迎。
イディオムは中央ダート1200m2勝、ダート1400m1勝。南関東では精彩を欠いたが、岩手で心機一転を図る。
◎⑪アップテンペスト
〇⑥カミノコ
▲⑩セイシークエンス
△③カッチャオ
△①コパノラクラク
△⑦イディオム
<お奨めの1頭>
2R ラブファントム
転入戦をパーフェクト内容で完勝。強さが際立っていた。油断のできない相手がそろったが、もう一丁いける
先週9日(日)、3歳・地方競馬全国交流「第24回オパールカップ」(盛岡芝1700m)が行われ、単勝1・8倍の1番人気に支持されたラビュリントス(牝3歳 父キンシャサノキセキ)が4馬身差で圧勝。余裕の逃げ切りを決めた。
本田正重騎手「テンションがちょっと高くて引っ掛かりそうだったから、自然とハナに立つ形になった。道中は力んで走っていたが、余裕があったし、最後は緩めるぐらいの感じでゴールに入った。前回(橘ステークス)、1400mを使いましたが、そのぐらいの距離がベスト。1700mは気持ち長い気がしたので、できれば前に壁を作りたかったが、行く気を優先した。ここ2戦JRAの強いメンバーと戦って、馬自身も力をつけていると思います」
内田勝義調教師「JRA2戦を使った後は、このオパールカップを目標に態勢を整えた。今回、改めて盛岡芝適性の高さ、強さをお見せすることができた。次走は馬の状態を見ながら、オーナーさんと相談して決めたい」
ラビュリントスは川崎移籍後、2戦連続でJRA芝へ挑戦した。昨年、知床賞、芝交流・ジュニアグランプリを連勝。これで盛岡交流3戦3勝としたが、盛岡芝の適性は相当レベル。個人的にはOROカップを目指してほしいと思うが、選択肢の中には間違いなくあるはず。今後の動向に注目したい。
11日(火)は岩手版オークス「第37回ひまわり賞」(盛岡ダート1800m)。こちらも単勝1・1倍、圧倒的1番人気に支持されたミニアチュール(牝3歳 父ラブリーデイ)が大差で圧勝。転入後、無傷の7連勝を飾り、重賞6連勝。世代トップの実力をまざまざと見せつけた。
山本聡哉騎手「今日は絶対に勝たなければならないレースだと思って臨んだ。位置取りは出たなりだったが、出脚があるのでハナに立つことになった。道中の手応えも抜群。3コーナーで大丈夫だなと思った。2着の馬(ケープライト)も自分が乗っていた馬でしたし、東北優駿も強かったので、不安を持たずに乗った。前回、初めての盛岡だったダイヤモンドカップは最後で止まってしまったが、今日は1800mでもしっかり伸びてくれました」
佐藤祐司調教師「やはり左回りだとぎこちない面があるが、それで圧勝ですからね。改めて強い馬だと思った。次走は不来方賞へ直行予定。牝馬だが、牡馬クラシック三冠を取りたいと思っていますし、その先も視界に入っています」
牝馬の岩手牡馬クラシック三冠制覇は史上初の快挙。今回のレースパフォーマンスを見れば不来方賞=盛岡ダート2000mも問題ない印象。佐藤祐司調教師のコメントには入れなかったが、"その先"とは今年で終止符を打つダービーグランプリ。まずは三冠制覇へ万全の態勢で臨むことになる。
今週の岩手競馬
7月16日(日) メイン11R 「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1000m)
7月17日(月) メイン12R 「第27回マーキュリーカップ(メイセイオペラ記念)」(JpnIII 盛岡ダート2000m)
7月18日(火) メイン12R 「第46回桂樹杯」(オープン 盛岡芝1700m)
7月9日に行われた3歳芝の地方競馬全国交流重賞『オパールカップ』は1番人気に推された川崎・ラビュリントスが優勝。昨年の知床賞・ジュニアグランプリに続いて岩手で3つめの重賞タイトルを獲得しました。
単勝オッズはラビュリントスが1.8倍、昨年は同馬としのぎを削ったナイトオブバンドが5.3倍、その間に割って入る新規勢力エオリエンヌ4.7倍、地元勢トーセンカタリーナがそれらに続く6.2倍という人気でスタートしたオパールカップ。しかしレースは終わってみればラビュリントスのワンサイドの勝利でした。
逃げたラビュリントスを巡って人気どころが追走していく形。しかし1コーナーで3馬身ほどのリードを取ったラビュリントスの脚色は最後まで衰えず、そのリードを保ったまま、最後は手綱を抑える余裕まで残してゴール。後続を完封する4馬身差完勝となりました。
ラビュリントスは岩手で重賞3勝目、鞍上の本田正重騎手は昨年のこのレースをウンで制しており、遠征騎手ながらオパールカップ連覇を達成しました。
7月11日のメインレースは11Rに行われる3歳牝馬の重賞『ひまわり賞(オークス)』。"オークス"の副題があることで分かるとおり3歳牝馬三冠路線の二冠目に当たる戦いです。
一冠目に当たる留守杯日高賞は遠征馬のワイズゴールドが制しているので出走各馬ともにここが仕切り直しの"牝馬一冠目"。昨年はトーセンキャロルがひまわり賞・OROオータムティアラの二冠を制しており、それに続く"二冠牝馬"の登場が期待されます。
とはいうものの本命は、牝馬ながら牡馬の二冠を制している(1)ミニアチュールで不動でしょう。
岩手転入後は6連勝、そのうち重賞では5連勝。3月のあやめ賞を制したあとは牡馬路線に進み、三冠前哨戦スプリングカップから牡馬一冠目ダイヤモンドカップ、同二冠目東北優駿まで一気に手にしています。
今回は東北優駿で上位を争ったライバルがほとんどおらず7着ツアーモデルのみ登場。その他の馬たちもほとんどはこれまで破った相手。とすれば自身との戦い、距離との戦いということになるのでしょうが、2000mを克服したあとでの1800mなら不安は大きく減ったということになるはず。もちろん距離に関してはまだ安心とは言えないかもしれませんが、相手関係的なものに加え中間雨が多く比較的軽い馬場になったことはこの馬にとって味方になる材料。牡馬二冠に続いて牝馬の一冠を獲得できるかどうか?は「獲得できる」方が濃厚と見ます。
対抗は(7)ケープライトを。2歳時には若駒賞優勝はじめ若鮎賞2着・金杯3着と世代上位の成績を残していた馬。春先は調子が戻らず不振でしたが前走のイーハトーブマイルで復活Vを果たしました。ここまでの距離経験はマイルまで、2000mを経験した相手に対しては不利な材料ですが、父ジャスタウェイなら中距離にも対応できるはず。自身の上昇分でどこまで、という位置。
(5)トーセンジェミニに未知の魅力を期待してみたいと思い三番手に据えますが、ブレイブスマッシュの全妹という血統で距離に関しても未知数。上位争いの一角となれば。
(9)ユウユウレラシオンはダイヤモンドカップ4着、ウイナーカップ3着とここに来て上昇感。ここまではスピードを活かした戦いだった印象で距離をどうこなすかは一応の課題ですが、マイルのダイヤモンドカップではメンバー中でも上位の上がりを繰り出しているのですから牝馬同士の1800mなら、の狙いは立つでしょう。
もう一頭は(6)ツアーモデル。重賞は前走の東北優駿7着のみの経験、それは不利な材料ですが、近走徐々に力を付けてきている点に注目。
●11Rの買い目
馬単(1)=(7)、(1)→(5)、(1)→(9)、(1)→(6)
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