7月24日(月)、第10R・B2二組(盛岡ダート1600m)で1番人気に支持されたエスペルトが7馬身差で圧勝。この勝利で管理する板垣吉則調教師は通算1000勝を達成した。
板垣吉則調教師は1996年、上山競馬でデビュー。與那覇アナウンサーいわく"柿ピー"の愛称で2000年、2001年と2年連続でリーディングジョッキーに輝いた。その後、上山競馬の廃止に伴い、2004年から岩手競馬へ移籍。2005年6月、通算1000勝をマークした。しかし体調不良のために2010年、調教師免許取得とともに騎手免許を返上。
調教師開業とともに白星を次々と積み重ね、2015年には127勝。岩手競馬の調教師最多勝利の記録を大幅に更新した。今回の調教師1000勝も史上最速での記録達成となった。
板垣吉則調教師「ここまでリーディング7回ですか。やはり勝負の世界、結果を出してナンボの世界ですからね。開業当時から勝ちにこだわることを考えてやっています。そう、数字と言うよりは結果にこだわっていきたいと思っているので、その結果が数字につながって1500勝、2000勝となっていってくれるなら嬉しいですね」
今年も7月25日時点でリーディングトレーナー首位に立っている板垣吉則調教師は岩手県競馬調騎会会長の重責も務め、多忙を極めている。
話は前後するが、23日(日)、3歳・地方競馬全国交流「第11回ハヤテスプリント」(盛岡ダート1200m)が行われ、大井代表・スタードラマーが早め先頭に立ったクラティアラをきっちり差し切り、初重賞を手にした。
吉原寛人騎手「スタートで置かれないよう気をつけたが、互角で出ることができたので、いい位置を取れた。勝負どころで離され気味になったので届かないかと思ったが、直線の坂あたりの速力がすごかった。中間、暑かったので体調管理が大変だったと思うが、とてもいい状態に仕上げてくれたのも勝因です」
須田和伸調教師「この前(優駿スプリント)で一杯に仕上げたから、今回はその体調を維持できるかが課題だった。でも盛岡は涼しくて気候が良かったので、いい感じで臨むことができた。優駿スプリントの時はパサパサの砂でキックバックを嫌がっていたが、今日は良馬場でも水気が残っていたのが良かったと思う。この後は休養に入る。秋以降は古馬との戦いになるから、それに向けて準備をしたいと考えています」
須田和伸調教師は旧知の間柄だった。1990年代、JBC創設の話を聞き、毎年アメリカのブリーダーズカップを取材したが、須田和伸さん(当時は厩務員)も研修でブリーダーズカップにきて知り合った。今回は優勝インタビューでの再会だったが、自分のことのようにうれしかった。
今週の岩手競馬
7月30日(日)「第45回せきれい賞」(地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)
7月31日(月)「第24回フェアリーカップ」(牝馬準重賞 盛岡ダート1800m)
8月1日(火)「第24回若鮎賞」(2歳 芝1600m)
7月23日に行われた3歳馬による地方競馬全国交流重賞『ハヤテスプリント』は1番人気に推された大井からの遠征馬スタードラマーが優勝。同馬は自身初の重賞タイトルを獲得しました。
果敢に飛ばした地元エイシンゲッコウを浦和クラティアラが追い、それを他の馬たちが一団で追うという序盤の展開のなかでスタードラマーはその馬群の中という位置。3コーナー過ぎから仕掛けていった同馬でしたが直線に向いたところでは前との差はまだ5馬身ほど。鞍上・吉原騎手も「間に合わないかと思った」と振り返ったほどの差でしたが、いよいよエンジンがかかったスタードラマーは猛烈な伸び。坂を越えて一気に伸びると、粘り込みを図るクラティアラをクビ差捉えたところがゴール。強烈な末脚を繰り出しての差し切りで自身の重賞初制覇を飾りました。
7月25日のメインレースは12Rです。B1級ダート1600mの『夢・希望 未来へ前進』。本命は(5)ストロングフォースを採りました。
昨秋の転入直後、昨シーズンは4連勝、6連続連対と大活躍を見せた同馬。B1級スタートの今季は昨季ほどの連勝こそないものの、途中A級に上がっても健闘するくらいに力を付けている戦績です。
前走にしても2着に退けたセイシーキング、3着に退けたヴォウジラールはいずれもA級で勝ち負けを争っていた馬。今回もA級から降級してきた馬が少なくない顔ぶれですが、そんな前走を思えば相手強化感は無い、むしろ強気にもなれる・・・というのがこの馬の近走の勢いでしょう。同様に、盛岡のマイルも前走で完全克服と見るならば、ここでの本命視も自然というもの。
対抗は(4)ヴォウジラールでどうでしょうか。前走では◎の3着でしたが脚質的にどうしても展開や馬場傾向の影響を受けやすいタイプ。昨年はA級一組や重賞でも連対、今季も、春先のあまり調子が上がってない時期でもA級上位で掲示板争いをしていました。徐々に調子が上がりつつある今ならもう一段上に食い込んできても良いはず。
3番手は(3)ツーエムプライドを狙ってみます。つい最近までは短距離主体で戦っていましたが二走前のマイル戦で流れが変わりました。短距離で押していくとかかってしまって最後まで持たない。ある程度じっくりいけるマイルの方が粘りを発揮できる・・・というのが変身の理由。同型もいてそんな二走前ほど楽には戦えないでしょうが、今の馬場なら前残りになってしまう可能性も十分にあるでしょう。
ヒモは先行タイプから(2)マルケイアロー、好位差しタイプから(6)ヤマニンスプレモを。前者はここだと相手が若干キツい印象があるものの、それでも相手なりに手堅い面を評価して、後者は勝ち負けまではまだ少し差がありそうですが2番手3番手争いなら差はないと感じる近走からピックアップ。
●12Rの買い目
馬単(5)=(4)、(5)=(3)、(5)→(2)、(5)→(6)
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24日メインはB1級特別「浜木綿賞」(盛岡芝1600m)。今シーズンの芝は当初、前が止まらないレースが続いたが、徐々に差しも届くようになってきた。脚質の有利不利はあまりないと判断していいが、中間の雨がどう影響するか。芝の状態をしっかりチェックしてほしい。
ギャレットは2歳時に活躍。重賞・若鮎賞を完勝し、芝全国交流・ジュニアグランプリでモリデンブラックの0秒2差2着。続いて芝1600m・JRA認定競走で2勝目をマーク。2歳芝路線をリードしたが、笠松へ移籍。3戦を使って里帰りして3歳芝準重賞・はまなす賞で1番人気に支持されたが、伸びを欠いて3着。以降はスランプに陥り、体のラインも崩れた。
今季は始動を5月まで遅らせたのは回復を優先したため。復帰戦は8着だったが、2戦目5着。復調の兆しをうかがわせ、オープン芝重賞・かきつばた賞へエントリー。8番人気の低評価に甘んじたが、メンバー最速タイの上がりを使って0秒4差4着。これでメドが十分に立った。
当初は桂樹杯の登録があったが、残念ながら抽選モレ。今回は自己条件のB1級に戻って大幅にメンバーが緩和。復活の雄たけびを上げる絶好機を迎えた。元々、芝ならオープン重賞でも勝ち負けできる能力の持ち主。首位をがっちりキープし、再び重賞へ殴り込みをかけたい。
キタノポケットは中央芝2着2回から転入初戦、B2・芝1600mを快勝。その後はダートで2勝をあげて再度、中央入りしたが、今年4月に再転入。2戦目の水沢1600mを快勝した。その後は低迷を続けたが、前々走のB1芝1700m・朝顔賞3着。改めて芝が合うことを証明した。前走は直線で不利もあって9着だったが、今回がエンジン全開の舞台。
ボーンブレジーヌは大井2勝から転入。6勝2着1回3着1回の好成績を収めて芝1000m戦にエントリー。2番手をキープしたが、直線失速7着。初の芝と1000mの忙しい競馬にとまどったが、今度は2度目の芝。距離も1600mへ延長されれば自分の競馬ができるのは確実。父ダイワメジャー、母父サドラーズウェルズなら陣営が芝にこだわるのも納得がいく。
ベアーザベルは昨年、中央芝2着2回から岩手入り。3歳芝1700m準重賞・はまぎく賞タイム差なし2着、続く芝2400m重賞・サファイア賞でも2着確保した。以降は4着最高だったが、ダートが合わなかったのがすべて。前走は久々の芝だったが、1000m向きではなく11着に終わった。その意味で今回が正念場を迎えた。
ラングロワは中央芝2勝、笠松1勝を経て転入。2戦目から芝へ連続出走したが5、4着。正直物足りなかったが、今度が真価を問われる一戦となった。
エムワンハルコは盛岡芝4勝2着4回とメンバー中一番の適性を誇る。気になるのは近2走の芝で連続6着と精彩を欠いていることだが、見限れない。
◎②ギャレット
〇⑥キタノポケット
▲⑤ボーンブレジーヌ
△⑦ベアーザベル
△⑧ラングロワ
△④エムワンハルコ
<お奨めの1頭>
9R キモンリッキー
転入2戦目から短距離にシフトして2連勝中。前走1200m戦では2着に1秒2差をつけて圧勝した。もう一丁いける。
23日メインは3歳馬による地方競馬全国交流「第11回ハヤテスプリント」(盛岡ダート1200m)。当初5回は盛岡ダート1000mで行われたが、第6回から盛岡ダート1200mへ距離延長。同時に3歳・地方競馬全国交流に昇格し、遠征馬4勝、岩手1勝。遠征馬が優位は今年も動かない。
スタードラマーは北海道3勝から南関東へ移籍後、いきなり3連勝。スプリント重賞路線に乗り、優駿スプリントトライアル2着。スタートは一息だが、行き脚がついてからの伸びが実にシャープ。本番の優駿スプリントでも4番人気に支持されたが、出遅れて後方2番手からの競馬。直線で36秒9の末脚を駆使したが、1秒3差7着に終わった。
今回の課題はスタートと位置取り。後方からの競馬で果たして直線300mの盛岡坂で届くかどうか。陣営もそれは織り込み済みで鞍上に盛岡コースを熟知している金沢・吉原寛人騎手を指名。優勝請負人の同騎手が、スタードラマーをどう御すかも楽しみの一つとなった。
クラティアラは北海道2勝から南関東入りして船橋1200m・弥生スプリントを快勝。重賞・若潮スプリントで出遅れながらも3着を確保し、前々走・浦和1400m2着。優駿スプリントは3番手を追走したが、超ハイペースに巻き込まれて直線失速11着。厳しい競馬に苦戦を強いられた。
しかし今回は先行馬がそろったとはいえ、自分の競馬ができるのは確実。ペースも優駿スプリントのように速くなることは考えられない。母クラフィンライデンは北海道vs岩手交流・岩手山特別を快勝し、北海道重賞・エトワール賞を制した強豪牝馬。岩手の地で初重賞を狙う。
ピノホホッアはデビュー戦を快勝し、2戦目のゴールドジュニア3着。3戦目で首位を奪回してハイセイコー記念3着、ニューイヤーカップ2着。4ヵ月の休養明け東京湾カップ4着から東京ダービーへ挑戦したが、相手が強く距離も長かったため15着。南関東クラシック路線を歩んできた。今回は久々の1200m戦だが、ゴールドジュニアで経験済み。メンバーが甘くなって反撃必至。
ボルドートロギルは北海道1勝、大井1勝のみだが、すべて5着以上。1400m以下を舞台に堅実さを発揮している。ここ2戦もトライアル3着、優駿スプリントでは今回のメンバーで再先着を果たした。あとは最後の爆発力と初の左回りだが、器用さも兼ね備えているのが強味。
デザートウインドは北海道2勝から船橋へ移籍。若駒スプリント(1200m)を快勝後、ユングフラウ賞3着から牝馬クラシックへ駒を進めて2戦11着。その後は短距離にシフトし8、9着だったが、今回のメンバーならタイムそん色なし。
地元注目はヌンヌンシー。2戦着外後、前回1000m戦を1秒2差で圧勝。展開にも恵まれたが、短距離向きをアピールした。父は"幻の三冠馬"ロールボヌール。その血が騒ぐか。
◎⑦スタードラマー
○⑩クラティアラ
▲④ピノホホッア
△⑨ボルドートロギル
△⑬デザートウインド
△⑤ヌンヌンシー
<お奨めの1頭>
3R ハナマウイ
1年8ヵ月の長期休養から復帰戦を完勝。地力の高さを誇示した。ひと叩きされてさらに良化は確実
7月17日(月祝)、海の日に「第27回マーキュリーカップ(メイセイオペラ記念)」(JpnIII 盛岡ダート2000m)が行われた。優勝は1番人気ウィルソンテソーロ。テリオスベルを残り200mで捕らえると、一瞬のうちに突き放して4馬身差で圧勝。かきつばた記念に続いて重賞2連勝を飾った。
詳細レース報告はウェブハロンで書いたので、そちらを読んでほしいが、ここではそれ以外のネタをお伝えしたい。ウィルソンテソーロは次走以降について未定だが、今回の圧勝で陣営は手ごたえをしっかりつかんだ。まだJpnIII2勝。今のダート界は強豪が目白押しでハードルは決して低くはないが、反応の鋭さを考えるとチャンピオンズカップ向き。川田将雅騎手「今後はもっと上のステージでも戦えるよう、準備ができてほしいと思います」。まったく同感だ。
テリオスベルは2年連続でマーキュリーC2着。相変わらずスタートダッシュは一息。外から次々と被せられて中団まで下がったが、200mぐらい走ったところ、馬群がばらけてうまく外に出した。そこから手をしごいて2コーナー過ぎにハナを奪った。あとはマイペースに持ち込んで、3コーナーで後続に3馬身差。4コーナーでも同様のリードを保ったが、ウィルソンテソーロの末脚にはお手上げ。むしろ2着を死守したことを褒めるべきだろう。余談だが、江田照男騎手は4コーナーまでのリードを確認して「もしかすると」と思ったそうだ。
3着メイショウフンジンは大外から逃げたが、鞍上のアクションを見れば、当初からの作戦だったようだ。テリオスベルがハナを主張―も想定どおりだが、基本は逃げ馬。交わすまでには至らなかった。
4着バーデンヴァイラーはスタート直後に内によれて態勢を立て直し、ウィルソンテソーロの直後を追走。3コーナーでも一緒に上がっていったが、3着からも7馬身差離された。坂井瑠星騎手「最初バランスを崩し、右前の落鉄の影響もあったのか、勝ち馬があがって行ったときに動いたが、伸びがなかった」。今年は外から被せられることがなく自分の競馬はできたが、案外の結果。目黒記念の影響があったか。答えは次走に出るに違いない。
5着サンライズホープは今年3戦連続で二けた着順だったが、ひとまず巻き返しに転じた。パドックで馬っ気を出して集中力を欠いたのではと幸騎手に聞いたが、「レースには影響なかった。内枠に入ったが、思ったどおりの競馬ができた。キックバックを嫌がるタイプだけど頑張ってくれた」。復調の兆しがうかがえたかもしれない。
7着ヴァケーションは3番手インを追走。昨年は3着に健闘したが、村上忍騎手「行きたかったので前の競馬になった。ああなれば引くに引けないから、それで最後は一杯なってしまった」。一條記念みちのく大賞典に比べてテンションが高かったのも敗因か。競馬は難しいと改めて思った次第。
今週の岩手競馬
7月23日(日) 「第11回ハヤテスプリント」(3歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1200m)
7月24日(月) 「浜木綿賞」(B1・盛岡芝1600m)
7月25日(火) 「夢・希望・未来へ前進」(B1・盛岡ダート1600m)