
15日(月)、盛岡ダート1200mを舞台に行われたJpnIII「第28回クラスターカップ」はリメイクが完勝。衝撃的なゴールだった。
レースは予想どおりドンフランキーが逃げ、内からアップテンペストも先行する構えを見せる。3番手外にスペシャルエックス、その内にオーロラテソーロ。5番手インにリュウノユキナ。リメイクは中団を追走。3コーナーでは先陣グループとは10馬身以上の差があった。
逃げるドンフランキー、2番手外にスペシャルエックス、オーロラテソーロも遅れず追走したが、3~4コーナーからリメイクが満を持してスパート。先陣グループはドンフランキーを基軸に外を回ったが、リメイクはインを強襲。いつ抜け出したか分からなかったが、外目コースで逃げるドンフランキーを残り200mで捕らえた。レースリプレイ、川田将雅騎手のコメントで分かったが、リュウノユキナの内から一瞬のうちに突き抜けた。
あとはリメイクの独壇場。ドンフランキーに2馬身半差をつけ、カペラステークスに続いて重賞2勝目を手にした。この時、リメイクが使った脚が上がり3ハロン33秒5!。レース上がりが35秒0。いかに強烈な末脚だったか、この数字でも一目瞭然だった。盛岡ダート1000m戦なら過去に記憶があるが、盛岡ダート1200mで33秒5は史上最速。リメイクの末脚に舌を巻いた。
川田将雅騎手「ポジションは気にすることなく、馬のリズムを優先したら中団からの競馬になった。直線は外に行く形にならなかったので、並びから内を選択した。前回(プロキオンステークス)負けた相手ですし、直線で渋太く残っていたから、こちらも最後まで頑張ってもらった。これから楽しみな将来が待っている馬ですので、無事に勝ち切れて何よりです」
新谷功一調教師「(鞍上が)スタートから馬のリズムを狂わさずにレースを進めてくれた。ドンフランキーにどこまで粘られるか心配だったが、雪辱を果たせた。前回2着に敗れ、きゅう舎一同が悔しい思いをした。プロキオンステークスが初対決だったから、心理的な戦いでもあった。リメイクの強さはわかっていたが、ほんの少し足りなかった。今回はそれを調整して臨んだが、1200m戦でよりリメイクの良さが出たと思う。今のところ韓国(コリアスプリント)に登録しているが、馬の状態を見ながら次走を決めたいと思っています」
どうやら陣営はアメリカのブリーダーズカップ・スプリント(今年はサンタアニタ競馬場)も視界に入っている模様。ぜひ、夢を実現してほしいと思う。
自分は本命ドンフランキー、対抗リメイクにしたのには訳がある。クラスターカップは基本、先行馬に有利だったからだ。前半ハイペースで飛ばしても、そのまま押し切るレースを何度も見てきた。ドンフランキーは前半3ハロン33秒6、上がり3ハロン35秒4。決して脚が上がったわけではなかった。普通なら逃げ切れるパターンだった。
リメイクの海外2戦リヤドダートスプリント、ドバイゴールデンシャヒーンのビデオを何度も観た。確かに直線の伸びはすばらしかったが、それでも3、5着。ましてや盛岡ダート1200mで届くか半信半疑だったが、リメイクの破壊力が凄すぎた、強すぎた。思わず脱帽した。次走の決定を待ちたい。
今週の岩手競馬
8月20日(日) メイン10R 「第41回ビギナーズカップ」(2歳 水沢1400m)
8月21日(月) メイン12R 「秋桜賞」(B1級 水沢1400m)
8月22日(火) メイン11R 「夢・希望・未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)
8月15日は盛岡競馬場でクラスターカップが行われます。ダート1200mのグレードレースJpn3、出走は14頭。このあとは東京盃からJBCスプリントに繋がっていくスプリント路線の重要な一戦になりますね。
まず最初に馬場状態について。この週末の盛岡競馬は中間の雨の影響に加えて開催中もしばしば強い雨が降りました。13日は終盤のメインレース頃に土砂降りの雨が降りましたし、14日は断続的に強めの雨が来ました。15日も夜間から早朝にかけて時折強めの雨が降っています。15日の日中はそれほど強い雨ではない予報ではありますがぐずついた空模様が続きそうで、馬場状態の急激な回復は無いと考えておく方が良さそうです。
となると先行有利、スピード優先という馬場傾向になるでしょう。その程度が、昨年のように、レース直前の土砂降りの雨で水が浮きまくるような状態なのか、あるいは2020年にマテラスカイが日本レコードを出した時のようにある程度回復して、当時の発表では良馬場でしたが"稍重に近い良"で非常に脚抜きが良かった状態になるのか?がレースの行方をも左右しそう。今この原稿を書いている段階ではなんとも言えませんが、ここのところも突然天候が急変するような事が続いていますし、馬場状態・馬場傾向の変化にはレース直前まで気をつけておいてほしいですね。
ということで予想に行きましょう。クラスターカップの本命は(5)リュウノユキナです。
前走は4月の東京スプリント。先行勢の直後に付けたものの直線に入っても進路が無く、最後は半ば強引に割って出てくるような形の勝利ではありましたが、海外遠征帰り初戦・8歳になっての国内初戦ということを思えば力量にいまだ衰えなしと言っていい内容でもあったと思います。その時に退けた2着馬ケイアイドリーがその後北海道スプリントC優勝、3着オーロラテソーロは昨年のクラスターCで先着された相手・・・ということをあわせて考えても地力健在という評価でいいはずです。
昨年は、JBCの出走権を獲るために間隔を詰めて使っていた面もありました。東京スプリントを勝ってローテーションに余裕ができたのならこれまでとは違って4月からの直行になるという点を心配しなくていいでしょう。そして一昨年のこのレース優勝、昨年は2着、JBCスプリントでも2着と盛岡1200mは3戦1勝2着2回という実績は今回のメンバー中でも最右翼のもの。となれば昨年ではなく一昨年の再現に期待してみたいところ。
対抗は(8)リメイクとしました。デビューからずっとダートで戦ってきてグレードでも上位の結果を残してきていますよね。中でも目を惹くのが昨年12月のカペラS。絵に描いたような直線一気の差し切り勝ちはこの馬の時代の到来を想像させるものでした。その後海外遠征を挟んでの前走プロキオンSは逃げ馬を捉まえきれなかったのがちょっともったいなかったですが地力は証明。今回はどのような手を採ってくるか?カペラSのような鬼脚を見たい気はしますがそれには馬場傾向・・・でしょうか。であれば手堅い立ち回りに期待。
(6)ドンフランキーは3番手に。3勝クラスを勝ってオープン入りしたのは今年の冬。それで7月にはプロキオンSを制したのですから"強い4歳世代"はその名の通り強い、ということですよね。逃げを武器に戦ってきていますし左回りも今では問題ないと思いますが、ひとつ懸念材料を挙げるとすればダートスタートだと芝スタートほどの出足が無い点。それでも最終的にはハナに立っているとは思いますが一応の不安点として。
△は3頭。まず一頭目は(10)オーロラテソーロ。昨年の覇者をこの辺にするのは申し訳ないですが、昨年の参戦時のような上り調子の勢いまでは・・・という気がします。ひとつ注目しているのは脚質転換。前走は好位差しの競馬で勝ちきりました。スタートが決まれば前に行くのでしょうが、自分はこの差し競馬をやってきた時の方が怖いように思っています。
(13)スティールペガサスは昨年の北海道スプリントが5着、今年が3着。6歳を迎えて充実期に入っている印象があります。遠征競馬はもうひとつの面もありますが盛岡では2歳時の南部駒賞で2着の経験あり。今の力を発揮し切れたなら上位に。
もう一頭は(9)アポロビビ。いつも出遅れますよね。それで不利になるんですが、それでも巻き返してくるだけの力があってのさきたま杯4着、東京スプリント6着。一概に軽視は不可と考えたいですね。
◎(5)リュウノユキナ
○(8)リメイク
▲(6)ドンフランキー
△(10)オーロラテソーロ
△(13)スティールペガサス
△(9)アポロビビ
●10Rの買い目
馬単(5)=(8)、(5)=(6)、(8)=(6)、(5)→(10)、(5)→(13)、(5)→(9)
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14日メインはA級三組「竜胆特別」(盛岡ダート1600m)。恥をしのんで言います。竜胆の読み方を知りませんでした。正解は"リンドウ"。花言葉は薬草でもあることから『病に打ち勝つ』。転じて『勝利』。『正義感』なんだそうです。勉強になりました。
なので本命はストロングフォース。ストロング=強い、フォース(Force)=強さ。竜胆(リンドウ)特別に一番ふさわしい名前です。
余談はここで終わらせます。ストロングフォースは昨年10月、中央未勝利から転入。C2スタートにも恵まれて6戦5勝2着1回。連対パーフェクトでシーズンを終えた。今季も初戦3着から2戦目を快勝し、順調な滑り出し。しかしB1級とA級を行き来してその後は1勝のみ。2着1回3着3回4着3回。抜群の安定度を誇りながら、勝ち味の遅さが目につくようになった。
ストロングフォースは単有力とは言えない面があるが、今回は先に行きたいメンバーがそろってハイペースの可能性大。おあつらえの展開に持ち込め、近走のうっ憤を晴らす格好の舞台。
リュウノゾロは門別デビュー2連勝を飾り、イノセントカップ9着から園田(競走除外)を経て中央へトレード。ダート短距離で2勝をマークして3勝クラスに在籍した。その後。南関東、高知1勝と転籍して岩手入り。初戦の水沢1400mを完勝し、2戦目2着。短距離路線をにぎわすかと思ったが、脚部不安のために戦列離脱。今回は4ヵ月ぶりの実戦だが、放牧先で乗り込まれて帰郷。マイルは気持ち長い印象もあるが、いきなり勝ち負けに持ち込める。
ギャレットはデビュー3戦目、盛岡芝1600m重賞・若鮎賞を優勝。芝交流・ジュニアグランプリ2着。続く芝1600mで2勝目をマークし、冬場は笠松へ移籍。3戦を使って帰郷したが、初戦の3歳芝準重賞・はまなす賞3着後、長い低迷期に入ってしまった。確かに体のラインが崩れて、2歳時の迫力を取り戻せずにいた。
今季も苦戦を強いられていたが、芝準重賞・かきつばた賞4着から前回、B1級芝を快勝。2歳10月以来、久々の美酒を味わった。今度はダートが舞台。2歳デビュー戦の850m2着が最高でダート対応がネックだが、復活した今なら克服できる。
メイショウメイスイは昨年、南関東C1から転入後、6勝を荒稼ぎしたが、今季は着外の連続。しかし近2走はタイム差0秒6、0秒7にまとめており、復調の兆し。
カッチャオは短距離をメインに活躍。今季も2勝2着1回3着4回と善戦している。カギはマイル延長だが、控える競馬ならガマンする。
ミュアウッズは休み明け後は3戦着外だが、徐々に状態は上がっている。
◎⑦ストロングフォース
〇②リュウノゾロ
▲④ギャレット
△①メイショウメイスイ
△⑤カッチャオ
△③ミュアウッズ
<お奨めの1頭>
1R スターアイランド
前走2着は枠順の差も大きかった。今度はベルヴュードライヴが6番枠に対し、絶好の1番枠。今度こそ逃げ切りを決める
13日メインはOROカップ・トライアル重賞「第3回いしがきマイラーズ」(盛岡芝1600m)。1着馬から3着馬に優先出走権が与えられる。2年連続で出走するのは優勝馬ソロフレーズを含めて4頭だが、いずれも無印。1年で勢力図がガラリと変わった。
アルサトワは中央時代、芝20004勝、芝1800m1勝、芝1600m1勝。重賞挑戦の経験を持ち、今年はダートグレード・名古屋大賞典へ遠征。果敢に逃げて4着に粘った。転入初戦に芝2400m交流・せきれい賞を選び、2番人気に支持されたが、逃げの手に出て5着。スローペースに落としたが、後続の強襲に屈した。
ただ酌量の余地は十分ある。せきれい賞は交流昇格後、逃げ切りは一度もなし。コスモヴァシュランのように向こう正面で先頭に立って圧勝のケースはあったが、逃げ切りは何故か至難の業。おそらく目標とされる流れと、後続が早めにスパートをかけるため直線一杯になってしまったと思う。
今回は12頭立て大外12番枠。アルサトワは過去6勝のうち5回が逃げ切りだが、揉まれない外枠なら控える競馬も問題なし。むしろ内の動きを見ながらレースを進めることができる。ハナを主張するのは間違いなくハナレイ。2、3番手キープから直線抜け出しを狙う。
キョウヘイは2017年のシンザン記念馬。その後、1勝を積み重ねたが、その後は勝ち切れず岩手へ新天地を求めてきた。初戦の水沢1600m戦を3着にまとめたが、以降は3戦連続で6着。パワーの要るダートに手こずった。
前々走・朝顔賞は待ちに待った芝を迎えたが、逃げたフェブサンカラを捕らえきれず0秒1差2着。復活は遠いかと思わせた。しかし今シーズンの盛岡芝は前が止まらない馬場。開幕週3日間はすべて逃げ切り勝ち。キョウヘイは追い込みタイプゆえ、届かないのも仕方なしだった。
続いて準重賞・桂樹杯へ臨み、例によって後方からの競馬だったが、直線鮮やかな抜け出しを決めて快勝。ブラックバゴの追撃をハナ差封じ、待望の勝利(そのくだりはテシオコラム、うまレターに書きましたので、そちらをご覧ください)。感動的な復活劇を演じた。
シンザン記念、前走・桂樹杯とも重馬場。今週末の盛岡は土曜日に雨が降りそうだが、渋ることがなさそう。決してキョウヘイには有利とはいえないが、好調サイクルをキープ。準重賞に続いて重賞制覇なるか注目が集まる。
コスモカルナックは中央芝1200m3勝。今年1月、1年ぶりの実戦でも逃げ粘って2着を確保した。その後、5月に転入。当初3戦はダートが合わず着外に終わったが、芝・かきつばた賞で2着に反撃。芝に替わって反応が一変した。桂樹杯は逃げの手に出たが、直線一杯5着。
続いてせきれい賞にエントリーしたが出走取り消ししたが、回復が早く予定どおりいしがきマイラーズに駒を進めた。中央実績からもマイル短縮は基本歓迎。流れが合えば待望の重賞制覇のシーンまで。
インテンスライトは中央芝1800m1勝、芝1600m3勝から転入。せきれい賞へ臨んだが、中団追走から脚いろが怪しくなって10着。敗因の一つは2400mが合わなかったため。1600m短縮なら巻き返しに転じて不思議はない。
スーパーフェザーは中央芝4勝、GIII・小倉記念3着。せきれい賞は7着だったが、5ヵ月ぶりの実戦もこたえた。ひと叩きされて上昇確実。
ブレイニーランは転入後、3勝2着2回。ダートも問題ないことを証明した。盛岡芝は未経験だが、中央芝2勝2着5回。ディープインパクト産駒なら芝を使ってみたいのも納得がいく。
◎⑫アルサトワ
〇⑥キョウヘイ
▲⑧コスモカルナック
△⑪インテンスライト
△②スーパーフェザー
△④ブレイニーラン
<お奨めの1頭>
1R リュウノイアイギリ
前走は1枠が仇となり、周囲を包まれたのが痛かった。今度は好スタートを決め、首位を奪回する
今週は真夏のスプリント決戦「クラスターカップ」ウィーク。毎年、お盆の頃に実施され、岩手競馬の恒例行事として定着している。今年は8月15日(日)、第10R(発走17時05分)。1着賞金が昨年より200万円アップされ、2008年(第13回 1着プライドキム)以来、1着賞金3000万円で行われる。
創設はOROパーク完成年の1996年。いきなりJRA、地方競馬全国交流でスタートしたのには背景がある。前身は早池峰賞。意外に知られていないと思うが、早池峰賞は年に1回、オープン特別で行われていた旧盛岡競馬場(緑ヶ丘)の名物レースだった。
盛岡1100mを舞台に毎年、お盆に実施。年に1回のオープン馬の短距離戦は非常に人気が高く、別名"電撃の5・5ハロン戦"と呼ばれ、個性派が毎年優勝。2000mが主流だったオープン重賞とは違う顔ぶれ(距離関係なしにエントリーした馬もいたが)がそろい、自慢のスピードを競った。
個人的にファンだったのが第9回、第10回を連覇したアカネプリンス。ボールドコンバタント(ボールドルーラー系)産駒で重賞では入着一杯だったが、早池峰賞で持てる能力=スピードをフルに発揮した。余談だが、当時の愛車を『アカネプリンス』号と名付けていた。もちろんアカネプリンスのスピードにあやかった。
その評判を受けて新盛岡競馬場(OROパーク)ダート1200mを舞台にクラスターカップが創設されるに至った。命名理由はJRA、各地方競馬場をスタークラスター(星団)のたとえ、地方競馬で唯一、ダートコースと芝コースを持つ岩手競馬が、星団をつなげる懸け橋になりたい―という想いを込めた。
昨今、コロナの影響で"クラスター"はあまりよろしくない意味で使われているが、創設当時は命名由来も含め、素晴らしいレース名と各方面から絶賛されたものだった。
なお、早池峰賞はその後も継続され、12月の短距離重賞、またクラスターカップへの道、岩鷲賞トライアルで実施されたこともあったが、2016年、「早池峰スーパースプリント」の創設に伴って発展的解消。早池峰賞は41年の歴史でピリオドを打つことになった。
レースにはそれぞれ歴史があり、いろいろな局面で姿かたちも替わることがある。クラスターカップ創設の秘話として読んで下されば幸いだ。
今週の岩手競馬
8月13日(日) メイン10R 「第3回いしがきマイラーズ」(盛岡芝1600m)
8月14日(月) メイン12R 「竜胆特別」(A級三組 盛岡ダート1600m)
8月15日(火) メイン10R 「第28回クラスターカップ」(JpnIII 盛岡ダート1200m)