23日メインは水沢1400m重賞「第35回栗駒賞」。一昨年まで7月前後に行われ、クラスターカップへの道だったが、昨年から4月に以降。優勝馬ロックスピリットはシアンモア記念へ向かった。
今回の主役ゴールデンヒーラーも同様のステップを選んだ。昨年6戦2勝2着1回3着2回。重賞は青藍賞1勝のみだったが、JpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯でJRAの強豪を相手に5着善戦。フロックでないのはメンバー最速タイ36秒7をマークしたことでも証明した。
続いてJBCレディスクラシック(盛岡)へ挑戦予定だったが、脚部不安が発生したため無念の出走取り消し。その後は北海道の牧場で休養に入り、2月に水沢へ帰郷した。
2月に行われた岩手競馬アワードで担当の渡邊正彦きゅう務員にゴールデンヒーラーの近況を聞いたところ「デビュー後、初めて放牧に出たが、これでリフレッシュできたと思う。一回りも二回りも大きくなって戻ってきた。ちょうど成長期に休んだことが良かったと思う。間違いなくパワーアップしたと思う」と。
当初、赤松杯にも登録があったが、無理をせずスキップ。栗駒賞→シアンモア記念の路線を選び、満を持して出走する。今回の水沢1400mは3歳時、あやめ賞以来だが、2戦2勝とパーフェクト成績。過去に2000mもこなしているが、ベストはマイル。シアンモア記念へつながるパフォーマンスを期待したい。
中心に迷いなしだが、相手は伯仲。筆頭にゼットセントラルを指名する。昨年4月、中央1勝クラスから再転入。5勝2着5回3着2回の好成績を収めた。今季初戦はマイナス15キロと大幅な体重減を問題にせず、ロングスパートを決めて完勝。好タイムもマークした。重賞では青藍賞5着が最高だが、水沢1400mは信頼の条件。
オンラインボスは北海道1勝、南関東2勝・B2級から転入。2勝2着2回3着3回。馬券対象から外れたのは芝にとまどった3歳芝・サファイア賞8着のみ。抜群の安定度を誇った。今季初戦は2番手キープからあっさり抜け出して快勝。ひと冬を越して成長の跡ものぞかせた。3歳冬に去勢手術を施され、まだまだ伸びしろ十分。今回の挑戦は注目に値する。
ケイアイサクソニーは中央芝短距離で4勝後、門別へ移籍。芝1000m交流・OROターフスプリントへ参戦し、5馬身差で圧勝した。今回のトレードは連覇を狙ったのは明らかだが、ダートでも門別で2着2回。4ヵ月半ぶりの転入戦でも逃げて3着に粘った。気分良く逃げれれば残る可能性は高い。
グットクレンジングは昨年、ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)の二冠を獲得した。不来方賞8着、ダービーグランプリ11着に敗れ、南関東へ移籍。2戦着外から再転入した。近走成績からは強気になれないが、水沢コース適性抜群。
あやめ賞馬・マルルットゥも南関東から里帰り。初戦の1400m戦で2着に好走した。前走は6着止まりだったが、1400m短縮で反撃一考。
◎⑦ゴールデンヒーラー
〇⑫ゼットセントラル
▲③オンラインボス
△⑥ケイアイサクソニー
△⑤グットクレンジング
△⑨マルルットゥ
<お奨めの1頭>
1R ヴァロンダンス
前走は1年1ヵ月の長期休養明けで3着も仕方なし。ひと叩きされて上昇必至に加え、850m2度目と好走要因がそろった
4月11日(月)、第5R・C2戦でキラキラオーラが快勝。管理する佐藤雅彦調教師は地方競馬通算1000勝を達成した。佐藤雅彦調教師は騎手時代に通算1687勝。1996年度にはリーディングジョッキーの座についた。当時は菅原勲騎手(現調教師)、小林俊彦騎手(現調教師)の全盛期。岩手のトップジョッキー二人を相手にして、リーディングジョッキー獲得は見事というほかはなかった。
実は盛岡競馬場所属のリーディングジョッキーは1971年、小西重征騎手(現調教師)以来、25年ぶりの快挙。1972年から村上昌幸騎手(現調教師)が10年連続でリーディングジョッキーになると、以降は水沢競馬場所属騎手がずっと首位を堅持していた。
理由はいくつかある。水沢競馬場の在きゅう馬は盛岡競馬場のおよそ1・5倍から2倍。絶対数が違いすぎた。菅原勲元騎手がリーディングジョッキーになったのは水沢競馬場へ移動してからだった。
また盛岡競馬場は自きゅう舎優先という暗黙の了解があった。仮にお手馬が連勝していても当時は所属きゅう舎の馬が出走した場合、そちらに騎乗した。対して水沢競馬場はオープン。例えればかつての美浦、栗東トレーニングセンターの感じだったと思ってくださればいい。盛岡所属・佐藤雅彦騎手のリーディングジョッキーはその一度のみ。以後、現在も水沢所属騎手がリーディングを取っている。
当時、岩手競馬情報マガジン・テシオを発刊していたので、佐藤雅彦騎手にインタビューをお願いした。「勲(菅原勲騎手)と俊(小林俊彦騎手)にレースを作られるから、なおさら勝つのが大変だった。よく153勝もできたと思いました」
言うまでもないかもしれないが、逃げた馬がレースを作るわけではない。極端な場合、最後方からでもレースを作れる。ましてや"イサ、コバ"が全盛時代。彼らを相手にリーディングジョッキーを取るのは至難の業だった。
インタビューの場所は佐藤雅彦騎手の自宅だった。訪問して、ふと目にしたものを見て"雅彦くん、これは?"と聞いたら"自分に対するご褒美(ほうび)"と佐藤雅彦騎手。なんであったか―は言わない。佐藤雅彦調教師は騎手時代、現在もダンディズムがポリシー。きゅう舎スタッフも知らないそうだ。
今回、調教師として1000勝を達成後のコメントはこうだった。「一つ一つ白星を積み上げていっての達成。良かったなと思います。どのレースが一番、想い出に残っているとかはない。勝った時はどのレースでも感動してしまうのでね。勝つことがうれしいですから、みんなで喜びあいました。騎手として1687勝。調教師としてもそれくらい勝てればいいですが、それが目標と言うわけではなく、今までどおり1勝を積み重ねていきたいと思っています。高松騎手で決めることができたのもうれしかった。普段から一生懸命で、厩舎スタッフをまとめてくれているから。(高松)亮で勝てればな、と思っていたので本当に良かった」
いかにも佐藤雅彦調教師らしいコメントだった。達成前日の10日、シンザン記念馬キョウヘイ(牡9歳)が岩手始動した。若草特別(A級二組 水沢1600m)。2番人気に支持されたが、クビ、1馬身差の3着に敗れた。
「コーナーでもたついた分、2頭を捕えることができなかった。小回りが理由か、まだ判断できないが、砂を被っても問題なかった。今年の盛岡芝は6月下旬から。当面は実戦を使いながら状態をあげていきたい」。キョウヘイは4月25日、第10R「山吹特別」で2戦目を予定している。
今週の岩手競馬
4月23日(日) メイン11R 「第35回栗駒賞」(オープン 水沢1400m)
4月24日(月) メイン12R 「桜花特別」(A級一組 水沢1800m)
4月25日(火) メイン12R 「駒形賞」(C1級 水沢1400m)
文/松尾 康司
4月16日に行われた3歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『留守杯日高賞』は大井からの遠征馬ワイズゴールドが優勝しました。
他地区からの遠征馬が上位の人気を集めた中で1番人気に推されたワイズゴールド。好発からハナに立ってレースの主導権を握ると、途中3~4コーナーで2番手キャッツライズの攻勢を受けたものの凌ぎきり、直線は後続を引き離しながらのゴール。4着に終わった前走の浦和・桜花賞の雪辱を果たしました。
「頭が良くて頑張る馬。小柄な牝馬だからどんな距離でもとは言えないが、牝馬同士なら1800m位はこなしてくれそうな距離の融通性もある。まだまだこれから力を付けていって良い馬です」と市村調教師もこの馬の走りを褒める嬉しい勝利でした。
2着は先行競り合ったキャッツライズが粘り切り、2番人気フークエンジェルはスローペースが災いして3着まで。4着ラピスアダマンス、5着エイシンレアと5頭の遠征馬が掲示板を占める結果となりました。
4月18日のメインレースは11レースです。B1級ダート1400mの特別戦『桜並木賞』。レース名の由来でもある水沢競馬場・向こう正面の桜並木は"史上最速"の早さで先週既に満開を迎えており、今週はすっかり葉桜に。今年は"葉桜並木賞"になってしまいましたが、見逃された方はぜひ来年を楽しみにお待ちください。
このレースの本命は(5)ドルズプライスレスです。
3月12日のB1ダ1400m戦を大差の逃げ切り勝ちと衝撃的な走りを演じた同馬は返す刀の前走も同様の逃げ切り勝ち。春初戦のレースはまだデキすぎ・うまくいきすぎとそれだけでは過信できないものだと思っていましたが、連続で見せつけられるとこの勢いは"本物"と見ざるをえません。加えて勝って同メンバー、むしろ春初戦よりは少し楽にも感じる今回の相手関係なら、これは中心不動と言う他はないでしょう。
一応懸念材料を挙げるならば、まずひとつは今回は現級で連勝してきた分58kgの負担重量になっている点。これは馬格がある逃げ馬だからあまり気にしないとして、これで意外に気難しいところがあるという点には注意が必要かも。前走なども道中でちょっと遊ぶところを見せていました。同じ走りを何度もできる、何度も再現できるタイプではないかも・・・という点は一応念頭には置いておきたいですね。とはいえもっと上のクラスに行った時にどうか?であって現級ならそれも気にしなくていいでしょう。
対抗は(7)ストロングフォース。昨季終盤にC1を勝ち上がって今季はB1スタート、その初戦こそ3着に敗れましたが現級二度目の前走は完勝と地力のあるところを見せています。敗れた初戦にしても勝ったのはユノートルベル、2着はヤマショウブラックと古馬重賞勝ち負けレベルの相手。対ドルズプライスレスの筆頭としての期待をかけるにふさわしい存在と考えます。
三番手は(9)ハッピーホンコンを。ちょっと勝ち切れずにいる近走ですが相手関係や馬場傾向、展開等に関係なく上位に食い込んでくる堅実さが魅力的。2着以下の争いが例えば◎の前走や前々走時のように後方集団が競り合っている形になったなら、この馬のしぶとさが武器になってくるでしょうし、そこからもう一段階上に迫ることも可能では。
あとは、今回のメンバー相手には若干不利な近走成績ですがまだコース慣れ上昇の余地があって良い(1)キットクル、同様に右回り経験積んで変わってきていい(8)ノースリュシオル。それぞれの上昇分を見込んで上位に食い込める存在として押さえに。
●11Rの買い目
馬単(5)=(7)、(5)→(9)、(5)→(1)、(5)→(8)、(7)→(9)
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17日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。前走1着馬を本線に採ったが、伏兵もずらり。印以上に波乱含みの一戦と見ていいだろう。
エピックスターは中央芝1600m、芝1800mで計2勝。ダート変更後も2勝クラスで4着2回の実績を残して高知へトレード。1勝のみにとどまり、転入前の格付けはC2級。岩手B1編入はどうかと思ったが、初戦2着から前回快勝。2頭が大逃げを打ったが、早めにスパートをかけて4角先頭。あとは余裕たっぷりに0秒3差で完勝した。
正直、高知の成績判断は非常に難しい。これまでもそうだが、A級から転入でも苦戦するケース。下級条件でもがいていてもクラス関係なしに好走するケースも多々ある。エピックスターも同様だったが、高知の馬場が合わなかったか。少なくとも岩手2戦の内容を見るとA級入りも間違いないと思わせた。その意味で今回は正念場。自分の決断は連勝十分と判断した。
ヒカルマドンナは一昨年10月、中央未勝利から転入。C2編入にも恵まれてあっさり3連勝をマークした。翌年春も2連勝を飾り、以降2戦3着を確保したが、以降は低迷続き。勝てないレースが続いたが、昨最終戦2着でシーズンを終了。そして今季は2連勝と幸先のいいスタートを切った。
勢い重視すれば本命視も考えたが、自分の競馬ができないとモロい面があるのも事実。振り返れば春は好走するが、次第に尻すぼみするタイプか。ただ今回は願ってもない絶好の1番枠。あっさり逃げ切りもあるが、マーク厳しく末が甘くなるか。ひとまず対抗評価に落ち着いた。
ハクシンパーソナルは函館ダート2400m1勝から南関東へトレード。C1へ格付けされて2着1回3着3回。2000m前後をメインに使われたのは、おそらくスロースターターだから。転入戦は出遅れながらも豪快なまくりを決めて完勝したが、前走は伸びを欠いて4着。仕掛けの難しいタイプだ。それでも能力の高さは証明済み。できればペースが速くなってほしいところだろう。
ヤマジュンサルサは一戦ごとに調子をあげて前走2着。大化けしたドルズプライスレスが逃げ切りを決めたが、積極策に出て連対を確保した。今回は距離が延長されて1600mが舞台。決して歓迎とは言えないが、好調度を重視するべきか。
サンエイウルフは南関東2勝・B2から転入。初戦は2番手キープから一杯6着に沈んだが、2戦目は待機策に転じて3着。鞍上も手のうちに入れ、今度は連対のシーンまで。
ソルメンシスは大崩れなしすんなりの流れで残り目があるかもしれない。
◎⑩エピックスター
〇①ヒカルマドンナ
▲⑧ハクシンパーソナル
△③ヤマジュンサルサ
△⑥サンエイウルフ
△②ソルメンシス
<お奨めの1頭>
4R・ロックオンエイム
B1からC2降格戦を2着にまとめて地力を垣間見せた。ひと叩きされて今度は首位を奪取する
16日メインは"GRANDAME-JAPAN2023"3歳シーズン「第23回留守杯日高賞」(水沢1600m)。ここ2年は5月中旬に行われたが、今年は1ヵ月ほど前倒し。3歳牝馬重賞へ様変わりして以降、最も早い時期の実施となった。
この日程変更の影響は少なくない。過去10年で2度優勝した北海道代表は1頭もなし。昨年も北海道勢の遠征がなく、一概には言えないが、門別競馬のシーズンスタートは4月19日(水)。来年以降も同時期に実施されれば遠征を自粛するケースが多くなるかもしれない。
また佐賀ル・プランタン賞は4月9日(日)に行われ、優勝は園田マルグリッド。20日(木)には東海クイーン(名古屋)があり、西日本勢も留守杯日高賞へ参戦する可能性が低くなる。
その代わり、南関東勢が5頭参戦。対決構図は南関東vs地元岩手だが、牡馬も含めて世代No.1ミニアチュールは牡馬一冠目・ダイヤモンドカップへ直行。また伏竜ステークス11着後、岩手へ帰郷したフジラプンツェルも同じくダイヤモンドCを目指すため、岩手代表は第二グループ。過去10年で遠征馬8頭が優勝に対し、岩手2勝。うち5回が南関東所属馬が制し、今年も優位は動かない。
フークエンジェルは南関東1勝2着4回3着2回。馬券対象から外れたのは重賞初挑戦・ローレル賞9着だが、スタート直後に脚を滑らせるアクシデント。また3戦1勝で臨んだキャリア不足もこたえた印象だった。それでも以降は3戦連続2着にまとめて軌道修正。浦和・桜花賞でも3着確保した。右回りは未経験だが、昨年グラーツィアで留守杯日高賞を10馬身差で圧勝させた米谷康秀調教師なら手抜かりなし。初重賞制覇に王手をかけた。
ワイズゴールドは南関東1勝2着4回3着1回。フークエンジェルとほぼ似たような成績だが、重賞・ユングフラウ賞、浦和桜花賞で連続4着。特に桜花賞では逃げたアトカラツイテクルの2番手をキープしたが、外を2番人気サーフズアップが追走。終始プレッシャーをかけられる厳しい競馬を強いられた。それでも直線で渋太く粘り、フークエンジェルとはクビ差4着。負けて強しの一戦だった。またフークエンジェルが初の右回りに対してワイズゴールドは走り慣れた右回り。逆転首位の可能性は十分ある。
ラピスアダマンスはデビュー2連勝後、戦列離脱。脚部不安が発生して5ヵ月半の休養を余儀なくされたが、復帰2戦目を0秒5差で完勝。通算成績4戦3勝とした。フークエンジェルと同様、初の右回りだが、キャリアが浅く、今後さらに成長は確実。南関東を含めて初遠征が不安だが、仮に克服できるようなら将来も約束された。
キャッツライズはメンバー最多の4勝をマーク。前走、桜花賞は出遅れも響いて6着に終わったが、勝ち味を知っているのが何よりも強み。本来の先行力を発揮し、好位キープできればあっさりまで。
エイシンレアはローレル賞3着から南関東3歳牝馬の王道を歩んだが、3戦連続で大敗。歯車が狂った感じもあるが、メンバーが大幅に緩和。リフレッシュできれば巻き返しに転じる。
ダレカノカゼノアトは高知2勝後、準重賞2戦大敗して岩手入り。トライアル・あやめ賞は5番人気ながら2着に突っ込んだ。前崩れになった際に浮上。
◎③フークエンジェル
〇⑤ワイズゴールド
▲⑧ラピスアダマンス
△⑥キャッツライズ
△⑪エイシンレア
△⑩ダレカノカゼノアト
<お奨めの1頭>
2R マッハインファイト
転入戦は昨年6月以来の実戦で太め残りがたたって2着だったが、ひと叩きされて今度は負けられない