2日メインはlJpnIII・クラスターCトライアル「第55回岩鷲賞」(盛岡ダート1200m)。2年連続で同レースを圧勝したキラットダイヤを巡る争いとなった。
キラットダイヤは一昨年度、昨年度と最優秀短距離馬に選出された現役屈指の快速牝馬。一昨年、中央ダート2勝から転入。初戦は3着止まりだったが、以降は圧巻の重賞4連勝を飾った。
昨年も同様、初戦は2着に敗れたが、以降は重賞3連勝。JBCスプリントにも挑戦して10着。さすがに中央一線級にはかなわなかったが、JBC盛岡を盛り上げてくれた。
その後は休養に入り、南関東へ移籍。船橋A2以下の1200m戦で復帰。果敢に逃げたが、休み明けとプラス15キロの太目もこたえて5頭立て4着。直後に岩手へ里帰りして早池峰スーパースプリントへ出走。馬体重マイナス14キロの473キロとベスト体重で臨み、レースも6馬身差で圧勝。水沢850mの自己最高タイムも0秒1更新した。
今回の岩鷲賞は一昨年6馬身、昨年は10馬身差で圧勝し、盛岡ダート1200mは6戦5勝(唯一の敗戦はJBCスプリント)最も得意とする条件。大外12番枠に入ったが、全く問題なし。早池峰SSに続いて岩鷲賞3連覇へまい進する。
ディアリッキーは南関東3勝。東京2歳優駿牝馬3着、東京プリンセス賞2着、JpnIII・クイーン賞4着と成績もすばらしく、北海道1戦を使って昨年岩手入り。2連勝を飾り、牝馬重賞・ヴィーナススプリントを快勝し、続く一戦6着から南関東へ移籍。2戦を使って再び岩手転入。2戦は忙しい850mが合わず3、6着に終わったが、盛岡1000mに替わって豪快なまくりを披露して快勝。これで弾みがついた。1ハロン伸びる1200mが大歓迎。ペース次第で逆転の可能性もある。
アップテンペストは岩手5勝から名古屋へトレード。梅桜賞、スプリングカップと3歳重賞2連勝をマークした。昨年8月、岩手へ戻り牡馬相手に重賞・やまびこ賞を完勝。冬場は笠松へ移り、今年6月に再転入。早池峰SSはデビュー以来2度目の850m戦だったが、キラットダイヤの2着を死守した。盛岡は過去6勝2着3回とコース相性抜群。自分の競馬ができれば再度好走のシーンまで十分。
トーセンキャロルは中山芝1200m1勝、南関東1勝から転入。牝馬クラシック・ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと二冠を制した。以降は苦戦を強いられていたが、2走前から短距離にシフト。2戦4着だったが、今度は1200mへ延長。切れを生かせる舞台となる。
オンラインボスは今季初戦を快勝後、足踏みが続いたが、前走は出遅れて最後方からの競馬。結果的にそれが功を奏し、鮮やかな直線一気を決めて1着。収穫の多い一戦となった。今回も思い切った待機策から直線抜け出しを狙う。
ツルマルハナコは盛岡1200m7戦4勝2着3回3着1回とすべて馬券対象。メンバーは大幅に強化されたが、適性は引けを取らない。
◎⑫キラットダイヤ
〇⑦ディアリッキー
▲⑩アップテンペスト
△①トーセンキャロル
△⑥オンラインボス
△⑤ツルマルハナコ
<お奨めの1頭>
1R クライアウト
前走2着は相手が強く仕方なし。それでも1分21秒8の破格タイムをマークした。今度は首位を譲れない
先週は3歳重賞のトライアル2戦が行われた。25日(日)はハヤテスプリント・トライアル「第47回ウイナーカップ」(盛岡ダート1400m)。
人気はユウユウレラシオン、タイセイヴィゴーレが集めたが、3、9着。後方2頭ケンジャ、セイレジーナが1、2着。超ハイペースになったため、前半グループ後方グループがゴールで総入れ替え。ケンジャが鮮やかなまくりを決めて重賞初挑戦でウイナーカップを制した。
山本政聡騎手「テン乗りだったので、騎乗者から馬の癖などを聞いてレースに臨んだ。先に行きたい馬が多かったので、勝負どころで巻き込まれたくないなと思い、前半は呼吸とリズムを大事にした。結果的に最後方からの競馬になったが、気負う必要はない。この馬の力を最大限に引き出したいと心がけたら、いい感じで動いてくれた。それほど人気を背負っていなかったことも良かったと思う。正直、手ごたえはあまり良くなかったが、追っているうちは反応してくれたので"頑張れ、頑張れ"という気持ちで追い続けた。直線で先頭に立つとトボけるところもあって、まだ幼い面が残っているが、その分、これからさらに伸びてくれると思います」
伊藤和調教師「水沢でもそれなりに結果を出していたが、右回りだとグラつくところがあった。それが左回りになると動きも反応も一変。前々回も勝ったが、盛岡の方が合うタイプ。ハヤテスプリントの優先権を獲得したみたいだが、重賞を勝ったばかり。今後については馬の状態を見ながら、オーナーと相談して決めたい」
記憶に間違いなければ、伊藤和調教師の重賞制覇は2019年、せきれい賞ダイワリベラル以来のこと。ヒザを手術したため松葉杖をついての表彰式だったが、久々に伊藤和調教師、満面の笑顔を見た。
翌々日27日(火)はオパールカップ・トライアル「第27回はまなす賞」(盛岡芝1600m)。内2番枠を引き当てたスノーパトロールが先手を主張し、トーセンカタリーナの追撃をハナ差封じて逃げ切り勝ち。岩手クラシック・ダイヤモンドカップ3着、東北優駿4着の地力を誇示した。
山本政聡騎手「ダートでも好位を取れていたので芝なら内に包まれるより、多少無理してもハナに行った方がいいと判断した。今の盛岡芝は先行有利の傾向でしたからね。テン乗りで気合をつけたらその気になってしまったが、うまく折り合いをつけることができた。人気のトーセンさん2頭とは中央成績でどっこい。いい競馬になると思っていた。ただ止まっている訳ではないが、ピリッとしたタイプではない感じ。結果的に逃げの手に出たことも良かったと思います」
飯田弘道調教師「中央時代の走りから芝は合うと思っていた。大幅な体重増を見て驚いたかもしれないが、追い切りの反応も良かったので気にはならなかった。おそらく水沢は輸送も影響したんじゃないかな。今日、ようやく勝つことができてホッとした。次はひまわり賞とオパールカップの両にらみ。どっちを選ぶか、どちらも使うかは状態を見た上、オーナーと相談して決めたいと思っています」
勝ったのは2レースとも山本政聡騎手。勝ち星以上に今シーズンの冴えが目を引く。片や追い込み、一方は逃げ切り。両レースとも山本政聡騎手の好プレーも光った。
スノーパトロールは今回プラス24キロ。ダイヤモンドカップは前走比プラス19キロで3着。続く東北優駿はマイナス15キロで4着。そして今回も大幅増で出走したが、しっかり結果を出した。見た目の数字だけで判断するのは危険だなぁと改めて思いました。
今週の岩手競馬
7月2日(日) 「第55回岩鷲賞」(オープン 盛岡ダート1200m)
7月3日(月) 「小暑特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
7月4日(火) 「かきつばた賞」(オープン 盛岡芝1700m)
6月25日に行われた3歳重賞『ウイナーカップ』は4番人気のケンジャが優勝。自身初の重賞制覇を初めての重賞挑戦で成し遂げました。
逃げたドロットニングを巡って人気上位馬が前へ前へと押し上げていく中で最後方を進んでいたケンジャ。そんな先行勢が一頭また一頭と落伍していく横を縫って上昇してきた同馬は4角ではそのまま先頭に飛び出す勢いを保っていました。先に抜け出したヌンヌンシー、ユウユウレラシオンを並ぶ間もなく交わすとその勢いのままゴール。終わってみればこの馬が大本命だったかと思うような強い競馬で重賞タイトルを手にしました。
2着には後方から追い上げた8番人気セイレジーナが飛び込み、1番人気のユウユウレラシオンは3着に踏みとどまったものの3連単は6万2020円の波乱。また今期の3歳重賞で初めての牡馬による制覇ともなりました。
6月27日のメインレースは11R、3歳芝の準重賞『はまなす賞』。今週から始まった夏の盛岡開催の目玉は、二つのグレードレースももちろんですがなんと言っても芝。5月の開催は芝レースが設定されていなかったのでこの開催からが芝シーズンの開幕で、このはまなす賞も7月9日に行われる3歳芝の交流重賞『オパールカップ』のトライアル。ここからしばらくは各世代いずれも芝が中心、トライアル→本番の流れが続いていきます。
しかしこのはまなす賞。11頭中岩手デビュー馬は3頭、盛岡の芝を経験している馬は2頭しかいません。初芝という馬も5頭おり、少ない芝経験・芝実績を頼りながらの予想になりました。
本命は(11)トーセンジニアールです。これが岩手転入2戦目、前走は水沢ダート1300m、3歳C2級という下のクラスではありましたが直線しっかり後続を突き放す強い走りを見せています。
この馬の"売り"はやはり芝経験。JRA時代は芝で5戦していずれもひと桁着順を確保。直近の一戦以外は勝ち馬から1秒圏内に食い込んでいます。上がり3ハロンの脚も常にメンバー最上位クラスで、未勝利脱出は目前という走りを見せていました。今回、元JRA馬という馬も複数いますが勝ち馬との時計差は大きめで、その比較でも上位と見ていいはずです。
課題はまず盛岡芝への対応。ただこれは他の馬も同様として、この馬の場合は上がりの脚がある割にワンパンチ足りないという評価だった点が、いわゆる勝ち味に遅いタイプなのかもという懸念を感じます。今回のところは過信はできないまでも実績信頼で、という本命。ここでそれを払拭して次戦へ、ということでいいでしょう。
対抗も新規勢力で(4)トーセンカタリーナ。こちらも未勝利脱出寸前までいった実績あり。左回りコースの方が良い成績だったのも、コース形態の違いがあるとはいえ心強い材料になります。岩手では初戦ですが休み明けを叩かれての転入なら体勢は整っていると見ていいでしょう。
(2)スノーパトロールを3番手に。今季ここまでの戦績どおり3歳世代の中では上位の力を持っていますし芝経験もあり。その芝が、札幌函館の洋芝というのも魅力的な材料。激戦の東北優駿から中一週をきらってこの印にしましたが、勢いある牝馬は狙い続けるのがセオリー・・・という手ももちろんあり。
以下はちょっと悩みつつ(9)ペルトラン、(3)ベロニカブレイン。前者は2歳時の芝実績から、盛岡芝マイルにも勝ち星がある点に注目して。後者は芝経験はJRA時代の一度だけですがダートでのここまではメンバー中でも上位の内容だという点を評価して。
●11Rの買い目
馬単(11)=(4)、(11)=(2)、(4)=(2)、(11)→(9)、(11)→(3)
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26日メインは盛岡芝1700mを舞台に行われるB1級特別「朝顔賞」。これがシーズン2つめの芝レースだが、芝を待っていたB1在籍メンバーがずらりと顔をそろえた。
その一番手はキョウヘイ。命名の由来を含めて中央時代も人気の1頭。3歳時、重馬場で行われたGIII・シンザン記念を優勝した。3着に退けたペルシアンナイトは後にGI・マイルチャンピオンシップを制し、6着アルアインは皐月賞、大阪杯とGIレース2勝。8番人気ながら鮮やかなまくりを決めた。
翌年にも阪神芝1800mで3勝目をマークしたが、以降は勝ち星なし。今年3月に岩手入りをした。初戦の水沢1600m・A級は小回りに戸惑いながらも0秒1差3着。これでダート克服のメドが立ったかに見えたが、以降は3戦連続6着。重賞・あすなろ賞後はレース間隔をあけて芝実施までじっくり待ち、満を持してエントリーした。
盛岡芝は1周1400mの小回りコース。追い込み馬でコーナーをうまく立ち回れるかが最大ネックだが、絶対能力でカバー。盛岡芝を復活の舞台としたいところだろう。
ハッピーホンコンは一昨年、北海道3勝から芝1000m交流・OROターフスプリントに参戦。クラヴィスオレアが7馬身差で圧勝したが、2着エムティアンとは0秒3差4着。盛岡芝もクリアーし、昨年10月に転入。残念ながら芝を使えず、ダートに手こずっていたが、今季は1勝2着3回3着3回。馬券対象は3走前、1000mの忙しい競馬が合わず10着に終わった一度のみ。抜群の安定感を誇っている。
今回の芝1700mは気持ち長い印象もあるが、前半は脚を貯めることに徹して直線勝負に持ち込めれば克服十分。あっさり首位まで。
エルプシャフトは中央芝4勝、3勝クラスに在籍後、佐賀、高知を経て転入。ダート1勝、盛岡芝2勝をマークして中央へ里帰り。2戦を使って再び岩手へ戻ってきた。2戦連続とも着外だったが、やはり主戦場は芝。10歳の年齢が気にならない訳ではないが、盛岡芝の対応力は相当高い。
ハイアーグラウンドは中央ダート1600m1勝、芝1600m2勝から昨年転入。桂樹杯4着、いしがきマイラーズ6着後、高知、金沢と転籍して再転入。B1編入は恵まれました。
ラングロワは中央芝2勝、笠松1勝から転入。転入戦は2ヵ月半ぶりの実戦も影響して9着でしたが、ひと叩きされて芝レースは予定どおりのステップ。
アークライトは中央未勝利ながら8戦して1番人気7回、2番人気1回。結果は2着4回3着1回でしたが、期待の1頭でした。
◎⑦キョウヘイ
〇⑨ハッピーホンコン
▲⑩エルプシャフト
△⑤ハイアーグラウンド
△③ラングロワ
△④アークライト
<お奨めの1頭>
2R アースアワー
850mへシフトして1勝2着2回3着1回。盛岡ダート1000mへ舞台は替わるが、守備範囲と見る
今週25日(日)から戦いの舞台は水沢競馬場から盛岡競馬場へ。いよいよ今シーズンの芝競走もスタートする。前開催(4月30日~5月23日)の盛岡芝は生育途上だったが、今は青々と草が生い茂り、目にも鮮やか。さっそく25日、第10Rに「エフフォーリア賞」(B2級 芝1600m)が組み込まれている。
果たして今年の芝状態はどんな感じなのか。見た目だけでは絶対にわからず、実際走ってみないことには確認できない。しかも23日現在、盛岡は小雨。24日、レース当日も時折り雨。水の含んだ芝になる可能性が高いが、どの程度なのか。チェック項目が多い。では10R予想です。
◎⑪エムワンハルコ
〇⑩ホープホワイト
▲④バンフィエルド
△①ベルピエース
△⑥ホウショウエポック
△②ナンベイコー
盛岡芝はやはり実績重視がセオリー。エムワンハルコは過去、盛岡芝4勝2着4回。3歳芝・はまなす賞、サファイア賞を制し、B1級芝でも勝ったことがある。昨年もダートで苦戦を強いられたが、叩かれながら状態アップ。芝替わり戦2着から2戦目を快勝した。雨の影響が若干不安だが、盛岡芝は鬼的存在。
ホープホワイトは福島芝1200m・2歳新馬勝ち。岩手入り後も芝で2着1回を確保した。勝ち星はないが、今はダートも克服して充実。
バンフィエルドは一番、頭を悩ませた。中央未勝利から転入後、無傷の6連勝中。芝も中央時代に使っているが、果たして盛岡芝もこなせるか。単穴評価が妥当。
以下、中山芝・2歳新馬1番人気2着ベルピエース、盛岡芝1勝2着2回ホウショウエポック、洋芝・函館芝1800m2着1回ナンベイコーまでが争覇圏内と見た。
メイン11Rは3歳重賞「第47回ウイナーカップ」(盛岡ダート1400m)。東北優駿(岩手ダービー)の上位4頭が不在。舞台も1400mに替わり、距離適性が重要なファクターとなった。
ユウユウレラシオンはインカンテーションの初年度産駒でデビュー2連勝。3戦目の芝は適性がなく7着だったが、ダートに戻って重賞・ビギナーズカップ2着。続くJRA認定競走を快勝したが、脚部不安が発生してリタイア。今季春に復帰し、あやめ賞は久々がこたえて8着だったが、以降2、4、1着。岩手一冠目・ダイヤモンドカップでも上位を確保し、地力を証明した。今回はメンバー有利が明らか。初タイトルを手にして今後に弾みをつける。
リスレツィオは北海道0勝から転入後、4連勝の快進撃。岩手の水が合った。勢いを駆ってダイヤモンドCへ挑戦したが、経験値の差も出て6着。しかし続くイーハトーブマイル3着で重賞でもメドが立った。1400m短縮は基本歓迎で逆転首位まで。
タイセイヴィゴーレは中央未勝利から4勝マーク。2度の着外は重賞・スプリングカップ9着、前走・イーハトーブマイル7着。相手もさることながら自分の競馬ができないとモロく、それが勝敗の分かれ目となる。
オンネマトカは門別1100m・新馬戦を勝ち上がり、その後、佐賀へ移籍。3勝をマークした。転入戦は4着だったが、850mの忙しい競馬が合わなかった。ひと叩きされて適距離が陣営の思惑。
ヌンヌンシーは"幻の岩手三冠馬"ロールボヌールの貴重な産駒。北海道1勝、大井0勝から転入2戦目をハイタイムで完勝。前走9着はマイル延長に敗因を求めれば反撃必至。
セイレジーナは昨年の寒菊賞を快勝。今季はまだ本調子を取り戻していないが、東北優駿5着。このメンバーなら。
◎⑩ユウユウレラシオン
〇④リスレツィオ
▲⑥タイセイヴィゴーレ
△③オンネマトカ
△⑧ヌンヌンシー
△⑨セイレジーナ
<お奨めの1頭>
2R ハートビートロック
転入戦を危なげなく完勝。休み明けを叩かれてさらに上昇は確実。順当に2連勝を飾る